モンスターハンター 青熊好きのハンター   作:littlelock

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第五話


第五話

(制限時間残り6時間5分)

 

 

 

 

 

「た~だ~いまも~どりま~したぁ~」

 

 ジュンはベースキャンプに着くと、設置されてあるベットに突入した。 いい素材を使っているのか疲れが抜けていく気がした。

 

「よう、終わったか」

 

 声がした方向に目を向けると、地面に座って作業をしている先輩ハンター達がいた。

 

「やっと怒らせてきたところです」

 

「ま、そんなとこだろうな。 こんな短時間で終わらせてきたら俺ら自信なくすわ」

 

 そう話しながらも手を動かす先輩ハンター。 

 

「んで、行ってみてどうだった?」

 

「はい、できるだけアオアシラにつかずはなれずで戦っていたんですが、もうすっげー賢い個体で、怒り状態なのにこっちが考えこんぢゃっている時の隙も見逃さないで連続引っかきをしてきたんですよ~。 いきなりすぎて避けれないくらい速かったんでガードしたんですけど、四回も引っかいてきて耐えきれず吹っ飛ばされちゃったんですよ~。 しかも僕が倒れているところを容赦せず体当たりをしようとしてきて」

 

「もういい、かなりやられたのは伝わった。 それとそんな嬉々とした顔で自分の失敗談を語るな」

 

「えー、後七分はアオアシラの話つづけられますのにー」

 

「長いのか短いのか分からん長さだな。 もう感想はいいからこっちこい」

 

 面倒くさい話を打ち切るように先輩ハンターは後輩を手招きする。 ジュンは話のこしを折られた事に不機嫌そうにしつつも近づいて行く。

 

「ほら、こんなもんでどうだ。 こんだけありゃなんとか戦えるだろ?」

 

 先輩ハンターは自分達が座っている横に置いてある物を指す。

 

 それらはここに持ってきていないはずのアイテムだった。

 

 回復薬が六つ。 回復薬グレートが二つ。 元気ドリンコが五つ。 そして投げナイフに毒テングダケの毒エキスを大量にしみ込ませた毒投げナイフが五つ。

 

 普段持ってくるアイテムより少ないがジュンはもうしぶんなく思った。

 

「ありがとうございます! すみません、なんか手間かかせちゃって」

 

「まったくだよ……。 たく、調合書なしで作るなんざ何年ぶりだ?」

 

 愚痴をこぼしながら首を回し肩のこりをほぐす先輩ハンター。

 

 そう、このアイテムは全て狩猟場から採取し、調合をして生まれたのだ。 調合とは、例えば薬草とアオキノコを規定の通りに混ぜ合わせると回服薬が生まれるなどのように、アイテムとアイテムをかけあわせる事で別のアイテムを作る事だ。 薬草でも回復出来るが、アオキノコと調合する事でさらに回復できる物を作れるなどメリットも多い。

 

 ただしデメリットもある。 あげられるのは調合の失敗だ。 調合をするには作り方を覚えていなければいけない。 しかし、調合が複雑、またはタイミングがあるなど作り方が難しい場合、かけあわせた物が使い物にならない、もえないゴミになったりするのだ。 

 

 その成功率を上げるために調合の仕方を事細かに書かれた調合書などもあるが……。

 

「調合書くらい持たせてくれてもよかったんじゃないか」

 

 調合したアイテムをポーチに入れるジュンをジト目で見る先輩ハンター。

 

「すみません、でも本だって多ければ重くなりますから……」

 

「まあ、成功したからいいけどよ」

 

 そう、これがジュンの考えた作戦(のようなもの)だ。 移動時の竜車を軽くするために持ってくるアイテムを最小限にし、先輩達にキノコを採るついでに調合素材も採ってきてもらう。 そしてジュンが狩猟を行っている間に調合してもらう。 

 こうする事で最初の移動をスムーズに出来て、アイテムに困らない。

 

「本当に行きあたりばったりだな。 採取や調合で失敗したらどうするつもりだった?」

 

「なんとなく上手く行く気がしたので、考えていません」

 

「……本当に成功してよかったな……」

 

 その時だ。

 

 先程まで感じていた匂いが先程とは違う方向から匂ってきた。

 

「移動したらしいな」

 

「えぇ。 それじゃ、そろそろ行ってきます」

 

「おう。 俺達はここで余ったアイテムを調合でもして暇つぶしでもしてるからってそうだった。 ジュン、帰りなんだが」

 

「はい?」

 

「行きは軽かったからここまで速く行けたが、帰りは重いモンスターを竜車に乗せることを考えなきゃならねぇ。 おそらく運搬に三時間はかかる。 狩猟時間はどんだけ時間を延ばしても、後三時間で終わらせれるようにしてくれ」

 

 その言葉に顔をしかめっ面にするジュン。

 

「マジですか、もう少しゆっくりしたかったんだけどな……まあなんとかやります」

 

 そう言ってジュンは小走りでベースキャンプを飛び出した。

 

 

 

 

 

 

(狩猟制限時間残り 6時間 - 運搬3時間 = 3時間)

 

 

 

 

 

 

(制限時間残り2時間50分)

 

 

 

 

 

 ベースキャンプを飛び出したジュンは先程とは違うエリアにたどり着いた。

 

 ペイントの臭気がこのエリアから強く感じる。 周りを見回すとミツバチの巣が作られてる木の根元に青い巨体の姿が見えた。 先程ジュンと交戦したアオアシラでまちがいない。

 

 アオアシラは尻もちをつき巣から滴り落ちたハチミツを前脚で拾って食べている。 そんな無褒美にも食事をしている姿は愛くるしさすら感じる。

 

 しかし今は食事で動かずハンターの存在に気付いていない。 攻撃を仕掛けるには絶好のチャンスだ。

 

 ジュンはポーチからアイテムを二つ取り出し足音をたてないようにしつつ速足で近づいていく。

 

 アオアシラは近づいてくるハンターに未だに気付いていない。 そこまで腹がすいているのか、もしくは先程の戦いの傷とスタミナを回復しようとしているのか。 いずれにせよこのチャンスをやすやすと逃す訳にはいかない。

 

 アオアシラまで三十歩手前辺り、ジュンは持っているアイテムを一斉に投げる。

 

 それらはペイントボールのように曲線を描くように飛んでいかず、風を切るようにアオアシラへ一直線に飛んでいく。 そのままアイテムはアオアシラの腰辺りに刺さった。

 

「グァ!?」

 

 再び身体にはしる痛みに声をあげるアオアシラ。 

 

 その反応ですべて当たったと分かるやいなやジュンはアオアシラとの距離を詰めるべく走り出す。 その勢いのままアオアシラに向かってジャンプ攻撃をお見舞いする。

 

「グオォォォォォォォ!」

 

 また敵がきたと悟り、アオアシラは威嚇する。 その間もジュンは攻撃をやめず後脚を斬りつける。

 

 脅しが効かないと分かったアオアシラは、前脚で引っかこうとする。

 

 しかしジュンは来るのが分かっていたように後方に避けた。 そのまま武器をしまい迂回してアオアシラの後方をとろうとする。

 

 アオアシラは旋回してジュンがいる方向に体を向けようとした。

 

 しかし、そこでアオアシラは気付く。 体の反応がやけに遅い。 息が乱れて口からよだれが垂れてきた。 先程スタミナの回復のためにハチミツを補給したというのに。

 

 その妙に気だるい体をむりやり動かして今度はハンターに跳びつこうとする。 

 

 だけどこれもまた余裕で避けられる。 そのまま後方に回り込まれて後脚を斬りつけられる。

 

 今度は後ろにいるジュンへ旋回しながら不意打ち気味にもう一度引っかこうとしたがまた避けられた。 変に体がだるいせいか技にキレがない。 だからこうも目で追ってから避けられるのだろうか。

 

 なぜか体が痛みだしてきた気がした。 なぜか斬りつけられていない場所からも痛みが来る。 まるで内からしめつけられているような痛みが先程から続いている。

 

 その間も目の前にいるハンターは攻撃の手をやめない。 こちらはまだたいしたダメージは与えられていないのにジュンはだいぶ前から攻撃を重ねてこちらの体力を奪っている。 その事実がアオアシラを怒らせた。

 

「グオォォォォ、グオォォォォォォオオ!」

 

 再び怒り状態となり、ジュンに連続引っかきを浴びせようとする。

 

 攻撃は先程より速くなった。 しかし怒り状態になっても攻撃は見切られ、身体の痛みはおさまらない。 いったい自分の体に何があったのか。 そう考えている間も攻撃されつづけた。

 

(よし、効いているな)   

 

 アオアシラの荒い息を確かめながらジュンは斬りつけ続けている。 二回にわたる戦闘でかなりのダメージを与える事が出来た。

 

 アオアシラが前脚で引っかこうとしてきたが、これも避ける事が出来た。 いつもの攻撃に比べたら明らかに遅い。

 

(さすがの大型モンスターも状態異常にはね)

 

 アオアシラは今、毒状態という状態異常に身体がおかされている。

 

 状態異常とは、例えば体がしびれて動けない麻痺状態だったり、所かまわずその場で寝てしまう睡眠状態など体が正常じゃない事をいう。

 

 毒状態とは、かかると内側から身体に害をなす成分が身体中に行きわたり、身体に負担を与えて体力を削らされる状態の事をいう。 これは人間もかかってしまうし、毒に耐性のないモンスターもかかってしまう。

 

 アオアシラがこの状態になってしまった原因は、このエリアに来た時最初に投げたアイテムのおかげだ。

 

 そのアイテムとは、一回目の戦っている間に先輩ハンター達が調合してくれた毒投げナイフだ。

 

 支給品として青いボックスに入っていた物を、先輩ハンター達が特産キノコを採取する際に一緒に採れた毒テングダケと調合することで、獲物に刺さると同時に毒エキスが身体中にまわりみるみる内に獲物を毒状態に陥れるアイテムだ。

 

 しかし、大型モンスターの場合毒投げナイフ一本では身体の大きさとすさまじい治癒力で毒エキスが負けてしまう例が多い。 そのためジュンは二本投げた。 結果、アオアシラを毒状態にする事に成功したのだった。

 

 それでも時間がたてばモンスターの治癒力で毒状態が解毒されてしまう。 いつまでも続く訳ではない。 だからこそジュンにとって毒状態で動きが鈍っている今がチャンスなのだ。

 

 アオアシラの前脚引っかきをモンスターの側面に向かって転がって避け、そのまま後脚を斬りこむ。

 

 このまま攻撃を重ねれば時間内に倒せると信じ、ジュンは攻撃を続けた。

 

 

 

 

 

(制限時間残り2時間30分)

 

 

 

 

 

 

  




つづく
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