東方深淵録   作:ーソエルー

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ども、第一話ですたい!


#01 目覚め

どれ程眠っただろうか?

 

「あら? こんな所に棺桶なんて……ふふっ。まさか本当にあるなんて」

 

 

「………………」

 

突然聞こえて来た声で目が覚めた。

声の高さから言って女性だろうか?

 

「棺桶なんて珍しいわね。死体でも入っているのかしら?」

 

少し小馬鹿にした様に女性は笑った。……いや、声の高い男性かも知れない。それはないか。

 

「死体が入ってるのならいじらない方がいいかしら? 罰が当たってしまうし……」

 

独り言多いなこの人...。隣に誰かいるのだろうか?

そう思ったが私は吸血鬼だ。人とは違う。棺桶の外に誰がいるのかぐらいは分かる。

数は一人で……妖怪だろうか?

 

「棺桶を開けて中の人を拝むっていうのもいいわね」

 

……………………………………………………?

おいおいおいおいおいおいおいおい。名に考えてんだこいつ。

本当に罰が当たるぞ。妖怪ってのはろくな奴がいないのか?

 

「…………」

 

しばらくの間沈黙が流れる。

このままここにいるわけにもいかないので、ここから出ることにした。

そこにいる妖怪の顔を拝んだあとに殺すのも悪くない。妖怪だし殺しても文句は言われないだろう。

私はゆっくりと棺桶の蓋を開けた。

 

「………………ッッッ!」

 

木の葉から漏れる微かな日の光に目が眩み、頭痛が襲う。

一瞬、体が焼けるかの様な熱さに襲われる。

嗚呼。私はうっかりにも自分の弱点を忘れていた様だ。吸血鬼は太陽がダメなのだ。

けどこの光の量なら問題ないだろう。

 

「あら?」

 

早速目の前の女性と目が合う。

女性はやはり一人で……妖怪だった。

服装は全体的に紫色をしていて手に傘を持っている。日除けだろうか?

髪は金髪で腰のあたりまである。 頭には全体的に柔らかく裾がフリル状になっている赤いリボンが付いている。ナイトキャップだろう。

目は不吉で気味が悪いイメージがある。

 

「中に吸血鬼が入っていたなんて。珍しいわね?」

 

 

「珍しいの?」

 

 

「ええ。吸血鬼は西洋の国にいると聞いていたのだけれど……こんな所に何の用かしら?」

 

西洋の国? こんな所?

ここは何処なんだ? 私がいつもいた様な場所じゃないし……木が多いな。

 

「何を困惑してるのかしら?」

 

 

「ここは……ここは何処なの?」

 

分からないことを考えても仕方ない。ひとまずそこにいる妖怪にでも聞くとするか。

その後に殺そう。小腹も空いたしついでに食おう。

 

「ここは何処って……少なくとも貴方が住んでる場所ではないかしら?」

 

やっぱりここは私の住んでいる館のある場所じゃない。

「はぁ~…………」

 

フランに会いたい。

 

「どうしたの? ため息なんかついて……」

 

妖怪がため息を吐いた私を見て、顔に手を当て心配する。

妖怪のくせに、しかも初対面なのに前から友達だったみたいな態度だな。

 

「………………」

 

 

「私の事が気になるの? ……私は紫って言うの。八雲紫」

 

私が妖怪を睨んでいると自己紹介を始めた。別に聞いてないし。気になってないし。

まあ、名乗られたからには何も答えないって言うのも無礼か。

私は入っていた棺桶から出た。

 

「私はアシュリー・スカーレット。あなたの言うとおり吸血鬼だ」

 

スカートの裾を両手で持ち、足を揃えて軽くお辞儀する。

どんな奴が相手でも礼儀だけはしっかりしろとしつけられていたので、相手が妖怪であろうと礼儀正しく名乗った。

 

「……アシュリー。ここら辺の名前じゃないわね?」

 

紫の言葉を聞く限り私は住んでいた場所とはまったく違う場所に来てしまったようだ。

そりゃ迷子にもなるわ。

 

「それに棺桶がボロボロよ? 一体どれくらい眠っていたの?」

 

 

「ん?」

 

私は紫の言葉に疑問を抱き、自分が眠っていた棺桶に目を向ける。

 

「え……?」

 

そこにはボロボロになり所々サビのついた棺桶があった。

私は数時間。長くても2日ほど眠ったつもりなのだが、少なくとも数時間や2日でここまでもボロボロにはならないぞ?

大体80~100年程だろうか?

 

「……嘘?」

 

 

「私は森に棺桶があって不気味だ。とか言う噂を聞いて興味本位で来て見たのだけれど……」

 

 

「その噂を聞いたのっていつ?」

 

 

「確か……130年程前だったかしら?」

 

 

「…………」

 

私はゴクリとツバを飲んだ。

130年?

どうやら自分で思っていたよりも長く眠っていたようだ。

 

「信じられない見たいな顔をしてるわね?」

 

紫はふふっ。と微笑みそんな事を言う。

木の葉から漏れる光も何時の間にか日光から月光に変わっていた。

私はフラフラと歩き出し森を出ることにした。

 

「? ……何処に行くの?」

 

紫の言葉には答えずただ真っ直ぐ森の出口を目指した。

紫はしばらく不思議そうに思った後、私の後をついて来た。

別に邪魔にはならないし良いか。と思い無視する。

 

しばらく歩くと森の出口が見えてきた。

 

「………………」

 

私は森を出ると無言で空を見上げた。

空は盛大に星で覆われていた。星は月と一緒にここを照らしているかのようだった。

とても綺麗だ。私のすんでいた所はこれ程綺麗ではなかった。

見る場所が違うとこうも見え方が違ってくるものなのだろうか?

「……ッ!!!」

 

私は星空目掛けて大きく飛び立った。そして高い所まで飛ぶと停止し、辺りを見渡す。

 

辺りは西洋風の建物とは違い、藁と木の様な物で構築された建物が見えた。

家だろうか?

その周りには人とと見える物が火を囲い何かを話していた。

 

私の住んでいた所とは違い殆どが山と森だ。人里は小さく遠い所に点々とあるだけだ。

 

「ねぇ! 何してるのっ?」

 

下から紫と思われる声が聞こえて来た。

そんなに大きな声を出さなくても聞こえるよ。そう思い下に降りた。

 

「ここは私の住んでいる所とは違う」

 

一度区切り、続ける。

 

「だからっ…………」

 

 

「ねぇ?」

 

私の言葉を区切る様に紫が口を挟んだ。

何だよ急に……。

少し機嫌を損ねた私に紫が続けた。

 

「夜は危ないわよね? 吸血鬼が活動する時間だし。それに……」

 

 

「それに……?」

 

私が聞き返すと紫は顔を顰め森のある方向を向いた。

 

「 危ない妖怪や化け物が活動する時間でもあるわ」

 

私は紫の向いている方向に目を向けるとそこには森の影に潜むかのように真っ黒な翼と、角の生えた妖怪がいた。

 




チゲ鍋って美味しいですよね。私は嫌いです。
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