Fate/once more night   作:ココイッチー

8 / 10
今回は神の目視点で、戦闘パートオンリーです。

エミヤ視点の話は次回の予定です。


8話 決闘

interlude②-2

 

「ハァアッ!!」

「セイッ!!」

真夜中の公園で剣と剣が激しくぶつかり合う。そしてその渦中に、2人の少女がいた。

1人は赤い外套を纏い、二本の剣を持つ自称魔法少女、クロ。

もう1人は白銀のドレスに黄金の剣を持つ過去の英雄、セイバー。

 

クロは二本一対の夫婦剣 -干将・莫耶-を右、左、右と交互に振るい、セイバーはその規則性に気付き的確に防いでいく。途中クロの剣が何度か折れるも、その度に新しい剣を取り出しては一連の流れを続ける。右、左、右、次はおそらく左、そう読んだ彼女は左に曲がり敵のリズムを崩そうとする。しかし、次に来たのは左からの一撃ではなかった。

右側からの一撃を弾き、右に回避しようとした時、右から回し蹴りが迫ってきた。予想外の攻撃に反応が遅れ、思わずもらってしまうセイバー。

「もらった!」

クロはセイバーと距離を置くと、左右に持った剣をセイバーに向けてブーメランのように投げつける。

セイバーはそれをなぎ払おうとするが、剣はセイバーの目前で爆裂する。

 

壊れた幻想(ブロークンファンタズム)

魔力によって練られた剣の魔力を解放し、その魔力を爆弾の火薬として広範囲に爆発を発生させる。

「彼がやった技と同じですね、」

爆風が吹き付けるが、セイバーは一度経験済みだ。彼女は自身の足と剣に魔力を放出させる。セイバーのスキルである魔力放出は、魔力を肉体や武器に付加させることで、一時的にだが爆発的に能力を向上させることができる。普段なら燃費の悪さからあまり使うことはないのだが、この好機を逃さまいと貯めていた魔力を剣に込める。

「そこですつ!!」

魔力を燃料にして、セイバーはロケットエンジンの如き速度でクロに迫りその剣を振るう。爆煙で眩ませてその隙を突こうとして逆に隙を突かれたクロは、咄嗟に左の掌に四枚の花弁の盾 熾天覆う七つの円環(ローアイアス)を展開する。

しかし、魔力付加による単純な強化と、突進による推進力で大幅に強化されたセイバーの剣は四枚の花弁を一撃で粉砕させた。

 

「うそ…」

圧倒的な威力を前に驚かされるクロ。しかしセイバーの攻撃は続く。

これを受ければ、死ぬ。 直感ではなく本能がそう告げる。死を前に彼女は、否、彼女の中にある力が迫る剣に対"剣"を教えてくる。その解の意味やそこに至る理由は分からない、ただ与えられた模範解答を彼女は応える。

投影開始(トレース・オン)

そう呟くと、彼女の手に剣が現れる。

その剣の真名は -グラム-、北欧神話に登場する竜殺しの英雄 シグルドの愛剣にして、かのアーサー王の持つ黄金の聖剣-約束された勝利の剣-(エクスカリバー)と対を成す魔剣。七つの円環を突破したセイバーの剣と相打つに相応しい選択と言えるだろう。

しかし、彼女は模範解答を応えただけだ。魔剣と呼ばれるまでの過程が省略されたそれは形だけのレプリカ。そこに真に迫る価値はなく、故にただの剣に成り下がったグラムはセイバーの剣を受けると、たちまちその刀身が粉々に砕けた。

 

万策尽きた。追い詰められたクロに黄金の剣が振り下ろされる。よもやここまで。

(せめて最後に、笑顔でお兄ちゃんとお別れしたいな…)

兄がいる場所に向けて、残された体力で最大限の笑顔を見せようとするクロ。だが、そこに兄の姿はなくー

 

投影開始(トレース・オン)

 

クロが前を向くと、その眼に写ったのは彼女の血で塗られた剣ではなく、振り下ろされた剣から彼女を守る、兄の後姿であった。

 

interlude out

 

 

 




ご覧いただきありがとうございます。

元々は今回の話と次回の話まとめて8話にする予定だったのですが、それでは長くなりそうなので2つに分けました。
次回は会話多めになる予定です。

設定のミスがありましたら、お気軽にご指摘ください。また、感想もお待ちしております。

追記
3/1 武器名、詠唱にルビを追加しました。
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