星界の風章「陰謀」   作:いち領民

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星界の風章「陰謀」 第三章

情報局・特務艦隊旗艦<クールビルシュ>の作戦室に艦隊司令長官のヘルハウンズ提督とアルネージュ達は、集まっていた。

 

 

「それでアルネージュ准提督、どうして、直接、俺の艦隊に来たのか?あの件は、任せると一度は言ったと思ったが?」露骨に嫌そうな顔をするヘルハウンズ

 

 

「ええ、でも事態は、刻々と変化するものよ。ヘルハウンズ提督、とにかく、私は特別調査官として、今後、この艦隊に随伴します。それと、私と一緒に任務を行うこの3人は、私の指揮下で私のみに命令をしたがってもらいます。」

 

 

「ふーん、そういうことか、まぁ、こっちで、調べたときは、はっきりいって、お手上げ状態だったので、しょうがないか。それで、そちらの千翔長以外は、警衛科翔士みたいけど、それはどういう意味なんだ?」

ダリシュとティアラを見ながらヘルハウンズは言った。

 

「それは、私専用の護衛よ。とりあえず、三人とも自己紹介して。」

 

 

「はい。私は、フォシュデール・ボルジュ=ファンドゥル・アドゥール千翔長です。情報局の分析官をやっています。」

 

 

「私は、アイリーフ・ウェフ=ケレス・ティアラ警衛百翔長です。よろしくお願いします。」

 

「僕は、シュリル・ウェフ=キルヒム・ダリシュ警衛列翼翔士です。」

 

「そうか、俺は、ヘルハウンズ・ボルジュ=マジカル・ドゥーフル提督だ。よろしく。この特務艦隊の司令長官だ。こっちが、俺の参謀長のルーフ千翔長だ。自己紹介たのむぞ。」そういって隣にいたルーフに指示をだすヘルハウンズ

 

 

「私はルーフ・スーニュ=ロゴス・アレーシュ子爵・リュスガルです。よろしくお願いします。」ぶっきらぼうに答えるルーフ

 

 

「まぁ、自己紹介はそれぐらいにして、今後の算段を決めようか。アルネージュ准提督、この特務艦隊に対する諜報員の調査だが、やはり、俺に任せてもらおうか。全部の指揮はおれがやる」決めつけているヘルハウンズ

 

 

「なんですって、そのことなら、カシュナンシュ大提督の要請もあるはずよ。私が来たのにあなたがやるですって、それは、命令違反じゃないの」長身のヘルハウンズをキツイ目で睨むアルネージュ

 

 

「ここは、俺の艦隊だ。いわば、俺が大将なんだから『棒女(ぼうじょ)』にあらされたくないんでね」アルネージュを見下ろすように言うヘルハウンズ

 

『棒女(ぼうじょ)』というのは、アルネージュの軌道塔という意味の由来からでたあだなで、彼女が有能なのに厄介な性格な持ち主であることで、仲間内(情報局)では、彼女を揶揄するときに使われる呼称であった。もっとも、彼女の目の前で言うのはヘルハウンズだけというのは、ある意味、驚くべき事実だった。

 

 

「ヘルハウンズ提督、言っている意味がわかるの?いくら提督になったからっていたって、その態度はなに。それに、その呼称、いつやめてくれるのかしら」うんざりするアルネージュ

 

「ヘルハウンズ提督、アルネージュ准提督の言うとおりです。正式なカシュナンシュ長官からの要請もきております。ここは、おとなしく従った方がいいと思います。」ヘルハウンズをたしなめるルーフ

 

 

「そうだな。ルーフ参謀長の言うことも最もだな。よし、条件を出そう。俺と『拳闘』をやって、勝ったら、『棒女』の好きなようにやれ。もし、負けたならおとなしく、俺の命令をここでは、聞いておけよ。」顎に右手をあてて、自分の考えに満足するヘルハウンズ

 

 

「…それは、相手はこの中では誰でもいいの?」探るように言うアルネージュ

 

「そうだな。その坊主とやりたいな。シュリル警衛列翼翔士だ。アルネージュ准提督のおもりを列翼翔士の身分でまかせられるのだ。そうとうのやり手だと俺は思う。」ダリシュを指名するヘルハウンズ

 

それを聞いた瞬間、アルネージュは悪戯っぽく笑みを浮かべた。

 

 

「あら、そう。じゃあ、シュリル警衛列翼翔士、ヘルハウンズ提督のお遊びに付き合って、あなたをご指名よ。それに、私からも命令するわ。(馬鹿ね。ヘルマスターを指名するなんて、こっちのものよ)」ほくそ笑むアルネージュ

 

 

「ということは、その話にのるということだな。よし、それなら、1時間後、早速はじめようか。最近、いい相手が見つからなくてな。おまけに、この特務艦隊の任務は工作員さわぎで一時凍結中だからな。」負ける気はまったくないヘルハウンズ

 

「アルネージュ准提督、ヘルハウンズ提督わかりました。それにしても、『拳闘』とは、あまり優雅ではない格闘競技ですね。提督は、以前なされたこがあるのですか?」穏やかに微笑見ながら聞くダリシュ

 

 

「まぁな。確かに優雅ではないな。でも、俺は、この競技はスカッっとする。なんていっても、この拳できまるのだからな。そこには、身分も位階も関係ない。これのみが勝負を決める。ちなみに、俺のことを知りたいなら自分で調べろ。」そういって、拳を突き出すヘルハウンズ

 

 

「そうですね。わかりました。それでは、一時間後にどこに行けばいいでしょうか?」

 

「この旗艦<クールビルシュ>に俺専用のトレーニングルームがある。そこに、『拳闘』専用の格闘競技場もある。クリューノに艦内図は送っておく。じゃあ、楽しみしているぞ。お前がぶちのめされるのをな。」そういって、ヘルハウンズは作戦室を後にした。

 

 

「それでは、アルネージュ准提督、私もこれで、戻ります。」そういって、ルーフも敬礼をしながら去っていった。

 

 

「ヘルハウンズ提督は面白いかたですね。さすが、情報局の特務艦隊の司令長官ですね。」そう評価するティアラ

 

 

「まぁね。でも、有能なのは確かね。これまでの任務はどれも成功率が低いものばかりをこなしてきたから、しかも、率先してやったから、情報局には必要な人材なのよ。最初は、けっこう、いやがっていたけど、今では、やる気に満ち溢れているという感じだわ。」

 

 

「アルネージュ准提督が、彼を選んだのですよね。それにしても、アクが強いですね。あれ以上の個性が強いのは、私が知っている限りでは、情報局ではあと二人くらいしかいませんね(それは、カシュナンシュ大提督とアルネージュだけどね)」なにげに分析するフォシュデール

 

 

「フォシュデール千翔長、あと二人って誰のことかしら?」意図を理解しているのでキツイ目で睨むアルネージュ

 

 

「あはは、さぁ、誰ですかね。それより、シュリル警衛列翼翔士、大丈夫なのかい?」あせりながらダリシュに話をふるフォシュデール

 

 

「大丈夫ですよ。『拳闘』のルールなら知っていますし、格闘戦技には、少しは自信がありますから、なんとかなりますよ。」といつもの穏やかな笑みをするダリシュ

 

 

「ねぇ、そういえば、『拳闘』ってどんな格闘競技なの?フォシュデール千翔長は知っている?」実は『拳闘』を知らないアルネージュ

 

「はい、しっています。では、説明します。」そういって、アルネージュにわかりやすいように思考結晶の端末につないでフォシュデールは記憶映像をだした。

 

 

『拳闘』……それは、古代地球である『ぼくしんぐ』という競技を発展させたものであった。四角い闘技場でそれをロープで囲んでグローブをつけ、上半身を殴り合う格闘競技であった。

投げ技や蹴り技、頭突き、そして、絞め技、極め技は反則行為で即負けというものであった。

これは、もともとは、とある地上世界で盛んなものであったが、その地上世界から多く者が国民やそれから士族になったものに、この競技は嗜好されていた。その理由は、数あるアーヴの他の競技ともっとも違うことは、頭環を装着しないことであった。

これは、空識覚を守るというのが1番の理由だったが、その影響で地上人とアーヴとの対戦で視界に入っていないもので認識できるという大きなハンデをなくすことに成功できた。

ちなみに、この競技は額当てというもの着用の義務があり、これは、空識覚を守るのが前提のものであった。それは、地上人であっても、義務づけられていた。そして、額を守ることにより、この競技での対戦の事故死を減らす大きな効果があった。その代わりに、『ぼくしんぐ』では、認められていなかった肘を使う打撃も有効とされ、より幅のある競技になっていった。

 

 

「……とまぁ、こんな感じです。」説明に一息つくフォシュデール

 

「頭環が使えないの…?それはちょっと、やっかいじゃないかしら?シュリル警衛列翼翔士?」少し気になるので尋ねるアルネージュ

 

「大丈夫です。僕も頭環無しでの格闘戦の訓練は受けたことありますし、そんなに問題ではありません。そして、向こうも同じ条件です。」

 

「まぁ、あなたそういうなら大丈夫でしょうね。フォシュデール千翔長、他に情報ないの?」

 

 

「…そういえば、言い忘れました。この『拳闘』の他の競技と最も違う大きな特徴は、そのスタイルです。頭に額当てをするというのは、いいましたが、それ以外は、身につけるものは、ハーフパンツにグローブに長めの運動靴です。ほとんど裸ですね。」探るように言うフォシュデール

 

「え…。露出がそんなに高いの?」少し、想像して頬を赤くするアルネージュ

 

だが、次の瞬間、何を思ったか、突然ダリシュの身体をぺたぺたと触りだして、何かを確認するように真剣に触りつづけた。

 

そして、一通り、触ってから、可愛らしいともいやらしいとも言えない笑みを浮かべるアルネージュ。どっちにしても、アルネージュが突然、楽しそうに口をゆるめていた。

 

 

「どうしました?アルネージュ准提督。」その様子をいぶかしるフォシュデール

 

 

「いや、何でも無いわ。とにかく、その『拳闘』を楽しみにしているわ。もちろん、私が勝つからよ」

 

 

「正確には僕が戦うのですけどね。でも、それが、今回の調査を進ませるみたいなので頑張ります」ダリシュはアルネージュの表現に少し苦笑しながら言った。

 

 

1時間後、すでに、ウォーミングアップを済ませて、『拳闘』スタイルでリングの中央に立っていた。

 

「シュリル警衛列翼翔士、今回は特別ルールだ。無制限一本勝負。相手が、倒れるか降参するまでだ。判定はなしだ。いいか?」そういって、構えるヘルハウンズ

 

 

「わかりました。」そういって、シュリルも羽織っていた軍衣をぬいで中央にたって構えた。

 

 

「(…はぁ、あの引き締まった筋肉、そして、バランスのとれた体型、胸、肩、ふともも、二人とも引き締まって美しいわ)」二人の姿を情熱的な視線で見つめるアルネージュ

 

 

「あのう…・アルネージュ准提督、はじめてもいいですか?準備が整ったみたいですし」そういって、フォシュデールは横目でちらりと見た。

 

 

「はぁ…(やはり、筋肉美を見るのは生が1番よね。こんな素晴らしい競技があるなんて、知らなかった。チェックしておくべきだった。それにしても、二人とも美しいわ。素晴らしいわ。本当に無駄な肉がない。)」いまだに夢見ごごちでうっとりするアルネージュ

 

「アルネージュ准提督!!」気付いていないので大声を出すフォシュデール

 

 

「え???どうしたの?フォシュデール千翔長?」きょとんとした感じフォシュデールを見るアルネージュ

 

 

「だから、試合をはじめます。いいですよね。」

 

「あ、いいわ。はじめて。」

 

その後、すぐにゴングがならされて、特務艦隊の諜報員探しの指揮権をめぐっての試合が始まった。

 

二人はまずゆっくりと、円を動くように移動しながら互いの間合いを計っているみたいだった。

 

「フォシュデール千翔長、あなたどう思いますか?あの二人の力量を?」近く置いてあった椅子に座りながら尋ねるティアラ

 

 

「まぁ、普通に考えると、全帝国拳闘大会無差別級7年連続優勝のヘルハウンズ提督が有利と思いますけど、相手がシュリル警衛列翼翔士では、何分、いえ何秒もつかというところでしょう。」ヘルマスターの力量を判断するフォシュデール

 

 

「ふーん、やはり、そう思うのね。私は、ダリシュが少しは楽しみたいからもっと、長引かせると思うわ。なんだかんだいって、強い人やることは、好きみたい。あ、どうやらヘルハウンズ提督からしかけるみたいよ」そういって、視線でティアラは合図を送った。

 

 

ティアラそういって間もなく、ヘルハウンズは長身と手のリーチをいかして外側からの速くて強いジャブを左右きれいに顔面にむけて撃っていた。

ダリシュは、それをすべて、グローブで受けきるだけで、じっと、ヘルハウンズの様子を伺っていた。

 

 

「どうした?まだ、こないのか。なら、こっちからいくぞ」

そして、急速にダリシュに接近した。左右のワンツー、右のボディ、左のアッパーそして、最後に右フックをした。一瞬で5発もパンチが襲いかかった。しかし、それをすべて、グローブでダリシュはうけきると、まだ様子を見るために一発もパンチを繰り出していなかった。

 

 

「さすがといっておこう。どうやら、完全に守って、俺を疲れさせる作戦か。無制限一本勝負の利点をいかしたということか」そういっても余裕の笑みを浮かべるヘルハウンズ

 

 

「しゃべっていないで、どうぞ、撃ってきてください。僕はあと3分間、手を出しません。楽しみたいんです。」そういって、ニコニコと微笑むダリシュ

 

「ふん、余裕だな。では、遠慮なくいく。」そういって、ヘルハウンズは猛攻をしかけた。

 

常人なら見えないパンチを繰り出してダリシュを一方的に攻めたてていた。しかし、すべての拳はダリシュのグローブで受け止めていて、一発も当たることは無かった。

 

「(ち、まるで、こっちのパンチを全部読んでいるみたいだな。なら、これなら)」

すると、さきほどの、コンビネーションでダリシュをうった。

左右のワンツー、そして、右のボディ、さらに左のアッパーにみせかけた肘、右のフックにみせかけた肘もくりだした。

あえて、同じようなコンビネーションに肘鉄をいれて、相手を翻弄して倒そうと思ったが、それもあっけなくダリシュに防がれた。

 

「(……なんなんだ。こいつは、あれだけの攻撃を防ぐとは、俺の必殺のコンビネーションだったのに。)」さすがにダリシュの見事な防御に動揺するヘルハウンズ

 

 

「さてと、3分たちました。これから僕の反撃ですね」そういって、少し表情を真剣にするダリシュ

 

「ちょっと、待て。その前に聞きたい。どうして、俺の攻撃は一発も当たらない。まるで、俺の動きを読んでいるみたいだ」ダリシュの気配が変って少し怖気づくヘルハウンズ

 

 

「それですか。簡単に説明すると、筋肉の動きであなたの技がわかるのです。どこにパンチが来るかも、フックもアッパーも肘もです。これも僕のささやかな特技の一つです。では、いきますよ。」

 

 

ダリシュはおもむろに左腕をだらんと下げて、右腕だけ構えをとった。

 

 

「……どういう意味だ。俺を惑わす作戦か?」

 

「違います。ハンデです。これから、僕は右腕だけしか使いません。あなたの力量は3分でわかりましたから。」

 

 

「ふざけるな。右腕だけだと」そういって、怒りに任せて突進するヘルハウンズ

 

しかし、速射砲のようなジャブがヘルハウンズを襲った。それは、全く途切れることなく、ヘルハウンズに襲いかかった。ヘルハウンズはあまりにも速く重いジャブのためにそれを防ぐだけでジリジリと下がるしかなかった。しかも、ダリシュの言うとおり、それは、右腕だけしか動いていなくて、左腕は常に下げられていた。

 

徐々にコーナーにヘルハウンズは押しこまれていった。そのとき、ダリシュはジャブをくりだしながら、アルネージュに聞いた。

 

「アルネージュ准提督、そろそろ終わりにしていいですか?かなり、魅入っていますけど?」

 

 

「え…。うーん、惜しいけど、いいわ。もう終わらせて。」ちょっと残念そうなアルネージュ

 

 

「わかりました。」

 

そういって、すでに、コーナーに追い詰められたヘルハウンズの右肘を拳であてた。

 

「(く、右肘がしびれる。やばい、ガードがさがる)」

そう思った瞬間には、すでにダリシュの右の拳はヘルハウンズの顎を正確にとられていた。

 

「ぐは…………」

 

そのまま、ヘルハウンズは気絶して、彼が目覚めたのは1時間後であった。

 

 

こうして、特務艦隊の調査は、アルネージュ准提督のもとで行われるようになった。そして、ヘルハウンズは、もう2度と『拳闘』でダリシュを申しこむことは無かった。

 

 

「あーすっきりした。あの気絶から目覚めた瞬間のヘルハウンズ提督の顔面白かったわね。フォシュデール千翔長。私にさからった天罰よ。」とても上機嫌なアルネージュ

 

 

「はぁ……。まぁ、とにかく、これで文句は言うことは無いでしょうね。ところで、どこから調べますか?」さりげなく提案するフォシュデール

 

 

「そうね。じゃぁ、上層部から調べましょう。ヘルハウンズ提督はたぶん、下層から調べたので、そっちの方が早いと思うから。」

 

「え…ということは、生まれながらのアーヴに諜報員がいる可能性があるということですか?」驚くフォシュデール

 

 

「たぶん、そうでしょうね。私の考えが正しければ、かなりの上のほうね。それで、まずは、艦隊の参謀と副官をよんで、その後は、各戦隊司令よ。わかった。」命令を出すアルネージュ

 

 

「はい、わかりました。では、そう伝えます。尋問はフォルシュ准提督がやります?」

 

「そうね…あなたも一緒よ。それと、シュリル警衛列翼翔士とアイリーフ警衛百翔長は、その場に帯同してもらうわ。後から意見を聞きたいから。」

 

 

 

2時間後、副官と参謀たちが取調べを受けて、その後、戦隊司令の順番になった。

調査対象(とはいっても、戦隊司令以上は全員なのだった)は、前もって、諜報員がこの特務艦隊にいることを教えてあり、そのための尋問ということをあえて、伝えていた。

 

 

「イーディア・ボルジュ=メジュアス・デュラス千翔長、入りました。」

黄緑色の外が少しはねた髪型と紺碧色の瞳を持つかわいらしい美少女だった。

 

「グリュカシア・ウェフ=ログダス・ヴェース千翔長、入りました。」

グリュカシアの家徴である『空色の髪』でシュートヘアで真っ直ぐサラサラの

髪と紅い瞳をもつ美女であった。

 

「ルーキス・ボルジュ=ルーキア・パーヴァル千翔長入りました。」

原色に近い青色で髪は短く、瞳は紅くまだ、成熟期に入って明らかに若い気の強そうな表情だった。

 

 

「マーヴェジュ・ウェフ=サティ・サンシア千翔長入りました。」

薄い緑色の髪で前髪を少したらして背中まで長いもので、瞳は灰色で優しく温和そうな美女だった。

 

「戦隊司令のあなたたちにここに来てもらったのは、ここにいる連合の工作員もしくは、諜報員を探し出すため。それで、聞きたいことがいくつあるの。フォシュデール千翔長、あとは説明して。」そういって、端末を操作して仮想窓を映し出すアルネージュ

 

 

「はい。ここに映っている人物、ネイサン・オドネル従士、本当の名前は、ラガーフェルト大佐。人類統合体の工作員だ。残念ながら、任務中に戦死している。でも、それに関する思考結晶のデータが一部、改ざんした形跡があることが発見された。つまり、まだ、この特務艦隊に彼と一緒に潜り込んだ人物がいる可能性が大きい。そのための調査です。」

緊張しないように優しい感じでいうフォシュデール

 

 

「はい、わかりました。それで、私達にその調査を依頼するということですか?」代表してグリュカシア

 

「いいえ、違うわ。これをこめかみと胸のところに装着して、それから調べるわ」そういって、アルネージュは黄色の丸いシールのついた機械を渡した。

 

 

「なんですかぁ〜?これは」少しおっとりとしたこの場にあわない風に聞くマーヴェジュ

 

「それは、嘘発見器。情報局の最新式のものよ。」悪戯っ子の笑みをするアルネージュ

 

「なんですって、私達を疑うのか?」怒るルーキス

 

「ええ、そうよ。どうやらヘルハウンズ提督はあなた達を調べていなかったみたいですし、私が来たからには徹底的にやりたいのよ。協力してくれるわよね。」

 

 

「わかりました〜。皆さん、大丈夫ですよ。別にやましことないんなら、受けた方がいいですよ」相変わらずおっとりとした口調のマーヴェジュ

 

 

「やればいいんでしょ。やれば。」ルーキス

 

「しょうがないわね。でも、工作員は早く捕まえてもらいたいし、これで疑いが晴れるならいいわ」グリュカシア

 

 

「あのう…?これをヘルハウンズ提督が要請したのですか?」少しおそるおそる聞くイーディア

 

 

「違うわ。私の独断よ。それに、彼はこの件に関しては口出ししないようになっているの。でも、それがどうしたの?」不思議そうにアルネージュはイーディアを眺めた。

 

 

「あ…よかった。はい、私もそれを受けます。(ヘルハウンズ提督は本当は涙ながらにこれを了承したのよ。きっと。ああ、愛する私を疑うなんて彼にはできないはずよ。)」少し妄想に入るイーディア

 

その後、アルネージュはいくつか質問したが、結局、成果は上げることは無かった。

 

 

<クールビルシュ>のアルネージュ専用、諜報員特別対策室

 

「ふー、私の勘ははずれたのかしら。絶対、上層部に誰かがいると思ったのに。」成果が上がらないので少しがっかりする。

 

 

「そう簡単に見つかったら、ヘルハウンズ提督がとっくに見つけていますよ。」たしなめるフォシュデール

 

 

「ティアラさん、どう思います?嘘発見器による調査については?」穏やかに聞くダリシュ

 

「無駄ね。そんなもの通用するのは精神的訓練がなっていない人達よ。それに、それをダリシュに試して見なさい。まったく、無意味だから。それと、もう一つは精神的構造が少し他人と異なる人に対しても効果無いわよ。」そういいながら考え込むティアラ

 

 

「うーん、そうですか、でも、一応最新式で効果は実証されているのですけどね。」不満げなフォシュデール

 

 

「まぁ、精神的構造が異なるというのを詳しく話すと、狂人や2重人格者、それに自分の存在に対して固執しない、つまり、自己防衛がまったくない人物に嘘発見器に効果がない傾向があるわ。」ティアラ

 

 

「なるほど…だとすると、あの人物の可能性が大きいわね。」何かを感じ取るアルネージュ

 

 

「ええ、その通りです。アルネージュ准提督。それで、どうするのですか?その人物にはまだ、確固たる証拠はないですしね。」同意するダリシュ

 

 

「ちょっと……皆さん、わかっているのですか?私だけわからないのです。」みんなの様子に驚くフォシュデール

 

 

「それは、宿題よ。フォシュデール千翔長、次の任務が始まるまでにしっかりと、分析しなさい。なら、相手が動かざろえない状況にもっておくの。この特務艦隊に久々に任務に復帰してもらうわ。しかも、かなり重要なものをね。」満足そうに言うアルネージュ

 

 

「なるほど…。これまで、諜報員騒ぎが起きてから、この艦隊はまだ、1回も出撃してないですね。その人物は自分がいることで抑止力となっていると思うはずです。だから、逆にそれを気にしてないと思うくらい任務をやりつづければ、連合軍の利益を考えるなら動かざろうえない。ということですね。」アルネージュの意図を理解するダリシュ

 

 

「ええ、そうよ。そのとき、じっくりと様子を伺うわ。その役目はフォシュデールあなたに任せるわ。期待しているわよ。」あえて、フォシュデールに言うアルネージュ

 

 

「はぁ、わかりました。宿題をかたづけて、その任務をできるように努力します。」ためいきをつくフォシュデール

 

 

こうして、特務艦隊は数ヶ月ぶりに情報局の特殊任務につくようになった。それは、裏では、諜報員の容疑者の証拠を見つけるための手段になったのであった。

 

 

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