蒼い月光と紅い皇炎   作:月詠 秋水

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こんにちは、秋水です。

今回は、魔力測定のお話を綴ってみました!

正直単位はどうだって良かったんですが、単位があったらなんか良いかなと思い付けてみました。

変かなとも思ったんですが、もうこれでいいかなとも思えてきました(苦笑)


2項 魔力測定!

こうして玄関の所に戻ると案の定

 

(遅い!)

 

と言いたげな顔でこっちを見てくる。そして……。

 

「もう、遅いわよ!」

 

「ごめん、思ったより話が長引いちゃって」

 

これは事実だ。冬風は苦笑しつつも、夢依の所へと歩を進めた。

 

(まぁまぁ)

 

と夢依を宥めた。

 

「……それで、何の話をしてたのよ」

 

「いやぁ……宣戦布告されたよ。なんか魔力測定で勝負だ……なんて言われちゃってね」

 

「へぇ」

 

一瞬興味無さそうな顔に見えた。多分夢依にとってはどうでもいいことなんだと思う。

 

「まぁ……そんな感じだよ。それより早く体育館に行こう」

 

「そうね」

 

少し早足で体育館に向かった冬風と夢依。体育館のドアを開けると、大人数の人たちが居た。大体……4~5百人くらいは居るだろうか……すると、皆夢依の所に集まってきた。

 

「お、皇女様だ!」

 

「とても美しい……!」

 

その声を聞き、夢依は鼻を鳴らした。

 

「夢依、気分が良いのはわかるけど……とりあえず席に座ろうよ」

 

「そうね」

 

冬風と夢依は雄斗に指定された席に向かい座り、その数分後に入学式が始まった。式の最中も周りの視線が夢依に集中し、先生の話なんて聞いてなかった。冬風はと言うと、は普通に聞いていた。ただ……男性陣の

 

"何だあいつ?"

 

とか

 

"なんで皇女様の隣にあいつが居るんだよ"

 

とか言う鬱陶しい奴も多かった。逆に女性陣の場合は

 

"あの人男性?全くそんな風には見えないけど"

 

とか

 

"皇女様に負けず劣らず……同じくらい可憐"

 

なんていう人達まで居た。確かに見た目だけすれば、冬風は女性にしか見えないのかもしれない。……男物の制服着ているが。

 

周りの視線やヒソヒソ声に鬱陶しさを抱きつつも、無事に入学式は終わった。周りに意識が行っていたせいかとても早く感じた。

 

「終わったみたいだね。じゃあ早速クラス表見てこようよ」

 

僕が夢依に手を差し伸べると、少し恥ずかしそうに僕の手を掴んだ。

 

「う、うん」

 

こうして冬風と夢依は体育館を後にし、外に貼ってあるクラス表を見に行った。歩いている最中殺意の視線と、嫉妬の視線が冬風にずっと向いていたせいでいつもより疲れていた。

 

「あ、私冬風とおんなじクラスだ!」

 

嬉しそうにはしゃぐ夢依。

 

「そうだね。しかも席も隣みたいだよ?」

 

「本当?やったー!」

 

本当に無邪気に喜んでいた。冬風は内心で雄斗に感謝しつつ、教室へ向かい自分の席に座り、その隣の席に夢依が座った。冬風の席は窓側の一番後ろの席、その右隣が夢依だった。窓側の席は僕にとっては好都合で、一番目立ちにくい席である。

 

「ふぅ……」

 

疲れたように溜息をつくと、満面の笑みの夢依が話しかけてきた。

 

「どうしたの、もう疲れちゃった?」

 

「まぁね……こんなに人が多いとね」

 

目を細めてあたりを視線で見渡す、皆の視線はこっちを見ていた。特に男性陣は夢依を、女性陣は冬風を見ていた。男性陣の中で冬風に殺意の視線を送ってる奴も居たが、少し睨んだらすぐに目を逸らした。

 

「全く……この先が思いやられるよ」

 

そんなこんなで会話していると、教室のドアが開く音がした。皆がそこへ視線を向けると、少し若い大人の女性が入ってきた。その人は教卓の前までつかつか歩くと

 

「全員静かにしろ!そして席につけ!」

 

いきなり大声で喝を入れてきた。ものすごい気の強そうな人だなと思ったのが冬風の第一印象だ。夢依はその感じに少しビクッとしたけど、平然とした顔で教卓の方に体を向けた。

 

「私がここのクラスの担任になることになった、渡辺琴珠だ。一年間よろしくな!」

 

元気よく挨拶をした。クラスの皆はその人に気圧されたのか分からないが、皆も大声で返事をした。琴珠の見た目は、少し茶色がかった髪で長さは肩に少し掛かるくらい。身長は恐らく170はあると思う。全身スーツで、いかにもどこかの情報員というか……OLが似合っていそうだ。

 

「うむ……それじゃ、1番の奴から順番に自己紹介していけ」

 

一番の人に指差すと、その人は

 

"はい!"

 

と緊張を帯びた声で立ち上がった。それから着々と自己紹介が進んだ。途中、大道もいて驚きもした。そして順番は夢依に回ってきた。

 

「えっと……ユスティア王国第一皇女、渚夢依です。こんな身分ですが、蟠りなく接してくれると嬉しいです。」

 

ペコリと頭を下げると皆騒ぎ出した。

 

"うぉぉぉぉぉ!"

 

とか

 

"可愛い!"

 

などの声が聞こえる。そして順番巡り、いつの間にか冬風の番になっていた。

 

「月詠冬風です。よろしく」

 

そっけないというか、ぶっきらぼうな自己紹介をした後、ゆっくりと座った。皆の視線を見てみると

 

"変なの"

 

みたいな眼でこっちを見ていたのだが、意外と気にならなかった。別に皆と仲良くする必要が無い以上、愛想を振りまく必要なんて無いと思っていた。冬風はただ夢依を守るだけだと思っているのだから。

 

ともかく、これで全員の自己紹介が終わった。

 

「よ~し、全員の自己紹介も終わったことだし……全員講堂に集まれ」

 

ついに来た……魔力測定の時間だ。何故講堂かというと、機材が大きくて他のところじゃ入りきらなかったらしい。そんなこんなでクラスの皆全員で移動した。

 

「それじゃあ魔力測定をします。出席番号順なので、1番から図ってください!」

 

白衣を着た男性が声を上げる。そして1番の人から次々と図っていった。冬風の見ている限りでは、精々頑張っても3~4百ベクルが限界な人が多かった。つまり皆妖精としか契約できていないということになる。そんな中結構な魔力数値を叩きだしたものが居た。

 

そう、大道淳だ。彼は750ベクルという数字を叩き出し、魔力属性は土系統だ。契約精霊は(グノーム)。それがモニタリングされた瞬間、皆驚きの色を隠せてなかった。

 

淳は冬風の方をチラッと振り向き、鼻を鳴らしているように見えた。そして順番巡って、夢依の番になった。

 

「それじゃ、この金属を腕につけて……」

 

白衣の男性の指示に従い、テキパキと準備をしていく。そして魔力数値を測った

時……。

 

(1200ベクル 魔力属性:炎……契約精霊:サラマンダー 3000ベクル 魔力属性;炎)

 

とモニターに映し出された。炎の魔力属性を持つ人は多く居たけど、これほど高いのは初めて見た。ちなみに、今まで冬風が見た属性系統は(炎:風:土)の3種類だけだ。まだ他にも(水:雷:闇:聖)の属性が存在する。本来一人の人間には属性は1つしか宿らないが、一応僕は全属性を扱えるが、普段使っているのは(水)系統しか使ってない。魔力属性の変更には、少し時間がかかるからだ。例えば系統を水→雷にしたい時は

 

(属性変更、水の属性から雷の属性へ)

 

と唱える必要がある。正直言って面倒くさい。いろんな事考えてたら、あっという間に冬風の番になっていた。金具を付けてる最中後ろからヒソヒソ声で

 

「次はあいつだぜ」

 

「低かったら笑いものにしてやろう」

 

とか聞こえてきた。正直まともに図れたことがなかった……まだ幼稚園に上がるくらいの頃、何度か図ったことがある。結果は

 

(測定不能 魔力属性:不明)

 

だった。それを異質に見られて、人から距離を置くようになった。不用意に接すると、危険な目にあわせてしまう恐れがあるからだ。僕は息を整え、金具が付け終わるのを待つ。

 

「はい、それでは魔力を放ってください」

 

その声が聞こえると、冬風は少しずつ眼を開けながら魔力を開放した。開放するのは少しでいい、図るのは魔力原の方なのだから……。

 

そしてモニタリングされた僕の結果に、僕は言葉と血色を失った。

 

(測定不能 魔力属性:不明……契約者:不明 測定不能 魔力属性:水)

 

……またこうなってしまった。どうしてこうなってしまうんだろうかと思ってた。特に機械が故障しているわけじゃない、ただ冬風の魔力が得体のしれないだけなんだ…周りを見てみると、皆モニターを見て呆然と立ち尽くしているだけだった。夢依や淳ですら呆然としていた。

 

「はぁ……またか」

 

金具を外そうとした時、白衣の男に止められた。

 

「ま、まって。さっきのは表示バグかも知れない。もう一回図りなおそう」

 

僕は頷いた。しかし、何回図っても表示されるのは…

 

(測定不能 魔力属性:不明)

 

の文字だけだった。何回かすると突然こんな文字が移された。

 

(Warning これ以上の測定は機械が故障してしまう危険があります。直ちに中止してください。)

 

この表示を見て、白衣の男たちも黙りこんでしまった。

 

「……もう良いですよね、どうせこんな結果しか出ないんですから」

 

するりと金具を外し、夢依のところへ戻った。歩いてる最中、周りの視線は(殺意)からいつの間にか(畏怖)やら(恐れ)へと変わっているのに気がついた。夢依の側に立つと、夢依が優しく微笑んで慰めてくれた。

 

「大丈夫、冬風の強さなんて数値化出来ない。間近で見たものにしか、本当の強さは分かりはしない」

 

その言葉に泣きそうになった。なんでかは知らない……別に自分の結果に期待してたわけでもない、最初から分かりきっていたことなんだから。それでもやっぱり、自分の力を表せないと……少し自分でも恐怖を覚える。そして周りの視線やそれから感じる感情に心を削られていた。

 

「……ありがとう」

 

夢依に礼を言った……と言うよりもそれしか言う言葉が見つからなかったからだ。そして教室に戻り、自分の席で外を眺めていた。周りの視線が凄く痛く……どんどんと心が削られていくのが目に見えてわかりそうな程に、凄く心が痛んでいた。初日から凄く嫌な気分になり下手したら自暴自棄になっていたかもしれない。そんな中冬風の席に淳が近寄ってきた。

 

来るだろうと分かっていた冬風は、出来るだけ無表情で彼にこういった。

 

「測定お疲れ……僕の結果は見ただろう、昔から測れなかった。機械が……なんて言い訳はしないけど、そのせいで周りの人からは畏怖の眼で見られ、悍ましいとまで言われるこの始末……現状だってそうだ、あんなに敵意むき出しだったのにあの結果を見た途端……このザマだ。所詮君もあいつらと同じように軽蔑し、罵倒しに来たんだろ?勝負の件は無かったことにしてくれ……」

 

なるべく無表情で言い放った……はずなのに、淳に顔を向けることが出来なかった。理由は……彼も軽蔑のような眼差しで見てると思ったから。だから怖くて向けなかった。

 

だが…

 

「いや、俺はそんな眼でお前を見たりなんかしない。お前が強くて、凄い奴だということは拳を交えた俺だからこそ分かる。罵倒や軽蔑なんてのは本当の実力も知らず、思い通りに行かなかった奴らの悔し紛れの台詞さ」

 

冬風は心底驚いた表情で淳の顔を見た。すると淳の表情には(畏怖)や(軽蔑)と言った感情は全く無く、ただ真っ直ぐで……真剣な表情が冬風に向けられてた。その表情を見てそれがお世辞なんかじゃないってことは……一目瞭然だった。

 

「全く……君は馬鹿なんだか純粋なんだか……。でも、そう言ってくれる人は夢依と君だけだよ……ありがと」

 

心なしか、冬風の表情は柔らかく微笑んでいた。だが……視界が凄くぼやけていた。頬に何かが伝って落ちる感触がある。冬風は……泣いていた。淳と夢依、そして皆の前で……それに気づくと急いで涙を拭った。

 

「は、ははは……見苦しいところを見せてゴメンな。全く、泣き虫のまんまじゃないか……僕は」

 

拭っても拭っても溢れ出る涙。冬風は教室から逃げるように飛び出し、誰もいない屋上のドアの前で泣いた。声を殺しつつ、堪えながら……すると、背中に誰かが抱きつく感触がした。

 

「冬風」

 

抱きしめた人の正体は、夢依だった。淳も一緒に居た。2人共後を追ってきたのだろうかと思った。

 

「夢依……ごめん、こんな恥ずかしい所見せちゃって……泣くつもりはなかったんだけど、勝手に……出ちゃうんだ」

 

袖で涙を拭い去り、溢れる涙を必死に抑え微笑んだ。そして、夢依も微笑んでくれた。

 

「人間は誰だって泣きたい時くらいあるわよ。それに決して泣き虫は恥じゃない、泣き虫は心がすごく優しいって証拠なの。だから……泣きたい時に泣けばいいのよ」

 

そう言って頭を優しく撫でてくれた、淳も(元気出せ)と言って冬風の頬を引っ張ってきた。ちょっと痛かったけど、それが彼なりの励まし方なのだろう。すると、雅が出てきて優しく頬を撫でてくれた。

 

「……ありがとう、2人のおかげで元気が出てきたよ」

 

「いいんだ、困ったこととか苦しいこととかあったら迷わず俺に言えよ。出来る限りのことはしてやれるつもりだ」

 

「私にも言ってね、何時でも相談に乗るから。だから……さ、重荷を全て自分で抱え込もうとしないで。私も一緒に背負うから」

 

「俺も背負ってやるよ」

 

「前にも言ったと思うけど、私も背負うわよ。約束を果たす前に壊れられちゃったら悲しいもの」

 

普通だったら冬風が夢依に言う立場なはずだったのに……何故か逆転しちゃっていた。

 

でも、凄く嬉しい。ここに来て初めて、仲間が出来た気がした。

 

「ありがと……でもそれだと先に2人が参っちゃうよ。だからさ、重荷は3人で……いや、雅も含めて4人で背負っていこう」

 

「ふっ……まさか俺達の心配までされるとはな」

 

「冬風らしいわね」

 

「全く……ね」

 

皆に苦笑いされた。冬風はキョトンとした表情で

 

(え、何か可笑しいことでも言った?)

 

と呟いた。

 

「だがまぁ……そうだな、そうするか」

 

「いつも守ってもらってばっかではいけないもの、少し位自分で何とか出来るように頑張ってみるわ」

 

「私の力を信じなさい、それに貴方自身の力も……」

 

「うん……!」

 

僕は心の底からの……満面の微笑みで答えた。

 

夢依も淳も雅も僕が僕が守る……いや、守ってみせる。

 

新たにそう決意を心に固め、ようやく落ち着いた冬風は

 

(さぁ、教室に戻ろう)

 

と言った。




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