真・恋姫†無双~怒気ッッ グラップラーのいる三国志ッッッ~ 作:クーロン
大体、4~5回くらいやるかもしれません。今回は第一弾の鎬紅葉&ビスケット・オリバです
洛陽にて
鎬紅葉の診療日誌
今回の戦では、範馬勇次郎の大暴れで多数のケガ人がでた。
そうであるこそ、私のような医者は余計に忙しくなる。
そして今日、もう一つ仕事が増えた。
洛陽で各諸侯が復興作業をしている間、怪我人の様子を見ることが出来ないので、ケガの治り具合をを後で纏めて教えてほしい、とのことだ。
これはもっともな要求だ。
そして、なるべく多くの情報を伝え、そして深いことを伝えられるように、怪我人達の状態や生活をこの診療日誌に残す。
〇月×日
「どこか、痛みを感じる時は?」
「呼吸する度に胸が痛みます」
「怪我した時と比べて、楽になりましたか?」
「はい」
「……なるほど。退院は三週間後を予定していましたが、それよりは早くなりそうですね。ですが、治りかけですので、運動をしてはいけません」
「分かりました」
関羽さんの容体は、非常に安定している。
私の言いつけも今のところはしっかりと守っており、心配事の少ない患者だ。
このような人が多いとありがたいのだが……。
「一つ聞きたいのだが……」
「何でしょう」
「鈴々……張飛は、しっかりと鎬先生の言うことを聞いていますか?」
この時、私はきっと苦笑いをしていただろう。
「いえ……全然聞いてくれませんね。退屈だ、と言ってよく部屋を抜け出します」
「やっぱりか……」
関羽さんはそう言って、溜息を吐いた。
やはり、義姉妹というだけあって性格も分かっているらしい。
「すまんが、部屋を相部屋に出来るか?」
「ええ。貴女がよければ可能です」
「なら、鈴々と相部屋にしてくれ」
「分かりました」
私はそう言い、部屋を出た。
次は……すぐ隣の張飛さんの所だ。
「兄貴ッッ!」
「どうした、昂昇」
部屋を出ると同時に、昂昇の声が聞こえた。
昂昇は今、外から戻ってきたのか、軽く汗をかいていた。
死刑囚と闘い、顔面を吹き飛ばされたと聞いた時には不安に思ったものだが、今の昂昇は健康そのものだ。
そして、強くなろうとしている。
その弟を私の仕事に付きあわせるのは心が痛むが、人手が足りない以上、仕方ない。
「張飛が逃げ出した」
「またか……劉備さんに連絡は」
「もうしたぜ」
「そうか……なら、また後で診るとしよう」
説教なら、誰かがやるだろうと思い、私は張飛さんの部屋を飛ばして、その隣の部屋に行った。
趙雲さんの部屋だ。
ノックをし、ドアを開ける。
そして……
「ハァ……」
「む?」
溜息を吐いた。
この人も中々の問題だ。
部屋に入った瞬間、臭いで分かった。
部屋にあるのは、酒が入った徳利。
そして、メンマが入った壺……。
「昂昇。酒とメンマを没収してくれ……」
「……分かった」
「待て! せっかく、頑張って見つけたメンマと酒を……!」
「没収します」
「鎬! メンマと酒は百薬の長と言うではないか!」
「メンマは言いません」
趙雲さんが抗議する間にも、昂昇がテキパキと酒とメンマを回収していく。
本当によくできた弟だ。
「昂昇、それは全て劉備さんに渡しておいてくれ」
「分かってる」
「くっ……! せっかく集めた物を……っ! キサマには血も涙もないのか!」
「ありますよ。まず、怪我人に酒はお奨めできません。そしてこのメンマ……塩分過多です。将軍の健康のため、没収します」
そう言い、私と昂昇は部屋を出た。
『返せ!』とドアの向こうから聞こえたが、それは無視だ。
そして、あの状態を見る限り、心身共に健康だろう。
〇月△日
今日、容体を診るために怪我人の部屋に向かっていると、廊下で愚地先生と出会った。
右目には新しく買った眼帯がまかれている。
「愚地先生、どなたかのお見舞いですか?」
「おうよ」
愚地先生はそう言い、私が行こうとしていた部屋に入った。
許褚と典韋の部屋だ。
「あ、独歩!」
「独歩さん! 今日は早いですね」
「昨日は来れなかったからなァ。その分だ」
愚地先生は、特に差し入れを持って来たわけではない。
ただ、二人と談笑していた。
「そういやぁよ、紅葉」
「なんでしょう」
「コイツ等の退院って何時になるんだ?」
「脳震盪だけだった許褚さんの退院は少し早めです。脳にも異常は今のところは見られません。観察期間が明後日までですので、それ以降は、いつ退院して頂いても構いません。
典韋さんは手の骨折がありますから、それが完治してからです。明後日以降ならですが、出歩く分には構いません。ですが、復興作業は厳禁です」
私は持っていたカルテを見て答えた。
そして、さっきの会話を見る限り、脳の異常も感じられない。
念のため、ということで入院させてはいるが、もう退院しても問題はない。
「良かったじゃねえか。オイラよりは軽いぜェ」
愚地先生は二人を見て言った。
「愚地先生の場合、私がいなければ死んでいましたから。彼女たちの場合、私でなくとも命は助かったでしょう」
「含みのある言い方じゃねえか」
愚地先生は笑みを見せて言った。
「はい。今後の生き方は、大きく変わったでしょうから」
「ッたく……またオメェに世話になったなァ」
「いえ、私は医者ですから」
私はそう言い、お辞儀して部屋に出た。
そして隣の部屋に向かった。
ドアをノックし、開ける。
「む……? 鎬か」
「はい。回診の時間ですので」
入ったのは夏侯淵さんの部屋だ。
夏侯淵さんはベッドの上で本を読んでいた。
そして、その本を閉じた。
「食事はとれましたか?」
「ああ」
「日常生活を送るうえで、支障をきたすような苦痛は?」
「ないな」
「では……」
何度か質問をしたが、夏侯淵さんは全てに的確に答えた。
身体も、大きなケガはなく健康そのもの。
この人の退院も、早い内だと思って間違いない。
「分かりました。この調子のままでしたら、明後日以降はいつ退院していただいても構いません。ですが、何か異常があったら、すぐに知らせてください」
「分かった」
それだけ言い、向かいの部屋に行こうとドアを開けた時だった。
「スマン、鎬。私も一つ質問をしたい」
夏侯淵さんが言った。
「なんでしょうか」
「姉者の容体を聞きたい」
「分かりました」
私は短く答え、夏候惇の容体が書かれたカルテを取り出した。
日本語で書かれているカルテなので、読めるワケはないだろう。
一文字一文字、しっかりと朗読した。
「……以上です」
「重傷だな……」
「ですが、適切な処置を行いました。時間はかかりますが、完治するでしょう」
夏侯淵さんは暗い声で言った。
その不安を消すように私は言った。
「そういえば……独歩殿が勇次郎と戦った時はどうだったか、知っているか」
思い出したかのように、夏侯淵さんが言った。
「応急処置は私がしましたから、大体は」
「なら、教えてくれないか」
「分かりました」
愚地先生のケガとなると……。
「胸骨がボロボロでした。右目も取られ、心肺停止……といったところです」
当然、これが全てではないハズ。
だが、はっきりと言えるのもこれだけしかない。
「……姉者より重いな」
「ですが、愚地先生は無事に復帰しました。あなたの姉も復帰できると思います」
「……そうだな」
「では、退院のことについては曹操さんに自分から伝えておきます。夏侯淵さんはゆっくり休んでいてください」
私はそうとだけ言い、部屋を出た。
次はここの向かい……夏候惇さんの部屋だ。
そして、軽くドアをノックした。
「独歩か!?」
「紅葉です。診察の時間ですので、入ります」
大怪我だというのに、部屋の中から元気な声が聞こえてきた。
部屋に入ると、夏候惇さんは不満そうな顔をしていた。
「またお前か……。独歩は何をしているのだ。結局、昨日も来なかったぞ!」
「今、来てますよ」
「むぅ……」
「どうかしましたか?」
喜ぶような反応をするか、と思ったが想定外だ。
夏候惇さんは、何か考えるように唸った。
「いや……この眼帯をいつ返そうか、と思ってな」
「愚地先生は自分で新しいものを買ったみたいですよ。それと交換になるかもしれません」
「なら、貰ってもいいのか?」
「かもしれません」
話すぶんには、極めて普通だ。
呼吸するときにも、顔が歪まないから痛みはあまりないのだろう。
だが、聞いてみないことには分からない。
それを聞いたら、今日は終わりだ。
〇月□日
「右足の調子は?」
「痛みはありません。ですが、力を入れると痛みます」
「分かりました。数日間はあまり、力を入れずに過ごしてください。あと、食事はとれましたか?」
「はい」
「内臓……胃には、大きな傷はないようです。では、包帯を取り換えますので右足を動かさないでください」
楽進さんも身体に、特に異常はないようだ。
握撃の治療というのは、中々出来る事ではないからいい経験だった。
「あと、面会希望が届いています。今日の正午辺りで李典さんと于禁さんが来るそうです」
「分かりました」
「それでは、お大事に」
楽進さんと甘寧さんの部屋で診察を終え、自分の医務室に戻る。
今日は、自分一人ではどうにもならないのだ。
昂昇と渋川先生が来るまでは……。
二人が来たのは、部屋に戻ってから、大体三十分くらい経ってからだった。
「兄貴、渋川さんを連れてきた」
「……分かった」
「どうも二人が、ご迷惑をおかけしているようですな」
「いえ、渋川先生が謝る事ではありません」
渋川先生が頭を下げた。
だが渋川先生が頭を下げても、あの二人の意識が変わらないと、どうしようもない。
「……行きましょう」
私は、小さな声で言った。
そして、向かったのは黄蓋さんの部屋。
ノックはせずに、ドアの取っ手に手をかけた。
「……予め言っておきます。昂昇は酒の没収を。渋川先生は抵抗された場合に、取り押さえてください」
小さな声でそう言い、ドアを勢いよく開けた。
「黄蓋さん! 隠し持っている酒を渡して頂きますッッッ!」
「急になんじゃ!?」
「昂昇ッ ベッドの下だッッ 私は引き出しを見るッッ!」
「兄貴ッッ あったッッ 徳利だッッッ!」
「お主ら! 何をしとるっ!」
「祭さん」
「おお! 渋川老もおったか! あの二人を止めてくれんか!」
「いや、ワシも鎬さん側でな。暴れるようなら、取り押さえろと言われまして」
「何じゃと!?」
黄蓋さんはベッドの上で横になっていた。
出るな、という言いつけを守っていたのはいいが、酒を持ち込んでいるのは容認できない。
「鎬! これは薬じゃ! 言うじゃろ、酒は百薬の長と!」
「趙雲さんと同じ言い訳をしますね……。薬は過ぎれば毒になりますから、没収します。薬が必要でしたら、私に直接言ってください」
「ええい、この頑固者の藪医者めが!」
「なんとでも。昂昇ッッ! まだあるハズだ!」
「鎬ぃっ! 貴様は儂を衰弱死させるつもりじゃな!」
「……たかが酒ですよ」
これで、何件目だろうか。
この人は何度も酒を病室に持ち込んでいる。
その度に没収しているが……正直、いたちごっこだ。
何度言っても改めようとしない。
「何度も言ってますが、怪我人に酒は奨められません」
「ケガなどないじゃろう!」
「内臓がどうなっているか、分からないでしょう。内臓の傷があった場合、毒になります」
「飲んで、どうということがない以上、無事じゃろ」
「何かあってからでは遅いのです。いい加減、禁酒してください。一生というワケではありませんから」
そうは言っても、この人は聞かないだろう。
趙雲さんと違って、足は無事なためスグに抜け出して酒を持ってくる。
本当にどうしたものか……。
額に手を当て、考えていた時だった。
ドアが開く音がした。
「祭~。お酒を取りに……げ」
「孫策さん……最近、大人しくしているかと思ったら……」
「あー……お取込み中?」
入ってきたのは、孫策さんだ。
最初は酒を持ち込んでいたが、最近は態度を改めたと思っていたが……そういうことか。
「孫策さん、酒はダメと言ったハズですが」
「ゴメンね。わたし、お医者さん嫌いなのよ」
「それでも、しっかり守っていただきます」
「…………」
「……取り押さえろ、昂昇ッッ! 紐切りを使っても構わんッッッ!」
「分かったぜ、兄貴ィッッッ」
「チッ! 面倒なことになったわね……痛いっ! 痛い痛い! お爺ちゃん放してっ!」
「雪蓮嬢や……健康に気を遣った方がええよ」
孫策さんの指を、渋川先生が捕り背中に回った。
これは極められているだろう。
まったく……これで、少しは懲りるといいのだが。
軍師候補 ビスケット・オリバ
「冥琳、面白ェものでも探してんのかい?」
「私にとっては面白いぞ」
「へェ……」
オリバと冥琳は洛陽にある朝廷の書庫に入り、とある物を探していた。
書庫には、天井につくほどに高い本棚に、ぎっしりと本がつめられていた。
「で、何を探してんだ」
「……地図と台帳だ」
「ってコトは……コイツか」
「随分と速いな」
「さっき読んだものだからな」
オリバは冥琳に二冊の本を渡すと、グルリと周囲を見渡した。
その目は、どこか好奇に満ちた目だった。
「それにしても……ここには貴重な本が集まっているじゃねえか。孫子、呉子、六韜だけじゃねェ。拳法書まで完備してるぜ。北派から南派までしっかりとある」
「……読めるのか?」
冥琳は心底驚いたような顔で言った。
オリバは冥琳の顔を見て、ニィ……と笑って言った。
「バカ力だけが自慢と思っていたかい?」
「正直……な」
「言ってくれるじゃねえか」
そう言って、くつくつと笑った。
「……オリバ」
「なんだい。お目当てのモノは見つかったんじゃねえのか?」
「いや……文官の仕事、やってみるつもりはないかと思ってな」
「性に合わない仕事だ」
オリバは一笑に付し、書庫を出て行った。
冥琳は
待て!
と言って、その後を追った。
「ウチの実情は分かっているな」
「文官不足だろう?」
「ああ。だから、少しでも出来る人材は欲しい。オリバの場合、ここの文字は読める。読めれば大体の場合は書けるから、書きの方も心配ないだろう。そして、私達が知らない知識もある。……十分、やっていけるぞ」
そう言われると、オリバはアゴに手をあてて考え出した。
冥琳はもう一押しか、と思って畳み掛けることにした。
「何なら、交換条件でも構わんぞ」
「へェ……」
そう聞くと、オリバは子供のような笑みをみせた。
「そういやぁよ。こっちじゃあ、肉があんまり食えねえんだ。それを何とかしてくれたらいいぜ」
「……そんなことでいいのか? だが、あまり大量になると……」
「オイオイ。俺一人分だぜ? 別に大した量じゃねえ」
冥琳はその言葉を聞くと、ふむ、とだけ唸って考え出した。
恐らく、損得勘定をしているのだろう。
「どれくらい食うのだ?」
「三十キロ辺りが妥当ってとこか」
「ふむ……実際、その量とはどれくらいだ」
「さぁ? こっちの単位を知らねえからな」
オリバはそう言い、笑った。
今回、オリバの肉話が後半にありましたが、実際の量は最大でどれ程なのか計算してみました。
計算するシーンとしてケガ(軽傷)があるバキの91話を基準に計算します。
ダメージ ショットガンによるもの。両腕にいくつもの小さい穴が出来るくらい。
食ったステーキを一般的で大き目の300gとし、皿の枚数が大体90枚前後(自力で数えました。ただし、絵にある量なのでこれ以上も考えられる)
つまり、一回の食事で27㎏の牛肉をオリバは食べます。三食で81kg/日
牛一頭が大きくなり、乳を出すようになる頃が600~700kg。その内、食えない部分――骨が7%、頭と足が4%、血が6%、皮が6%と計23%を捨てます(タンやスネは無視)。
で、残りを全部オリバが食べるとしても、462~539kg
小数点第一位まで計算し、一頭で5.7~6.6日持つという結果に。
……孫呉、オリバの維持費で倒れるんじゃね?
尚、10万キロカロリー摂取については、動物園の像が一日あたり4万キロカロリー辺りで生活しています。
オリバ=像×2.5ッッッ!
……孫呉、ガチで倒れるんじゃあないだろうか