星界の風章「陰謀」   作:いち領民

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星界の風章「陰謀」 第一章

帝国暦955年、アーヴによる人類帝国は、人類統合体の領域を打通する目的によって発動された作戦『幻炎』を達成することができた。しかし、その作戦の終了後、ある疑問点が星界軍に起きていた。それを調査することを星界軍情報局の長官・カシュナンシュ・ウェフ=ゴス・エールは、考えていた。誰にこのやっかないな仕事を押し付けようかと。

 

 

 

 

星界軍・軍令本部・情報局・第10資料室

 

 

 

フォルシュ・アロン=フリート・公女・アルネージュは、仮想窓を何10個も浮かべながら、机の上で静かな寝息を立てていた。そこへ、前触れもなく、彼女のクリューノがなった。

彼女は、蒼紫の髪で二つにまとめられて、茶色の瞳で顔立ちは明きからかに10代前半のもので、少女というより、子供に近い幼いものだった。

 

「うーん、うるさいわね。誰よ…。はぁ〜。カシュナンシュ大提督か。まったく、人の安眠を邪魔するなんて、相変わらず嫌な上司だわ。とにかく、でるしかないわね。」クリューノを操作して、つなぐアルネージュ

 

 

「いやぁ、ごきげんよう。アルネージュ准提督。」にこにこと微笑むカシュナンシュ

 

「准提督…?カシュナンシュ大提督、いつ、私の位階が上がったのですか?何も聞いていないのですけど。」不審に思うアルネージュ

 

 

「昨日、軍令本部に頼んで出世させた。まぁ、君も色々と頑張っているし、私だけ出世したのにその部下にもその恩恵を与えないといけないしね」何か含みのある言い方をするカシュナンシュ

 

 

「カシュナンシュ大提督、まどろっこしい前置きはさっさと終わらせて、任務の内容を言ってください。出世をさせたのもどうせ、やっかいな仕事を押し付けるためのささやかなアメということなのでしょう」寝起きなので、不機嫌なアルネージュ

 

 

 

「せっかく、上司と部下との交流を深めようと思ったのに残念だな。まぁ、いい。任務の内容を伝える。よく聞いてくれ。」

 

カシュナンシュがアルネージュに伝えた任務は、彼女の想像以上にやっかいなものだった。

先ごろ、幻炎作戦のとき、敵が前もって侵攻を予測していたという事実は、星界軍の軍令本部ならびに、情報局にとってはかなりの驚きだった。そして、巡察艦を集中させる編成や多弾頭型機雷などの新兵器を準備していたことを考えると、かなりの早い段階で幻炎作戦の内容が漏れていたという結論になった。つまり、前もって、情報が漏れたということは、星界軍の上層部、しかも軍令本部だけではなく、情報局の中に諜報員がいる可能性が大きいということだった。そして、アルネージュに言い渡されたのは、その情報を流している諜報員もしくは、組織を捕らえるまたは、潰すことだった。

 

 

「カシュナンシュ大提督、それは、かなりのやっかいなものね。それで、私に頼むだけじゃないでしょう。あなたなら、もう一つ上の段階の策があるはずですよね」長年のこの上司との付き合いから察するアルネージュ

 

 

 

「さすがといっておく。君の言うとおり、今回はなるべく、少ない人数でことを進めたい。それでだ。君から信用できるものを情報局員から一人選びたまえ。あと二人は、紋章院の連中と組んで4人で基本的には任務を行うことになっている。」

 

「なんですって。紋章院、あのコウモリ達と組むの。まっぴらだわ。あの連中と来たら、無能で怠惰でおまけに口うるさいやつら、ばかりよ。」

 

 

紋章院の紋章は、コウモリのデザインがのっていて、帝国の国内の闇の中を活動することから、情報局では、コウモリの連中といえば、紋章院の諜報員や捜査員を示すものだった。

 

「異論はなしだ。これは、決定事項であるし、命令だ。それに、紋章院のカリュー長官もやっと、私の借りが返せるとはりきっているんだ。彼女の行為を無に出きるはずはない」

 

 

「まったく、なんてことなの。最悪の任務だわ。もっとも、そのカリュー長官もカシュナンシュ大提督に借りなんてあったら、さっさと返したくなるのもわかるけど、果たして、彼らが役に立つかわかったものじゃない。とにかく、了解です。」しぶしぶ了承するアルネージュ

 

 

「そうか、それは、よかった。ところで、君はこの話を聞いたとき、誰を選ぶ気なのかい?早速、手配したいのだがね。」

 

 

「フォシュデール千翔長。私の同期です。まぁ、私が准提督に出世したから、今回は下についてもらうけど、彼なら信用できますし、しっかりと補佐できるでしょう。」

 

 

「そうか、わかった。早速、手配しよう。そうだ、言い忘れたが、あと5分後に、紋章院の助っ人がそっちへ、行く。カリュー長官が言うには、極めて優秀な人物と聞いた。あとは、その人物と打ち合わせをしてくれ。じゃぁ、まかせた。」

 

楽しそうに言って、カシュナンシュの通信は切れた。

 

 

「カシュナンシュ大提督、ちょっと、待ってください。まだ、準備が…たく、何て嫌な上司かしら。とにかく、仮想窓を閉じて、髪が乱れていないか、チェックしないと。」

鏡を見ながら手櫛を使い、蒼紫の髪をアルネージュは整えた。

 

 

5分後、第10資料室の室外通信機から呼び出し音がなり、声が聞こえた。

 

 

「シュリル主計後衛翔士です。紋章院のカリュー長官に指示されてここにきましたアルネージュ准提督はいらっしゃいますか?」

 

 

「シュリル…どこかで、聞いたことがあるわ。まさか…。わかったわ。今、開けるわ」

そういって、クリューノで操作して部屋の扉をアルネージュは開けた。

 

 

そして、入ってきた主計科翔士を見たとき、アルネージュは、驚きと共に自分の嫌な予感が的中して、ますます、げんなりした。

 

 

「アルネージュ准提督、シュリル・ウェフ=キルヒム・ダリシュ主計後衛翔士です。今後、一緒に特別任務を行うのでよろしくお願いします。」いつもの穏やかな笑みを浮かべるダリシュ

 

 

「シュリル主計後衛翔士、いえ、『青の牙』のリーダーのヘルマスター、あなたがどうして、ここにいるの?紋章院では、一番の権限を持っているのは、あなたじゃないの。」

 

「そうですね。ただ、名目上の上司は、カリュー長官なんですけど、彼女に今回の任務について相談されたのです。それで、僕が志願したという訳です。准提督閣下。」

 

「そうなの。でも、あなたの…『青の牙』のお仕事は、畑が違うのじゃないの。これは、どっちかというと紋章院の他の諜報員や工作員、あるいは、情報局員の仕事に入ると思うけど、あなたにできるかしら。」挑発的な態度をとるアルネージュ

 

 

「そうですね。まぁ、大丈夫だと思います。確かに『青の牙』の仕事とは多少違いますが、経験もあります。それに、僕が志願したのは、まだ、帝国内にある陰謀の炎を小さい灯火のうちに消した方がいいと思いましてね。まぁ、これも戦訓ですから。」

 

「戦訓…何のことよ。とにかく、私が今回は指揮をとるのよ。いい、わかった。いくらあなたが、あの『青の牙』のヘルマスターとはいえ、私も長年情報局員としての経験があるわ。若いあなたに負けるつもりはないの。あなたの修技館時代ではあっさりとやられたのは、カシュナンシュ大提督のせいであって、私が失敗したわけではないわ。覚えておいて。」

どうやら、アルネージュは、以前のことについて根に持っていた。

 

 

「わかっています。アルネージュ閣下。それと戦訓というのは、『サタン事変』のことですけど、たぶん、あなたなら知っていると思います。」

 

 

「サタン事変?…ああ、数年前に起きた事変ね。私も名前だけきいたことがある。なんでも、思考結晶の一部が意思を持ち、暴走して、帝国に叛旗を翻したという話ね。詳しいことは、わからない。この件に関しては、皇帝のみが閲覧できるカルース級Y資料ですものね。情報局のデータバンクにも載っていないわ。」

 

 

 

「ええ、そうです。詳しいことは、この記憶片の僕の『青の牙』での履歴を渡しておくので、見ていてください。」ポケットから記憶片を渡すダリシュ

 

 

「あなたの履歴?そういうことね。でも、ヘルマスターの履歴なんて帝国でも秘匿中の秘匿よ。カシュナンシュ大提督でさえ、見られないものよ。そんなものを私に見せていいの?」

受け取るアルネージュ

 

「今度の任務は帝国に巣食う獅子身中の虫を駆除することですよね。そのためには、まず、僕らが互いを信用しなくてはなりません。疑いあって、行動しても無意味ですから。誰が敵であるかを見つけるには、まず、信頼できる仲間が結束しないといけないと思います。」

 

 

「なるほど、確かにあなたの言うことも一理あるわ。でも、あなた、思ったより協力的なのね。カシュナンシュ大提督がよこした紋章院の連中なんて、想像するだけで嫌だったけど、すこしは、まともそうね。」

 

 

「少しは…ですか?こう見えてもけっこう、僕は気を使うタイプの人間です。部下にもなるべく、気分がよくなるような仕事環境を目指しているつもりです。それに任務が、アーヴの地獄に送ることや平面宇宙航行船を作った地上人の死刑執行という殺伐したものなのです。だからこそ、上司と部下の関係が良好でなくてはならいと僕なりに考えています」

 

 

「へー、そんな事を言うアーヴなんて、はじめて見た。気を使うということ自体少ないのに、部下にねぇ。本当にあなた、『青の牙』のリーダーなの?」不思議そうにアルネージュは見つめた。

 

 

「ええ、そうです。とりあえず、資料を見てくれたらわかります。ところで、このウイクルモン産のハーブ茶をいかがですか?確か、アルネージュ准提督の好みにあうと思います。」

ダリシュは、手際よくお茶の準備をした。

 

 

「あら、ありがとう。用意がいいのね。まぁ、ヘルマスターなら私の好みを知っていても当然ね。…これは、なかなか上手ね。こんな特技があるとはね。意外ね。」ダリシュのいれたハーブ茶に満足するアルネージュ

 

 

「お気に召して嬉しいです。アルネージュ准提督。一応、マロンケーキも用意しました。確か、これも大好物ですよね。それと、僕の手作りです。」

 

 

「ふーん、手作りね。毒でも入っていないかしら。」そういって、ケーキを見つめながら一口食べるアルネージュ

 

 

ダリシュは、その様子を穏やかな微笑を浮かべて眺めていた。

 

 

「こ、これは、美味しい。こんな美味しいマロンケーキは初めてよ。あなた、こんな特技があるの?ヘルマスターというのは、何でもできるわね」

アルネージュは嬉しそうにマロンケーキを口いっぱいに頬張っていた。

 

 

「お褒めを預かり光栄です。実は言うと、この御菓子も今回の任務を一緒に手伝ってもらう人に教えてもらったのです。僕の『青の牙』からもう一人、この任務に参加します。そして、情報局からはアルネージュ准提督ともう一人の計4人で任務を行うようにとカシュナンシュ長官から聞きました。」

楽しそうに言うダリシュ

 

 

「そういうことになっているわね。ところで、もう一人の方は誰なの?調べておくわ。」そういって、思考結晶の端末を操作するアルネージュ

 

 

「アイリーフ・ウェフ=ケレス・ティアラというのが僕と一緒に参加する人の名前です。星界軍では軍医科翔士でした。確か、予備役扱いでは軍医百翔長だと思います。まぁ、僕らの仲間内では、『翡翠の策士』と言われています。」ますます穏やかな笑みを浮かべるダリシュ

 

 

「『翡翠の策士』ね。たいそうな称号ね。まぁ、『青の牙』のメンバーなんでしょうけど、調べてみるわ。それと、私の選んだ情報局員はフォシュデール千翔長よ。あなたなら、資料は見せなくても情報を集めるのは、簡単でしょう。」少し嫌味をこめていうアルネージュ

 

 

「そうですね。そちらの方は大丈夫です。さてと、そろそろ挨拶も済んだことですし、任務をすすめようと思います。」瞳に真剣な色を見せるダリシュ

 

 

「そうね。まぁ、カシュナンシュ大提督の話からすると、幻炎作戦がいつ、どこで敵に情報が伝わったのか、そして、それをやった犯人を捕まえる、もしくは、それに関係する組織を潰すのが目的よ。ふー、考えてみるとけっこう、しんどい仕事ね。」あらため、任務の重要さを身にしみるアルネージュ

 

 

「そうですね。それで、どこから手をつけます。まぁ、マニュアルどおりでやれば、星界軍の作戦局あたりからですけどね。とりあえず、その打ち合わせをしましょうか。」

そういって、ダリシュが端末を動かして、仮想窓を開いた。

 

 

アルネージュとダリシュは、まず、どのルートで情報を漏れたのかを話し合った。

一番、考えられるのは、軍令本部の作戦局からというのがアルネージュの意見だった。

それに対して、ダリシュは作戦局では、作戦を練ることはあっても、決定権はとぼしい。軍令本部のもっと上層部、もしくは情報局や軍以外の組織にまでいると考えていた。

だが、どっちにしても、その捜査する量は膨大であり、かなり時間と労力が必要だと二人は感じた。

そこで、アルネージュが違う側面からダリシュに提案した。手に入れた情報をどうやって、三ヶ国連合へ送ったかということだった。平面宇宙がある限り、たとえ、境界線で小競り合いをしていたとしても、敵の艦隊に情報を伝えるのは、難しい。特に戦闘中では、渡す方も渡される方も物理的には難しいし、情報量の少ない泡間通信では、詳しいところまで伝えられない。とにかくリスクも制限もかなり多いことがわかった。

それに対して、ダリシュは明快な答えを用意していた。

 

 

「一応、二つほど方法はあります。一つは、強行偵察をする艦隊に諜報員をもぐりこませていて、敵の門を偵察して通常宇宙に入ったときに、救命夾を事故や操作ミスと偽って放出するのです。そして、強行偵察なら情報が入ったらこっちの艦隊はすぐに戻らなければなりません。星界軍が戻った後に、その救命夾を回収して記憶片や思考結晶を手に入れればいいのです。」穏やかに話すダリシュ

 

 

「なるほどね。その手があったわね。それは、調べてみる価値はありそうね。幻炎作戦の前に強行偵察をした艦隊で救命夾の事故や操作ミスをしたなら、情報がのっているはずだと思うわ。ところで、もう一つの方法は何かしら?」ダリシュの回答に感心するアルネージュ

 

 

「こっちの方がより確実でしょうね。帝国は、今外交を結んでいる国が一つだけあります。もちろん、細々ですが、その国とも交易がある。交易品の中に秘密情報や特殊工作員を忍ばしても、戦争状態で他の国に目が向いている状況では監視の目が甘くなるということでたやすく情報が渡ることができるのです。」確信めいた表情をするダリシュ

 

 

「なるほど…。ハニア連邦ね。確かに中立とはいえ、あの国はノヴァシチリア条約の批准国で4ヶ国連合の一翼ね。わかった、それについても調べてみる価値がありそうね。さすが、『青の牙』のリーダーね。」

 

 

「ありがとうございます。それでは、アルネージュ准提督はそっち方面で調べてください。次の作戦会議までにある程度まとめてくれるとありがたいです。僕は、ちょっと宰相府を調べたいと思います。気になることがありますので。」不敵な笑みをするダリシュ

 

 

「宰相府?あの官僚組織が怪しいの?それは、初耳だわ…、まぁ、いいわ。次の会議までお願いする。ところで、一つ質問していいかしら?」探るような目でアルネージュはダリシュを見た。

 

 

「どうぞ。」

 

「今回の任務のことなんだけど、あなたは、どれくらい重要だと思う?あるいは、その危険性についてはどう思うの?」

 

 

「そうですね。僕がヘルマスターの仕事を父に代行させてまでするくらい重要であり、危険な任務だと思います。」穏やかな笑みを浮かべるダリシュ

 

 

「…………なるほどね。わかったわ。そうだ。次の会議ではあなたのパートナーつれてくるんでしょうね。私もフォシュデール千翔長を首に縄をかけてでも連れてくるから。」少し苦笑しながら答えるアルネージュ

 

 

「そうですか。僕も本人と会いたいのでお願いします。もちろん、ティアラさんもつれてきます。それでは、場所はそちらの指定でいいです。あとで、連絡ください。」

 

 

そういって、ダリシュは敬礼して、その部屋から去っていった。

 

一人残されたアルネージュは、思った。

 

 

「(…あのヘルマスターである青年が自分の家業を休んでまで、専念したい任務か。なんだか、とてつもないことにまきこまれそうね。)」

 

 

後に、ダリシュの資料を見た後、アルネージュは、その予感が確かなものだと確信することになった。彼の経歴がそれをものがたっていたのであった。

 




★原作設定(ウィキペディア抜粋)

人類が、太陽から0.3光年離れたところに発見した「ユアノン」なる素粒子を利用した恒星間宇宙船を開発し、惑星改造により太陽系外に居住惑星を拡大し始めて何世紀も経った頃。

ハイド星系・惑星マーティンの政府主席の息子ジント・リンが幼少の頃、彼の故郷は「アーヴによる人類帝国」なる星間帝国の大艦隊によって侵略を受けた。彼の父ロック・リンは降伏と引きかえに領主の称号を得、そのためジント自身も帝国貴族の一員となる。それから7年後、ハイド伯爵公子となったジントは、皇帝の孫娘ラフィールと運命的な出会いをする。その時からジントは帝国貴族として生きていく事を決意する。

アーヴとよばれる遺伝子改造によって生まれた架空の種族は、宇宙の人類世界の半分弱(2兆人のうち9000億人)を支配している。アーヴは後述のごとく日本文化を継承する種族であり、帝政をとる。他の半分は現在の国家に近く民主政体をとっている。これら民主国家がアーヴによる人類帝国の伸張に恐れをなし、侵略戦争をしかけるというのが物語の背景となっている。

アーヴはホモ・サピエンスと異なる遺伝的特徴、美貌・不老や空識覚をもつにとどまらず、宇宙空間を旅する船舶、あるいは宇宙に浮かぶ都市や施設など宇宙空間で暮らすことを常とすることでも、人類一般と異なる。このアーヴという種族の設定のみならず、超光速航行を可能にするために別の宇宙である「平面宇宙」を移動する、平面宇宙航法と呼ばれる恒星間航行や、アーヴ語と呼ばれるアーヴ独特の言語体系などの設定も、星界シリーズの大きな特徴となっている。

日本神話を世界設定の背景にしていることも特徴的で、例えば八頸竜「ガフトノーシュ」は「八俣大蛇(ヤマタノオロチ)」、金色鴉「ガサルス」は「八咫烏(ヤタガラス)」、皇族「アブリアル」は「天照(アマテラス)」、帝都「ラクファカール」は「高天原(タカマガハラ)」であり、また「帝国(フリューバル)」は星々の集合ということで「御統(ミスマル)」の語形変化とされる。


星界シリーズの超光速航法は、通常宇宙空間から「門」を通じて「平面宇宙」という別の宇宙空間を経由して、再び「門」をくぐって通常宇宙空間へと戻るという方式である。

他のスペースオペラと異なる特徴は、別の宇宙空間である「平面宇宙」の設定と描写が詳細であり、「平面宇宙」の通過にはそれなりに時間を要すること、さらにはそこでの宇宙戦闘艦同士の戦闘があり、戦略があることである。恒星間の移動は全て「平面宇宙」を経由することから、宇宙地図・星間国家の勢力図は、平面宇宙上の地図で表される。

この世界には、かつては恒星系ごとに独立した数百を越える国家が存在したようであるが、長年の間に侵略と併合が進み、現在は「アーヴによる人類帝国(フリューバル・グレール・ゴル・バーリ)」、通称「帝国(フリューバル)」を含めて5か国しか存在しない。

帝国は人類宇宙の約半分を支配し、その交易により莫大な富を得、超大規模の星界軍(ラブール)を維持している。というよりも、星界軍が帝国の政治、行政の多くを動かしており、事実上帝国の基盤となっている。

形式上は皇帝(スピュネージュ)が帝国全体を統治しているが、その支配は緩やかなものであり、地上世界(ナヘーヌ:有人惑星)では現地人からなる領民政府(セメイ・ソス)が各惑星の統治を行い、帝国に対しては領民政府の代表である領民代表(セーフ・ソス)が、帝国貴族である領主(ファピュート)と各種の交渉を行う(領民政府の統治権は大気圏外には及ばない。したがって、複数の有人惑星を持つ星系には同数の領民政府がある)。

このように、帝国は地上世界や領民(ソス)に対して直接関与せず、地上世界で起きていることに通常はまったく関心を払わない。領民は、帝国臣民としての自覚や忠誠を期待されてはおらず、帝国の支配に反対することすら禁止されていない。

人類宇宙の残りの半分は、一部は遺伝子操作種族もいるものの、普通の人類からなる「人類統合体」「ハニア連邦」「拡大アルコント共和国」「人民主権星系連合体」が、離合集散しながら統治している。彼らは一般に、アーヴの帝政に嫌悪感を持っており、民主主義国家を標榜している。「4ヵ国連合(ノヴァシチリア条約機構)」という軍事同盟を結んでアーヴによる人類帝国と敵対しているが、各国の帝国に対する態度にはかなり温度差がある。

戦いは、帝国以外では最も強大にして敵愾心の強い、人類統合体の大規模な先制攻撃から始まった。帝国はこれに対し、断固たる報復で応えんとする。


種族としてのアーヴ[編集]

小説における一般的な“アーヴ”という表現は、こちらを指す。人間(ホモ・サピエンス)を宇宙環境に合せて遺伝子改造(デザイナーベビー)したもの。

起源[編集]

小説の設定では、日本と推定される島国から独立した小惑星帯上の軌道都市で遺伝子改造により開発された人工生命体がその起源である。本来は太陽系外に発見された惑星を探査するための生体機械として開発され、人権を与えられなかった。青系の髪はその名残である。実際作られたのは30体だが、一体は事故で失われ、29体で宇宙へ旅立った。

核融合推進宇宙船により太陽系を離脱した後、彼らはユアノン(後の「閉じた門」)を発見・回収し、ユアノン推進型亜光速宇宙船に改造。それと共に軌道都市からの離脱・自立を宣言して目的の惑星で宇宙船を都市とも言える大型のものに改造(アブリアルと命名―旧帝都ラクファカールの中核)、武器を生産し、勢力を拡大。その間に宇宙船の艦長は船王として彼らの頂点に立った(後の皇族アブリアル)。そして、29体の子孫たちは各部門の船員として徒弟制度、後に世襲制度により血脈を強化した(後の帝国貴族)。

離脱から約200年後、懲罰を恐れる余り、彼らは大艦隊によりかつての故郷である軌道都市を滅ぼしてしまう。彼らが「原罪」と呼び、後悔することとなったこの事件により、このときまでは「同胞(カルサール)」と自称していた彼らはアーヴと名乗り、出自と原罪を忘れないために青系の髪を保持し、軌道都市の文化の保存・継承を自らの目的とした(その間に資料や言葉は大きく変容してしまったが)。その後、アーヴは武装商人として他星系との交易により情報を得、自給自足により勢力を拡大した(空間放浪時代)。

その後、平面宇宙航法を発見したアーヴは技術と既得権益である恒星間貿易の独占のため、建国帝アブリアル・ドゥネーにより「アーヴによる人類帝国」建国を宣言(この時を以って帝国暦元年とする)、他の星間国家を侵略・併合しながら勢力拡大を続け、今に至っている。地上人をアーヴとして認めて以降、アーヴの祖先に当たる29体の子孫は皇族アブリアル以下アーヴ根源二九氏族と名乗っている(アブリアルを除いてアーヴ根源二八氏族とも言う)。

外見[編集]

髪は緑から紫と幅があるが、おおむね青みを帯びている。容姿は美形である。

さらに、氏族の外見的特徴である「家徴(ワリート)」が、遺伝子レベルで刻み込まれている。先の尖った「アブリアルの耳(ヌイ・アブリアルサル)」、紅玉のような「スポールの紅瞳(キレーフ・ピアナ・スポル)」などが有名な家徴として知られている。

空識覚[編集]

「空識覚(フロクラジュ)」とは、電波探知による空間把握能力である。

生体器官としては、額にある菱形で真珠色の器官「空識覚器官(フローシュ)」と、額の奥、脳の前頭葉に位置する「航法野(リルビドー)」と呼ばれる領域で構成される。ただし、これらの生体器官だけではほとんど用をなさず、空間情報を収集し空識覚器官に送り込むための人工器具である「頭環(アルファ)」を必要とする。

空識覚器官は、1億以上の微細な眼の集合体で構成された感覚受容器官であり、本人用に調整された頭環がとらえた周囲の空間の情報を受け取り、それを航法野に伝える。

航法野は、空識覚器官から送られた情報を受容・再構成し、周囲の空間を把握する。また、宇宙船操縦のための運動も司るものとされている。

この能力のため、頭環を装着したアーヴ種族に対しては、後方や上方からであっても、気付かれないように近付いたり尾行するのは非常に困難である。

空識覚は、艦艇の操縦の際に、最もその役割を発揮する。小型艦艇の艦長や大型艦の航法士といった艦艇を直接操縦する者は、頭環の側部に付属する鎖状の器具である「接続纓(キセーグ)」先端の菱形の部分を操縦席の接続スリットに挿入することで、艦艇周囲の空間の状況を空識覚で直接認識することができる(艦外空識覚と呼ぶ)。操縦者自身が艦艇の生体レーダーと全方位カメラになるようなものであり、艦外の状況に応じた迅速な操艦を可能とするが、戦闘などにより艦艇が損傷した場合は、その被害を航法野で直接知覚することになり、意識が遠のくほどのショックを受けることがある。

なお、空識覚以外の一般人と同じ五感についても、聴覚においては絶対音感を持ち、その他の感覚も鋭敏に調整されている。

アーヴは空識覚を、自分たちと地上世界出身者とで一線を画する存在と考えており、地上世界出身者が遺伝子調整により空識覚器官を持つことを許さず、持ったものは国民にすらなれない(それ以外の青髪、不老長命などの遺伝子調整は認められている)。

宿命遺伝子[編集]

アーヴには皇帝に対する絶対的な心服や忠誠という概念が無く、しばしば皇帝や皇族は揶揄の対象となる。ある皇帝が不敬罪を作ったが、実際に運用するとアーヴ貴族の大半を逮捕しなければならなくなるため死文化しているというエピソードもある。

その一方で組織・帝国への反抗が起きたことも無く、これはアーヴに植え付けられた宿命遺伝子によるものである。このためアーヴの歴史に(地上人主体の地上軍による反乱を除き)内乱はない。また、皇族同士での血生臭い権力闘争や、有力貴族による簒奪・クーデターが試みられた例もない。実際に皇帝ないし船王をアーヴが抹殺した(しようとした)例は、アーヴ黎明期に初代スポールらが、初代船王である"名も無きアブリアル"を殺害した例が記録されるのみであるが、これはその"名も無きアブリアル"が、自ら機能停止を望んだが故のことである。

クー・ドゥリン(会社の経営権を巡って父親を叔父に殺害された)などのように、こうしたアーヴの側面を非人間的で、アーヴが人間ではない証拠だと主張する者もいる。しかしながら、知性を持った生命体にそのような絶対服従を遺伝的に植え付ける事は不可能であり、実際の宿命遺伝子の効果としては、仲間への強い帰属意識を持たせる事でしかない。そして元来は宿命遺伝子は、アーヴに母都市への服従を強いる目的で作られたものである。しかし宿命遺伝子による「仲間への強い帰属意識」は、母都市に対してではなく、むしろアーヴの集団に対して向けられるようになってしまった。結果としてアーヴは母都市と決別し、ついには懲罰を恐れるあまり母都市を滅ぼすに至る。しかしその事はアーヴにとって深刻な種族的トラウマとして、長い年月を経た後も彼らに残されている。また上述の通り、少なくともアーヴの間での権力闘争や叛乱を阻止する効果はあったようである。

一方、アーヴを生み出した母都市は、その後、アーヴ同様の作業生体を作り出した様子である。その作業生体に植え付けられた宿命遺伝子は、アーヴのそれよりも母都市に対する忠誠を喚起する効果は高かったようであり、彼らはすでに生命が滅びた太陽系に帰還して自らを滅ぼした。

生誕と寿命[編集]

アーヴの生殖は主に人工授精によって行われ、その後、親の手による遺伝子調整がなされ、人工子宮で育てられる。なお、基本的には愛する異性に遺伝子を提供してもらって子供を作るが、他のパターンも存在する。アーヴ社会には結婚制度はなく、親と呼ぶ相手は1人だけである。

もちろん、遺伝病などの不都合は、遺伝子調整の時点で全て排除される。特に、地上人と生物学的なアーヴとの間では、通常の受精だけでは深刻な遺伝病がかなりの確率で発生するため、遺伝子調整は必須である(アーヴ同士であれば、全く遺伝子調整をしなかった例もある。ラフィールなど)。

誕生後、しばらくはホモ・サピエンスと同様の成長をするが、青年期に達した後は肉体的に老化することはなく、若々しい姿を保つ。寿命は平均230年から250年である(脳細胞に限界が来たら呼吸が止まるよう遺伝子操作されている)。

このように、地上人であるホモ・サピエンスとは違う種として設定されているが、作中のアーヴ自身のコメントでは「わたしたちもまた地球の子です。ただちょっと遺伝子をいじってあるだけ」「我らは進化したわけではない」とあり、アーヴが自らをホモ・サピエンスと違う種として認識していない可能性も示唆されている。ただ、アーヴの中にも自らが人間なのか半信半疑の人物もおり、その事をテーマとした短編も描かれている。

アーヴの地獄[編集]

アーヴは人に究極の苦痛を与えるために科学の粋を集めた施設、アーヴの地獄を持っており、アーヴに不当な危害を加えた者に復讐する目的でこれを用いている。第11代皇帝ドゥグナーの命令によって建設された。

復讐は必ず果すとの悪評と復讐の残忍性こそがアーヴの安全を守るための抑止力となると考えられており、復讐は彼らの存在理由の1つともなっている。

もっとも、建設を命じられた技術者が名前を記録に残さないことを条件として作った、あるいは実際にどのような苦痛が与えられるのかは不明という事もあり、単なるブラフである可能性も示唆されている。

性格[編集]

生物学的なアーヴは、自らを「星たちの眷属(カルサール・グリューラク)」と呼び、星を渡る交易と戦闘を最大の生きがいとしている(モンゴル帝国と類似している)。また、性格は「アーヴ、その性、傲慢にして無謀」と言われている。

そのほとんどが軍役に就くことから官僚になる生物学的なアーヴは少なく、帝都ラクファカールの行政機関は前宰相シドリュアによれば「地上人の楽園」である。

階級としてのアーヴ[編集]

小説の設定では、アーヴ帝国の法ではアーヴは皇族(ファサンゼール)・貴族(スィーフ)・士族(リューク)を総称する名称でもある。貴族・士族には、帝国建国以前から存在したものと、戦争等の功績により叙されたものの2種類がある。アーヴは、アーヴ帝国創建まもなく地上世界出身者(ナヘヌード)をアーヴとして受け入れるようになり(正確には帝国創建直前に1名を受け入れている。『星界の断章III 来遊』より)、したがってこの意味でのアーヴは種族としてのアーヴと完全に同一ではない。ただし地上世界出身者のアーヴの子孫は、遺伝子改造を受けて生物学的にもアーヴとなるため、世襲のアーヴは全てが種族としてのアーヴである。一方、アーヴとしての階級を一時のものとして、再び地上世界に戻る者もいる(詳細については帝国(フリューバル)の社会構成を参照)。

なお、貴族では地上世界出身者であっても頭環を着用するが、当然ながら地上人に空識覚はないので、この場合の頭環はダミーである。

帝都、星界軍など帝国のシステム全体が生粋のアーヴ中心に運営されていて地上世界出身者には不便なこと、また老化しないことなどから、前宰相シドリュアやフェブダーシュ前男爵スルーフ、ジントなどの地上世界出身者のアーヴの中には生粋のアーヴに対して内心複雑な感情を抱く者もいる。実際、帝国初期に勃発したジムリュアの乱の主導者ジムリュアは領民から地上軍元帥にまで上り詰めたものの、空識覚を除いてほぼアーヴと同じ遺伝子調整を受けた地上世界出身者だったこと、自分たち地上世界出身者が帝国内では圧倒的に少数であることなどからアーヴに対する劣等感が高じてついに蜂起するに至った。

名前[編集]

アーヴの名前は、氏姓(フィーズ)・家姓・個人名で表され、皇族・貴族は家姓と個人名の間に称号が入る(上記リンク参照)。なお、家姓は姓称号(サペーヌ)およびアーヴとなった初代当主の名前がアーヴ語で生格に変化したもの。地上人がアーヴになる場合は個人名もアーヴ語式に変化する。このとき、基本としては元の発音に忠実になるように綴りが変化するが、末尾に主格語尾が付くときはその発音も変化する。

例を挙げると、ハイド伯爵家創設者ロック・リン(マーティン語:Rock Lynn)の場合、姓であるリン(マ:Lynn)の綴りがアーヴ語ではLinnになる。名前はロック(マ:Rock)からローシュ(アーヴ語:Roch)に変わり、その正格はロク(Rocr)となる。彼は新興貴族なので姓称号はスューヌとなる。つまり、彼の正式な名はリン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵(ドリュー・ハイダル)・ローシュ(ア:Linn ssynec Rocr Dreur Haïder Roch)となる。

また、個人名(本人だけでなく、親の名を用いる場合もある)から氏姓を作る場合もあり、個人名に「〜リュア」(ryac 「〜の後裔」の意)を付けて氏姓とする。例としては、アトスリュア(Atosryac、フェブダーシュ男爵家)、シドリュア(元・帝国宰相)などがある。彼らの家の創始者は共に地上人だが、エクリュア(Aicryac、帝国創建前に創氏の士族出身)のように生粋のアーヴの氏姓にもこの用法は見られる。

通常は、「氏族名・姓称号=姓・(王名または貴族名・)名」という構成であると理解すればよい。

具体例を挙げると、例えばラフィールの場合、

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵(ベール・パリュン)・ラフィール (Ablïarsec néïc Dubreuscr Bœrh Parhynr Lamhirh)

であり、順に、アブリアル氏族、皇族、クリューヴ王家、パリューニュ領主である子爵のラフィール、という意味になる。王家の家姓についての詳細は不明。

士族では、王名や貴族名はない。例えばサムソンの場合、

サムソン・ボルジュ=ティルサル・ティルース (Samsonn Borgh Tiruser Tirusec)

であり、順に、サムソン氏族、帝国創建後に創氏の士族、ティルサル家のティルース、となる。

本来、個人を特定するのは末尾部分であるが、作品中で省略して呼ぶ場合は、全てアブリアル氏族である皇族については名または尊称(皇帝陛下、王女殿下、○○王殿下など)で、貴族や士族は氏族名で呼ばれることが多い。また、軍の位階で呼ぶ場合は、全て氏族名を用いる(アブリアル十翔長、リン主計列翼翔士など)。

頭環[編集]

アーヴの地位にある者(皇族・貴族・士族)は、全て頭環(アルファ)を着用する。これは、生物学的なアーヴにおいては、上記の空識覚の説明にあるように、生体そのものと密接に関連する情報収集器具であり、本人用に調整されたものを幼少時から着用する。ジントやサムソンなどの地上出身者においては装身具に過ぎないが、その身分などを示すものであるため、軍務中や公の場では着用が義務付けられている。

なお、アーヴ語による呼称「アルファ」は「頭環」の和語読み「あたまわ」の語形変化とされる。

頭環は、用途により以下の3つに大別される。
軍用頭環星界軍で軍務中の翔士(翔士修技生を含む)が必ず着用する。華美な装飾はなく、シンプルなものである。形状により、大まかな階級を示す。軍用頭環には、副百翔長と百翔長に着用が許される「片翼頭環(アルファ・クラブラル)」、千翔長以上に着用が許される「双翼頭環(アルファ・マブラル)」などがある。これらは、多くの若い翔士たちにとっては憧れであり、目標ともなっている。式典用頭環軍士としてではなく、皇族や貴族として各種式典や公式会見、調印式などの儀礼的な場に出席する時に着用する。宝石や貴金属が使われたり、緻密な彫刻が施されるなど、身分にふさわしい装身具の意味もある。中心には宝石のような外観の思考結晶(ダテューキル)がはめ込まれており、身分によってその色が決まっている(例を挙げれば、ジントのような新興貴族は緑色)。私用頭環空識覚を持つ生物学的なアーヴは、軍務や公務にない時(軍士であれば休暇中など、また幼少時や退役後など軍士ではない者)でも、ほとんどの場合は感覚器の一部として頭環を必要とする。頭環をはずすのは入浴時や就寝時ぐらいだが、これらの時間ですら頭環を着用し続ける者も多い。つまり、生物学的なアーヴにとって頭環は幼少時から死の間際まで、ほぼ一生の必需品である。このため、ほとんどの生物学的なアーヴは軍用でも式典用でもない「私用頭環」を持っている。なお、プライベートタイムでも非番中の軍士であれば軍用頭環を、また休暇中や軍士でない者でも身分を示す必要がある場面(特に皇族や貴族)では、式典用頭環を着用することもある。私用頭環のデザインは、軍用や式典用の頭環と類似していなければ、自由とされているようである。
紋章[編集]

アーヴはすべて家の紋章(家紋)を持つ。これは、帝国建国と共にガフトノーシュ(八岐大蛇)が国章となり、各星系に封じられた貴族が紋章を持つようになり、さらに士族も紋章を持つようになったのに伴い、紋章の国家管理が必要となったためである。各家の紋章は帝国紋章院(ガール・スカス)により管理されている。例を挙げると、スポール大公爵家のガサルス、ハイド伯爵家のレズワンなどがある。

これらのアーヴ身分には様々な特権と義務が伴うが、アーヴ籍からの離脱は少なくとも貴族・士族においては本人の自由に任される。なお、ホモ・サピエンス、つまり地上人がアーヴになった場合、子孫にその地位を継がせたければ、子供に遺伝子改造を受けさせて生物学的なアーヴとすることが義務付けられている。

文化[編集]

日本語に起源する人工言語・アーヴ語を母語とする。また、言語のみならず、日本に由来すると思われる様々な文化を持つ(箸、米酒、竹製の容器など)。料理は素材の味を生かすために薄い味付けを好む点が日本料理と共通するが、食材の一部に海亀や鶴などの21世紀初頭の地球では絶滅危惧種とされる生物が用いられており、食文化の変質が見られる。ちなみに食肉は培養肉、野菜は水耕栽培により生産されている。

物理単位(度量衡)も現代地球の国際単位系と基本的には[1]同様である。ただし基本単位がMKS系ではなくCGS系であり(これの理由は不明)、接頭辞はキロ・メガのような10の3乗・6乗ではなく日本語圏(すなわち万・億)ベースの10の4乗・8乗……という体系になっており、全てアーヴ語が設定されている[2]。暦については解説で「地球との絆をもっとも感じさせる」とある通り[3]、地球以外では本来特に意味を持たない「60秒 = 1分、60分 = 1時間、24時間 = 1日、365日 = 1年」という体系を維持している。しかしそれ以上の、たとえばうるう年などは無い。

家族制度は黎明期の宇宙船での各部署における徒弟制が元になっている。幼い頃の初等教育は専ら親が行い、読み書きなどを教えると共に家風(ジェデール:趣味、人格などの家系上の特徴。根源氏族のような古い家系は前述の宇宙船での担当業務に似た家風を持つ)の継承に努める。血統よりも家風を継承させることが重視されており、優秀な後継者を作るために自分の遺伝子情報を子供に使わない場合もある。また、両親という概念は持たず、1人の親のほかは遺伝子提供者と呼ばれる。

無宗教であるが、葬儀(遺体を宇宙に発射する)、「弔いの晩餐」(故人を記憶に留めるための晩餐)、「忘れじの広間」(戦死者など、帝国のために命を落とした者の名を柱に記して永久に記憶する場所)など、死者への畏敬の念は十分に持っており、霊魂などの概念も理解している(ただし、霊や霊魂については、概念が理解されているだけで信仰されている訳ではない)。

宇宙空間を生活の場とする星間種族を自認することから、地上世界に関しては(諸侯にとっての領地や交易の必要上などの例外はあるものの)興味を持たないことが良識とされる(ただし、ソバーシュなどの例外もある)。

なお、地上世界出身者のアーヴは、子供の段階からアーヴとしての教育を受けている訳ではないので、当然の帰結として種族としてのアーヴほどアーヴ文化を受容している訳ではない。公女時代のレトパーニュ大公爵ペネージュが家宰に対して「あなたが宗教を持っているとは知らなかった」と言う台詞があり、地上世界出身のアーヴには宗教を持つ者も珍しく無いようだ(もっとも当のレトパーニュ大公爵家の家宰は、徹底した無神論者であった)。

恋愛観[編集]

アーヴには制度としての結婚はなく、複数恋愛への禁忌もないが、恋愛感情は有しており、一般の人間と同じように男女で共同生活を送るものもいる。

ただ、彼らの恋愛は通常短期間で一気に燃え上がり跡形もなく燃え尽きる場合が多く、「超新星爆発のような恋」と表現することもある。

彼らは出会いを求めて帝都に集い、帝都ラクファカールは「愛の都」との異名も持つ。また、我が子を作るための遺伝子提供を願う行為(詳細は下記「アーヴの遺伝子改造について」を参照)は、アーヴにとって最も真剣な愛の告白であるとされている。

アーヴの恋愛が主に男女間によってなされるのは、単なる慣習であり、同性愛についてのタブーは存在しないようだ。人工交配のための遺伝子提供は同性であっても可能である。

もちろん上述のアーヴの恋愛観は、種族としてのアーヴのものであり、地上世界出身のアーヴはそれぞれの出自の地上世界の慣習に影響されていると思われるが、作中では未だ具体的描写は無い。

アーヴの女性においては、アーヴの男性どうしの恋愛を妄想するという、奇矯な趣味の持ち主がごく一部に存在するようである(ラフィールおよびスポール提督も、この奇矯な趣味の持ち主であるようだ)。そういった奇矯な趣味の持ち主のための祭典が年2回帝都ラクファカールで開催され、そこではこの時代には珍しくなった、参加者の手作りによる紙媒体の書籍が売買されている。

経済・産業[編集]

アーヴは平面宇宙航法の発見以前から巨大な宇宙船に乗って宇宙を放浪し、様々な地上世界を訪れ貿易を行っていた。帝国の建設後もアーヴの主な産業は貿易であり、星間交易によって得られる利益の独占こそがアーヴが帝国を築いた最大の目的ともいえる。アーヴ貴族は封じられた地上世界と他の星系との交易を独占する権利を持ち、帝国はその利益から税を徴収することで国家および星界軍が運営されている。また領地を持たない士族階級も宇宙船を帝国商船団より借りる権利を有し、貿易を行って利益を上げている。ただし、帝国への納税の義務を負っているのは領地を持つ貴族だけである。

一方、国民や領民と呼ばれる階級の人々(主に地上人)は、星間交易に従事する資格を持たない。貴族・士族身分は一般に世襲されるが、貴族の場合は帝国への義務(兵役・納税など)を果たさなければ身分を剥奪される。一方地上人出身者でも軍士や官僚として一定の功績があれば士族・貴族に出世でき、星間交易を行う事ができる。なお、星間航行の能力を持つ船は全て帝国の国有であり、たとえ大公爵や皇族といえども私有は認められていない。ただ、帝国から借り受ける事ができるだけである。ただし、古い船を軌道城館にする場合は、星系まで移動した後に時空泡発生機関(星間航行に不可欠な装置)を切り離して帝国へ返還する、という方法により購入することができる。

その他、無人惑星の鉱物資源採掘とそれを利用した工業製品の製造、反物質燃料の生産といった鉱工業も行われている。こうした天体も全て貴族の保有である。

アーヴの遺伝子改造について[編集]

帝国法は、アーヴ身分にある者が子女を産む時、守るべき遺伝配列を27000箇所に渡って定めている。その人工的起源により種族としてのアーヴは本来遺伝的に不安定であり、アーヴ同士の遺伝子交配は50人に1人の割合で致死遺伝子ないし先天的障害をもたらす危険を伴う。また個々のアーヴも自分の趣味・美意識・子女への希望をその塩基配列に反映させようとするため、アーヴにとって子女の遺伝子配列を設定することは普通である。とくに、家徴(ワリート)と呼ばれる一族共通の肉体的特徴(耳・目・髪など)は、その家を見分けるための重要な慣習である。

アーヴの交配は人工交配によることが普通だが、自然状態での受胎も行われる。ただし後者の場合でも遺伝子検査のため胎内から受精卵を外に出し、その後普通は人工子宮で誕生まで育成が行われる。また、ごく稀に「変わった体験をしてみたい」などの理由から遺伝子調整の終わった受精卵を女性の子宮に戻し、一般的な妊娠と自然分娩が行われる例もある。しかし、こういった行為はアーヴの基準から見るとかなりの変わり者と認識されている。

人工交配による遺伝子接合では、自分の遺伝子の複製・他人の遺伝子と自分の遺伝子の接合・他人の遺伝子の複製などさまざまな方法が取られる。他人の遺伝子をもらう場合、その相手は「愛する人」(ヨーフ(想人))が普通であるが、アーヴの恋愛観は非常に自由であり、相手が同性であったり、近親者であったり、複数人であったりすることは、アーヴにとっては奇異ではない。

人間以外の生物の遺伝子を接合することも技術的に可能であるが、上記のように多様な恋愛観を持つアーヴの倫理をもってしてもこれは変態行為とされており、法律でも禁止されている。

上述の通り、地上世界出身のアーヴも、そのアーヴとしての階級を世襲するためには、士族位ないし爵位を賜って以降に産まれる子女に対して遺伝子改造が義務付けられており、2代目以降は種族としてもアーヴの一員となる。ただし、叙される以前に産まれた子女に対しては、種族的な意味でのアーヴでなくとも士族位ないし爵位を相続することが認められている。

一例として親が叙爵される以前に産まれたジント(第2代ハイド伯爵)やフェブダーシュ前男爵スルーフ(第2代フェブダーシュ男爵)は遺伝的には地上人であるが、叙爵後に産まれたスルーフの子であるクロワールとロイは種族的アーヴである。
星界シリーズ最大の特徴が、この平面宇宙である。

平面宇宙での戦闘形態[編集]

平面宇宙とは、文字通り2次元の宇宙であり、通常宇宙(ダーズ:3次元)上にあるものが平面宇宙に入る際は、通常宇宙を切り取った「時空泡(フラサス)」を時空泡発生装置によって形成して、3次元を維持しなければならない。また、物理法則も通常宇宙とは異なる。時空泡の移動速度は、内部質量と反比例するなどである(このため、複数の艦艇が時空融合した時空泡で防御しつつ、攻撃に際しては「単艦時空泡」に時空分離して急速接近する戦術が用いられる)。電磁投射砲の砲弾も凝集光も時空泡外では存在できないため、平面宇宙戦闘は、敵味方の時空泡が重なった場合に起こる「時空融合(ゴール・プタロス)」によって発生する。そこでは3次元的な戦闘が行われる。ただし、時空泡発生機関を独自に持つ機雷を使用すれば、時空融合していない遠距離の敵艦を破壊することもできる。

艦隊同士の平面宇宙戦闘は、通常まず多数の機雷を搭載した戦列艦同士での撃ち合いに始まる。しかし、機雷は質量が大きく数が限られる上、防御機雷戦(機雷によって機雷を撃破する)や護衛艦による迎撃もある程度可能であるため、機雷のみで敵艦隊を全滅させることはかなり難しいようである。機雷戦の後、一方がダメージを受けるか機雷を撃ち尽くすなどして、満足に雷撃が行えない状態に陥ると、巡察艦もしくは突撃艦が敵時空泡と時空融合して戦闘をすることになる。戦列艦中心の部隊が巡察艦部隊による突撃を受けると、戦闘は一方的な展開となりやすく、これを蹂躙戦と呼ぶ。

上記の戦闘形式は大艦隊同士の戦闘形態であり、小規模な局地戦ではこの限りではない。例えば大質量の機雷を多数搭載する戦列艦には機動力が低いという弱点があり、強行偵察と奇襲を主な任務とする機動力重視の偵察分艦隊に含むことはできない。偵察分艦隊は戦列艦より機動力の高い巡察艦のみで編成され、敵偵察分艦隊の迎撃には主に突撃艦がその任に当たることとなる。平面宇宙での巡察艦と突撃艦の戦闘は、まず巡察艦が機雷を発射して突撃艦の数を減らし、その上で生き残った突撃艦と巡察艦が時空融合して戦う形となる。突撃艦は火力が弱く機雷攻撃にも弱いため、巡察艦を相手にする場合は数で圧倒しなければ勝利は難しい。もっとも、突撃艦にとっては、敵の巡察艦と時空融合する(いわば懐に飛び込む)までは難しいものの、いったん時空融合して時空泡内部での戦闘に持ち込むことができれば、機動力で巡察艦を翻弄しつつダメージを与えることが可能となるため、十分に勝機がある。作中で、人類統合体の駆逐宇宙艦(アーヴ帝国の突撃艦にあたる艦種)10隻がアーヴの巡察艦1隻(艦名『ゴースロス』)に辛勝した戦いを例に挙げると、時空泡内部での戦闘に持ち込むまでに6隻が失われたが、生き残った4隻が巡察艦を撃沈した(時空泡内部での戦闘で、さらに3隻が失われた)。

平面宇宙戦闘で一番問題となるのは、時空泡の中身は質量でしか判断できないことである。泡間通信ができない場合、時空泡の質量や配置から経験と勘と運に頼って、敵か味方か、また艦種は何かを判断するしかない。何が出てくるかは実際に時空融合してみないと分からないこと、そして時空泡内の質量にも限界があることで、少なくとも襲撃艦6隻程度の質量が限界のようである(厳密にどの程度かは不明)。もっとも、限界質量に関しては『戦旗III』にて明らかにされたため、それ以前の映像作品(特に『戦旗I』)との間に矛盾が発生している。なお、限界質量を超えると時空泡は分裂してしまうが、無規則に分裂するため、どのような時空泡ができるか予測できず危険である。

平面宇宙と通常宇宙[編集]

そもそも、人類が銀河文明を築き得たのは、平面宇宙の発見と、通常宇宙と平面宇宙を繋ぐ「門(ソード)」利用技術の確立によるものである。

通常宇宙と平面宇宙との位置関係は1対1ではない。平面宇宙は通常宇宙の投影ではなく、別個の宇宙である。両空間における位置関係は全くのランダムである。ただ、「第二形態ユアノン」または「開いた門」(単に「門」とも)と呼ばれる特異空間においては、平面宇宙と通常宇宙は1対1に対応している。ある門から平面宇宙に入って別の門から通常宇宙に出ると、光速以上の速さで移動したと同様の結果となる場合があり、このような「門」と平面宇宙を介した超光速移動のおかげで、人類は通常宇宙の物理法則から解放され、銀河文明を作りえたのである。

そもそもユアノンは、常に一定のエネルギーを放出し続ける特殊な素粒子として発見され、人類はこの素粒子が放出するエネルギーを利用する亜光速宇宙船を建造していた(ジントの故郷も、そうしたユアノン推進宇宙船によって植民された星の一つである)。この「第一形態ユアノン」はすなわち「閉じた門」であり、放出するエネルギーは平面宇宙から流入してくるものであった。

戦闘においても、当然「門」は重要な拠点であり、制圧対象である。例えば、機雷を大量に「門」に放てば、防御機雷戦ができない艦隊はなすすべがない。これは、通常宇宙から平面宇宙に機雷を撃つ場合(時空融合)も、その逆の場合(時空分離)も、真である。

平面宇宙の勢力図[編集]

通常宇宙の銀河系で中心部ほど星が濃密であるように、平面宇宙の「天川門群(ソードラシュ・エルークファル)」にも「中心円」と呼ばれる「門」が密集した領域が存在する。この領域は時空粒子流が激しく、アーヴといえども航行できない。また、時空粒子流は中心円から外側へ向かって流れるため、流れに逆らって進む時はその反対方向へ向かうのに比べて遅くなる。

中心円から離れると、「環(スペーシュ)」という門がある程度密集した同心円状の領域が飛び飛びに存在する。「アーヴによる人類帝国」を構成する八王国のうち7つと4ヵ国連合諸国はおおむね第1環から第7環までの「中央領域(ソール・バンダク)」に存在し、イリーシュ王国のみが第12環にある(第8環から第11環までにも、有人星系に通じる門が少数ながら散在する)。ジントのハイド星系が長らく帝国に発見されなかったのは、ハイド門が第12環の中でもイリーシュ門のほぼ反対側という「辺境」に存在するため、探査自体がほとんど行われなかったことによる。第12環から外側は門がほとんどないが、一部に門密度の高くなっている領域があると観測されていたため、遥か遠くに別の銀河系に由来する門群があると推定されているが、まだそこまで到達したものはいない。

帝都ラクファカールのあるアブリアル伯国には八つの門があるが、それぞれが平面宇宙側では八王国のどれか一つに通じている。このためにいわゆる「内線の利」を発揮することが可能だが、逆に帝都が陥落すれば一気に分断されてしまう。『紋章』では、人類統合体を主力とする連合艦隊が第12環に通じる2つの門からイリーシュ王国に侵攻し、帝都に通じるイリーシュ門へ向けて進撃した。

平面宇宙における勢力境界線は、かつて地球上にあった国境ほど明確なものではないが、便宜的にそれに準じて記した勢力図が『星界の戦旗I』の付録に示されている(第12環以外の「環」は省略)。7つの王国は4ヵ国の支配領域の隙間を埋めるように存在する。中でもラスィース王国とスュルグゼーデ王国は、人類統合体に楔を打ち込んだ状態になっており、『戦旗I』ではこの王国を出撃基地として攻撃を加えている。

図上では、クリューヴ王国だけがハニア連邦内に孤立している。ただ、ハニア連邦は他の三国全てと隣接しているものの、大戦初期に中立を宣言していたため、アーヴ側もクリューヴ王国方面への戦力増強は控えていた。しかし、この領域が実は重大な問題であったことが、『戦旗IV』の最後で語られた。

機雷と平面宇宙戦闘[編集]

星界シリーズにおける機雷は、我々の世界で海中に敷設する実在の兵器のようなものではなく、時空泡発生装置を持ち、敵艦隊に向けて高速で投射・誘導される、いわば「平面宇宙用ミサイル」とでもいうべき架空の兵器である。

通常のSF艦艇の主力兵器である、レールガン・荷電粒子砲といった兵器(無論、星界シリーズの艦艇でも装備しているが)は、平面宇宙では、時空融合しない限り意味を成さない。 敵の機雷攻撃に、味方の機雷をぶつけることで防御する防御機雷戦が必要なのは、そのためである。大量の敵機雷に時空融合されてから打ち落とすのでは、全てを打ち落とすことは不可能で、また打ち落とせたとしても時空泡内の質量が増して機動力が削がれ、艦隊運動に支障をきたし壊滅的被害を受ける。時として、数としては圧倒的に優勢な帝国星界軍艦隊が危機に陥るのは、補給不足や機動力重視の艦種構成ゆえの機雷の不足によるところが大きい。

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