蒼い月光と紅い皇炎   作:月詠 秋水

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8頁 落ち着かない外出

そして、城の外へ出ると……通行人が必ずと言っていいほど僕らを見てくる。流石に外では”僕”だと悪目立ちしかし無さそうだし、”私”に変える必要がありそうだな。通行人の視線を気にしながらも、僕は目的の文房具屋に着いた。中に入ると、色んな文房具があり目移りしてしまう。夢依は少々はしゃぎ気味で、僕に色んな物を進めてきた。

 

「ねぇ、これとか可愛くていいと思うの。あれとか、これとかも!」

 

「わ、分かったからそんなに騒がないでくれ……恥ずかしいから」

 

「分かったわよ」

 

とりあえず、ノートと中学の時に使っていたシャープペンシル。それと、消しゴムを持ちながらカウンターへ向かった。すると店員のおじちゃんは…

 

「おうお嬢ちゃん達、仲がいいみたいだけど姉妹かな?がっはっは」

 

「え、えぇ……まぁ」

 

豪快に笑う店員と、戸惑う僕。緊張しすぎて冷や汗が出そうだよ。

 

「可愛らしいお嬢ちゃん達には、特別にオマケしてやらぁ」

 

そういうと、袋の中に可愛らしい文房具も入れてくれた。ありがた迷惑なのだが……せっかくだから店員のご厚意に甘えようかな。

 

「ありがとうございます、それで代金はお幾らですか?」

 

「700ポッチだぜ」

 

僕は財布の中から1000ポッチを取り出し、渡した。300ポッチをお釣りとして受け取り、財布の中へ。店員に礼をしてから僕と夢依は外に出た。

 

「さて、帰ろうか?」

 

早く帰りたい僕は、城の方向へ足を進めた。しかし、夢依は僕のコートの裾を引っ張った。

 

「せっかくだからもうちょっと何処かに行こうよ……ね?」

 

……無邪気な笑顔だなー。

 

「う、うん…」

 

溜息をつくと、僕は夢依が行きたい所を聞いてみた。

 

「そうねぇ……行きたい場所なら…あっ」

 

何かを思い出したように歩き出す。そして着いたのが……ぬいぐるみショップだった。窓越しに店内を見て見ると、女性客しか居なかった。正直帰りたいと思った瞬間でもあった。しかしそれを許してくれるわけもなく、やや強引気味に夢依と入店した。中は甘い香りのアロマが焚いてあり、客はみんなぬいぐるみに意識が行っている。

 

「それで……何が買いたいの?」

 

「それは今決めるわ」

 

これは……長くなりそうだ。

 

「これいいなぁ…あっ、これも可愛い」

 

色んな種類のぬいぐるみがあり、目移りしている夢依。僕もいろいろ見て回ると、あるぬいぐるみが僕の目に止まった。

 

「………」

 

試しに抱いてみた。すると、ふかふかというかもふもふというか……とても気持ちよくて、欲しくなってしまった。

 

「へぇ……猫ちゃんのぬいぐるみかぁ、可愛い趣味してるじゃないの」

 

僕が夢中になっていると、夢依が隣でニヤニヤしていた。僕は慌てて平静を装った。

まぁ、僕が猫好きなのは別に隠すつもりはないんだけども……なんとなく恥ずかしい。

 

「ちょ……ちょっと買ってくるね」

 

急いでレジに向かった。お金を払い、袋に入れてもらってから夢依の元へ戻った。

 

「夢依は何買うか決めた?」

 

「う~ん……ちょっとまってね」

 

中々決めかねているみたいだ。僕は外の様子を見ようと窓に眼をやると、背後からひそひそ話が聞こえた。

 

「ねぇ……あの子たち可愛くない?」

 

「特に外を眺めている子……レベルが高すぎるわ」

 

……うん、聞かなかったことにしよう。心の中で僕は男ですと謝りながら、景色を背景にぼ~っとしていた。

 

「お待たせ~」

 

「ひゃっ?!」

 

不意に声をかけられて、悲鳴みたいな声が出てしまった。幸いなのが、音量をすごく抑えていたため周りには聞かれてなかったことだ。

 

「どうしたの?」

 

「いや……ぼ~っとしてたからさ、いきなり声かけられてびっくりしちゃっただけだよ」

 

夢依に微笑みながら、出口へ向かった。外に出ると、店内との温度差ですごく寒く感じた。特に足元が。そりゃあスカートにパンストとブーツって……冷えるに決まってる。そう思うと、よく女性はこんな寒い中でも平気だなーと思う。

 

「さ、寒いわねー……近くのカフェにでも行きましょう」

 

「そ、そうね…」

 

周りの人たちも居るため、芝居を続ける。カフェに到着し、夢依はキャラメル・マキアートを。僕はカフェラテを注文した。店内には暖房が効いており、冷えた体が少しずつ温まってきた。注文した飲み物が運ばれ、それをフーフーしながら飲んだ。カフェラテの暖かさが、体内に取り込まれてじんわりと来る。ほぅっと一息つくと、夢依は次行く場所を決めようとしていた。

 

「あ、あのね……私寒いからなるべく早めに…」

 

「次はケーキ屋さんに行きましょ、甘いモノが欲しくなっちゃって」

 

あははと言いながらも僕の案は聞き入れない。まぁ、その後に帰れるのであればお共するけれども。

 

「分かった、じゃあそこを最後にしましょう」

 

「うん」

 

コーヒーを飲みつつ、他愛もないおしゃべりを交わしていた。気が付くとそろそろ日が暮れようとしていた。

 

「それじゃあ、そろそろ行きましょうか」

 

「そうね」

 

僕らはお金を払い、外へ出た。そして夢依が言っていたケーキ屋を目指す途中、この前学校で夢依ともめていた大男と出会ってしまった。

 

「げっ……」

 

「む……?」

 

僕は嫌な顔をし、別ルートへ夢依を引っ張っていこうとした矢先。

 

「待て、お前ら……貴様は確かこの前の皇女の……夢依だったな、あの時は変な奴が居たが今日は居ないようだな。てっきり貴様の連れかと思ったが」

 

あの……目の前に居るんですけど。

 

「え、えぇ……それで、貴方は私達を呼び止めて何の用かしら。この前の続きでもする気かしら?」

 

「いや、流石にこの場で揉め事すると憚られる。それに、今日は違う連れがいるなと思ってな」

 

「わ……私のことでしょうか?」

 

引きつった作り笑顔で聞いてみた。すると、大男は頷いた。

 

「貴様のそのコート……あの男が着ていたものと似てるが、知り合いなのか?」

 

「い、いえ……偶々似たようなものを着ているだけだと思いますよ」

 

「そうか……知らぬなら仕方ない」

 

そう言うと、大男は溜息みたいなものを発した。

 

「それにしても、貴様らはここで何をしてるんだ?」

 

へっ?なんでそんなこと聞いてくるんだろうと思いつつも、僕はさっきまでカフェでお茶をしてて、その帰りだと言った。

 

「そうか、最近ココら辺に変質者が出るらしいからな、気をつけて帰れよ」

 

「は、はい……」

 

「ふん、貴方に心配される義理はないわ」

 

「相変わらずいけ好かない態度だ。貴様もこの女のように態度を良くしたらどうだ」

 

ごめんね、僕は男だし演技なんだ。本当だったらものすごく無視したいんだけどね。

 

「そ、それじゃ失礼しま……」

 

「貴様、名は何という…?」

 

「へっ…?」

 

「貴様の名だ。」

 

「私…?」

 

ここで本名を応えるわけには行かないな。どうするかと悩んでいると、母様の顔が脳裏に浮かび、とっさに

 

「春音……宮野 春音です」

 

実の母の名を、口に出していた。

 

「春音……か、良い名だ。俺は大道淳だ」

 

「よ、よろしく……」

 

大道は名乗った後、帰っていった。

 

「ほら、早く泣き止んで。ここから立ち去ろう」

 

「うん……」

 

僕らも帰路につくことにした。まさかナンパに会うなんて……ついてないな~。やがて城に着くと、皆が出迎えてくれた。その後に、伯父様にナンパに会ったことを話し、その人達は牢獄に閉じ込められた。

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