魔法少女リリカルなのはTwo girls   作:たまらんち会長

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思い

 さくらとルーシーの調査を開始したティアナだったが、さくらのことはすぐにわかった。名前は木崎さくら、小学校5年生の10歳。彼女の自宅も突きとめたが誰もいなかった。

 

「そりゃそうか……」

 さくらは自分の正体を学校のクラスメートたちに知られてしまった。行方をくらましたのも理解できる。いま、この町では女の子が急に蒸発したとかで大騒ぎになっていた。ティアナはさくらが行きそうな場所を尋ねたが、誰も心当たりがないという。さくらはついこないだまで祖父と暮らしていたが、その祖父が死んでしまったことで誰も身寄りがいないという。女の子一人でこれからどうするのかとご近所の皆さんが心配していた矢先の今回の蒸発である。これ以上はさくらの行方をつかめる情報は得られないと判断したティアナはもうひとりの少女ルーシーの方をあたることにした。ルーシーに関する手掛かりは彼女と初めて会った場所の近くの別荘のお嬢さんということだ。ところが、その別荘に行ってみると、オーナーも誰もそんな少女は知らないという。ティアナが何回も尋ねても知らないという返事しか返ってこなかった。嘘を言っているようにも見えなかった。

 

「どういうことなの?それが本当だとしたら、あの娘が嘘をついたことになるけど」

 なぜ、そんな嘘をつく必要があるのだろうか。もう少し詳しく調査してみると実際にルーシーがそこの別荘に暮らしていたと証言する人が現れたのである。その証言によるとルーシーはテラスで優雅にティータイムを満喫していたという。中にはルーシーとオーナーが一緒に別荘にいるところを目撃したという人もいたのだ。

 

「なに?どういうこと?あの二人はグルだってこと?」

 ティアナはわけがわからなくなった。今度はオーナーの身辺も探ることにした。すると、オーナーが小学校高学年ぐらいの女の子にあの別荘を無償で貸したという証言が得られた。やはり、オーナーとあの少女はつながっていた。そのことをオーナーに追及すると、

 

「実はそのことで困っているんだ。私がどこの誰だかもわからない女の子にあの別荘を貸したと言う人間が何人かいるんだが、私にはまったく覚えがないんだよ。 あそこの別荘には管理人も兼ねている使用人がいるんだが、彼にも覚えがないと言うんでね。何かの間違いだと思うんだが」

 と首を捻っていた。やはりその様子から嘘を言っているとは思えない。考えられるのは、ルーシーに別荘を貸していたのは別人だということだ。オーナーの偽物をしたてあげたのだ。

 

「でも、それはちょっと考えにくいわね。となると、あと考えられるのは……」

 オーナーを催眠術か何かで操っていた。ティアナには思い当たる節があった。さくらを拘束していた魔力リングを外す前、ティアナはさくらと目を合わせた。 その直後、ティアナはさくらのリングを解除したいと思ってしまったのだ。

 

「あの二人には人の心を操れる不思議な力がある」

 ティアナはそう結論付けようとした。そうとでもしなかったら、さくらの逃亡を幇助した形となっているティアナの立場は非常に悪いものとなる。その推測は当たらずとも遠からずだが、これ以上はルーシーの行方をつかめる手掛かりは得られないと判断したティアナはいったんコテージにもどることにした。

 

「ただいまもどりました」

 もどったティアナをフェイトが出迎えた。

 

「あ、ティアナ?ちょうどよかった。ちょっとこっちに来て」

「なんです?」

「シャーリーに頼んで一昨日出会ったディアスを持っていた娘のこと管理局にデーターがないか調べてもらったんだけど」

「それでわかったんですか?」

「うん、該当する娘はいたんだ。けど……」

 フェイトが言うには身体的特徴がすべて一致した該当者が一人だけいたのだが、それが本人なのかどうかは断定できないらしい。

 

「名前はルーシー・ブランケット。第33管理世界『シュターセン』出身の魔導師で年齢は11歳」

「シュターセン?あの20年以上も内戦が続いている世界ですか?」

 ティアナもルーシーの故国であるその世界の惨状は知っていた。10年ぐらい前に時空管理局が鎮静化に乗り出したものの、自爆攻撃の連発をくらって尻尾を巻いて逃げてしまっている。

 

「そう、そのルーシーって娘は反政府グループの構成員だったらしいんだけど、そのグループは政府の攻撃で壊滅してメンバーもほとんどが殺害されたみたいなんだ。で、これがそのルーシーの写真」

 とフェイトがティアナに手渡した写真に写っている少女は、二人が出会った少女と瓜二つだった。

 

「この娘ですよ。間違いありません」

「うん、私もそう思う。ただ……」

「何か引っかかることがあるんですか?」

「実はそのルーシーって娘はミッドチルダの魔導師なんだ」

「えっ?でも、フェイトさんあの二人の魔法陣はミッド式でもベルカ式でもないって言ってませんでした?」

「確かに違っていた。それに、そのルーシーって娘は管理局のランクでいうとB程度の魔導師なんだ」

 それまたおかしなことだとティアナは思った。バルディッシュをいとも簡単に破壊した少女と渡り合っていた少女がBなんてありえない。

 

「じゃあ、別人ということですか?」

「多分そうだね。姉妹かなんかだと思うよ」

「それで、そのルーシーって女の子の居場所はわかりますか?話でも訊いておいた方が」

「それが生死も不明らしいんだ。他のメンバーと一緒に殺されたか、かろうじて逃げ延びたかもわからないってシャーリーが言っていた」

 なにしろ、あまりにも危険だということでボランティアの人道支援もあの世界に入ることができないのだ。報道もほとんど入らずたまに命知らずのフリーカメラマンなどが現地取材を敢行したが、何人かは家族を悲しませる結果となっている。逆にその世界から外部に出る手段も、政府が許可の無い次元航行船の運航をいかなる理由においても禁じているため転送魔法が使える魔導師以外は自由に外の世界に行くことはできない。

 

「結局、何もわからないってことですか」

「結論から言うとそういうことだね。でも、クロノがユーノに頼んで例の魔法陣について調べてもらっているから多分わかると思うよ。それから、さっきクロノから連絡があって正式に私たちがあの娘たちの調査と捜索と事情聴取を担当することになったから」

「えっ?でもディアス探索の方は」

「それは継続だよ。一昨日に会った娘がディアスを持っていたことが気になるからね」

「そうですね…」

 ディアスはその輝きによって人を魅了しその心を虜にする。故に立身出世も大金取得も玉の輿も思いのままにできるとして、その存在を知る者は誰もが地の果てまで追い求める。そのディアスをあの少女がなぜ持っていたのか、あの二人の正体と戦いの理由に関係しているのか、わからないことだらけだ。

 

「まあ、とにかくユーノの調査待ちだね」

 

 ところが、そのユーノの調査は一週間が過ぎても何の手掛かりもつかめなかった。過去に存在したあらゆる体系の魔法を調査しても該当するものは見つからなかった。ユーノが司書長を務める無限書庫は全次元世界のあらゆることがわかるとされていた。あまりにも情報量が多いため資料を探すのに時間がかかることがあったが、ユーノが司書長になってからは整理整頓も進み彼自身の優れた検索魔法で大抵のことはその日のうちにわかるようになった。それが、一週間経っても何もわからない。ついに無限書庫のスタッフ総出で調査しても何も得られなかった。

 

「まさか、無限書庫にも何の資料もないんじゃ……」

 どんな事でも探せば必ず見つかるというのが無限書庫だ。しかし、本当にそうなのか。例えば情報が1億あったとする。その中で無限書庫に収められている情報は9999万だとしたら、残り1万は無限書庫には無い情報ということになる。探せばどんなことでも見つかるというが、その全容を把握している人間なんて誰もいないのだ。見つからない情報だってあってもおかしくない。しかし、確実にそうだと断定もできないのでユーノは黙々と調査するしかなかった。

 

「ったく、クロノは昔から人使いが荒いんだよな」

 それはクロノがユーノを信頼している証明でもあった。ユーノもそれはわかっているから悪い気はしない。しかし、結局ユーノの手で真相がわかることはなかった。

 

 

 

 

 フェイトやティアナ、ユーノたちによる懸命の調査・捜索にも関わらず二人の謎の魔導師の行方や正体は依然として不明のままだった。あれ以来、時空管理局の介入を警戒してか二人の魔導師は動きを見せていない。Sランクの魔導師を凌駕する力を持つ魔導師同士が戦えば周囲にどんな被害が出るかわからない。いまのところ被害は出ていないが、被害が出てからでは遅いのだ。それと、フェイトには別の思いがあった。

 12年前、フェイトも同じように同年代の少女と幾度か戦ったことがあった。あの頃、複雑な家庭の事情でフェイトは周りがよく見えていなかった。しかし、相手の少女が親身に自分に接してくれたため、フェイトは母親の死亡という最悪の事態を迎えても立ち直ることができた。いまでは一番の親友だ。だから、あの二人もきっと仲良くなれるはずだ。ただ、気になるのはあの二人には相手に対する明確な殺意があることだ。特に木崎さくらという黒髪のポニーテールの少女は相手にものすごい憎悪を抱いていた。職業柄、フェイトもいろいろな魔導師と遭遇したが、あんなに憎悪を漲らせている魔導師を見たことがない。しかし、ティ アナの調査ではさくらはおとなしい控えめの性格で、怒ったところを見た人間は誰もいなかったとある。

 

「そんなおとなしい娘がどうして……」

 それと、さくらはどうやって魔法の力を手にしたのか。おそらく、外部世界の人間からだろうが、その人間はどういった理由でさくらに魔法の力を与えたのか。 何の意味もなしに見ず知らずの少女を魔導師にするとは思えない。何か理由があるはず。もしかしたら、それがあの二人が戦う理由にもつながっているかもしれない。

 

「このままでは取り返しのつかないことになってしまう」

 あの時、フェイトが割り込んでいなかったらさくらは胸を貫かれていた。お互い、相手を殺すことに何の躊躇いもないようだった。早く見つけて身柄を確保しなければどちらかあるいは両方が命を落とすことになりかねない。しかし、現状では二人の行方すらわかっていないのだ。

 

「二人ともどうにかして戦わせないようにしたいけど……」

 できたらかつての自分のように相手とわかりあって友達同士になってほしいとも願った。そのためには、二人の居場所と二人が戦う理由を突き止めなければならない。だが、未だ捜索と調査に何の進展も見られないのが実情であった。関係者が焦る中、ある偶然から真相が明らかとなった。

 

 それは、フェイトの親友である八神はやてが聖王教会のカリム・グラシアに食事を誘われた時である。

 

「最近、忙しそうね。ちょっと疲れてるんじゃない?はやて」

「んー、そやなぁ、例の組織の捜査がちっとも進んどらんからなー。ああでも、大丈夫やで。心配せんといて」

 はやては自分はどうってことないと言うが、彼女が辛いことや苦しいことを我慢して自分の胸におさめてしまう傾向があることを知っているカリムとしては心配せずにはいられなかった。彼女にしたら、はやては可愛い妹分なのだ。自分を心配そうに眺めるカリムにはやては話題を変えることにした。

 

「それより、そっちの方はどうなん?新しい預言とかは出てこおへんか?」

 預言とはカリムのレアスキルで、彼女とはやてはそれによって2年前のJS事件で功績を挙げ発言力と影響力を増すと同時に、結果的にではあるが管理局内の特に地上部隊の自分たちに批判的な勢力の一掃に成功している。はやてとしてはさりげなしに話を振っただけだが、とたんにカリムの顔が変わった。

 

「えっ、どないしたん?まさか、何かあるん?」

 つい2年前に地上本部の陥落と管理局システムの崩壊という預言があったばかりである。そう何度も大事件が来られても困る。

 

「実は気になる預言があるの」

「なんや」

「うん、それが……」

「どないしたん? なんでも言うて。私は何事にも動じひん女や」

 言いにくそうにしているカリムに、はやてはじれったそうに続きを催促するが、言いにくそうにしているのは言いにくい理由があるからで、それは多分とてつもなく厄介なことだろうと推測したはやては心の準備を整えるために紅茶に手をのばした。

 

「あのね…」

 カリムは意を決して話すことにした。

 

「預言にはすべての次元世界が消滅するとあるのよ」

 はやてはおもわず口から紅茶を吹き出しそうになった。世界消滅とは穏やかでないどころの騒ぎではない。

 

「ど、どうゆうことや、それ」

「詳しいことはわからない。ほら、私の預言って難解なうえにいろいろな解釈が成り立っちゃうでしょ。それに、預言の内容も非常にぼやけていて確率もそんなに高くないと思うから本局には知らせてなかったんだけど、妙に気にはなっていたの」

 確かに預言が事実であれば一大事だ。呑気に食事をしている場合ではない。しかし、すべての次元世界が消滅するとはどういうことだ?過去にいくつかの世界が崩壊したという事件はあったが、すべての世界が崩壊の危機に瀕したことは、少なくともはやてが知る限りでは一度もない。

 

「で、その預言の内容はどうなってるんや?」

「『月を覆いし者、資格無き者の刃に倒れし時、太陽を喰らいし者、唯一無二の帝王となる。資格無き者、帝王に刃を向けるも、帝王これを一刀のもとに斬り伏せる。その後、あらゆるすべては無に帰し新しき世界が誕生する』これが預言の内容よ」

「うーん」

 はやては首は捻った。確かに世界滅亡と思わせる内容ではある。しかし、それは解釈の問題でこの預言が本当に世界滅亡を言っているのかはわからない。すべては無に帰しとあるが、そのすべてとは何を指しているのか、新しき世界の世界とは次元世界を指しているのかそれとも別の意味での世界なのか。

 

「やっぱりカリムの考えすぎとちゃうか?すべての世界が消えてまうなんてどう考えてもありえへん」

「私もそう思うんだけど、妙な胸騒ぎがするの」

「カリムは心配性さんやな。私の方でも調べとくわ。えっと、確か月を覆いし者と資格無き者と太陽を喰らいし者やね。なんやようわからんけど、その人たちを調べたらええわけや。それと帝王についてもやね。ん、帝王?」

 帝王というフレーズにはやてはあることを思い出した。数日前にフェイトから聞かされた二人の魔導師のことだ。フェイトによれば、その中の一人が帝王になるのどうのと言っていたらしい。その帝王が預言の帝王かどうかはわからないが、はやてはそのことをカリムに話してみた。

 

「どう思う?何か関係あるんやろうか」

「うーん、わからないわね。その二人は何者なの?」

「フェイトちゃんとティアナが懸命に捜査しているんやけど、いっこうにその正体がつかめへんのや。ミッド式でもベルカ式でもない魔導師らしいけど」

「ミッド式でもベルカ式でもない?」

「うん、ユーノくんが無限書庫のスタッフ総出で調べているらしいんやけど過去の魔法を調べても該当するのは見つかってないんやって」

「無限書庫にも情報がない魔法体系……」

 カリムはあごに手をやって何か深く考え込むようなポーズをした。はやてが心配そうに顔をのぞきこむ。

 

「どないしたん?」

「まだ確証は持てないんだけど、それはゼクエスの魔闘士じゃないかしら」

「ゼクエス?」

 それははやてが初めて耳にする名前だった。

 

「私も詳しいことはわからないけど、無限書庫にも情報がないとしたらそれしか考えられないわね」

「なんや?そのゼクエスって」

「ゼクエスの魔法に関しては一切の文字資料がなくて、口述でのみ伝えられているものなの。だから、さっきも言ったように私も詳しいことはわからない。わかっているのは、ゼクエスの魔法を使う者は何千年かに二人しか現れないってこと。で、その二人はそれぞれ最強の矛と最強の盾を装備し他の魔導師を凌駕する力を持っているんだけど、それでもゼクエスからしたら半人前でその二人が戦って勝った方が真のゼクエスの魔闘士になれるらしいわ」

「それが帝王ってことか?」

「その真のゼクエスの魔闘士を彼らがどう呼んでいるかはわからないわ。それが帝王と呼ばれていたとしても、預言の示す帝王とは限らないし」

「他にゼクエスについてなんか知っていることないんか?」

 さっきのだけではまるで情報不足だ。しかし、カリムは残念そうに首を横に振った。

 

「ごめんなさい。私が知っているのはこれだけなの。誰も実物を見たことがなかったし、実在するかどうかさえ疑われていたから」

「わかった。それで十分や。とにかくその二人の身柄をおさえた方が良さそうやね。フェイトちゃんに連絡するわ」

「お願いね。私の杞憂だったら一番いいんだけど」

「もし、杞憂でなかったら最悪どころの騒ぎじゃないね。だから最悪を想定して動く。大丈夫よ。前の預言かて危ないとこやったけど何とかなったんや。今回も きっと大丈夫。世界滅亡なんて私がさせへん。また、カリムとおいしい食事がしたいからね」

 親指を立ててウインクするはやてに、カリムは緊張が解れたように微笑んだ。

 

 その頃、ルーシーは豪華クルーズを楽しんでいた。時空管理局の介入を警戒して活動を控えることにしたルーシーは、その間使い魔に気になっていたことを探らせていた。あの管理局員はディアスを探していた。無論、それも管理局の仕事であることはルーシーも知っていた。しかし、ディアスはその存在をあまり知られておらず、現に管理局はいままで探索してこなかった。

 

「それがいまになってなぜ……」

 ルーシーはプールを浮き輪でぷかぷか浮かびながら(ルーシーは泳げない)考えた。あの局員はかなりの凄腕だ。おそらくはSランクだろう。そんな凄腕が動いているのだ。なんらかの事情があるはずだ。

 

「おかげでせっかく勝てた戦いをものにできなかった」

 あのとき、管理局の介入がなかったらルーシーはさくらの胸を貫いて勝利していた。今更、どうのこうの言っても仕方ないが、これ以上邪魔が入らないようにするためにもきっちりと状況は把握しておきたかった。

 

「それにしても遅いわね。何をしているのかしら」

 もう2週間以上になる。そろそろなんらかの情報を得られてもいいはずだ。少し苛立っていると、使い魔がもどってきた。

 

「お帰り。遅かったわね。それで、わかったの?」

 使い魔は調査してきたことをルーシーに話した。

 

「なんですって、あの組織がディアスを集めているというの?」

 使い魔が調べたところによると、その組織がディアスを収集していたのを時空管理局が嗅ぎつけたらしい。

 

「でも、どうして彼らが……」

 もう何がなんだかわからなかった。

 

「どうやら呑気に遊んでいる場合でもなさそうね。で、もう一つの方はどうなの?何かいいのあった?」

 もう一つのとは、時空管理局に邪魔されずにさくらと決着をつけられる場所を探すことである。

 

「えっ?レフェントイシェル?確か希少種の宝庫で、自然保護隊員以外は人間がいない世界よね」

 その保護隊も観測のための人員しかいないから、ほとんど無人といっていい世界で多少騒いだところで気付かれる心配もないということだ。

 

「なるほどね。確かにそこなら思う存分気兼ねなくやれるわね」

 ルーシーはプールから上がると思いっきり背筋を伸ばした。

 

「さてと、だいぶ待たしてしまったから早く彼女のところに行ってあげないと」

 楽しい時間もこれまで。夢のような生活だったが、ルーシーは戦士に戻らなければならなかった。カードとリーダーを手にとって、カードをリーダーに読み込ませる。

 

「変身!」

「Yes, Your Highness」

水着からバリアジャケットに一瞬で着替えが終了したルーシーだが、それを人の目がたくさんある場所でやるものだから当然騒ぎになる。さらに、

 

「ルーシー・ブランケット。いきます」

 といきなり消えるものだから騒ぎが大きくなったのは言うまでもない。




ユーノくんは今回のみの登場です。クロノ提督も確かここまでだったと思います。

次回【大草原、血に染めて】
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