「たっだいまー」
声高らかに学校から自宅に帰ってきた。
「優希〜、今日こそ宿題終わらせなさい」
「分かってる、分かってる。すぐやるよ」
毎度毎度、同じような返事をしているせいで信用が薄くなっているのか、母から舌打ちがかすかに聞こえた(気がする)。
少し嫌な気分にはなったが、二階の自室に向かって全力で階段を駆けた。
ーガチャー
自室のドアを開け、真っ先にパソコンに手がいった。
(宿題なんて後で終わらせれば、いいや)
ーカタカタカター
パソコンのパスワードを入力し、ホーム画面になった。
「よぉ〜し、今日も頑張りますか」
袖をまくり、『艦これ』を開いた。
俺が艦これを始めたきっかけは友達に誘われたからである。
最初は面白いのか分からず、半信半疑だったが、やってみると、艦娘が可愛かったので、すぐに虜になった。
(こうやって日々を楽しく過ごせるのは一重に友達のおかげだ。本当に良き友を持った)
喜びのあまり、艦これを始めた頃のことを思い出していた。
(イカンイカン、昔の頃に浸っている暇はない。早くやらなきゃ、やる事が、いっぱいだ)
カタカタカタ………。
ー午前0時ー
「ふぅ、疲れた」
気晴らしに外を見ようとしてカーテンを開け、窓の外を見ると『艦これ』に熱中したせいか、もう真っ暗だった。
「もうちょっとだけ………。」
もはや、宿題をやろうとする気力がなく、睡魔とだけ、戦っていた。
よろよろと何とかパソコンの椅子に座り、『艦これ』の艦娘の編成で、秘書艦を、金剛から天津風に変え、力尽きたのか、そのまま寝落ちしてしまった。
ピピッ、鎮守府に着任しました。
これより艦隊の指揮に入ります。
「………チリチリチリッッ!」
カバッッ!
俺は掛布団を投げ捨て、急いで起き上がった。
「まずい、遅刻だぁー、支度しな………。」
言葉を失った。周りをみると、自室ではなかった。が、どこが見慣れた風景だった。
そこに椅子に腰掛け、スースーと寝息を漏らしている女の子がいた。
彼女は俺が焦って大声を出したせいで起きてしまった。
「ふぁぁ〜、あら、今日はいつになく早いじゃない。いつも、アラーム鳴らしても起きないくせに…」
あくびをしながら、椅子から立ち上がり、背伸びをした。
再度俺を見た瞬間、焦ったふうに……
「あ、あなたそのまま慎重に机から離れて!崩さないようにね」
(
不思議に思いながら、言われた通りにした。
「全く、昨日突然、秘書艦を変えたから、ビックリしたじゃない。しかも、部屋に入ったら、机で寝ているんだもの。仕方なく毛布だけでもかぶせといたけど……ハァ、昨日は疲れた」
(ひ、秘書艦って、やっぱりッッ‼︎ )
ため息をつきながら、彼女は落胆していた。
俺は現状を理解できずにいたが、何とか理解しようとふと頭に浮かんでいた疑問を言い放った。
「あっあなたは、天津風さん?」
彼女は不思議そうに頭をかしげた。
「そうだけど………どうしたの、さん付けするなんて。頭でも打ったの?」
俺は予想外の出来事に落ち着けずにはいられなかった。
(いやいやいや、落ち着け俺………。ここは現実世界ではない。よしっ、まず現状を一つ受け入れられた。そしてもう一つここは………。)
「君は艦娘かな?」
恐る恐る聞いてみると彼女はため息をつき、左手で顔をおさえながら、呆れた素振りを見せた。
「本当に大丈夫?やっぱ頭打ったんじゃないの?」
(やはりそうだ。ここは艦これの鎮守府だッッ!)
「………。」
(となれば、俺は現実世界からゲームの世界に飛ばされたってことか)
「………。」
(そんな訳があるかッッ!そう、これはきっと夢だ。ずっとこの夢の中でハッピーなライフでエンジョイしていたいが、やはりダメだ。俺には行きたくないが、学校がある。早くこの夢から抜け出さなければ、母親に自室に攻め入られ、怒鳴られるのが、オチだ)
自分で自問自答しながら、毛布を持って、今度はベットの方へ歩み寄り…
「おじゃましました」
寝ることにした。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。せっかく起きたのにまた寝る気なの。もう、早く毛布から離れなさいッッ!」
強引に毛布を引っ張り出してきたので、俺は必死に毛布とベットにしがみついた。
が、天津風の方が腕力が強く、引っ張り出された毛布と共に床に投げ飛ばされた。
「グェ〜〜ッッ」
そのまま仰向けに床に叩きつけられた。
(痛ってぇー、床にこすりつけられ…た……? )
投げ飛ばされた直後、俺はふとおもった。
俺は
もしかすると、と思い天津風に尋ねた。
「天津風、俺に思いっきりビンタしてくれ」
唐突の質問にビックリはしたものの、天津風はまた呆れた様子を見せ、
「分かったわ、多少痛いかもしれないけど我慢しなさいよ」
天津風は右手を大きく、ゆっくりと後方にずらし、溜めた。
天津風の溜めているその右手に鬼が纏っているかのように見え、俺は少し恐怖を感じ、俺は前言撤回しようとしたが、すでに遅く…。
「や、やっぱ、いいや。ビンタしなくてい……。」
「ふんッッ!」
ービシッッッッ!ー
俺をビンタした後、思い出したかのように言った。
「えっ?何か言った?」
俺は全ての言葉を言い切れず、鬼のビンタを喰らいそのまま再度、床に投げ飛ばされた。
(おいッッ、聞こえてんじぁねぇかよ‼︎ もっと早くやめろよ‼︎ つうか、痛っってぇぇー! なんつう怪力だ)
俺は赤く染まっていた頬を両手で押さえ、床に転がっていた。
(待てよ、痛みが、あるってことはここは現実世界。じゃあ、ここは本当に
床にゴロゴロ転がりながら、頬を両手で押さえ、痛そうにしているが、
それを見ていた天津風が……
「今のあなたの顔、最悪よ。鏡で見てきたら」
俺との距離をさらに置き、右手で口を押さえていた。
「あぁ、ゴメン、ゴメン」
顔を引き締め、いつも通りの顔となった(はず……)。
「いい顔になったじゃない、さて、時間も時間だから、朝食にしましょうか。朝食は和朝食でいいかしら」
確かに時計をみると8時を回っていた。
「作ってくれるのかッッ! ありがとう」
「こ、これぐらい秘書艦の務めじゃない。それより、あなたは書類の山を終わしたら……」
天津風に言われ、俺は自分の机の上に置かれている書類の山が、あることに初めて気がついた。
(天津風が言った事、やっと理解できたわ‼︎ よく俺の寝相でこの
俺は書類の山を見て終わすのが、途方に暮れた。
「私も朝食作り終わったら、手伝ってあげてもいいわよ」
フライパンで目玉焼きを作りながら、
顔を真っ赤にして小さな声で呟いた。 (か、かわいいぃ〜〜)
「あ、ありがとう」
「べ、別にいいわよ……」
天津風の受力を受ける前に少しでも終わそうと決意した。
(よしっ、天津風が手伝ってくれるんだ。少しでも多く終わさなければ)
気合が入って、やる気スイッチがONになった。が、なんだろう。この違和感は……。
自室の向こうからすごく大きな音が聞こえる。ものすごいスピードで床を駆けている気が……。
ードンドンドンッッ!……ガチャー
「おっはよーございまーす。今日もいっちばんッッ!あれ、提督が、起きてる!早く起きたんだから、私とかけっこしませんか。私、負けませんよ」
(……。え。島風ちゃん…)
俺は突然の出来事に頭をついていけなくなっていた。
(まぁ…そりゃ〜、いるよな)
「え、えっと、島風。今から俺は仕事を終わさなければならないんだ。また今度な」
(まぁ、どっちみち走らされるだろ…)
「ダメぇ、行くのぉー」
強引に腕を引っ張られた。が、そこに仲裁役の天津風が朝ご飯を作り終えたのか、こっちに歩み寄ってきた。
「島風、提督には仕事があるからダメッッ、また今度にしなさい」
天津風がクールに
(早っ‼︎ 朝食作り終えるの早っ‼︎ )
「うぅ、分かった……。じゃあ、また今度ね、提督ーっ!」
俺は嵐が去ったかのような気分になった。
(ふぅー、
天津風が、朝食を作ってくれたおかげで俺はやる気が出た気がする。
(よぉ〜し、やろぉ、ぉ……。書類ってどうまとめればいいんだ。やべぇ〜、仕事内容分かんねぇ〜)
机の上で頭を抱え、撃沈していると…
「できたわよ。朝だから、そこまでこってないわよ。どうかしら」
テーブルの上にはご飯、目玉焼き、ウインナー、牛乳とヨーグルトが置かれていた。至ってシンプルだ。
(おぉ、いい匂いだ。さすが、天津風だな)
「うん、すごく美味しそうだな。天津風って、料理上手だな」
天津風の料理にべた惚れすると、顔を真っ赤にし、俺から視線を横に視線をそらした。
「ど、どうも…ありがとう…。そ、それで仕事はどこまで終わったのかしら? 」
朝食を淡々とテーブルに並べながら、
今の仕事の状況を見ていた。
「えっと、…ってまだ全然終わってないじゃない。全く大変だわ」
「本当に申し訳ない。どうやって書類まとめるんだっけ? 」
頭をガクッと下げ、落胆していた。
「まぁ、いいわ。今は6時だし、朝食を食べてからでも、艦娘の訓練開始までまだ2時間ある。頑張れば終わる量だわ」
(天津風、なんて頼りになる娘なんだ)
天津風の凄さに浸っていると……
「なにしてるの。早く朝食を済ませなさい。で、でもゆっくり食べて。味わってね」
言われた通り、早くでも味わって食べた。ま、まぁ悪くわない料理だった。
「ど、どうかしら。お、おいしかったかしら」
目をキラキラ輝かせながら、俺の返答を待っていた。
「ま、まぁ美味しいかったよ」
そう言うと、天津風の頬が紅葉した。
「そ、そうかしら。でも、ありがとう。とても参考になったわ。今度はもっと凝った料理にしないときゃいけないわね」
頬を両手で隠していたが、顔に表情が出ており、照れているのがバレバレだった。が、天津風の顔がシャキッとして、すぐさま仕事に集中する事になった。
「書類はこうやって、こうして、こうしながらこうするの。分かった? 」
天津風はとても丁寧にわかりやすく俺に教えてくれた。
「あぁ、分かった。助かったよ、ありがとう」
「じゃあ、ぱっぱと済ませて、早く終わすわよ」
それからというもの、書類に関係する事については話していたが、雑談はほとんどせず、仕事を片付けていき、机二個分ぐらいの高さであった
すべての書類を片付けて、机の上が見えるようになった。
俺は机がこんなにも綺麗であったことを仕事を片付けながら、実感した。
「ふ、ふぅ〜。なんとか終わった。疲れたなぁ」
「そ、そうね。とても疲れたわ」
椅子に座り、前かがみになりながら、背伸びをした。ふぁぁ、とあくびをして今にも寝てしまいそうだった。
「おい、行くぞ。艦娘の訓練開始するんだろ」
「そ、そうね。い、いきましょう」
天津風は顔をぶるん、と左右に振り、眠気を吹き飛ばした。
その時の天津風の顔がとても可愛く、頬を少し膨らませていたせいか、ちょっと子供っぽかった。
俺が天津風を見ながら、クスクス、と小声で笑っているのを天津風が気づいたらしく、
「な、何⁉︎ そんなに面白かったかしら」
「あ、ゴメンゴメン。天津風があまりにも子供っぽくって可愛いかったからさ、つい魅入ったちゃったんだよ」
俺が思ったありのままを言うと、
「な…子供扱いしないでよね。全く……もう」
またしても顔を赤らめ、顔を隠した。
「早く行くわよ。間に合わなくなるじゃない」
ブツブツと言いながら、天津風が俺を先導し、鎮守府の訓練場へと向かった。
2話では第6駆逐艦のみんなを出していきたいと思いまーす(((o(*゚▽゚*)o)))
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