永遠に彷徨う兎   作:舞風

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次からzeroの世界に行きます


二話

最初の聖杯戦争から何度も嫌というほど聖杯戦争を経験することになった。聖杯戦争は原作だと数回しか行われていないが、何故か私は数回以上数の聖杯戦争に参加した。いや、数回ではなく数十回というのが正しいだろう。

恐らく平行世界の聖杯戦争だろう、毎回与えられる現代の知識が少し違う時があるからそう思えた。最初は怖くて逃げ回っていたが、直ぐにマスターに令受によって縛られ戦うハメになり、結果何度も殺された。数えきれないほど殺されたあたりで私はやっと戦い方を少しずつ身に付けた。しかしそれでも相手は英雄、戦い方が分かったからと言ってすぐに勝てるようなものではない。大抵は多少の抵抗はできても殺されてしまう

 

同じ聖杯戦争を何度もさせられるのであればまだ勝機は見えてくるがすべて違う聖杯戦争であるため英霊もマスターも全員違う。そのせいで勝機が一切見いだせてこない。

この世界が「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のような世界のように何度も同じ成敗戦争を繰り返せるのならばどれほどよかったものか……

 

 

何度も絶望したが、絶望したところでこの最悪の連鎖を断ち切ることはできない。

 

何度戦っても終わらせることのできないこの戦争を私は終わらせたい。終わらせる方法は現状では他のサーヴァントを全て下し一位になる以外見当たらない。いや、そうだと願いながら戦わなければ私の心は折れてしまうのだ。

 

あの英雄たちに聖杯戦争で勝たなければ私に自由はない、しかし勝てる見込みは現在ない。

神の掌の上で踊らされていると解っていても今はそれに従うしかない自分が悔しい、何故ならばそれ以外にできることがないのだから

 

 

英雄に絶対に勝てないわけではない、毎回何もせずに終わっていたわけではない。もう数えきれないほどの聖杯戦争を経験してきたが、片手で数えれる程度だが能力と持ち前の身体能力をフルに使って英雄を倒したことはある。未だに能力が完全に把握できていない状況下で英雄を倒せたということは、能力を完全に把握できれば対等に英雄と戦える可能性がある。

小さな、とても小さな希望だがあるかないかでは全くの別物である。

 

少しでも早く自分を()()させて勝ちにいかなくてはならない

 

 

 

暫くしてズキッとした痛みが走る。聖杯から流れる情報によって痛みが走るのだが慣れてしまったことが少し嫌になるが、聖杯に呼ばれるたびにこの痛みは襲ってくるので自然と慣れてしまった。

 

暫くして体全身が粒子状になり気が付けば魔法陣の上に

 

目の前にいるのは魔術回路が少ない若い男、正直使い物にならないがどうせこの聖杯戦争も負けるのだ。ならば自分がどれほどできるか試して死ぬしかない。来るべき勝利に備え、能力を完全に把握する。今回の聖杯戦争の舞台は冬木、すべての場所を覚え、どこに何があるかを把握。霊脈が高く、マスターを殺したとしても生き延びれる場所を覚える。

たまに例外があるが基本的に聖杯戦争の舞台は冬木、なので冬木を完全に知っておけば勝利へ近づくことができるだろう。

 

マスターに能力で狂気に落とし幻術をかけ、放置する。これで邪魔をする者はいない。正直申し訳ないと思うが、どうせ負けるのだから別にいいだろう。

 

今回はキャスターとしてこの地に降り立つことになったが、魔術工房を作る気はない。光の波長を操ってウサ耳を見えないようにしてから街中を歩き始める。昔なら周りを見て楽しんでいたのだろうが、今の私にそのような余裕はないので必死に自分にとっていい場所を探す。暫くして時間は夜となった。

少し時間を使いすぎたなと頭の中で少し思ったが、街中を見ることができたので良しとする。帰ろうとしたときに奥の方から一人の男がこちらへと歩いてくるのが解った。すでに人払いが行われているのか人はいない。街を歩いていたせいで運悪く相手の監視に見つかってしまったのだろう、聖杯戦争はまだ一日目であるというのに運が悪い。

 

相手は兜をかぶった男、戦士の風格を漂わせる鎧。鎧からしてそこそこ過去の英雄だろうと判断できる。

能力を解き、ウサ耳を出す。隠していた意味は一般人に耳を見られないためなだけなので今は少しでも能力を無駄に使いたくはない。

 

ウサ耳を見た瞬間に目の前の男はほう、と笑った。

 

「私の時代にも魔法使いなどがいたがウサギの耳をつけた英霊などはいなかった。魔術か妖術か、いずれにしても【魔法使い(キャスター)】の可能性が高いな、違うか?」

 

私もうさ耳付けた英霊なんて知らないわ、いるのなら見てみたいっての。

 

「だんまりか、しかしこれから戦えばすぐに知れることだ」

 

片手に持った剣を両手で握り頭の中でスイッチを切り替えたのか一瞬で空気が重くなる。それは殺意である。濃厚な殺意はすべて私にだけ向けられているのがだれがどう見てもわかる。殺気だけでわかるほどの強さを目のあたりにした私は頭の中で作戦を組み立てる。いくつかのパターンを考えながら確実に安全で失敗したとしても逃げ切ることのできる作戦をいくつか立ててその中でも最も安全そうなものをピックアップする。

 

「来ないのであれば此方から行く!」

 

流石は英霊とだという速度で鈴仙へと近づく。一瞬のためらいもなく横降りに薙ぎ払われるその一撃は確実に鈴仙の胴体を二つにする。空中を舞う鈴仙の上半身は地面に落ちる前に消えた。

 

斬った感覚もなく切れてしまった胴体に違和感しか感じなかった男は消えたことを境に相手はキャスターであることを再確認した。そもそもキャスターが街を練り歩くこと自体がおかしいのである。他のサーヴァントとは違い常に同じ場所にいて確実に自分の有利な陣営を作り上げるのが本来のキャスターの姿である。

 

姿を消えた鈴仙を目で探しながらいつ、どこから来ても対処できるように精神と統一させて向こうからの攻撃に備えていく。刹那の出来事なのか、それとも数時間たっているのか?そう思ってしまうほどに感じられる数秒の間の緊張感、その沈黙を破ったのは鈴仙だった。突如男の真後ろから現れた鈴仙は大振りの蹴りを放つ。しかしそれを見越したかのように見ないで剣を振り胴体をまっ二つに切り裂いていく。それを知っていたかのように新しい鈴仙が出現して攻撃を放つ。

だが、何度も何度も来る攻撃はいとも簡単に切り裂かれて届くことはなかった。

 

男は不敵に笑みを浮かべた

 

「お前は本当にキャスターか、ウサギ耳の者よ。キャスターでありながら近距離戦を仕掛けてくるものなどそう相違ないぞ」

 

そういいながら周りにいた三人ほどの鈴仙を一回の薙ぎ払いで全員を切り付ける。

鈴仙は開幕からこうも強い英霊と当たったことを後悔する。しかし、だからと言って泣き言を言えるような状況ではない、他の作戦に切り替えるしかないと考えて一度光の屈折によって自身の動きをそのまま投影した分身体のようなものを全て消す。

 

鈴仙の行っていたことは単純明快、波長を操る程度の能力で自身の姿を屈折させてあたかもその場に言って戦っているかのように見せかけているだけだ。ゆえに攻撃が当たったとしてもそのまま通り抜けてスカるだけである。相手もそれに気がついてはいる者の鈴仙の場所に気が付けず、下手をすればその中に本物が混じりこんでいる可能性もあるので斬るしかないから全部切っていたのだ。一見意味のないような行為ではあるが、相手の出方や性格を見極めるにはいい行動である。

 

この時点で鈴仙の中では

相手は冷静沈着で確実に敵に対して油断をしない性格であるということが分かった。

 

鈴仙は男から少し離れた位置に何体もの分身を出して手を前に出す。急に変わる行動に少し男は驚くがすぐに身を構える

 

鈴仙の行動は全方向からの避けることが不可能な弾幕攻撃である。一方向からなら確実に避けることのできる弾幕だが、全方向から来れば弾幕同士が重なって避けることなど不可能だろう

 

相手がキャスターでもあるのにもかかわらず肉弾戦をしてきた鈴仙が急に変えた行動に驚きながらもすぐに行動に移す。持っている剣を回転させながら目の前に投げつける。弾幕に当たるも一切回転が衰えない剣を見て投げた方に走った。二秒後、男は弾幕と接触するがすべてが通り抜けていく。剣を投げたのは弾幕が本物か偽物かを見極めるため、そして剣をまっすぐ投げずに回転させた理由他の場所、投げた方向にいる鈴仙の左右にいる鈴仙が本物かを見極めるために回転させて左右の鈴仙の弾幕にも充てて本物か検証したに過ぎない。

 

一瞬の攻防ですべてが決まってしまう聖杯戦争、これほど恐ろしいものはない

 

「俺の罪を、殺してしまった弟をなかったことにすためにこの戦争に参加したがこれほどの使いと戦えることに俺は興奮してしまっている!」

 

英霊は強い、それを誰よりも知っている鈴仙はもう一つのことを知っている。それは英霊は基本的にバカであるということだ。何故馬鹿なのか、それはマスターに「お前だとばれないようにしろ」と言われてもなんだかんだで戦っていたり戦う前の言い合いのようなもので大抵自分のことをしゃべるのだ。例えば「○○との戦いでは感じられなかった」だとか「○○を経験した俺にとっても最高だ」とか「俺は○○をしたことがあるほどのものである」と少しわかりにくいようにはしているが案外武勇をしゃべってしまうのである

知っているものが聞けばすぐにわかってしまうのに興奮しているのか平然と言ってしまう。

 

だが、今回に関してはまだ相手がどのような人物であるかが分からない。セイバー、罪を犯したやつ、弟と戦い殺してしまった、こんな情報はよくあること過ぎて特定はできない。鈴仙は風貌も見ながら考えるも見えてこないので一先ずは分身体のようなものと一緒に弾幕をつづけた。

 

男の投げた剣が地面とぶつかると同時に男はすかさずその場へ行き、鈴仙の方を見据える。本の二秒だけ、じっとして見つめた男は何を思ったのかまっすぐ弾幕の方へと走った。

全ての弾幕を交わすことなど不可能、ましてやこの状態で見抜くことができるなど不可能に近い

そのまま弾幕をつづけ、本物の弾幕が当たる瞬間―――

 

 

 

 

男は頸をそらして当たりそうな弾幕を確実に交わした。鈴仙は焦りながらも弾幕をさらに濃くして続ける。男はわかったかのように確実に本物の弾幕だけを見極めてかわし、鈴仙へと近づいていく。

 

バレルはずなどない、だが現実として鈴仙の弾幕だけを見極めて避けている。

 

ばれているのだ。そのことに気が付いた鈴仙は焦り、空を飛んだ。光の屈折によって作られた分身も、今まではなっていた弾幕もやめて飛んで逃げることに徹した。

 

本来ならばれないように光の屈折を使いながら地を這うようにして逃げる予定を立てていたのだが、焦りすぎた彼女はそれを忘れて飛んでしまった。

 

もし、この近くにアーチャーがいたのならいくら空中を自由に動ける鈴仙だったとしてもいとも簡単に狙われて撃ち殺されてしまうだろう。だが、運がよくこの戦いをアーチャーは見ていなかった。

 

鈴仙は光の屈折で姿を見えないようにしてビルの間を縫うように移動して本拠地に戻ることにしていったん姿を消す

 

「ずっと黙っていたウサギの耳のものよ、今度こそ声を聴かせてもらうぞ」

 

鈴仙は焦っているあまりに男の変わったところに気が付くのが遅れた。今まで持っていた件とは別の剣を二つ持ち、鈴仙が見えていたいち場所を見据えながら構える。

 

血塗られた呪いの剣(ペイン・イノセンス)

 

放たれるは漆黒の波動、黒く一目で見たら何かの呪いがかけられていることが分かるその名剣から放たれる波動はすべてを飲み込み闇へと包んでいく

 

その攻撃に少し遅れてしまった鈴仙は明いっぱいの回避行動をするも「グシャァ」という残酷な音を立てながら赤黒い血を地上にぶちまけた。

 

「グアアアアアアアアアアアアアアア」

 

その響き越えはその場でこの戦いを見ていたすべての英霊とマスターに響き渡った。可愛らしい顔から放たれる女の子らしくない残酷な響き声はすべての頭の中に焼き付ける。

 

鈴仙は先ほどの攻撃を可能な限り避けることに成功した。左腕という代償を払って

左肩と左腕を失った鈴仙は親の仇を見るような眼をしながら男を睨みつけた

 

全てわかった。この男の真名も

 

セイバー、ベイリン

アーサー王伝説に出てくる一人で呪いの剣と呼ばれるものを抜いてしまった人物。アーサー王の従兄弟を殺し、不幸にも次々に罪を犯してしまい、最後はある風習のある村で自らの弟と知らないで戦ってしまい、わかたっときにはすでにお互い助かるような状態ではなかったために二人でともに死んでしまった人物

 

罪、弟を殺した、呪いの剣、そして戦士……いや騎士甲冑。これは殆ど確定事項だろう

 

ベイリンも一度宝具を打ち、最初にすべての鈴仙の分身タオを切っていたこともあって疲れ切っていてこれ以上の攻撃をすることができない

 

鈴仙は腕をなくす理由となったこの男を今すぐにでも殺しに行きたいが、ここで戦っても漁夫の利を狙われるのがおちであるので再び姿を消して細心の注意を払いながら逃げて行った

逃げた先は少し遠いマンションの一室である。ここが本拠地ではないが、応急処置が早めにしたいのでとりあえずここに入っただけである

 

相手が誰かを知ることができたが、代償が腕というのは大きすぎる

あれを知っていればもっと冷静に対処できたのではないだろうか?と頭の中をこだまする

今更そのようなことを思っても完全に後の祭りであるが

鈴仙は血が出る肩を強く握りしめながら

 

傷が治るのに少し時間がかかる。

行き成りヘマをしてしまったことを後悔しながらも次の作戦を考える。

やはり現状では勝つことが厳しい

やはり今のクラスである魔術師の特性を生かして工房を作るしかない。今日探した場所で工房に使えそうな場所を考える。無難に霊脈がある場所で行うのが一番だが、それでは他のマスターやサーヴァントに自分の位置はここですよと教えているようなものだ。自分自身が工房を作って他のサーヴァント以上の力を発揮できるのならば話は別だが、そんなはずはない。鈴仙ではそこまでの工房を作れないため1対1ならともかくマスター同士が手を組んでサーヴァント2体で攻められれば一瞬で負けるのは目に見えている

 

 

 

ゴキッ

 

 

鈍い音とともに世界が反転した。現状を理解できず、唖然とする鈴仙、その前には全身黒ずくめの骸骨の仮面をつけた男、暗殺者(アサシン)がいた。

 

「他愛なし」

 

消えるアサシンはその一言を残した。

また一番最初に脱落か、ということを思いながら粒子化してこの世界を後にした

 

 

 

サーヴァント――魔術師(キャスター)

真名・鈴仙・因幡・優曇華院

 

この聖杯戦争にて最初の脱落―――――

 

 

 

 

 

そして自身の英霊の座である竹林へと戻った。

 

 

 

 




本当はこれ一年ぐらい前に書いた作品で敵はベイリンじゃなくてヘクトールだったんだよね。だけどこれ投稿するかと思った時にはすでにヘクトールがF/GOのほうでいたから悩んで先頭部分だけ書き直して悩んだ結果ベイリンになりました。ただ宝具の技書いたときのダサさや恥ずかしさがやばい。でも何にも頭の中に思いつかなくて恥ずかしくてやばかった。なんだよあのわざ

本来ならアサシン(ハサン)とタイマンしても負けないよ。でも片腕失って冷静さを少しかいて回り見えてない状態で魔力も少し使ってるとかいうBADコンディションだったらアサシンにコロコロされちゃうんだ。

現在主人公は勝つことに飢えています
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