不定期更新ですよー。春になってましたよー。
というわけでお久しぶりでございます。
今回も時間が取れたので書かせていただこうと思います。
私が現在主軸で書いているもう一つの東方のSSの方は
今が一番いい感じな雰囲気になってきていますのでもしよろしければ
そちらも呼んでいただけたらこれ幸いです。
それでは、どうぞ!
既に時刻は午後の17時を大きく過ぎて太陽が地平線に浸かり始めた頃、
夕日が差し込む新居のリビングで親父から今回の詳しい話を聞くことになった。
というのもついさっきまで『八雲 紫』っていう超絶美女がさらに二人の美女と美少女を
引き連れて俺の今いるリビングで少しの間だけど唐突な縁談をしていたのが発端だ。
彼女の口ぶりからして親父の昔の知り合いだったらしいのは理解出来たんだけど、
問題はそこじゃなくて彼女の語った親父に対しての好意が俺にとっては問題だった。
ほんの少しの時間、数回言葉を交わしただけだったけれどどこか直感で感じ取れた。
あの女の人を親父に近付けたら、何かとんでもない事になるんじゃないかと。
そういった危険を感じた俺は彼女らにお引き取り願って、親父と二人きりになって
ようやく事の顛末を聞く機会に恵まれた、大まかに言えばそんなところかな。
なんてこれまでの数分間を思い返してるうちに親父が話をし始めた。
「さっきの女の人、紫さんも言ってたけどお父さんはあの人と………」
「知り合い、だったんだよな? 元カノとかそんなんじゃないんだよな」
「はは、昔はヤンチャしてたけど、そんな関係じゃなかったよ」
「そいつを聞いて安心したぜ。ならあの人の一方的な片想いってことか?」
「うーん、それもどうだろう。昔から紫さんは冗談をよく言う人だったし」
「…………つーか、なんで"紫さん"なんだ? 同級生なんだろ?」
「だ、だってあの人は大企業のCEOで、お父さんは平の社員なんだぞ⁉」
「あー、まー、なるほどな」
親父の言い分も納得出来る。相手は大出世してるのに自分はヒエラルキーの最下層。
そんな状況に何も感じないのだとしたらその方が人として異常をきたしてるレベルだろう。
相手は同郷の同級生であんなにも美人なのに自分はどこまでも三流ときた_______ん?
ここで俺は、気付いてはいけない、というより気付きたくなかった事実に気付いた。
急に話題が大きくすり替わるかもしれないが、俺は転向したての高校二年生で17歳だ。
そして俺の親父は転勤しまくりの平リーマンの44歳、ということはつまり?
(あの30歳手前みてぇな美人が親父と同い年だと⁉
考えられん! どう見ても30代一歩手前みたいな見た目してたのに!
女性は化粧や色んな外的要因で化けるというが、もはや魔術の域に到達してると疑ってしまうほど
あの紫さんという女性はあまりに若過ぎる姿をしていた。
お金があると若作りとかも案外どうにでもなってしまうもんなのだろうか。
「…………遼太郎?」
女性の知られざる生態を垣間見て驚愕している俺に親父が心配そうに声をかけてきたけど
正直そんなんに構ってられる状態じゃないんだけど少しでも話題を変えて触れてはいけなかった
現実から逃避しなければと俺の脳内信号が全力で取り舵をとれと命じたのでそれに従った。
「い、いや何でもない。それより親父、飯にでもしようぜ」
「あー、そうだよね。よし、少し早いけど晩御飯の準備をしようか」
「だな。今日は冷凍の魚を解凍して何か適当に作ればいいよな?」
「メインは任せるよ。お父さんはいつも副菜担当だろ?」
「へいへい。あ、ひじきは絶対に食卓に出すなよ、いいな」
「好き嫌いはよくないぞ 遼太郎」
「うるへー。なんなら今晩のメインは親父だけ骨と皮だけにしてやろうか?」
「せめてタンパク質を!」
考えたくないことから目を逸らす、いい事じゃないの。
人間も時には自分の進む道から目を逸らして辺りを見回すことも重要だって、多分。
とりあえず今は襲い来る食欲への対策として晩飯の準備を始めよう。
今更になってだが学校で質問攻めにされた疲労が押し寄せてきたからな。
午後も深まり日は没し、夜の帳が新しくやってきた街にも下り始める。
その街角の一軒家で俺と親父は今日の出来事について互いになるべく触れずに
時間を過ごし、俺は明日から始まる学校生活に備えて早めに寝床につくことにした。
「しかし、本当に貴女は何をするのか読めない方です」
「あら、組織の長が簡単に読まれるようでは成り立たないわよ?」
「そういうことではございません。今日の仙波家の訪問の事です」
「ああ、それ? 別にいいじゃない、陽介さんに会いに行くくらい」
「貴女はもう少し自分の立場をわきまえるべきではないかと」
「それが仮にも孤児院から自分を引き取った"
「も、申し訳ございません‼」
「冗談よ。それで、陽介さんと遼太郎に会いに行った理由、だったかしら?」
「え、あの」
「前を見て運転しなさい、事故でも起こしたら大変よ。ねぇ橙?」
「はい!」
「申し訳ございません、紫様」
「………理由、そうねぇ。あの人に会うのは実に20年振りくらいかしら。
若かりし頃に惚れ込んだ唯一の殿方にお会いしたいという乙女心が
また再燃した、というのが一番説得力があると思うのだけど」
「…………そうですか」
「ゆかりしゃまは好きなひとがいるのですか?」
「ええそうよ、とってもとっても好きなのよ。
私はあの人の為にここまでの地位を手に入れたといっても過言じゃないわ。
いつか陽介さんと手を取り合って一緒に添い遂げるために世界を手にする。
中々ロマンチックにあふれてると思わない?」
「私にはよく理解できません」
「それは藍、あなたが"恋"を知らないだけだからよ。
誰かに恋してみれば分かるわ。愛し愛されたいと思える相手を見つけなさい」
「かしこまりました」
「橙もよ?」
「かちこまりました!」
「…………陽介さんも遼太郎も手に入れるわ。
私は八雲 紫よ、欲しい物は何があろうと必ず手に入れてきたんだもの」
「紫様、もうすぐ本社に到着いたします。次の企画の件ですが」
「車から降りたら資料を頂戴」
「かしこまりました」
「…………ああ、陽介さん。貴方と共に居られる日々が待ち遠しいわ」
そんなこんなで翌日、俺はどんよりと目覚めた。
何故どんよりかって? そりゃ親父が超絶美女とお知り合いだったからもしや
俺の知らないところでとんでもない関係になってたりしたんじゃねぇかと
疑ったりして独り眠れぬ夜を過ごしたとか、決してそんなんじゃないから、マジで。
「あ~~、マジで眠ぃ」
学生なら誰もが二、三百回ほどは口にしてるであろう睡魔に対する愚痴をぼやきつつ
まだ通い慣れていない新鮮なニュー通学路を一人で普通に歩いて登校する。
眠気に勝てずにまたしてもあくびがこぼれるのを我慢出来ずに大口を開けて空気を
循環させようとすると、割とよく通る声で後ろから声をかけられた。
「おーーい、てんこーせー‼ アタシと一緒に登校しよーーぜー‼」
「あ、アンタは確か同じクラスの…………」
「おー! アタシは【霧雨 魔理沙】ってんだ、ヨロシクなっ!」
「おう、よろしく霧雨」
実質初登校の俺に声をかけてきたのは、昨日の自己紹介タイムで先陣を切ってきた
男勝りな口調の金髪美少女だった。そう言えば名前とかを聞くのを忘れてたんだよな。
とにかく前にいた学校では女子との接点はお世辞にも多かったとは言えない俺が初日に
女子と学校へ登校するなんて昨日の段階じゃ考えてもみない事だよなぁ。
なんて密やかな決意に燃えていると、隣で霧雨が形容しがたい表情で俺を見ていた。
な、なんだその『うへぇ』みたいな擬音が顔の横に出てきそうな表情は⁉
「オイどうした? なんて顔してんだよ」
「だ、だってよ。"霧雨"って呼ばれるのがなんかむず痒くてさ」
「なんだそりゃ」
「"きりさめ"よりも"まりさ"の方が呼びやすいだろ?
なのに何でわざわざ魔理沙じゃなくって霧雨って呼んだんだよ」
「そこ⁉」
どうやら名前の呼び方が気に食わなかったらしい。
でも普通に考えて女子っていきなり名前呼びされて平気なもんなのかね?
前に住んでた地域では余程親しい仲じゃない限り名前呼びなんてありえなかったけど、
地方で変わるものなのかな。まぁ彼女の言う通り一文字分だけ呼びやすくなるからそうさせて
もらう事にしよう。
「分かったよ、性じゃなくて名前な。よろしく魔理沙」
「おうっ! よろしくな…………えっと、梨太郎?」
「遼太郎、な。なんでちょっとフルーティーに改名させてんだよ」
「わりーわりー。太郎までは覚えてたんだけどさ」
「まあ覚えてくれてただけマシかもな」
だなー、とにこやかに微笑んだ魔理沙と一緒に学校までの道のりを歩いて行く。
しかし昨日の自己紹介で顔はともかく名前もそこまで覚えられて無かったんだなぁ。
もう少しで桃太郎の親戚扱いされるところだった。いや、その方が株が上がるかな。
まあとにかくだ、これからの学生生活で必要なのは生徒同士のコミュニケーションだ。
絶対に前の学校の時みたいに話せる相手が片手で足りちゃうような状況には戻らない!
そんな決意を胸に秘めながらも魔理沙と取り留めの無い話やこの学校での生活の
大まかな事柄などの説明を聞いたりしていたら、とうとう学校に着いてしまった。
【幻想学園高校】俺が新しく通う高校。
割と真新しめな校舎の壁や造りを眺めながら魔理沙と一緒に教室まで歩いて、
二人同時に教室の扉をくぐり抜けて席を見つけて座る。いや、座ろうとした。
ただそこでようやく俺は重大な問題に気が付いた。
「あ、俺の席ってどこにあるんだ?」
昨日はまさしく顔出しみたいな意味合いも兼ねての登校だったから全く以て座る
席の事なんて考えてなかった。くそぅ、完全にうかつだったじゃねぇか。
でもホントに困ったぞ。魔理沙は自分の席に行っちゃって助けなんて呼べないし、
他の面識無い人に自分の席がどこか尋ねるほど俺は勇気を持ってはいないんだし。
どうする、どうする⁉
「あ、おーい! 転校生くーん、ここよー!」
「えっ、え?」
「ここだよ、ここ! 君の席はここだって!」
「ああ!」
教室の入り口でどうしようか考えあぐねていたら、真ん中の列の後ろから三番目、
つまり中央の列の中央の席に座っていた女子が俺の席の場所を教えてくれた。
しかも彼女もよく見れば相当な美少女であり、手を振る仕草がやたら可愛らしい。
なんて感心してる場合じゃない、早く席に座って色々と準備せねば。
俺はとりあえずその少女の呼びかけに応じて彼女の真横の机に荷物を置いて椅子に座る。
座ったついでに俺は隣の席の女の子にお礼を言おうと軽く息を吸い込んで話した。
「えっと、ありがとうな?」
「いえいえ、どういたしまして。私は【虹川 メルラン】、よろしくね」
「おお、よろしくな」
彼女に話しかけたことで、俺の奇抜な一日がスタートした。
いかがだったでしょうか?
今回は明らかに手を抜いて書いたので内容も書くレベルやらも低くなったが
それでも構わないららしい。
それでは、不定期に更新される次回をお楽しみに‼