東方意味怖録   作:kokohm

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 以前に書いた話の解説です。まだ読んでいない、覚えていない方はまずそちらからどうぞ。



意味怖・19~26(解説)

 

19.ジグソーパズル(十六夜咲夜)

 

 

 解説、ね。とはいっても、そこまでややこしい問題じゃなかったとは思うけれど、どうかしら?

 

 このお話の焦点は、件のジグソーパズルには、光を吸収し、自ら発光する性質を持っていること。そしてその発光は、精々一時間程度しかもたないという点ね。

 

 ここで、私が部屋に戻ってきた場面を振り返りましょう。私が部屋の鍵を開け、中に入った所、壁に飾ってあったジグソーパズルは確かに発光していたわね。しかし、これはどう考えてもおかしいわ。

 

 というのも、部屋を出る前、私は確かにカーテンを閉め、部屋の明かりを消したと言っている。その状態で、ジグソーパズルは発光可能になるほどの光を吸収できるかしら? 普通に考えて、それは難しいと考えるべきでしょうね。

 

 では、どういうことか? 答えは一つ。私が不在の間、私が帰って来る一時間ほど前まで、誰かが私の部屋にいた。その際、その何者かが部屋の電気をつけていたのだとすれば、この結果を導くことが可能になるわ。

 

 更に、もう一点。やや捻りすぎた考えかもしれないけれど、私は部屋を出る時、鍵をかけたとは明言していない。でも帰ってきたときは、わざわざと鍵を開けた事を明言している。もしこれが、説明の不備などでないのだとしたら。

 

 私の部屋に入り、鍵をかけて身を守っていたその誰かは、どうやって、私が帰ってきた後に部屋を出て行った、のか。私が就寝した時も、実はその誰かはずっと私の部屋に…………

 

 

 なんて、まあ蛇足だったかしら。はい、それでは私の話はこれでお仕舞い。小悪魔、次をお願いするわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20.窓(小悪魔)

 

 はい、それでは私の話の解説を始めますね。内容を簡潔に纏めると、私がずっと感じていた視線は、窓に反射して映る自分自身のそれであった、というものです。

 

 こうしてざっくりと纏めると分かりやすいかもしれませんが、はい、これはおかしいですね。ピンと来ていなそうな人は……いませんね。では、続けます。

 

 窓、まあ鏡の方がわかりやすいかもしれませんが、自分の視線が返って来るのは、当然ではありますが、自分がそちらを向いている時だけです。仮に背を向けていた場合、鏡面に映るのは背中だけですから、自分の視線、つまりは目が映ることはありません。ですので、自分の目に背後から見つめられるというのは、どうやってもありえないことになります。ああ、合わせ鏡の間にいる、とかの屁理屈は結構ですからね?

 

 こうなると、特に最後の方の文。背後から未だに感じる視線……などが極めておかしい事が分かります。これを踏まえれば、導き出される答えは唯一つ。実際に私は、誰かに視線を送られ続けていた、ということです。実際には窓の向こうに、名も知らぬ誰かがいたということなのでしょう。夜の窓ともなれば、私が気付かないのもそう不思議ではないかもしれません。まあ、実際の私なら、流石に気付いたとは思いますが。

 

 さて、こんなところで大丈夫ですかね? 問題ないと信じつつ、パチュリー様、お引継ぎ願います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

21.死神の問いかけ(パチュリー・ノーレッジ)

 

 はい、私の番ね。答えは簡単、私の残りの寿命があと五分となってしまったということよ。以上、終わり。

 

 ……短い? はあ、面倒ね。分かった、分かったわよ。もう少し真面目に、小悪魔たちみたいに話すわ。

 

 さて、今回の話。重要なのはおおよそ三点。一つ、私の推察によると、その死神は本物であるということ。二つ、死神は私に生きたい日数を尋ねてきたこと。そして三つ、私が魔理沙からの問いかけに対し、五分と答えたこと。これらを組み合わせれば、自ずと結末は知れる。そう、五分後、私は死ぬという結末がね。

 

 あくまでこれは、死神が偽者である可能性と、死神の問いかけが実際に私の寿命に影響しない、つまりは私の返答と私の寿命が直結しない可能性は無視した答え。だから考えすぎだとか、私の見識違いだとかを主張できる論ではあるけれど、まあそれはこの話の趣旨に外れるから、なしにすべきことよね。

 

 それにしても、この場合、私は魔理沙を恨むべきか、あるいは自身の愚かさを悔やむべきか。さて、どっちがより正しいのかしら。もっとも、そんな事を考える暇は、その私には存在していないでしょうけれど。

 

 ふう……もう説明は十分よね? 次、レミィの番よ。

 

22.笑顔の写真(レミリア・スカーレット)

 

 ええ、では私、レミリア・スカーレットの解説を始めるわ。まず話を振り返ると、内容としては私がカメラをフランにあげ、フランがそれを使って撮った写真に対し、烏天狗が不思議な反応をした、そういうものだったわね。

 

 ここで焦点となるのは当然、フランが撮った写真ね。農作業をしている人間達が、こちらに満面の笑みを浮かべているというものだったけれど、さて、これが少しおかしいわね。

 

 こちらに向かって笑っている写真、というのは所謂カメラ目線で撮ったもの、ということになるのは良いわね? はいチーズ、と声をかけて撮れば、まあそういう写真は自然と出来るものでしょう。ただ、ここで重要視すべきなのは、今回の写真がそういうものではなく、スコープ越しに、しかも適当に撮っていたものの産物だということよ。

 

 気付いたかしら? そう、この場合だと、被写体となる者達は写真を撮られるタイミングどころか、自分達が写真を撮られているという自覚すらないはず。にもかかわらず、映っている人間達は皆、カメラ目線で笑顔を決めている。つまり、自分達に向けられたカメラの場所と、シャッターを切るタイミングを熟知していたということになる。なるほど、あの天狗が不気味がるのも、納得の出来る一品ということになるわね。

 

 さてさて、一体その人間達はどうやってフランのカメラに気付いたのか。そして何故、それに対し笑みを向けようと思ったのか。疑問はまだ尽きないけれど、それはこの話の本質ではないこと。故にこの私には、それを説明する義務はない。そういうわけだから、もう一人の烏天狗、貴女の話を語りなさいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

23.スクエア(姫海棠はたて)

 

 はいはい、吸血鬼様の仰せの通りに、ってね。私の話の解説、始めていくわよ。

 

 この話の中核としては、スクエアという怪談が収まっているわね。この怪談の基本的な説明は話の通りだけれど、念のため補足もしておきましょう。スクエアの中に出てきた、互いに肩を叩いていくというあのゲームだけれど、これは救助隊の言ったとおり、これは本来であれば不可能なゲームね。

 

 まず、一人目が二人目の肩を叩き、二人目の代わりにその角に座る。次に二人目が三人目の肩を叩き、またその代わりの角に座る。そして三人目が四人目の肩を叩き、またその代わりの角に座る。問題となるのは、この四人目がすることになる行動。この場合四人目は次の角に行き、一人目の肩を叩かないといけないのだけれど、それはちょっと無理なことになるわ。何故なら一人目は二人目の肩を叩きに行った時、二人目に代わってその角、つまり四人目から見て次の次の角で座ってしまっており、次の角には誰もいない状態になっているからね。言葉だと分かり難いけれど、実際に小物を四つ並べて、行った通りに動かすとその通りになる事が分かるわ。これを解決するには、毎週で誰かが角を二つ動くか、あるいはどの角にも座っていない人間、つまり五人目を用意しておくしかない。今回のバージョンだと、この五人目の箇所に既に死んでいた仲間が入っていて、生きていた四人は疑問を感じることなくゲームを続けられた、というパターンになるわね。まあ、割と使い古された怪談と言って良いでしょう。

 

 前置きが長くなったけれど、ここからが本題。話の中で、私はこのスクエアと同じような体験をしていると語っているわね。五人で山を登り、吹雪に遭ったので小屋に避難し、結果として四人で生還出来た、と。

 

 そう、もう既にここがおかしいわ。いつの間にか、五人が四人に減っている。そして、スクエアと同じようにやってみたという文。これらを踏まえて出てくる可能性が、一つある。私は仲間の一人を殺し、外に埋め、その状態で不完全なゲームを行った、という可能性よ。

 

 まったく、これが事実なら、本当に狂気の沙汰ね。そもそも五人いれば完全なゲームとして成立するのに、わざわざ一人を殺して四人にしてまで元ネタを再現しようなんて、思考力が落ちていたでは説明にならないほどの愚行と言って良いわ。

 

 ただ、それでも問題となるのは、その後の文。あの後何度か同じ目に遭ったという発現と、同じようにしたら帰ってこられたという発言。これ、完全にまた殺しているわよね? というか何度も同じ目に遭うとかいう時点で、もう何かがおかしいとすら言えるんだけど、どうなっているんだか。しかも、その度に友達がいなくなる理由が分からないって、おかしいでしょうと。少なくともその度に一人は殺しているんだから当然だし、それを見ていた周りが自然と距離を取るようになるのはそうならないほうがおかしいような話。そんなことにすら気付けないこの私は、絶対に何処か狂っていると断言できるわね。まあ、言っていてあんまりいい気分でもないけれど。

 

 ああ、疲れた。文字を書き並べるならともかく、口で全てを語るのはそんなに得意じゃないから説明として不完全だったかもしれないけれど、そこは勘弁してくれると助かるわ。では山の神様、お次をお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

24.畑に一つ(八坂神奈子)

 

 任された。とはいえ、私の話はそう長いものじゃあないな。結論としては、冗談が現実になってしまった、とでも言うべきか。

 

 話に出てきた、二枚の看板。一枚は萃香――ああ、いや、西瓜に毒が入っている、という私が立てた泥棒避けの看板。勿論、これはあくまで嘘であり、実際に毒が西瓜に入っているというわけじゃあない。西瓜泥棒達を怯ませる、まあ冗談に近しい防衛策って奴だね。

 

 ただ、二つ目の看板。これが問題だ。今は二個、端的だが一枚目と一緒に考えれば、その意味は察せられる。つまり、元は一つであった毒入り西瓜が、今は二個になっていますよ、というものだ。勿論、一個目の毒入り西瓜は実際には存在してないんだが、この看板を信じるならば、毒入り西瓜自体は誕生してしまったということになるね。状況を見るに、それを行い、看板まで立てたのは西瓜泥棒だろう。私の看板に腹を立てたかどうかは知らないが、何かしらの考えの下、毒入り西瓜を誕生させてくれやがったってことになる。

 

 こうなるともう、この西瓜は食えない。こちらも冗句の可能性があるが、実際にそうだった場合、むざむざと私は死んでしまうことになってしまう。とてもじゃないがそんなリスクは冒せないってものだ。しかしまあ、この西瓜泥棒は、どれだけ私に恨みを持っているだろうね。普通、泥棒が出来なくなったからといって、自分も毒を仕込む奴が何処にいるのかってもんだ。やれやれ、物騒というか何というか。この後の私は、一体どうしたんだろうね。

 

 さあ、話も纏らなくなってきそうだし、私の解説はここらで終わりにしてしまおう。ええと、白狼天狗の、次はアンタの番だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

25.雨音(犬走椛)

 

 はい、では解説を始めさせていただきます。私の語った話ですが、大まかに言えば、大雨の中、洞窟に肝試しをしにいくというものでした。仲間についていった私は洞窟の途中で引き返し、家に戻ったというものです。

 

 この話で大事なのは、雨が降っていたために傘を差していたこと。そしてその傘を閉じたのは最後、家の玄関に帰った時ということです。

 

 ……ええ、その通り。洞窟内においてすら、私は傘を閉じていないんです。洞窟内の水溜りや、密閉空間による雨音の反響など。本来であれば天井があるはずの洞窟においても、なお雨が降り続いていたというのは、おかしな話です。

 

 しかし、さて、これは一体どういうわけだったのでしょうか。幽霊や妖怪、魑魅魍魎の仕業だったのでしょうか。それであれば、私が感じていた謎の不快感や違和感も納得が出来ます。霊による干渉や、洞窟内での不条理を、私はそれらの感覚として受け取っていた。そう考えると、一応の納得は出来るでしょう。まあ、これは幻想郷内での理屈で、外の世界だとまた変わってくるんでしょうが。

 

 この話において不明なのは、やはり洞窟の奥へと進んでいった同僚たちの行方でしょうか。これがもし超常の存在による現象だとしたら、彼らはもしや、その存在に呼ばれていたのではないでしょうか。私の制止や洞窟内の違和感を気にも留めなかったのは、あるいは酒の力ではなく、呼ばれていたからだったのかも知れません。果たしてこの後、洞窟の奥に進んでいった彼らは、どのような目に遭ったのか。それは、私にも語れることではありません。

 

 では、私の解説はこれでお仕舞いとさせていただきます。次の方、どうかよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

26.誰にでも気付けること(洩矢諏訪子)

 

 はい、じゃあ私の番と行こうか。さっきのとちょっとばかり被るけれど、こっちも死神の話だったね。死神のせいで子供が死んだとか、まあそういう感じの。

 

 とはいえ、こっちに出てくる死神は本物じゃあない。どころか、存在自体していないものさ。あれはただの噂で、別にこっちの住人に対し干渉力を持っているようなものじゃない。

 

 では、どうして子供は死んだのか――なんて、聞かなくても分かるだろう? 水の枯れた、十メートルはあろうかという崖の上から飛び降りりゃ、人間の子供なんて死ぬに決まっている。そう、これは深く考えなくても分かる、極めて当たり前の原因と結果でしかない。

 

 この話で、何がゾッとするのか。それは、こんな簡単なことにすら、この子供たちは気付いていないって事さ。高いところから落ちれば死ぬ。そんな至極当然のことすら知らず、死神の噂とやらの所為だなんて信じてしまう。そんなの、純朴を通り過ぎて、もはや恐怖すら感じるレベルだ。今の若者はこんな簡単なことすら知らないのか、なんて感じの煽り文句はあるけれど、これはその段階を超えている。生物としての常識すら知らない、教わっていないなんて、ゾッとするってもんだよ、まったく。

 

 どうか、実際にこういう子供が増えない事を祈るばかりだね。そんなところで、この話はお仕舞いとしようかな。

 

 

 

 

 




 だいぶ放置して申し訳ありません。今更ですがやっていなかった残りの解説を投稿いたしました。久々なので文章がややおかしいことになっているかもしれませんが、どうかご容赦下さい。

 こういうざまでしたので、次回以降の投稿はあまり考えておりません。ですがもし、その時が来た場合はまた読んで下さるとありがたいです。
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