「あっ、おめざめになりましたか?」
私が顔を向けると、そこには長い紫の髪を揺らし、白い白衣を纏った優しそうな顔をした女性が立っていた。
たしか、予選では学校の生徒にして保健委員だったAIの女の子だったはずだ。名前は「サクラ」だったかな?苗字は忘れたが
サクラは私のほうへ近づいてくる。
「もう体のほうは完全に回復しているのでベッドから起きて大丈夫ですよ」
そう言われてみれば、体が軽い。
そう思って体を起き上がらせて確認してみれば、戦っていた時はボロボロだったはずの身体はすっかりと治っている。
「それとセラフに入られた時にお預かりした
サクラはそのままぺこりと頭を下げると保健室にある椅子に腰を掛ける
私は返された記憶に不備はないか確かめてみる。
そうだ。私は
本来、賞金首として私は西欧財閥に追われていた。理由とするなら、財閥の重要なデータを盗んだからだ。
かれこれ五年間は逃亡していたわけだが、途中でドジを踏み、捕まった。
なぜだかわからないが、殺さずにとらえられたわけだ。しかし、死んだほうがましだった。
私には2年に及ぶ凌辱がまっていたのだ。
その間、ずっとどう死ぬかずっと考えていた。だが財閥の連中はそれさえも封じた。
舌をかんでの自殺も口に詰め物をされ、できず。両手を封じられていたので、手首を切っての自殺もできなかった。栄養失調による衰弱死すら栄養剤と無理やり食わされるたんぱく質により、できなかった。
今思えば、西欧財閥の裕福層どもの見世物やはけ口になっていたんだと思う。まったく世界には物が足りないというのにこのようなことに使うとは恐れ入る。
そんなおり、ある転機が訪れる。『聖杯戦争』だ。
西欧財閥のトップ達は月にある『ムーンセル』がもし私のような敵対者にわたってしまったら大ごとだと考え、月が開催している『聖杯戦争』に参加することを決定する。
当初の参加者は西欧財閥の次期党首にしてハーウェイの最高傑作「レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ」とその異母の子であり、レオナルドの兄でもある「ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ」の二人であった。
しかし、ハーウェイの血筋の一人が私を参加者に推薦した。
これには誰もが驚いたが、「レオナルド様の優勝を確実なものとするには狗は多いほうがいい」という理由から私は採用が決定した。
処理と聖杯獲得のための駒を同時に行わせるための案でもあった。
この処理には、おそらくだが、私が死にたがっていることを知っているから、ハーウェイの血筋と当たっても自ら死ぬだろうと予想したのだろう。まぁ私的にはそれでもいいんだがね。どうせ勝とうが負けようがどうせ死ぬし
私は今の状況を確認して深いため息がでる。
こんな長々とつづっているが、別にこのことでハーウェイを恨んだりはしていない…………訳でもないが、順当な結果ではあると納得している。だって人様のものをそれどころか財閥のデータを盗んだんだ。まともな死に方なんて期待できない。
まぁそんなこんなでこの月にいるわけだ。
聖杯はなんでも願いをかなえてくれるらしいが、私には叶えたい願いがあってここにいるわけではない。唯一の願いがあるとすればそれはこの月での聖杯戦争による敗者に与えられる『死』だけだ。
すると突然目の前に、私のサーヴァントが現れる。相変わらず、鋭い目つきだ。
「マスター、記憶の整理はおわったか?願いがないにしても、お前には目的があるのだろう。ならば行動するがいい」
私の心の中をまるでよんだかのように発言をする。
「ねぇ、アーチャーでいいのかな?」
「ああ、なんだマスター」
「じゃぁ、アーチャー。アーチャーは私に願いがなく、尚且つ、勝つつもりのないマスターのサーヴァントになんてなったの?」
心が読まれたことには驚きだが、それ以上に疑問を問いかけた。聖杯にかける願いもなく、勝つつもりもない、それどころか死ぬことを望みにするような、抜け殻同然の女なんかのサーヴァントになったのだろう。
「愚問だなマスター」
アーチャーは当然と言わんばかりに即答する。
「お前にどのような過去があり、どうしてそのような考えに至ったかは俺にはわからない。だが、お前はあの時確かに負けられないと、死にたくないと願ったはずだ。そして何より助けを願った」
確かにあの時は死にたくないと願ったし誰か助けてともおもったけど……
「だから仕えているのだ」
「え、ていうことは何?」
私を助け、仕えた理由は…………
「そうだマスター、お前が俺を必要としたからだ。」
私は呆れてなにも言えなくなる。
つまりこのサーヴァントは自分の好き嫌いではなく、マスターがどんな奴でさえ、必要とあらば仕えるのか!
「呆れるのも分かるが、生前からの性でな。許せ」
「ま、まぁ、考え方は人それぞれだし、それはそれでいいよ」
私はベッドから起き上がり扉へと向かっていく。
あっと、ここから出ていく前に真名を聞いておかないと、どんな英雄であるか知らないと戦術もたてられない。
「む、俺の真名か?教えてもいいが勝つつもりはないのだろう?無駄だと思うが」
「まあ、確かにそうなんだけどね。負けるまで戦う相手の本名を知らないのはなんか嫌じゃない?」
アーチャーは私をじっと見つめる。
「ふむ、マスターの言動はちぐはぐだな」
え?なにが?
「自分が言っていることと本心で思っていることがまるで違う。」
いきなり訳の分からないことを言い始めたなこのサーヴァント。
でも、一瞬だけ胸を駆け抜けたこの痛みはなんだろう?
「自分では気づいていないようだから言ってしまうが、マスターに『願いがない』なんてことがあるようには見えない」
……………………………………………………
「まぁ、この戦いのなかで見つければいい、それよりも真名だったな」
私に、願いが………………………?
私がアーチャーの言葉に驚いているとアーチャーは真名を語る
「俺の真名は『カルナ』だ。覚えておいてくれ」
主人公の設定を重くしすぎた