エミヤ視点の話は次回の予定です。
interlude②-2
「ハァアッ!!」
「セイッ!!」
真夜中の公園で剣と剣が激しくぶつかり合う。そしてその渦中に、2人の少女がいた。
1人は赤い外套を纏い、二本の剣を持つ自称魔法少女、クロ。
もう1人は白銀のドレスに黄金の剣を持つ過去の英雄、セイバー。
クロは二本一対の夫婦剣 -干将・莫耶-を右、左、右と交互に振るい、セイバーはその規則性に気付き的確に防いでいく。途中クロの剣が何度か折れるも、その度に新しい剣を取り出しては一連の流れを続ける。右、左、右、次はおそらく左、そう読んだ彼女は左に曲がり敵のリズムを崩そうとする。しかし、次に来たのは左からの一撃ではなかった。
右側からの一撃を弾き、右に回避しようとした時、右から回し蹴りが迫ってきた。予想外の攻撃に反応が遅れ、思わずもらってしまうセイバー。
「もらった!」
クロはセイバーと距離を置くと、左右に持った剣をセイバーに向けてブーメランのように投げつける。
セイバーはそれをなぎ払おうとするが、剣はセイバーの目前で爆裂する。
魔力によって練られた剣の魔力を解放し、その魔力を爆弾の火薬として広範囲に爆発を発生させる。
「彼がやった技と同じですね、」
爆風が吹き付けるが、セイバーは一度経験済みだ。彼女は自身の足と剣に魔力を放出させる。セイバーのスキルである魔力放出は、魔力を肉体や武器に付加させることで、一時的にだが爆発的に能力を向上させることができる。普段なら燃費の悪さからあまり使うことはないのだが、この好機を逃さまいと貯めていた魔力を剣に込める。
「そこですつ!!」
魔力を燃料にして、セイバーはロケットエンジンの如き速度でクロに迫りその剣を振るう。爆煙で眩ませてその隙を突こうとして逆に隙を突かれたクロは、咄嗟に左の掌に四枚の花弁の盾
しかし、魔力付加による単純な強化と、突進による推進力で大幅に強化されたセイバーの剣は四枚の花弁を一撃で粉砕させた。
「うそ…」
圧倒的な威力を前に驚かされるクロ。しかしセイバーの攻撃は続く。
これを受ければ、死ぬ。 直感ではなく本能がそう告げる。死を前に彼女は、否、彼女の中にある力が迫る剣に対"剣"を教えてくる。その解の意味やそこに至る理由は分からない、ただ与えられた模範解答を彼女は応える。
「
そう呟くと、彼女の手に剣が現れる。
その剣の真名は -グラム-、北欧神話に登場する竜殺しの英雄 シグルドの愛剣にして、かのアーサー王の持つ黄金の聖剣-約束された勝利の剣-(エクスカリバー)と対を成す魔剣。七つの円環を突破したセイバーの剣と相打つに相応しい選択と言えるだろう。
しかし、彼女は模範解答を応えただけだ。魔剣と呼ばれるまでの過程が省略されたそれは形だけのレプリカ。そこに真に迫る価値はなく、故にただの剣に成り下がったグラムはセイバーの剣を受けると、たちまちその刀身が粉々に砕けた。
万策尽きた。追い詰められたクロに黄金の剣が振り下ろされる。よもやここまで。
(せめて最後に、笑顔でお兄ちゃんとお別れしたいな…)
兄がいる場所に向けて、残された体力で最大限の笑顔を見せようとするクロ。だが、そこに兄の姿はなくー
「
クロが前を向くと、その眼に写ったのは彼女の血で塗られた剣ではなく、振り下ろされた剣から彼女を守る、兄の後姿であった。
interlude out
ご覧いただきありがとうございます。
元々は今回の話と次回の話まとめて8話にする予定だったのですが、それでは長くなりそうなので2つに分けました。
次回は会話多めになる予定です。
設定のミスがありましたら、お気軽にご指摘ください。また、感想もお待ちしております。
追記
3/1 武器名、詠唱にルビを追加しました。