シュリル・ウェフ=キルヒム・ダリシュはカミンテール拍国の惑星シャンプールの地表に降り立っていた。ここにカイザル・スーニュ=キーム・アーセナル男爵・カイザーが逃亡したという情報を手に入れたからである。
そこには秘密結社『フリーパーソン』の本部があり、そこで最後の抵抗を試みようとしているという情報であった。帝国にあった『フリーパーソン』の組織の拠点は、『青の牙』とアークエンジェル4体の共同作戦でこの一か月ですでに20か所を破壊して、残りはここ一か所になっていた。
この作戦を立案したのがアイリーフ・ウェフ=ケレス・ティアラだった。彼女の考えでは本部をあえて残しておいて、周りの拠点をすべてつぶして逃げ場をなくすことで、カイザーの戦力とも手持ちの手段の数を減らすことが目的だった。
そのため、現状に本部に残っている『フリーパーソン』の戦力は300人以下になっていると推測されていた。カイザーが10年かけて天塩にかけて育ててきた組織が一か月で壊滅状態に陥ったのである。
この惑星のメールコール山脈のふもとに山深い巨大な屋敷が『フリーパーソン』の本部であった。季節は冬になり、雪深い森に囲まれていてあたりは昼にも関わらず大吹雪で視界も暗く1ウェスダージュ先も見えない様子だった。
「ヘルマスター、すでに紋章院の特殊部隊および『青の牙のメンバー合計1000人ほどでこの森と屋敷を囲んでいます。突入させますか?」紋章院の指揮官の一人が命令を待っていた。
「いや、君らはここから逃げ出す敵を捕獲することを目標にしてください。抵抗するなら射殺も許可します。突入はここにいるアークエンジェルの四人とで突入します。理由は敵の兵器にG-2000やナノマシーンを使う兵器が出てくる可能性があるからです。それだと大きな犠牲が出る可能性が高い。また、一時的に『グリーン』をこの囲い部隊の最高指揮官に指名します。以降は彼女の命令に従って対応してください。この作戦がもっとも効率的で勝率が高いと思ったからです。」丁寧ながら真剣な様子で説明するダリシュ
「さて、ヘルマスターあの森に最初に突入するには誰にしますか?」と漆黒の髪と瞳を持ち、絹のような白い肌の美女がいった。
「ガブリエル、君の感じではかなり危険を感じるかな?」
「ええ、罠が私のセンサーによると100箇所ほどありますね。地雷、凝集光自動銃、火薬式のマシンガンも自律可動式で巧妙に隠して設置してあります。後は電磁網、硫酸弾、毒ガス兵器も探知しました。」色っぽい大人の雰囲気で離すガブリエル
それを聞いたグリーンはすぐに命令をした。
「ガスマスク、および対化学兵器防護服を全員着用しなさい。五分以内全員終了しなさい。また、全員防御盾を装備しなさい。この森は過酷な戦場になりそうよ」真剣な様子で話すティアラ
「よし、ラファエル、ガブリエル、サラカエル、アリエル、君たちに命じる。ここにある罠を徹底的に破壊、使用不可能に。やり方は派手にやってくれよ」穏やかな笑顔で命令するダリシュ
「わかりました」静かに闘志を燃やすガブリエルはいった
「わかったよ。ヘルマスター」ダークブラウンのショートヘアに青い瞳、活発そうな顔立
ちの美女のラファエル
「わかりましたわ。派手につぶしてみせますわ」紫色の腰まで伸びた髪と紫色の瞳を持つ美女のサラカエル
「わかりました。必ず命令を実行します。」銀色の髪と金色の瞳を持つ美少女のサラカエル
ガブリエルが他の三人のアークエンジェルに視線を送ると一斉に森に突入した。
彼女たちが行った罠の破壊は極めて原始的だった。森の木を引き抜いて罠のある所にぶつけるという極めて単純で効果的であった。凝集光銃やマシンガン、地雷、電磁網、ガスの貯蔵タンクすべて木を投げ込んだりぶつけることで破壊しつくしたのであった。すでにそこは森林ではなく丸裸の雪と泥がまじりあった平原になってしまったのである。
30分後、すべての罠が破壊されて毒ガスも空気中にすべて霧散してしまい、丸裸になった巨大な屋敷だけが姿を現した。
その光景を間近で見ていた紋章院の部隊と『青の牙』のメンバーは驚愕とともに恐怖を覚えた。見た目は地上世界の美少女や美女がまる樹木をまるで豆腐のように軽々と破壊してそれを重さを感じさせないように持ちあげて振り回す様子は言葉にできないものであった。
「では、ヘルマスター行きましょうか。カイザル・スーニュ=キーム・アーセナル男爵・カイザーを捕縛しに」とにっこりとほほ笑むガブリエルはゆっくりと屋敷の扉をあけた。
「そうだね。じゃあ、ラファエル、サラカエル、アリエル突入するよ」ダリシュは青い装飾銃を握りしめ素早く屋敷内に突入した。
カイザーの屋敷に突入してから20分ほど、防御用の自動凝集光銃や自律稼動のマシンガンなどで散発的な反撃はあったが、それ以外で敵がでる気配はまったくなかった。巨大な屋敷の奥に地下施設があり、そこに『フリーパーソン』の本部があると推定されていて、ダリシュはここまで抵抗がないのは最初の罠の破壊が敵にとって衝撃あたえていて、あれに対抗するには戦力を小出しにするのではなく、集中して対応しなければならないと判断したと分析しての予想だった。
その予想はあたり、地下に大きく広がった縦横が10ウェスダージュほどの大きな広場に四人が突入した時に200人の完全武装の兵士とグラディエイター2000が20体そして、古代の西欧騎士さながらの甲冑姿をして機械動物の馬に乗っている100人ほどの集団がその広場にそろっていた。
その遙か後ろに目標のカイザル・スーニュ=キーム・アーセナル男爵・カイザーがいるのをダリシュは空識覚でとらえた。
「カイザル・スーニュ=キーム・アーセナル男爵・カイザー閣下とお見受けしました。大人しく投降するなら、周りの方々の命について保障を考えましょう。もちろん、帝国を裏切ったあなたはアーヴの地獄行きは決定的ですけどね」クリューノを使い説得試みるダリシュ
「ふん、紋章院の若造がなにを言っているんだね。こう見えても私は帝国に貢献してきた。しかしある理由で左遷させられてね。四か国連合のほうが私を重要に扱ってくれるみたいだから、今の方法で生きていくしかなかったんだよ。もっとも、たった五人でここに突入するとは思わなかったがな」力強い視線でダリシュを見るカイザー
「それは嘘ですね。最初から帝国に復讐する気持ちがあったのでしょう。あなたが旧カミンテール共和国出身であなたの父上は最後の首相閣下だった。父上の無念を晴らすためにここまで頑張ってきたのでしょう。四か国連合の接触もかなり昔からしていたみたいですしね。」ダリシュはすでにカイザーの考えはわかっていた。
「そうか、そこまで調べたのか。なら、私は最後まで戦おう。カミンテール共和国の最後の騎士として皆に命令する。あの紋章院の若造どもを血祭りに上げよ。」
そういって、武装兵士、グラディエイタ-2000、特殊な防御磁場をまとった西洋風の鎧をきた古代の騎士隊をダリシュ達に向かって攻撃をしかけた。
「グラディエイター2000は僕に任せてください。後は、アークエンジェル君たちの仕事だよ。」そういって、青い装飾銃を構えて反撃をダリシュは始めた。
「わかりました。でも私はヘルマスターの壁役に専念させてくださいね。私は攻撃よりも守備が得意ですから」といって、ガブリエルはダリシュと敵軍の間に入った。
「わかりました。任せますよ。でも僕の動きについてきてください」そういいながらも人間とは思えない俊敏さで移動を繰り返しながらダリシュは銃を撃ち続けた。
その射撃の正確性は軍をぬいており、グラディエイターの弱点と言われている小指の爪ほどの核を次々と破壊していった。戦闘開始からわずか5分で敵もっとも有効な打撃能力を奪ったのである。
それに対して、アークエンジェルのラファエル、アリエル、サラカエルもどんな攻撃も無傷な状態で格闘戦のみで敵を葬り去っていった。まさに彼女たちが通った後は死体の山しか残らなかったのである。
「ふん、まさか、こんな若造と少女に我々の組織が壊滅させられるとは・・・。だが、最後はこのジュブナイルの騎士で決戦を挑む。突撃せよ」本人も特殊な甲冑を来て、60歳をこえるにもかかわらず機械馬を操ってダリシュに向かって突撃してきた。
ガブリエルがその前に立ちはだかり、石畳の床を騎士隊が接触する瞬間に思い切り殴ったそのさいに割れた床の破片が騎士団に襲い掛かりほとんど馬や騎士の体を貫いて全滅してしまった。最後尾にいたカイザーを除いて。
「ガブリエルさすがね。そんな方法でカイザー以外を叩き潰すなんて」すでに他の残存部隊も壊滅させたラファエルがつぶやいた。
「それじゃあ、おやすみです。アーヴの地獄までご案内します。カイザー閣下」といって。カイザーに照準を合わせてダリシュは銃を撃った。
カイザーの肩に麻酔銃の弾が着弾して気絶した。そのまま、屋敷から連行されて地上世界から宇宙船に乗せられてこの作戦の目的は遂行された。
「こちらは片付きました。あとは、アルネージュ准提督が上手くできるかでしょう。まあ、彼女たちアークエンジェルがいればなんとかなるでしょう。」そういいながらも遙か遠くの星々を見つめるダリシュであった。