真・恋姫†無双~怒気ッッ グラップラーのいる三国志ッッッ~ 作:クーロン
で、復活早々こんなタイトル! ひでぇ!
一応、内臓が飛び出したり腕が切り落とされたりとかは無いので御安心を! 謀った喃、とかもなりません!
武士道は死狂ひなり。一人の殺害を数十人して仕かぬるもの。
武士道に於いて分別出来れば、はや後るるなり。
正気にては大業ならず。
――佐賀藩祖・鍋島直茂
田代陣基著 葉隠より抜粋
壱
「呼ぉぉぉぉ……」
「呼ぉぉぉぉ……」
季衣と流琉は同時に目を閉じ、息を吐いた。
空手の息吹であった。
波立っていた季衣の心が、友人と師父からの教えによって落ち着いていく。
「かあっ!」
「かあっ!」
二人が飛び出すのも同時であった。
季衣はジャックの右から、流琉は左から迫る。
飛ぶタイミングもが同じ。
だが、武器だけは違う。
季衣の武器である鉄球はジャックの頭へ、流琉の武器である中距離用の円盤はジャックの腰へ。
ドーピングで強めていても、片腕や片足で抑えられる一撃ではない。
ジャックは下がった。
タン、と地面を蹴り間合いを開けた。
二人の武器は大気を切り裂く音をあげ、ジャックが居たところを通った。
「流琉! このまま突っ込むよっ!」
「分かってる!」
力のベクトルが向いている方向へ、流れていく武器を繋ぐ鎖に手をかけ、季衣が言った。
流琉の手も同じように動いている。
再び、ジャックに向かって武器が迫る。
ジャックの背後には余裕が無くなっている。
後ろは断崖絶壁。
その下には渓流が流れている。
太古の昔から流れる、この川が削って出来たのだろう。
深い。
ジャックは下がらない。
右足の親指が、地面を抉った。
口は開いている。
ジャックは牙を向けたまま、季衣に肉薄する。
犬歯の間に涎の線が出来ている。
狙いは首筋。
喰らえば無論、死。
「ちぇあっ!」
その声と一緒に、ジャックの背に小さな影がかかる。
流琉の影だ。
両脚で跳ね、飛び掛かる。
フワリと武器が浮く。
その影を感じたのか、ジャックの顔に笑みが浮かんだ。
開かれていたジャックの口が閉じ、上体が捻られる。
それと同時に右腕が伸びていった。
拳ではない。
掴もうとする動きだ。
その証拠に、手は掌になっているではないか。
ジャックはそのまま、流琉の武器を掴み、投げた。
柔らかい動きであった。
――あの動き……!
季衣の脳裏に、とある光景がよみがえる。
黄巾党との戦いを前に行われた一試合。
渋川剛気と凪の一戦。
さっきの投げは、あの闘いでの、渋川剛気の投げによく似ている気がした。
武器をとられた流琉は中空で、クルリと回された。
そして、季衣に向かって、弾丸のように頭から飛ばされた。
季衣はそれを真っ向から受け止めた。
ズシンと投げの勢いの威力が、腕に乗る。
そうして、勢いが削られた流琉を、足の力で軽く押し上げた。
季衣は、膝に溜めを作っていたのだ。
ポンと再び宙に浮いた流琉は、猫のように宙で回転し、足から地面に着いた。
「流琉。大丈夫?」
「大丈夫よ。……で、さっきのは合気でいいと思う?」
流琉はジャックに目を向けたまま言った。
言うのと同時に、ゴウンと音が鳴る。
ジャックが蹴ったのだ。
二人はそれを左右に跳ねて避けた。
季衣は左へ。流琉が右へと跳ぶ。
「多分、合気! 凪ちゃんはそんな感じに言っていた!」
「普通に戦っても厳しいか……」
流琉は一言だけつぶやいた。
そして、武器を振った。
同時に季衣も振る。
だが、二人とも、どこか合気を警戒している。
思い切りのよさが無い。
ジャックはその隙を縫うように、足元の石を蹴り上げた。
蹴り上げられた小石は一個だけだ。
それが季衣の顔面に向かって行く。
狙いは漠然と、顔面である、ということだけだ。
目に当たってもよし、鼻に当たってもよし、口に当たってもよし。
どこでもいい。
――季衣に!?
流琉はそう思った。
石を当て、それに反応する隙を突く気だ。
流琉はそう判断した。
違った。
流琉が判断し、左足を踏み出した時、ジャックは流琉の方を向き、右足で地面を蹴っていた。
――撒き餌!
裏をかかれたが、それでも流琉の判断は素早かった。
心のどこかで、このことの可能性も考えていたのだろう。
ジャックの左拳が放たれる。
流琉は首をひねり、それを流した。
白く柔らかい頬に一筋の赤い線が出来る。
そして、流琉は引かれていく拳を、ただ黙って見ているだけではなかった。
武器を離した両腕が、蛇のようにジャックの左腕に巻きついていく。
それだけではない。足も絡みついていく。
腕ひしぎ――
合気の危険性を、低めるための戦略であった。
合気は相手の力を利用する技術である。
それを使うには、もっとも座したまま行う達人もいるが、普通なら全身の動きが必要である。
足の力も、腕の力もいる。
ならば、その腕を折ってしまえばいい。
流琉はそう考えていた。
四肢を絡め、背中に力を入れた。
身体がエビ反りに反っていく。
ジャックの肘が鳴り、筋からプチプチと裂けていく音がした。
――折る!
流琉は言葉を口にせず、極めた。
反りが止まる。
これ以上曲げたら折れる、という境い目に来たのではない。
まだ、数ミリの余裕がある。
腕力で止められているのだ。
流琉とジャックの間には、天と地ほどの体重差がある。
それが災いした。
視界にあった空が、地面に向かって溶け出していく。
ジャックが流琉を力ずくで振り回したのだ。
それでも、流琉の手足はジャックの左腕に巻きついている。
ジャックは振り解こうと振り回したのではない。
振り回した先には、季衣の鉄球が迫っていた。
――まずい!
――まずい!
流琉は素早くジャックの腕から離れた。
頭から地面に落ちていくのを、受身をとって脳を守った。
そして、身体に残っている勢いのまま、後転でジャックとの間合いを開けた。
それに対して、季衣は武器を渾身の力で引いた。
空中に浮き、ジャックに迫っていた鉄球は、ひゅん、と逆の方向へ吹き飛んだ。
ジャックはそれを見越していたのか、それとも、身体に、細胞に刻み込んだプランがそうだったのか、間髪入れずに季衣の方を向き、迫った。
同時に足が叩きこまれてくる。
右か左かを確認する余裕はない。
身体を守るのに使える武器は己の後ろ。
ジャックの蹴りから身を守るのに使えるのは、やはり、自分の身しかない。
季衣は腕を交差させ、蹴りを受けた。
衝撃が体内を駆け抜けた。
そして力のまま飛ばされる。
しかし、季衣は宙でクルリと回り、木の幹に足から着いた。
当然いつまでも、その体勢ではいられない。
季衣は思い切り木の幹を蹴った。
それと同時に流琉も動いた。
流琉はジャックの右ひざを蹴った。
一瞬、巨体がよろける。
そして、流琉はジャックから離れた。
「てやぁっ!」
季衣は声をあげ、ジャックに跳び蹴りを喰らわせた。
左足の爪先が水月に深々と刺さる。
だが、ジャックは腹に力を入れて、蹴りを弾き返した。
弾き返された季衣は、右足から地面に着き、二歩後ろに下がった。
流琉はそこにいて、季衣のすぐ隣に立っている。
「軽イゼ」
ジャックが涼しげに言った。
膝にはタメを作ってあり、両腕は上げられてファイティングポーズをとっている。
ダメージは見受けられない。
「本気デ殺ルッテンナラヨォ……玩具ジャナク、刃物デモ使ウンダナ」
ジャックはそう言い、首を鳴らしながら二人に、一歩近づいた。
弐
武士道は死狂ひなり。一人の殺害を数十人して仕かぬるもの――
武士道とは死に狂いである。
そのような状態の人間一人を仕留めるのに、数十人をして出来かねる場合がある。
武士道に於いて分別出来れば、はや後るるなり――
相手との力量差を知ることは重要なことだ。
だが、そのような思慮が出来る時点で、武士道としては遅れをとっている。
武士道において、相手の力量が上回っていようと、相手が多勢であろうとも向かわねばならない。
正気にては大業ならず――
死狂いとなって闘いを挑む者こそが、勝ち負けが明らかな闘いを、互角にまで持ち上げることが出来るのだ。
そして役に立つことが出来る。
参
まずは勝つことだ。
季衣と流琉はそう思っている。
だから、二人がかりで武器を使って闘うのだ。
卑怯、などという言葉は存在しない。
あるとしたら、それは敗けの言い訳にしか使えない。
この場にいる三人には、それはない。
「流琉……」
「なに」
季衣は足を肩幅より広く開け、膝に両手をつけながら言った。
「体格差が大きいと……不利だね」
「……急にどうしたのよ」
「仕留め方……思いついたよ」
季衣はそう言い、ユラリと頭を上げた。
「ボクがじゃっくの腕か足の関節を捕まえるから……それを、そのまま……まとめて叩き潰して」
「本気……?」
流琉が聞くと、季衣は無言で頷いた。
「分かった。出来れば足にして。季衣が足を止めたら、私が頭を叩き潰すから」
流琉はそう言い、季衣の後ろに下がった。
そこには季衣の鉄球が、無造作に転がっていた。
流琉は季衣の鉄球の持ち手を握った。
そして、流琉は季衣の背を見た。
「スゥ~フゥ~」
季衣は呼吸を一度だけしてからジャックを睨み、地面を蹴った。
身体は前かがみになっている。
両の手は開手で、顔より前に出ている。
組みつきの構えであった。
少しでもジャックから見える身体を小さくし、攻撃を避けようとする考えが見て取れた。
躊躇わなかった。
ジャックは戸惑うことなく、地面を削るような勢いで右のアッパーを放った。
当たった。
だが、季衣は両腕で防いでいた。
左腕でジャックの右拳を払い、さらに前へ出る。
出ると同時に、季衣は右肘を突き出した。
突き出した肘がジャックの腹に刺さる。
「ガァッ」
ジャックの口から反吐が出た。
ひるみはしない。
ジャックの膝が季衣の顔面に向けて飛ぶ。
季衣は飛んでくる瞬間に、笑みを浮かべた。
砲丸のように、ブウンと音をあげて届く蹴りを、季衣は掻い潜るように避けた。
小さな身体を殊更に屈め、ジャックの股をくぐった。
そして、後ろからジャックの右足に絡みついた。
季衣は力を入れて、ジャックの膝を破壊しようとしたが、しっかりと曲げたままで折れそうにない。
「流琉ぅ!」
「季衣! やるよ!」
季衣は喉が裂けそうな、悲痛な声で叫んだ。
そして、さらに力を込めて、ジャックの動きを邪魔した。
――逃がさない!
季衣はそのことだけを思い、力を込め続けた。
ジャックの左足が地面を蹴る。
だが、季衣は両足を地面に着き、その逆の力でジャックの動きを邪魔した。
「チィッ」
ジャックが舌打ちした。
そして、足を大きく広げた。
――受け止める!?
何となく、という感覚だった。
だがそれは、どこか確信じみていた。
季衣はその感性に従い、全力で力を込めていた腕を離した。
そして、仰向けに倒れながら、蹴りを放った。
季衣の足はジャックの股下から上へと跳ね上がっていく。
仰向けに倒れる勢いも乗せたまま、足の甲が股間を叩いた。
これで倒せるとは思っていない。
だが、力が抜けて、流琉の一撃がもろに入ることは期待していた。
同時に、流琉が鉄球をジャックの頭に叩きつけた。
骨と鉄の塊が、ぶつかる音がした。
肆
「季衣! もう一発いくよっ!」
流琉は声を張りながら言った。
ジャックを仕留められた、とは思わなかった。
いや、頭を潰した感覚があっても、そう思わなかっただろう。
死んでいても生きている。
殺されても死なない。
そんな、ゾンビを相手にしているような感覚が流琉にはあった。
流琉はそう思いながら鉄球を引っ張ると、妙な手ごたえがあった。
――まさか!
流琉は思った。
ジャックには当たってはいないのではないか!?
明確にそう思ったのではない。
あくまで、感覚での話だ。
それは当たっていた。
ジャックは両腕に血管を浮かべ、鉄球を受け止めていた。
それでも勢いは殺しきれなかったのか、金髪が赤く染まっている。
掌は裂けて、鉄球を伝いながら、地面に鮮やかな赤色が落ちていく。
「ジャァッッッ」
「きゃぁ!」
ジャックが獅子のように吼えた。
そして、彼の後ろに居る季衣を左の踵で蹴り飛ばした。
踵は季衣を掴み、後ろにある木に、その小さな体を強かに叩きつけた。
さらに、踵を振り戻す勢いで、左の踵が地面に着くのと同時に、ジャーマンスープレックスのように鉄球を引っ張った。
流琉には、地面に足を地面に埋めて、耐える準備をする時間は無かった。
力のまま引っこ抜かれ、宙に浮いた。
そして、季衣が叩きつけられた木に、また彼女も叩きつけられた。
鉄球はジャックの手から離れていた。
流琉は掴んでいる。
鉄球もまた、慣性に従って流琉の所に吹っ飛んでいく。
「しいいいいいっ!」
流琉は叫びながら跳ねた。
身体にまだ、痛みが残っている。
それでも、動かない方が辛くなると思った。
季衣は右手で鎖を掴んだ。
力を込めて鎖を握り、全身の力で引っ張った。
鉄球は流琉を潰す前に、地面に落ちた。
「流琉! 大丈夫!?」
「季衣こそ!」
季衣は鉄球を繋ぐ鎖を握ったまま言った。
流琉は木の幹から落ちながら言った。
そして、地面に着くときに受身をとり、今度は季衣の前に出た。
ジャックの上体は正面を向き、両手はやや広げぎみに下ろし、足はそろえ、腰から下は半身にしながら立っている。
「これからだよね」
季衣が低い声で言った。
「うん」
流琉が答えた。
二人は、楽しい、と全く同じことを思っていた。
この闘い、そのものを楽しんでいる。
痛みも、不安も、恐怖もある。
身体の痛みと、肉体が破壊される不安、死んでしまう恐怖だ。
それでも、楽しいと思っている。
いや、正確には誤りだ。
肉体にその思考は入り込まない。
脳にすら入り込まない。
肉体がぎりぎりの状態にさらされ、それを超え、さらにぎりぎりの所で比べあう。
肉体の向こうにある、もう一つの肉体に入り込む。
精神の向こうにある、もう一つの精神に入り込む。
そういう場所がある。
そこは、誰か相手がいないと、入り込めない場所だ。
鍛錬でどんなに肉体を苛めても、どれだけ精密な独闘をしても入り込めない場所。
ただ、本気で相手の肉体に痛みを与え、不安をばらまき、恐怖に曝す相手だけが、そこに連れて行ってくれる場所だ。
「流琉……」
「季衣……」
偶然か。
二人の声が重なった。
まったく同じタイミングで、言葉を口にしてた。
「もう……作戦は無しにしよ」
「もう……作戦は無しにしよっか」
二人の声が揃い、同じタイミングでクスリと笑った。
「武器は……ボクのだけだね」
「私のは、じゃっくの足元だからね」
「……正直、怖いよ」
「私も……だけど……真っ向から闘いたい」
「うん……ボクも」
二人は同時に頷き、走り出した。
武器を持っていない、身軽の流琉が季衣の先に出た。
「こぉっ!」
流琉は歩調を合わせ、途中にあった小石を蹴り上げた。
それは真っ直ぐジャックに向かう。
だが、それは鎧のような腹筋に弾かれた。
それは布石。
流琉は頭と腕をを地面に向け、体勢を崩しながら、足で石をキャッチしながら蹴った。
ジャックはその蹴りを左手で止めた。
流琉の左足の脛に、ベットリと血が付く。
そして、そのままジャックはブン投げた。
それでもいい。
流琉の手は、自分の武器である円盤を掴んでいた。
「おきゃっ!」
後ろに飛ぶ流琉と後退するかのように、季衣が前に出る。
そして、鉄球を投げつけた。
ジャックは避けない。
真っ直ぐに季衣を見据え、右の手刀を放った。
鉈の重さに剃刀の鋭さを持った手刀は、鉄球を地面に叩き落とした。
「ジャッッ」
ジャックの蹴りが、地面から季衣を叩きつけに来る。
季衣は受けた。
ただ受けたのではない。
蹴りの勢いに乗り、地面から浮き、ジャックの頭の位置にまで昇った。
そして、踵落としをジャックの額に食らわせ、その勢いで後方に飛んだ。
ジャックはそれを追い、拳を構えながら前に出た。
それを妨げる者が存在した。
白魚のような腕が、ジャックの後ろから首に回ったのだ。
流琉の腕であった。
流琉は裸締めでジャックの首を締め上げた。
力任せに、気道を押しつぶしている。
ジャックは季衣を追うのを止め、上体を思い切り振った。
遠心力で流琉の腕が滑る。
そして、ジャックの顔面と向き合った。
流琉の目に映っていたのは、凶悪な歯だった。
光を反射し、まるで刃物のように見える。
ぞくり
流琉の背に不気味な寒気が走った。
流琉は腕の力を緩め、ジャックの腹を膝で蹴って離れた。
ジャックの口は流琉の鼻先で噛み合い、呻き声が漏れた。
だが、そのまま簡単に、何事もなく離れることは出来ない。
離れようとする流琉の脇腹を、ジャックの拳が襲った。
フック――
それが脇腹に刺さった。
「ぐぅ……っ」
流琉が呻く。
そして、軽い体重ゆえ、飛ばされた。
「季衣! お願い!」
「分かってる!」
季衣が流琉と代わって出る。
鉄球を握りしめている。
鉄球を放つと同時に、さらに季衣が出る。
ジャックの上から鉄球が、下から季衣の蹴りが襲い来る。
ジャックの動きは簡単なものであった。
片足で季衣の蹴りに蹴りのカウンターを放ちながら、両腕で鉄球に備えた。
重厚な音がした。
ジャックからは血が飛び、季衣の身体が飛ぶ。
季衣は足から地面に着き、拳を構えて走り出した。
身体の中に籠っている熱が、叫びとなり、口から迸りでる。
流琉も同じであった。
武器をジャックの頭から、円盤を叩き落とした。
同時に、信じられないことが起こった。
季衣の身体が、理由なく宙に浮いたのだ。
――合気!
流琉は咄嗟の判断で、そう思った。
そして、流琉に向かって季衣の身体が投げられる。
流琉は咄嗟に武器を引いた。
そして、武器を捨てると同時に季衣を受け止めようとした。
だが、それに合わせてジャックが前に出る。
「そこまで」
この時、静かな声がどこかからあがった。
女の声であった。
その声にピクンと三人が反応した。
伍
声の主は華琳であった。
隣には稟が立っている。
その両脇には春蘭と秋蘭が立ち、後ろには凪、真桜、沙和がいる。
「ケッ……。九対一デ
ジャックは華琳を見たまま、吐き捨てるように言った。
その一言で、周りの武官達は武器を構えた。
「油断するな……範馬勇次郎の子だ」
秋蘭が周りに言い聞かせるように言った。
そして、限界にまで絞った弓をジャックに向けた。
だが、華琳はそれを片手で制した。
右手で秋蘭の矢の先を抑えたのだ。
「稟」
「はっ」
華琳はジャックの方を見たまま、一言だけ口を開いた。
稟は軽くジャックに向かって頭を下げ、口を開いた。
「お久しぶりですね……ジャック・ハンマー」
「俺ハ、オ前ノコト知ラネエゼ」
「ええ……そうでしょうね。私は貴方が小城で暴れた時、その中に居ました。で、話は変わりますが……あなたが所属する袁紹軍の現状……御存知ですよね」
「敗ケタッテンダロ」
「ええ。そして……私達は残念ながら、袁紹たちを逃しました。今も風や桂花が動いていますが……この川を渡ったのであれば、捕まえるのは難しいでしょう」
「Peッ。ダカラ何ダッテンダ」
「最早、貴方に戦う理由はありません。大人しく降ることを御勧めします」
稟がそこまで言うと、ジャックはクスクスと笑いだした。
「言イテエノハ、ソコマデカヨ」
「そこまで……というのは」
「ソンナンジャ……コンナ素晴ラシイコト、止メラレネェ。ソレニヨォ……」
ジャックはそう言い、息を吸った。
「コノ程度ノ戦力ヲ前ニシテ、スゴスゴト下ガルヨウジャ……範馬勇次郎ニ到底及バンノダッッッ!」
「決裂か……」
春蘭が小さな声でつぶやいた。
それと同時に、季衣と流琉が華琳の前に躍り出た。
「華琳さま! ここは退いて下さい!」
「じゃっくは私達で何とかします!」
「必要ないわ」
華琳はそう言い、二人を分けて一歩前に出た。
「ジャック。これは交渉よ。ここで戦い……死ぬか、麗羽を追うのか。それとも……私達と行動を共にし、化け物たちと闘うか……運が良ければ、刃牙と再戦の機会すらあるわ。……選びなさい」
華琳はそう言い、ジャックの青い瞳を見据えた。
忙しいってのは、時期から察して下さい。まぁ……この時期は……ね。
で、もう一つの理由ってのが……先週、小中高と俺と同じとこ行ってて、就職した知り合いが結婚したんですよね。(一応言っておきますが、自分はまだ十代です。未成年です!)
それにお呼ばれしたりしました。
いや……この年でこの時期に結婚するかね!? で、エッグイ話ですが、嫁は年下だってよ! つまり、そいつの嫁は今……こっから先は伏せます。その……プライバシーの保護的な意味で。時期としては、嫁が長期休暇になってよかったんでしょうね。
内容としては、幸せそうな結婚式でした。そいつと縁のあったヤツ等(俺含む)が、ライスシャワーで散弾銃の如く、米をぶつけようとした以外は(結局普通にまきましたが)
それでも早いよなぁ……今って結婚の平均年齢ってどれくらいだっけ? 三十近い、とかいうデータを見たことあるような無いような……