キングは1匹! このコイだ!!   作:d.c.2隊長

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ナツメファンの皆様ごめんなさい(土下座

アストルフォも子ギルも出ませんでした……今回の呼府でアヴェンジャー引けるかしら? 天草四郎? 誰それ美味しいの?


コイキングとは即ち、ジャイロボールとなることだ!

 私という存在は、箱庭の中で生きることを運命付けられていると思っていた。他人は私のいずれ強くなる“力”に怯え、私から離れていく。唯一の身内すら、私のことを見ようとはしない。故に、私はいつも1人だった。

 

 けれど、私の運命はある1人の男性によって変わった。その人は私を箱庭の中から連れ出し、私に広い世界を教えてくれたのだ。その人は力強く、高く固い壁も壊して進み、その意思は決して曲がることはない。そんな彼に私が惹かれるのは……当然のことだった。

 

 今日も彼は戦うのだろう。そして、その手に勝利を納めるのだろう。私は彼の行く末が見たい。その為なら、私は何だってしてあげる。彼の行いは全て私の喜び。彼の言葉は全て私の福音。そうして今日もまた……私は彼に“付き従う”。

 

 

 

 「今すぐ俺をジムリーダーの所に案内しねえとコイキングでワープ床をぶっ壊すぞ!!」

 

 「ココココココココッ! (ばっちコイですご主人様!)」

 

 「案内しますからそれだけは止めて!?」

 

 

 

 可愛いヒロインかと思った? 残念、コイキング(♀)でした!

 

 

 

 少し時間は遡る。セキチクシティでピンクバッジを手にいれたアンバーが次に向かったのは、ヤマブキジムがあるヤマブキシティ。町にはリニアレールなるものがあり、更にはエスパー親父なる人物も存在する。更に更にシルフカンパニーという会社も存在し、何やら中が騒がしいが気にしないでおこう。どうせどこかの赤帽子か茶髪か白い帽子の女の子が頑張っている。

 

 さて、今回の戦いの舞台となるヤマブキジムはエスパータイプのポケモンを扱う女性ジムリーダー、更に超能力者でもあるナツメがいる。そんな彼女は今、ジムの奥でチャレンジャーを待っていた。

 

 (……今日、私の人生に少しの変化が訪れるらしいけれど……)

 

 そんな中、ナツメは目を閉じながら考える。先程も言った通り、ナツメは超能力者だ。その使える超能力には未来を夢で見る“予知夢”というものがある。その予知夢で見たのは、今日この日にやってくるチャレンジャーによって己の人生に僅かな変化が訪れるらしいというモノ。超能力者として強い力を持つナツメだったが、知り得る予知が曖昧なままに終わるというのはあまりない経験だった。

 

 そうして考えている内に、ナツメの予知夢通りにチャレンジャーが現れる。その姿を透視と千里眼のような超能力で捉えると、予知夢で見た姿そのままであると確信した。しかし分かるのはそこまでで、どう変わるのかは分からない。

 

 さて、突然だがここでヤマブキジムのギミックについて説明しよう。ヤマブキジムは出入り口を含めた9つの部屋があり、全てが壁で仕切られている。移動する為にはワープ床と言う床を踏むことで決められた床へとワープする謎技術の床を使わねばならない。初めて入った者達は混乱してしまうだろう。

 

 しかし、そこは我らが主人公アンバー。そんな面倒くせえことはやってらんねえとテキトーなジムトレーナーを捕まえ、脅し、ジムリーダーの部屋まで案内させるという思い付いてもやらないようなことを実行に移し、難なくナツメの前までやってきた。

 

 「よう。はじめましてジムリーダー。俺は」

 

 「貴方のことは知っているわ……チャレンジャーのアンバー君」

 

 「知ってるなら話ははええな……あんたのバッジ、貰いに来たぜ」

 

 「ええ、それも分かってる。それに、私も貴方を待っていたのよ」

 

 そう、ナツメは分かってる。滅茶苦茶なチャレンジャーアンバーの名はジムリーダーの間で出回っているし、ナツメは超能力で目の前の人間の思考を読むことだって出来る。その力をもってすれば、相手の手持ちも使える技も、ひいては好む戦術や指示しようとしていることまで筒抜けである。

 

 (貴方の手持ちはコイキング1匹、やろうとしているのは私がポケモンを出した瞬間にコイキングを蹴り飛ばしての奇襲……ジムリーダーは挑戦される側である以上ポケモンの後出しは出来ない。だから奇襲はほぼ成功する。だけど、知ってさえいれば……)

 

 「ゆけっ、ユンゲラー!」

 

 「行ってこいコイキング! そして御約束のシューッ!!」

 

 「コッ!?」

 

 「対応は簡単。ユンゲラー、“サイコキネシス”!!」

 

 「ユンッ!」

 

 ナツメがスプーンを手にした人に近い姿のポケモン、ユンゲラーを繰り出した後にアンバーはコイキングを繰り出し、ナツメが読んだ通りに蹴り飛ばしてきた。予め知っていた彼女は慌てることなくユンゲラーに指示する。

 

 “サイコキネシス”。エスパー技の中で非常に高い威力を誇るその技は、キョウのモルフォンが使った“ねんりき”とは比べ物にならない威力がある。そしてユンゲラーはその技で、飛んでくるコイキングを捉えようとし……。

 

 

 

 「あ、ちょ、はや」

 

 「ユンッ!?」

 

 「コフッ!?」

 

 

 

 思ったよりもコイキングの速度が速かったらしく、捉えきれずに腹にコイキングが突き刺さることになった。予想出来ても対応出来なければ意味がないのである。因みに、蹴り飛ばされたコイキングの速度は時速300kmを越えているらしい。当然、ユンゲラーは戦闘不能である。死なないのが凄い。

 

 ナツメはアンバーの滅茶苦茶っぷりを甘く見ていたと自分を叱咤する。そしてなるほど、とも思う。目の前の存在は今まで自分が出会ってきた存在とは何もかもが違う。これなら予知夢の通り、自分の人生に変化があると確信できる。しかし、だからと言ってポケモンバトルに負けるのはジムリーダーとしてのプライドが許さない。

 

 「戻りなさいユンゲラー。行って、バリヤード!」

 

 「バリバリー!」

 

 ユンゲラーを戻してナツメが新たに繰り出したのは、まるでパントマイムのような動きをしている人型のポケモン、バリヤード。名前の通り“バリヤー”を作り出すことを得意とし、“リフレクター”や“ひかりのかべ”等も得意とするポケモンである。

 

 「コイキング、“たいあたり”!」

 

 「バリヤード、“リフレクター”!」

 

 「ココココッ! ゴッ!?」

 

 「バーリバーリ」

 

 出てきて即攻撃を指示するアンバーに従い、尾びれを使って跳ねながら“たいあたり”を仕掛けるコイキングだったが、バリヤードがパントマイムのような動きをして“リフレクター”という壁を作り出したことでその壁に激突し、攻撃は失敗に終わる。が、激突した衝撃でコイキングの軽い体はアンバーの元にまで跳ね返った。バカにしたように笑うバリヤードが非常に鬱陶しい。

 

 ニヤリ、と笑みを浮かべたアンバーはコイキングの尾びれを掴み、さながら野球のピッチャーのように振りかぶる。

 

 「もう一回行ってこい!!」

 

 「コッ!?」

 

 「無駄よ!」

 

 「バリバリ!」

 

 案の定コイキングを投げ付けるアンバーだったが、意外にもリフレクターを壊すことは出来なかった。物理的な攻撃に対して強い耐性を誇るリフレクターの面目躍如と言ったところだろう。

 

 

 

 「だったら壊れるまで何度でも行くぜ俺はチャレンジャー!!」

 

 「コッ!? ゴッ!? コブッ!?」

 

 「やめてあげてよ!?」

 

 

 

 しかし、そこは我らが主人公アンバー。彼は再び跳ね返ってきたコイキングを蹴り飛ばしてリフレクターにぶつけ、壊せずに跳ね返ってきたらまた蹴り飛ばしてぶつけを繰り返す。流石にこの行動は読めても信じがたかったのだろう、ナツメは思わず声を上げた。

 

 その直後、ピシィッ! という音が聞こえた。まさか、と思いつつナツメは音の方を見てみると……リフレクターにヒビが入っていた。しかもコイキングがぶつかる度にヒビは大きくなっていっている。

 

 「ば、バリヤード! “サイコキネシス”でコイキングを止めて!」

 

 「ば、バリバリ!」

 

 このままでは破られる。そう考えたナツメは今度こそコイキングを止めようと指示をする。1度“サイコキネシス”で捕まえてしまえば、後は幾らでも料理できるのだから。

 

 

 

 「あ、これ上とかはガラ空きじゃね?」

 

 「ゴッ!?」

 

 「しまったあ!?」

 

 「バリブッ!?」

 

 「ああっ、バリヤード!」

 

 

 

 アンバーはふと気付いたように呟き、コイキングを天井めがけて蹴り上げた。正面から受け止めるつもりでいたバリヤードは“サイコキネシス”を外し、天井にぶつかって跳ね返ったコイキングを頭にぶつけられる。バリヤードは壁を作る際にパントマイムをするという工程を踏む以上、自身と同じ大きさでしか壁を作れないという弱点を突いた見事な一撃だった。勿論、バリヤードはこの一撃で目を回して倒れた。貧弱貧弱ぅ! 等とは言ってはいけない。全てはアンバーって奴の仕業なんだ。

 

 瞬く間に手持ちの半分を倒されてしまったナツメは冷や汗をかく。思考を読んでいるハズなのに、対応もしているハズなのに、それらが悉く破られている。目の前の人間は無茶苦茶なことばかりしているが、まさか自身の超能力がまるで意味を成さない人間がいるとは思わなかった。後、ちょいちょい蹴られているコイキングから悦んでいる思念を感じるがそれはスルーした。

 

 「仕方ないわね……あんまり好きじゃないんだけど、力で捩じ伏せることにするわ。行って、エーフィ!」

 

 「フィー!」

 

 キリッと目を鋭くしてバリヤードを戻したナツメが新たに繰り出したのは、薄紫の鮮やかな体の4足歩行型のポケモン、エーフィ。様々なポケモンに進化できるしんかポケモンという種類のポケモン、イーブイが最高になついている状態で朝から昼間にレベルを上げることで進化できるポケモンの1体である。

 

 「エーフィ、“サイコキネシス”!!」

 

 「フィー……イイイイッ!!」

 

 「ちっ、コイキング!」

 

 「コ……ココ……!?」

 

 「そのまま叩きつけて……倒れるまでね」

 

 「フィー!!」

 

 「ゴッ!?」

 

 3度目の正直と言うことだろうか、ついに“サイコキネシス”がコイキングを捉えた。エーフィは捉えたコイキングを宙に浮かせ、ナツメの指示通りに床に強く叩き付ける。叩きつけた床が蜘蛛の巣状にひび割れていることから、その威力が伺い知れるだろう。

 

 今までのジム戦から分かるかと思うが、コイキングが相手のポケモンを倒す時には殆どアンバーから何かしらの理不尽な暴力や道具を使う。つまり、アンバーが起点となる……しかし、こうして拘束された場合、じわじわとなぶり殺しにされてしまうのだ。

 

 「今までのような無茶苦茶を出来ないまま、倒れなさい!」

 

 勝利を確信し、ナツメはニヤリと笑う。アンバー。思考を読んでも、そこには何も対策も現状を打破する方法も浮かんでいない。自分はこの理不尽の権化に勝ったのだと、妙な達成感を感じて……。

 

 

 

 「コイキング、蹴られた(御褒美が欲し)ければそこから抜け出せ」 

 

 「ココココココココオオオオッ!! (御主人様の御褒美いいいいっ!!)」

 

 「フィ、フィー!?」

 

 「……もう何がなんだか……」

 

 

 

 アンバーが妙なルビを振ったような台詞を呟いた瞬間、コイキングが今まで見たことないレベルでピチピチピチピチビチビチビチビチと“サイコキネシス”の拘束を破って体を動かし、アンバーの元へと跳ねていった。達成感を感じた後に凄まじい脱力感を感じ、ナツメは頭を抱える。彼のバトルに常識などないのだ。

 

 「よく抜け出したな。これは御褒美だ、とっておきなぁ!!」

 

 「コッ!?」

 

 「フィぶえ!?」

 

 「ごめんなさいエーフィ……無力な私を許して……」

 

 そして宣言通りにコイキングを蹴り飛ばしたアンバー。いつも蹴り飛ばしてばかりだなと思ったそこのあなた、今回は違う。なんと今回はサッカーボールのように蹴り飛ばすのではなく、地面を削りながら進むように蹴ったのだ。結果、コイキングは体の下半分に凄まじい摩擦熱を感じながらエーフィがぶち当たることになる。エーフィファンの皆様ごめんなさい。でも私はグレイシアの方が好きなんだ、すまんな。

 

 ここまで来て、ナツメの心が完全に折れた。まだポケモンは1匹、それも手持ち最強がいるが……この理不尽の権化に勝てるビジョンがまるで浮かばない。超能力で思考を読み、未来を予知できるというのに、ここまで訳の分からない相手と対峙したことがないナツメは、アンバーの理不尽に耐えきれなかったのだ。

 

 「おいおい、諦めんのかよ」

 

 「……」

 

 「黙ってねえで何とか言えよジムリーダー。途中で諦めるなんざジムリーダーがやるようなことじゃねえだろ」

 

 「……それは、そうだけど」

 

 「だったら最後までやれ。俺が倒したいのは腑抜けたジムリーダーなんかじゃない。俺が倒したいのは! チャレンジャーに対して全力で叩き潰そうとしてくる! ジムリーダーに相応しいナツメなんだよ!!」

 

 突然始まったアンバーの説教。そしてアンバーの叫び。無茶苦茶で理不尽な人間が何か熱いことを言っている……と驚くか呆れるべきなのだろうが、どうやらナツメは何か思うところがあったらしくその目に戦う意思が戻る。彼女は意外と単純なのかも知れない。因みにこの時、コイキングは跳ねながらアンバーの元に戻っている。あっ(察し

 

 「……そうね。私はジムリーダーの超能力少女ナツメ……ジムリーダーとして最後まで、全力でお相手するわ!! 行け……フーディン!!」

 

 「フー……ディン!」

 

 (怒られるなんて何時以来かしら……ちょっと嬉しいな)

 

 力強く宣言しつつ怒られたことを嬉しく思ったナツメが繰り出したのは、最初に出したユンゲラーの進化系であるポケモン、フーディン。進化の石やレベルアップではなく、違うトレーナーと“通信交換”をすることで進化する珍しいポケモンであるが……それが意味することが分かるだろうか? 簡単に言おう。ぼっちトレーナーには進化させられないということである。おい、涙をふけよ。

 

 その姿を見て、アンバーはニィ……と笑みを浮かべ、コイキングを掴み上げる。この時点でナツメはアンバーが何をするつもりか理解し、フーディンに指示しようとする。が、アンバーが大きく振りかぶる方が早く……。

 

 

 

 「俺も全力でいかせてもらうぞ! という訳で、これが俺の全力だああああっ!!」

 

 「コオオオオッ!?」

 

 「フーディン、“サイコ”」

 

 「フーウオゲブッ!?」

 

 「“キネ……”ってフーディィィィン!?」

 

 

 

 縦回転ではなく横回転……そう、それは“ジャイロボール”と呼ばれるモノ。それと化したコイキングはフーディンの顔を貫かんと突き刺さり、ぶっ飛ばすのではなく凄まじい勢いでフーディンの腰を折って後頭部を床にぶつけ、めり込ませた。ポケモンでなければ即死だった。

 

 即死ではないにしても即ひんしにはなった為、この瞬間アンバーの勝利が決定し、彼はナツメの手から直接ゴールドバッジを受け取った。尚、フーディンはしばらくの間腰痛に悩まされることになった。

 

 「超能力だろうが何だろうが、俺を止めることなんて出来やしねえ」

 

 「本当にね……」

 

 

 

 こうして、アンバーの第6の戦いは終わった。相手は文字通りの超能力を使って圧倒してきたが、アンバーはコイキングとの強い絆とその強い心でそれを打ち破る。世界にはまだまだ超常の力が溢れていることだろう……だが、彼らの絆に越えられないモノなどないのだ。

 

 頑張れアンバー! 負けるなコイキング! 500円の魂を引っ提げて、目指すはポケモンマスター! さあ! 右手の人差し指を伸ばし、天高く掲げて叫べ!

 

 

 

 キングは1匹! このコイだ!!

 

 

 

 「この後、俺はナツメが“貴方なら私を変えてくれる”と言ってきたので取り合えず“少女”から“大人”に変えることにし、素質でもあったのか何故かMに目覚めたナツメに“教育”をして過ごした」

 

 『まあまあ、そのようなことが……私にも“教育”して下さいね? 旦那様♪』

 

 「痛いけど……凄く気持ちいいの。やっぱり貴方は、私に変化をくれたわ……御主人様(ぽっ」

 

 「ココココッ!! (私とキャラが被るっ!!」




序盤で可愛いヒロインかと思ったおバカさんは正直に名乗りでなさい(悪人面

いい加減ネタがないですね……開幕ぶっぱ一撃必殺は除けませんが、間と最後らへんが厳しい。ギャグって難しいです。しかも次はハゲ……難産になりそうですね。

あ、私はポケモンではグレイシアが一番好きです。可愛すぎんよ。

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