モンスターハンター 青熊好きのハンター   作:littlelock

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第十一話


第十一話

「いやー、助かったよ! あたしらだけじゃどうやっても動かなくてねー」

 

「いえいえ、たまたま通りかかっただけですし」

 

 ボロスシリーズを装備したハンターの乗車する竜車を救出し、現在は町へ続く道を進んでいる状態。 助けだしたハンターも同じ場所を目指していたという事で、一緒に往路を歩む事になった。

 

「私、シイナっていいます。 あっちの竜車に乗っているアシラ装備を身に着けていた方が兄のジュンです」

 

「ご丁寧にありがとう! あたしは……って、兄? お姉さんじゃなくて?」

 

「え~と、説明がめんどくさいので……。 その疑問は、兄が起き上がったら本人に確認してください」

 

 まだ十分に寝足りなかったのか、ジュンは自分たちが乗っていた竜車で二度寝に勤しんでいる。 ちなみにシイナはボロスシリーズのハンターが乗車している竜車におじゃまさせてもらっていた。

 

「ふ~ん、まあいいか。 じゃあ改めて……初めまして、あたしはクラル。 見ての通りハンターだよ」

 

 名乗りあった後、シイナはクラルと名乗ったハンターをまじまじと見る。

 

(美人さんだ……)

 

 身長はシイナより高く、ジュンより少し小さい位だろうか。 栗色が目立つ髪をしていて、その後ろ髪を両肩から前に垂らし、鎖骨辺りで二つ結びをしている。 大きな瞳とは正反対に小さな唇。 ボロス装備で体格は分からないが、太っているような体系ではなさそうだ。 腰にはドラグロメイスというジュンとは違う片手剣がさげられていた。 

 

(こんなにきれいでジュン兄より強そうな装備……すごいな~)

 

 そう感じるシイナをよそに、クラルは美人と見られたイメージを打ち壊すかのような明るい声で話しかける。

 

「ねぇねぇ、シイナちゃん達はどこから来たの? あたしね、……って町から来たんだ」

 

 外見と違う活発な声に戸惑いながらも、質問に答える。

 

「……村から来ました」

 

「ん? 知らないかも……。 ごめんね?」

 

 おおげさに首をひねらせた後、苦笑しながら両手を合わせてクラルは謝る。 以外と元気で明るい人なのかもしれないとシイナは感じる。

 

「いえ、有名な物は特になかったですし……。 クラルさんの所は商業で有名でしたよね?」

 

「お、分かる? いやー出て行ったとはいえ自分の町を知ってくれている人がいるのってうれしいなー」

 

 頭の後ろを掻きながらクラルは照れたように笑う。 しかしシイナは先程クラルが述べた方に疑問をもった。

 

「出て行ったって……。 あそこって確かハンター業はかなり優遇されていますよね。 なんでまた?」

 

 そう尋ねると、先程から続く笑顔に影が射した。 シイナから顔をそらし、自虐的な笑みを浮かべて答える。

 

「……私達が組んでいたパーティ、この前解散しちゃってね~。 あぶれちゃったんだー……あはは」

 

 やべ、落とし穴踏みぬいたと思った時は遅かった。 完全にクラルはトラウマにはまってしまっている。 後ろを向き、体育座りをし、床に指で円をえがきながら「どうせあたしなんて……」と絵に描いたような落ち込みっぷりを見せつけていた。

 

 変な所を押してしまったとシイナは落とし穴からクラルの救出にかかる。

 

「えーとほら、あれですよ! ボロスシリーズを着てるって事はボルボロスを討伐したって事ですよね!? 町に残っていたらきっと誰かがさそ」

 

「この装備、前組んでいたパーティの人達が中心に狩ってくれたんだ。 あたしが立ち向かうとすぐに吹き飛ばされてさ……。 あたしは罠をしかけたり閃光玉投げる位しか出来なくてね~。 帰ってきたら駄目だし大量にくらって、それを聞いた他のハンターさんもあたしから離れていっちゃってね……」

 

 助けるどころか罠の近くに大タル爆弾Gを置いてしまっていた。 今シイナが何を話しても爆弾を着火させてしまうだけだろう。

 

(誰か助けて―!)

 

 とりあえず目の前で運転しているアイルーに助けを求めるが、彼はすーすーと吹けもしない口笛を奏で始めた。 薄情なと思ったが、もしかするとこの旅の途中に聞かされ続けたのかもしれない。 完全に見なかった振りをきめこんでいた。

 

 このアイルーに無理なら、シイナ達と一緒に移動してきたアイルーもクラルを元気づける事が出来そうにない。 だとしたらここは……。

 

(ジュン兄~、起きて~! ここは3年間アシラ装備を着続けるあなたの助言を一つ~!)

 

 ここは同じハンターでボロス装備より防御力が低いアシラ装備で戦い続けられているジュンに助けを求める。 声に出すとクラルが更に落ち込む可能性があったので口にしなかったが。

 

 しかし、まるでシイナの心の声が聞こえたかのようにジュンが跳び起きる。 その見事な反応に一瞬シイナか兄どちらかにテレパシーが出来る力が目覚めたのかと疑ってしまう程だった。

 

 そんなシイナの痛々しい妄想をしているよそに、ジュンは周りを見渡し始める。 そして、ある一点を凝視すると、

 

「! 走って!」

 

 アイルーに指示をだす。 アイルーも戸惑いながらもアプトノスに指示を出した。

 

「ちょっ、ジュン兄! 今度は何が!」

 

「答えはあなたから見て右斜め後ろ!」

 

 そう一方的に話すとジュンは再び武器とアシラヘルム、ポーチなどを取り付け始める。 

 

 言われた通りの方向に振り向く。

 

 その時シイナが目にしたのは、草原の向こうから来る紫色の波。 しかもどんどんとこちらに向かっている。

 

「もしかして、あれ全部モンスター!?」

 

「ジャギィだよ! しかも100は下らない!」

 

 声に振り向くとジュンが再び竜車から跳び降りようとしている。 その体性のままアイルー達に指示を出す。

 

「アイルーさん、あなた達はこの速度を維持しながらこの場所から離脱して! 町はもう見えてるでしょ!」

 

「ジュンさんは!?」

 

 降りようとするジュンにアイルーがあわてて問う。

 

「このためのハンターだ、注意を逸らす!」

 

「んな無茶にゃ! 自分で百はくだらないって!」

 

「誰も全部倒すなんて言ってない! 注意を逸らす程度に倒しながら逃げるだけ! 町についたらハンターさんに報告して援軍がきてもらえるようにしておいて! そんじゃ」

 

「ジュン兄!」

 

 そう言い残すとジュンは竜車から跳ぶ。 地面に着くと同時に一回転して衝撃を和らげ、襲い来る紫の波へ向かおうとする。

 

「待って! あたしも行く!」

 

 その声に振り向くと、シイナと一緒に乗車していたクラルも跳び降りていた。 腰にアイテムポーチを取り付けており、準備万端と言った形だ。

 

「あなたにはシイナ達の護衛を続けてもらおうって考えたんですが」

 

「町が近いなら護衛しても何もやる事ないよ! それにあなただけじゃ囮も突破されちゃう! それ位なら君と囮になった方がまだまし! 」

 

 クラルの意見に少し考えたような間があった後、ジュンはクラルの申し出を受けいれる。

 

「それもそうですね……。 あなたのようなハンターがいると心強いです。 お願いします」

 

「……」

 

 ジュンがしゃべり終わっても、クラルから返事がない。 どうしたと思っていると、

 

「……ごめん、さっきのセリフ、もう一回言って」

 

「え? お願いします?」

 

「その前!」 

 

「えーと……、あなたのようなハンターがいると心強いです?」

 

 そう言い終わると、クラルはニマニマを堪えるような顔つきをしはじめる。

 

「よーし俄然やる気出てきた―! つっこむよー!」

 

 そう叫ぶとクラルはジュンを残してジャギィの群れへ爆走していく。

 

「……へんな人」

 

 自分が言えるセリフじゃないけど。 そう思いながらジュンはあわててクラルを追いかけるように走りだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




つづく
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