Fate/kaliya 正義の味方と桜の味方【完結】   作:faker00

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第2話 開戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは苛立っていた。

 時計塔の教え子――とは言っても自分の受け持つ授業を勝手に取って勝手に座っているがゆえに他のカテゴライズが出来ないのでそう表現しているだけなのだが――であるウェイバー・ベルベットによる聖遺物の盗難。

 そして新たな聖遺物の用意を急いでいるうちに当たり前ながら召喚が出遅れ、ようやく用意が出来たと思えば、直後にその聖遺物から喚び出されることが想定される英雄に該当するクラスが既に埋まったという知らせ。

 全く持ってふざけている。これまでの人生全てにおいて人の一歩……いや、二歩先を行っていたケイネスにとってこれは人生初の後手を踏む経験と言えた。それ故の憤りに近い感情。もっとも、その程度我を失うほど脆弱な人物ではないのだが。

 

 

 

 

「セイバー、ランサー、アーチャーの三大騎士クラスが既に埋まったと時計塔の確かな筋から連絡が入った以上、今私が持っている聖遺物……ディルムッド・オディナの召喚は不可能、仮に出来たとして本来の能力は望めないだろう」

 

 使い慣れた全方位を魔道関連の書物に囲まれた――その中には自らの残した輝かしい経歴の一部も当然のように陳列されている――実質的に書斎とかしている自室のソファーに深々と腰掛け、天井を見上げながらケイネスは分かりきった事実を呟くように反芻した。

 

「じゃあどうしようというの? 今さら新しい触媒を用意しようだなんて言うのは――」

 

 人によってはどことなく冷たくも聞こえるであろう凛とした抑揚のない声が耳に入りケイネスは視線を前に戻した。もっとも、冷たく聞こえるというのはあくまで一般的には、ということであり、その点においては例外的な存在であるケイネスにとってその声はまるで甘い天使の囁きかのように聞こえているのだが。

 

 ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ……高級なワインを彷彿とさせる色鮮やかな赤毛にそれとは真反対の冷たい氷の如き雰囲気を身に纏わせる。高慢? 高貴? どれも間違ってはいない。とにかく人の羨望や嫉妬や畏怖、その全てを兼ね備えた結果として女帝のごとき存在感を当然のようにして放つのが彼女だ。無論、その容姿も雰囲気負けしないだけのものを兼ね備えている。一言で言うならば絶世の美女。

 

 そんな彼女がいつもと変わらず冷笑に近い見下したような瞳でケイネスの前に腕組みして立っていた。

 

 

 

「ああ、ソラウ。来てくれていたなら声をかけてくれれば良かったのに」

 

「かけたわよ。それなのに貴方と来たら上の空で気づきやしないんだもの……婚約者を無視するなんて良い度胸ね? ケイネス」

 

「違うんだソラウ。そんなつもりは決して……」

 

 プイッと顔を背けたソラウにあからさまに狼狽えるケイネス。

 この姿を、普段彼を知る者が見たならば、口を揃えてこう言うだろう……今の光景は忘れよう、私もあなたも何も見ていない、いいね? と。 

 要するに意外を通り越して何か空恐ろしいものすら感じる。それくらい日常からかけ離れた光景。

 しかしそれも仕方ないと言えば仕方のないことなのだ。ソラウはケイネスにとって一目惚れにして最愛の人物であり、彼女との婚約を決めた際には、それが例え政略結婚の類であり未だ彼女の気持ちが自らに向いていないと分かっていてもなお歓喜に打ち震えた程だったのだから。

 誇り高くプライドも高いケイネスがそれをかなぐり捨てるようなへりくだった態度を向けるのは世界中でソラウ一人なのだ。

 

 

 

 

 

 

「まあ、いいわ。それよりこれは一大事だと思うのだけど」

 

「ふむ、それは認めざるを得ないね」

 

 ケイネスは立ち上がると考え込むように顎に手を当て、ゆっくりと部屋の中を円を描くように歩き出す。

 

「所謂当たりクラス……無論、そんなものに頼らずとも私は勝利してみせるがね。まあその3つの召喚の可能性は潰えた。そして私が所有する聖遺物の対象英雄の該当クラスは全てそこに含まれる」

 

「そうね、こうなってしまった以上残りの可能性を精査しないと」

 

「残りのクラスはバーサーカー、ライダー、キャスター、アサシンの4つだ。例外もないとは言わんが基本的にはなるまい」

 

「ステータスを底上げする代わりに英霊から理性を奪い狂化させるバーサーカー、大火力宝具を誇る可能性が高い代わりにステータスそのものに難があることが多いライダー、高い魔力量を誇りスキルに優れる、けれども高い抗魔力を誇る英霊相手だとその長所がなんの役にたたない可能性もあるキャスター、山の翁、ハサンが確実に呼ばれるアサシン。気配遮断能力は破格の性能を持つけれど他は英霊として戦える土俵にはない……正直言ってどれも難ありと言うか……悪い意味で決めにくいわね」

 

「いーや、ソラウ。こうなってしまった以上私が喚ぶサーヴァントは決まっている」

 

 各英霊の基本則を例にあげてどうするべきか思案するソラウにいともあっさりとケイネスはそう断言した。

 そのあまりの早さに半ば訝しみながら落としていた顔を上げると、ケイネスはそんな簡単なことも何故分からない?と言わんばかりに両手を上げた。

 

 

 

 

 

「先ずその一、キャスターは論外だ。なぜ私という天才がマスターであるにも関わらず同じ長所を持つサーヴァントを呼び出さなねばならんのかね? それこそ時間の無駄というものだろう?」

 

 不遜な態度を隠そうとせず、それでいて絶対の確信と自信を持ってケイネスは断言した。

 はっきり言って見る者を不愉快にさせるほどのその自信、しかしソラウもその判断が間違っているとは思わなかった。男としては別段評価していなかったものの、ケイネスの魔術師としての才覚については、全ての物事に対して基準点の高いソラウの評価基準を上回るものとして認めていたからだ。

 魔術戦での戦いとなれば彼が負ける姿を思い浮かべることなどできない。だからこそ、否定もせずに頷いた。

 

「それはそうね。確かに魔術戦ならばあなた一人で十分。負けるわけがないもの……けどそれとして他はどうなの?」

 

「その二、アサシンも論外だ。この私が暗殺に頼るだと……有り得ない。そんな勝ち方では私の経歴に箔をつけるどころか卑怯者の汚名を被ることになるではないか!」

 

「――」

 

 僅かばかりの怒気をこめて言い切ったケイネスに見えないようにソラウは嘆息せざるを得なかった。

 この考え方はあまりにも非合理にもほどがある、と。

 元よりケイネスがこの戦いに参戦することを決めたのは別に聖杯にかける願いがあるからではない。ただ今まできらびやかに彩って来た自らの経歴に唯一足りないもの、武による功績をつけて魔術師としての地位を安定させたい、更に出世したいがためだ。

 自らの家柄が高貴であるが故にはっきり言ってしまうとそんなものに興味がないソラウからすれば、戦いにいくのならそんな細かいことに拘らず勝ちに行けば良いではないかと思うところもあるのだが、言った所で目の前の男には無駄だということは短い付き合いの中でも何となく分かっていた。

 

 

 

 

 

 

「分かったわ……じゃあ残りの2択はどうするつもりなの? ライダーとバーサーカー、この2つのクラスはメリット、デメリット、どちらも等分に備えていると思うのだけど」

 

 そんな労力の無駄よりもこちらの方が余程重要だ。

 純粋な疑問とともにソラウは首を傾げてケイネスと目を合わせる。言ってしまうと今までの2つはまあケイネスの性格を考えれば彼女にとっても予想外なものではなかった。しかしこの二択をあっさりと断定できた理由は分からない。

 

 

 

 

 

「うむ……タネを明かしてしまえばアサシンを避けると言った時点でもう結果は決まっていたのだよ。ソラウ、良く考えてみてくれ。今まで前提としてあった分見落としているかもしれないが、聖遺物無しで召喚を行う以上自らの意思で狙えるのは2つだけなのだよ」

 

「2つだけ……? あ――」

 

 言われてみれば簡単なことである。ソラウは思わず口を抑えた。クラスを狙う、と言うのはどの英霊を喚ぶか決まっているからこそ出来ることであり、それが決まっていない現状ではそもそもケイネスは選ぶ立場にはないのだと――そう、2つのクラスを除いては。

 

 

 

「確かにバーサーカーは御し難いのであろう。しかし、私の能力と君の協力があれば出来ないことなどあるわけがない――私はバーサーカーのクラスのサーヴァントを召喚し、冬木へと赴く。異論はないね? ソラウ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 御三家の一角、ドイツの旧家アインツベルンが必勝を期して用意した駒はかつて魔術師殺しと呼ばれ恐れられた衛宮切嗣だった。

 彼はアインツベルン当主、ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンの発掘した聖剣の鞘、アヴァロンを触媒に首尾よく最優のサーヴァントと名高きセイバークラスのサーヴァントとしてアーサー王の召喚に成功する。

 そのアーサー王が伝承通りの騎士王の姿とは程遠い見目麗しき少女だったことで少しばかり困惑の色を隠すことはできなかったとはいえ方針も、やるべきことも変わらない。

 そうして切嗣は妻であるアイリスフィール・フォン・アインツベルンの護衛をセイバーに任せ、彼らとは別ルートに冬木の地へと降り立ったのだった――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「見てみてセイバー! ほら、このお洋服とっても綺麗! 切嗣にもらったこの、ぶらっくかーど? があれば何でも買えるみたいだし買ってしまいましょうよ――あ、このスカートなんてセイバーにとってもにあいそう!!」

 

「ア、アイリスフィール、お店の中を走るのやめたほうが……後できるならその黒いものはしまってください! 周りからとてつもない視線を集めています!!」

 

 正に今が人生の華、幸せ全開と言わんばかりにはしゃぐ白銀の淑女を諌めるのには流石のセイバーと言えども骨が折れた。

 最初は初めて見る外の世界にテンションを際限なくあげるアイリスフィールを微笑ましく思いながらエスコートしていたのだが、今となっては微笑ましさ1に対して10の真剣な危惧といった具合だ。

 なにせどう考えても自分達の目立ちようが尋常でないことは、アイリスフィールと同じく現代日本の事情に疎いセイバーの目から見ても明らかと言わざるを得なかったからだ。

 

 因みにセイバーの直感はその原因を、アイリスフィールがとんでもない量の買い物をする際にこの国の通貨の代わりに店員に差し出していた黒いカードにあると踏んでいたのだが、それは正解であるものの全てではない。

 街ゆく男の誰もが振り向く端正な顔立ちと、見る者を服越しにも悩殺するようなスーパーモデル顔負けのスタイル、そして女性が思わず自らの髪をさするほど美を極めた銀のロングヘアーと世の女性の理想を極めたかのようなアイリスフィールと、少年と少女の中間の絶妙なラインを撃ち抜くキリッとした美貌に騎士特有の凛とした雰囲気、更にそれを際立たせるスーツ姿にブロンドヘアーを後ろで縛るセイバーの組み合わせは、日本の片田舎である冬木の町並みには眩しすぎた。

 いや、例えハリウッドですらその輝きを完全に消しきれるかと言えば答えは否だろう。

 そんな2人が仲睦まじく町中を闊歩していれば今の状態はむしろおとなしめとも言えた。

 

 

「えー? けど切嗣は幾らでも好きなようにしていいって」

 

「それにしてもこれは些かやり過ぎではないでしょうか……」

 

 アイリスフィールが振り向いた勢いで横から顔面めがけて飛んでくる包み袋を手で制するとセイバーはようやく止まってくれた事に安堵の溜息をついた。

 彼女の買い物の総量はその両手一杯に掲げられた紙袋を持ってしてもなお半分にも満たない。アイリスフィールを感動させた日本の買い物第一弾は彼女が持てる量、そして後ろで控えているセイバーの許容量を遥かに飛び越え、既に一旦の置き場としてマスターの切嗣が用意したホテルへと送られているのだ。

 それでもなお衰えを見せない貴婦人の好奇心には内心セイバーも舌を巻いていた。

 

 

 

「あ……ごめんなさいセイバー。私、外の世界なんて初めてだから舞い上がっちゃって……」

 

「いえ、それは構わないのです!」

 

 そんなセイバーの様子に何か勘付いたのかアイリスフィールが目に見えて肩を落とす。

 無論セイバーとてそのようなことを望んでいたわけではない。なので直ぐに彼女の前で手を振りこちらこそと謝意を現したのだが――

 

「あら、やっぱりセイバーは優しいのね! よーし! それじゃあ私ももっと楽しんじゃうんだから!!」

 

「な……まだ上があるというのですか!? お待ちください! アイリスフィール!!」

 

 その笑顔はいたずら好きの天使のごとく。

 セイバーの仕草を見た途端アイリスフィールは顔も肩も一気に上げた。それも満面の笑みを浮かべて。

 ペロッと舌を出してウインクする姿を直視したのがセイバーでなければ、間違いなく即死だったと断言できる。

 そのまま、いくわよー! 何て気勢を上げ街のど真ん中をズンズンと進軍するアイリスフィール、セイバーはそんな彼女の後ろを、苦笑いしつつも追いかけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……」

 

「……申し訳ありません。アイリスフィール。貴女のエスコートもどうやらここまでのようだ」

 

 なぜ、楽しい時間は直ぐに終わってしまうのか。アイリスフィールがそんな寂しさの篭った吐息を溢したのは日も落ちて数時間経った頃だった。

 パシャン、と水音を立てて海から出るアイリスフィール。そんな彼女の元に靴を差し出しながらセイバーは謝罪の言葉を述べた。

 

「いいえセイバー、こんなに楽しい1日がおくれたのは貴女のおかげよ? それだけでも私は感謝の気持ちで一杯、私は今日の事、死ぬまで忘れないわ」

 

 本当に満面の笑みでアイリスフィールはそうセイバーを労う。

 

「けど、これはあくまでも仮初の夢。これからは夜の時間、私達の本来いるべき場所」

 

 しかしその笑顔はほんの一瞬。靴を履きセイバーの横を通り過ぎる頃には彼女の顔は魔術師のそれへと変貌していた。

 

「セイバー、これはサーヴァントのお誘いと考えても良いのかしらね?」

 

「ええ、それも随分と情熱的な殿方のようだ」

 

 潮風に揺れる髪を後ろ手で抑えながらのアイリスフィールの問いをセイバーはどこか愉しげに肯定する。

 今仕えるべき人の髪を揺らす風は何もそのイタズラの為のみに飛んできたのではない。言うなれば挑戦状。強者を求める誘いはセイバー闘争心を静かに滾らせるのに十分なものであった。

 

 

 

 

 

 

 

「では、貴婦人の嗜みとしては応えないわけにはいかないわね?」

 

「はい、騎士としても挑戦は受けて立たなければ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 港には倉庫街が付き物である。海からやってくる物量は狭い陸地が受け止めるにあまりに大きすぎるからだ。冬木もその例に漏れずきっちりと立派なそれを広大なスペースと共に備えており、夜ともなれば人影があるわけもない。あるとすれば、流行りの幽霊との遭遇を望む馬鹿な若者くらいなものである。しかし今日その影が見えなかったのは彼らにとっても幸運だった。何せ今ここには、幽霊なんかよりも余程恐ろしい存在があるのだから……

 

 

 

 

 

「いいねえ! 俺の誘いに乗ってくる猛者がいて、それもこんな段違いの美人2人組ときた! これだけでも現界した価値があるってもんだ!」 

 

「あら、粗野な見た目で女を見る目はあるのね? ランサー」

 

 その最深部、周りを倉庫に囲まれた一際大きな空き地にそいつはいた。

 

 セイバーとアイリスフィールが見たのは蒼き男。その手ににぎられた赤槍はこれでもかとばかりにその存在を主張する。

 

 

 

「肝まで座ってるときたか……いや、ほんとに惜しいなあ……俺もマスターはあんたみたいな女が良かったんだが」

 

「なら今からでも私の軍門に下る? それくらいの度量は備えているつもりよ」

 

「ハハっ! そいつは魅力的な案だが……お断りだ。あいにくもう仕えるべき主がいるんでな。鞍替えするのは誇りに反する」

 

 豪快に笑うランサーと挑戦的に微笑むアイリスフィール。

 数十mの距離を隔てた舌戦はまるで旧知の仲かのように軽やかに続いていたが、ランサーの宣言と共に一気に場の空気が張り詰める。

 それを見届けたセイバーはアイリスフィールの1歩前に出てランサーと対峙した。

 

 

 

「相手を間違えるなよ、ランサー?」

 

「ほう……」

 

 ランサーが感嘆する。

 

 セイバーの身体が風に包まれる。かと思えば猛烈に荒ぶ魔力。その中心にいるセイバーは今まで着ていたスーツを消し飛ばし、彼女本来の姿へと移行する。

 傷つくはずの無い青銀の鎧、不可視の剣、自然に発せられる膨大な魔力。

 有無を言わせぬ存在感を持ってセイバーは戦闘態勢に入る。

 

 

 

 

「見えない武器、と言うのも珍妙だが……その闘気からしてセイバーってところか。本当に今日はついてる」

 

「その余裕、いつまで保っていられるかな?」

 

 セイバーがアイリスフィールに下がるように促し彼女がそれに同意するとお互いに構える。

 どちらが動く? ヒリヒリと焦がすような沈黙が続き――

 

「ああ、ちょっと待て」

 

「は――?」

 

 ランサーの一方的な弛緩によって断ち切られた。

 

「何を――」

 

「焦んなって――おい、出て来いよ。隠れるならもっとしっかり隠れろや。中途半端なことしやがって」

 

「やれやれ、君の勘は獣のそれか?」

 

「ぬかせ、声かけるの待ってやがった癖してよ」

 

「すまんな、まあこちらも色々とあるということだ」

 

「お前は――」

 

 不機嫌そうな顔で明後日の方向に声をかけるランサー、その声に応えるようにセイバーから見て死角の位置から男の声が聞こえたかと思うとその姿を現す。

 赤い外套に褐色の肌。間違いなくサーヴァントと断定出来るだけの空気を纏った男が何食わぬ顔で2人の前に立つ。

 

 

 

 

 

 

「バーサーカー……って感じじゃねえな……何者だ?」

 

「答える必要はなかろう? そんな事せずともぶつかれば自ずと分かる」

 

「剣だと……?」

 

 男の両手にいつの間にか双剣がにぎられる。

 それを見てランサー、セイバー共にピクッと眉をひそめた。セイバーのサーヴァントが誰かは確実である。なら当たり前のように剣を取り出したこいつは一体何なのだという疑念。

 しかし謎の男はどこ吹く風でそのまま構えて2人を睨みつける。

 

「まあ……それもそうだな、野暮なこと聞いてすまなかったな」

 

 あっさりと引いたかと思えば獰猛な笑みで再び構えを取るランサーに今一度セイバーも剣を構えた。確かにこの男の言うとおりだ。結局のところ英雄の真価は実力でしか計れないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、殺しあおうやぁぁあ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ランサーの言葉を合図に3つの弾丸が同時に弾ける。

 聖杯戦争最初の戦いはこうして幕を開けた。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんかSN組ばっかになってますけど一応zero書いてるつもりです(注意書き)

あとやはり英雄王首のインパクトは大きかったか……

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