モンスターハンター 青熊好きのハンター   作:littlelock

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第十五話


第十五話

  今回までに至る出来事

 

・ハンター、クラルと出会う(第十話)

 

・ジャギィの群れに遭遇(第十一話)

 

・自分達が乗っていた竜車が逃げられるようにジャギィの群れと交戦・囮になる(第十二話)

 

・ドスジャギィの存在を確認(第十二話)

 

・森林を発見、ジャギィの群れを引きつけながら逃げ込む(第十三話)

 

・向かってくるジャギィをさばきながら木々を駆け抜ける(第十四話)

 

・大きな切り株に身を隠す(第十四話)

 

・それぞれ所持しているアイテムを確認、スタミナを回復するアイテムを持ってきてない事に気付く(第十四話)

 

「……という事で現在、再び逃走中の巻」

 

「現実逃避してないで現実で逃げようよジュン君~!」

 

――ギャァァ、ギャァァ!――

 

 アイテムを見せ合った後、切り株の後ろで身を潜めていたジュン達だったが、結局ジャギィ達に見つかってしまい、二人は再び森を走り回る事になった。  今は逃げては戦って、敵に背を向けては振り向き挑みかかってと繰り返している。

 

「君の妹さん達に頼んだ援軍とやらまだなのさ~!?」

 

「町が近くになってきたからってあの距離じゃ一時間半はかかるだろうし、町のハンターさん達が来てくれるとしてもシイナ達の移動時間の分も合わせて三時間はかかるでしょうし、私達がこの森林に入った事にハンターさん達が気付いてくれるか分かりませんし、最悪ハンターさんみんな町から出かけているかもしれないし……問題が山積みですね~」

 

「だから客観的にならないでよ~!!」

 

――ギャアアアアア――

 

 森中にクラルの嘆きとジャギィ威嚇が響き渡った。

 

 

 □ □ □ □ □ □

 

「ハァ、ハァ、ハァ。 もう、しばらく、ジャギィ、見たく、ない……」

 

「ドスジャギィと遭遇しないだけマシじゃないでしょうか?」

 

 モンスター達とデンジャラスでインテンスチックな鬼ごっこを振りきったハンター二人は、木々がうまい具合に生い茂った場所を見つけ、そこで再び休憩をとっていた。 長い間走り続けていたのか、両者ともに疲労の色が見られる。

 

 特にジュンが装備しているアオアシラの毛を主に使い、装備者が動きやすいように作られているアシラシリーズ(女性用)と違い、土砂竜ボルボロスの甲殻を主に使用したボロスシリーズは、全身を覆うようにしたデザインのため、ジュンが着ているそれよりも重く動かしにくく、暑苦しい。

 

 クラルは耐えきれないといったようにボロスヘルムを脱いだ。 ヘルムに押しつけられていた栗色の髪が自由を取り戻したかのようにふわりと軟らかさを取り戻した。

 

「スタミナが結構まずいかも……。 息切れも早くなってきてるし。 ジュン君はどう?」

 

「かなりきついです……。 こうなったら食べる事が出来るモンスターから生肉を採取して、自力で起こした火で焼いたりとかも考えた方がいいかもしれませんね。 ……焼いた肉の匂いでモンスターが近づいて来るかもしれないけど……」

 

「それなんだけど……ところでジュン君?」

 

「はい?」

 

「森林中走り回って気がついたんだけど、草食モンスターと遭遇してなくない?」

 

「……そういえば、ブルファンゴすら身当たりませんね?」

 

 ブルファンゴとは、顔の横に牙を生やした牙獣種のモンスターである。 この地方では温暖な気候から極寒な地域の間で生息が確認されていて、主にキノコ等を餌にして活動している。

 

 中々の繁殖力を誇っていて、生息している狩り場に行くとかなりの確率で遭遇出来るのだが……。

 

「……もしかして、ここに住んでいたモンスター達をジャギィ達が全て食い尽くしちゃった? あぁ、だからジャギィの群れはこの森から移動してたんだ」

 

「多分ね。 もしこの森でそんな状況になっていたりしたら……どうしよっか?」

 

「……どうしましょ?」

 

 二人とも投げやり気味な会話になり始めてきたのは無理もない。 食料が無い以上、この追いかけっこは長く持たないのだ。

 

(回復薬とか飲んだとしても、この装備に備わっているスキル「まんぷく」を「拾い食い」に強化しないで「防御力UP(小)」のスキルを「防御力UP(中)」にするためにスロットを使っちゃったから、お腹の足しにはならないよねー。 ……どうしよ?)

 

 スタミナが減っているからかいい感じに頭が働かず、ジュンは途方に暮れ始めた。 クラルも疲れからか先程からボーっと動かなくなっている。

 

 その時、

 

――ブーン――

 

 一匹の虫が、ジュンとクラルの間を通り過ぎていった。

 

 ふさふさとした濃いめの黄色い毛、黄と黒の警戒色でどられた横縞模様、腹部の後ろにある先端にある毒のある針が生えていて、その針は人に向けられる事もある。 されどその虫は人間の敵になるだけではなく、逆に人間と共存出来る存在であるその昆虫は―

 

「あ、ミツバチ」

 

 横切っていく昆虫の正体が分かったクラルは、誰に告げる訳でもなく、なんとはなしに呟いた。

 

 しかし、その一人言が耳に入ったジュンは、少し前の出来事が頭をよぎる。

 

――村を出る直前に行ったアオアシラを狩猟する際にロクなアイテムを持って来なかった代わりに、先輩達は僕に何を調合してくれた?――

 

 回復薬、回復薬グレート、毒投げナイフ、そしてもう一つ――

 

――それにはどんな効果があった?――

 

 一つはシイナに渡した時のように眠気覚ましの効果が。 そして自分が飲んだ時は何のため?――

 

――それはどのようにして作る事が出来る?――

 

 二つの素材を調合する事で完成する。 一つはニトロダケという爆薬の原料にする事が出来るキノコ。 これは上手くいけばこの森林でも採取が可能なはずだ。 そしてもう一つはあのミツバチが作る――

 

「……そうだ。 生肉が取れなくても、まだその手があった!」

 

「え、何が?」

 

 いきなり声を張り上げたジュンにクラルが反応した。

 

 それに答える余裕がないように立ち上がりながら早口で話す。

 

「あれを追いかけましょう! ほら急いで!!」

 

 捲くし立てるように言うとジュンはそのままミツバチが飛んで行った方向に走りだした。

 

「え、え、だから何がさ!?」

 

 クラルも脱いでいたボロスヘルムを被り直すとジュンを追いかけていった。

 

 

 

 

 

 

 




つづく
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