Fate/Extra 太陽はまた昇る   作:岸山

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1回戦:0日目-2

カルナ――――――

 叙事詩『マハーバーラタ』に登場する不死身の英雄。

 

 クンティーが王の妃となる前に、太陽神スーリヤとの間に産んだ子。

 初産の不安と神が自身の子を認知するかの恐怖から太陽神と同じ鎧と耳輪を要求し、スーリヤはそれに応え、その結果、黄金の鎧と耳輪を身に着けた姿で生まれた。そしてこの鎧と耳輪がある限り、カルナは不死身だった。

 

 しかし、未婚での出産の発覚を恐れたクンティーは生まれたばかりのカルナを箱に入れて川に流してしまった。そしてカルナは御者の子として育てられていくことになる。

 

 その人生は呪いと神々の謀略に彩られていた。

 宿命のライバルであるアルジュナを確実に勝利させようとバラモンに変装したインドラによって黄金の鎧と耳輪を奪われ、不死身を失った。

そしてアルジュナとの決戦の時、修業時代に受けた様々な呪いがカルナの足を引っ張り、戦車を引いていた御者すら敵のスパイであり、一人となった。

 

 その最後は戦車の車輪が大地に陥没し、戦う術を無くしたカルナの首をアルジュナが弓矢で落とした。死後、カルナは昇天し、スーリヤと一体化したとされる。--------

 

 

 

 「ふーむ・・・・・・・」

 

 私は図書室で調べた『カルナ』の資料を携帯に保存し、二階のマイルームで椅子に腰かけながら見ていた。本戦開始するまで暇つぶしがてらというのもあるけど。

 『マハーバーラタ』を読み切るには長すぎる。なのでデータベースにある、彼についてのまとめを読んでいるんだけどね。

 これだけ見てもカルナの人生は壮絶だったように思える・・・というか壮絶だ。

 

 というか・・・・・・ねぇアーチャー

 

 「なんだマスター。俺についてのことは調べ終えたのか?」

 

 私が心の中でカルナを呼ぶと私の横に現れる。

 

 「うん、まぁ、調べ終えたんだけど・・・・・・少し疑問があったから・・・聞いてもいい?」

 

 「俺に答えられる範囲でなら」

 

 カルナは目を閉じて言う。

 本人の許可も得たし、私は資料の中にあった疑問に思っていた場所を指さす。

 

 「この本にはあなたの性格は『苛烈な性格』ってなっているんだけど、別にそんなことないよね?実は本性を隠しているとか?」

 

 カルナはふむと頷くと私の質問に答える。

 

 「別に隠しているわけではない。俺のどの姿を見てそのような性格になったかわからないが、その書き手には俺の性格をそう見えたのだろう。」 

 

 淡々と自身の考えをカルナは述べる。

 

 私はさらに質問を続ける。

 

 「アーチャーのライバル達がすべてを失い追放される原因となった賭博の場でドウラパディーが巻き上げられた際、カルナは奴隷女と罵り煽ったってなっているんだけど、これは?」

 

 「それはどの話だ?」

 

 カルナは首をかしげた。

 

 「え?」

 

 「俺はその賭博には参加していない。恐らくだがドゥルヨーダナが調子に乗って『カルナがここにいたら貴様を奴隷女と罵っただろう』とでも言ったのではないか?」

 

 あいつは厚顔で小心者だからな、とカルナは続ける。

 なるほど、それを又聞きしたマハーバーラタの作者はこのセリフをカルナが言ったようにしたのだろう。

 そういえばこのドラウパディーの婿を決めるための大会にも出ていたらしいけど、実際はどうなんだろうか

 

 これをカルナに聞くと言いづらそうに口を開く

 

 「俺はあまり乗り気ではなかったのだがな、両親が結婚しろとうるさくてな。」

 

 意外だ。カルナのような人でも両親の言葉が煩わしいと思うことがあるのか。

 

 「だが、結果は知っての通り、断られたがな。」

 

 「悔しかった?」

 

 私がこう聞いたのは生まれの差で断られたことに悔しかったかを確かめたかったからだ。

 

 「いや悔しくはなかったが、怒りはあった。」

 

 「ああ、親を馬鹿にされて?」

 

 カルナはうなずく。

 

 「俺への侮辱であるなら受け入れよう。だが、両親への侮辱は許さない。」

 

 カルナは確かな意思を瞳に秘めて言った。

 これについてはあまり聞かないほうがよさそうだ。

 

 だけど、これだけは聞いておきたい。

 

 「ドラウパディーって綺麗な人だった?」

 

 「まぁ外面は綺麗ではあったな」

 

 カルナは苦笑いを浮かべながら言った。

 

―――――――――――――――――――――――

 

 私はカルナへの質問を終えて、暇になったので外をぶらついていた。

 

 今更だが、ここは予選に使われた学校と全く同じ校舎だ。

 予選では私は学生という役割(ロール)が与えられていた。だが、声を大きくして言いたい。私は23歳だ!

 確かに身長は160cmぐらいしかないが、これでも成人しているんだぞ!成人した時は牢屋だったけど!

 

 私はそんなことを心の中で言いながら屋上に出る。

 するとそこには黒髪のツインテールと真っ赤な服が特徴の女の子がいた。

 たしか名前は――――『遠坂 凛』

 私も一度だけ会ったことがある。たしか、五年前あたりだったか

 この月の聖杯戦争に参加した魔術師の中でもレオナルドを除いて、優勝候補と噂されるほどの実力者だ。

実は私と会ったことがある

 

 そんな私に気づいて私に振り向く。

 

 「あら?私になにか用かしら?」

 

 「いや、私は・・・・」

 

 私が言葉をつなげる前に、凛が近づいてくる。そしてペタペタと私に触れてくる。

 

 「へー、NPCも人間と変わらないのねー」

 

 「えっと・・・私、一応魔術師なんだけど・・・」

 

 「えっ・・・・って何笑ってるのよ!私だって間違えることぐらいあるわよ!」

 

 遠坂は誰もいない後ろを振り向き喋る。恐らく、サーヴァントがいるんだろう。

 

 「あんたも・・・・って見たことがあると思ったら兎じゃない!」

 

 「覚えていたのね、凛ちゃん」

 

 私も微笑む。まだ私のことを覚えていてくれたんだ、うれしいものだね。

 

 「西欧財閥に捕まったって聞いてもう死んでいるって思ったけど・・・」

 

 「うーん、話すと長くなるんだけどね・・・」

 

 簡単に私に起きた事とここにいる事の説明をした。

 説明の途中、だんだん凛の顔が険しくなっていった。

 

 「---というわけ」

 

 「つまりはあなたは私たちの敵ってこと」

 

 「まぁそうだね。その時はよろしく」

 

 そういって私は屋上から去っていく。

 

 「待って」

 

 すると凛に呼び止められる。

 

 「あなた、それで満足なの?」

 

 「さあ、自分でもわからないよ」

 

 それだけ言うと私は屋上から去った




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