モンスターハンター 青熊好きのハンター   作:littlelock

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第六話


第六話

(制限時間残り1時間50分)

 

 

 

 

 

 

「グオォォ、グオ、グオ」

 

 怒り状態になったアオアシラが連続引っかきを繰り出してきた。 すでに毒は抜けているのか、攻撃は先程より鋭くなっている。

 

 その攻撃をジュンは三回避けて残る一回を受け止めた。

 

「ぐぅっ……!」

 

 衝撃に耐えつつ、相手の視界から出ようとアオアシラの側面へ走る。 アオアシラは両前脚を広げて突撃してきたがそれも振り切り、後脚を斬りこんだ。

 

 するとアオアシラが地面に転がりこむ。

 

「グオォォ、グオォォ!?」

 

 立ち上がろうとするが、後脚に力が入らないのか地面でもがき続けている。

 

「おっしゃーきた!」

 

 思わずジュンは歓喜をあげる。

 

 必要に後脚を攻撃し続ける事でダメージを蓄積させ、アオアシラを転ばせたジュンは肉質が軟らかい尻部分に攻撃をたたみかける。 回転斬りまで攻撃をつなげた後、斬り上げからまた攻撃をつなげる。

 

 再び回転斬りまでつなぐと、安全を考えてアオアシラから離れる。 直後アオアシラは立ち上がり、振り返りざまジュンに咆哮をしてきた。 どうやらまた怒らせたらしい。

 

「グオォォォォ、グオォォォォォォォォ!」

 

 しかし疲れているのか先程よりも迫力がない。 気にせずジュンは正面から堂々と腹に向かって斬りこんだ。

 

 咆哮にひるまないジュンに動揺を覚えたのかアオアシラは別のエリアへの抜け道に体の向きを変えた。

 

 アオアシラは動きだした。 しかし、

 

「グァ……、グァ……」

 

 左後脚をひきずって歩いているため、ジュンが走っても追いつけるほど遅かった。 アオアシラの体力が残り少なくなり、瀕死状態になった証拠だ。

 

 この隙を見逃す訳がなく、ジュンは追いかけながらアオアシラの側面にまわり斬りこむ。 しかしそれでもアオアシラは止まらない。 結局そのまま別のエリアへの道に入ってしまった。

 

 エリアを移動するための道は広いとはいえず、もしもの時に逃げ道がないためジュンは道に入る手前で止まり、アオアシラを先に行かせた。

 

「ふぅ」

 

 アオアシラの背中が離れて行く中、ジュンは砥石を使ったりと態勢を整える。 さすがに疲れたのか一息をつくのも無理はない。

 

「もう終盤に差し掛かったな……」

 

 元気ドリンコを飲みながら残ったアイテムを確かめる。

 

 砥石はさっき使ったので最後だ。 回復系も支給品とペイントボールはすでに使い切ってしまった。 残りは回服薬と回服薬グレートがそれぞれ四つずつ、元気ドリンコが二つ。 アオアシラが落とした牙獣のナミダが二つ。 それから・・・、

 

「……毒投げナイフが三本?」

 

 二本は二回目の遭遇時に使ってしまった。 その残りらしい。

 

「……もしかして、もう一回毒状態に追い込めるか?」

 

 今までアオアシラの狩猟で毒投げナイフを使った事がなかった。 投げナイフは支給品で手に入れた事しかない上、毒テングダケを採取し調合する時間が惜しく、使う機会がなかった。

 

 今回最初に二本しか投げなかったのも、どのくらい投げればいいか分からず、ぶっつけでやっただけだ。 結果的には毒状態になったが。

 

 まだためした事がない。 もしかしたらもう一度状態異常に持ち込めるかもしれない。 しかし……、

 

「だけど耐性もついているだろうし……」

 

 モンスターは状態異常から立ち直った後、体内でその物質に対しての抗体を作り出す。 これにより耐性を上げ、状態異常にかかりにくくする。

 

 しかしこの抗体にも限界があり、抗体の限界を超えるほどの状態異常になる物質を吸収させれば再び状態異常に持ち込む事が出来る。

 

 今回の場合、その限界を超える可能性を見出せるアイテムは、毒投げナイフが一本増えた事だ。 しかし、これで毒状態に持ち込めるかはジュンにも分からない。

どうするか……。

 

「……やってみるか」 

 

 どうせ毒投げナイフは使わなくても支給品として返さなければいけないのだ。 なら使い切ってしまおう。

 

 ジュンはこれからやる狩猟計画を決め、アオアシラが移動したエリアへ向かった。

 

 

 

 

 

(制限時間残り1時間30分)

 

 

 

 

 

 道を切り抜けエリアを移動し、周りに目を凝らす。 そして少し離れた所にある茂みに、アオアシラがうつ伏せになって寝込んでいる所を発見した。 近づいてみるといびきも聞こえてくる。 目の前にきても起きる気配がない。 完全に落ちているようだった。

 

 正直寝顔も見続けたい気もしたが、時間がない。 別の機会と個体で試す事にしよう。

 

 ジュンはアオアシラの尻側に回り込むと、毒投げナイフを全て取り出す。 ハンターカリンガで寝込みで無褒美な所に大きなダメージを与えるという手もあったが、投げナイフを一本でも当て損なうと毒状態に持ち込めなくなる危険があるため、確実に当てておきたかった。

 

 ぐうぐうと情けなく寝ているアオアシラの尻部分に、毒投げナイフを全て投げ放つ。 それら全て標的に刺さった。

 

「グオ!?」

 

 アオアシラが声とは対照にむっくりと起き上がる。 そしてジュンがいる事に気付くと、体の向きを変え咆哮をする。

 

 しかしその脅しにはもうどうじない。 ジュンは迷う事無く斬りこむ。 その攻撃に押されてアオアシラは後方に押し出されてしまう。

 

 ジュンは距離を詰めてすかさずジャンプ攻撃をつなげる。 毒状態になっているかもしれない今で決めたかったのだ。

 

 アオアシラが両前脚を広げてとびこんできた。 しかしどうみても動きが遅い。 余裕でかわしてみせた。 

 その時に見たアオアシラの顔は、荒い息を立てて、よだれをとめどなく流していた。 うめき声も聞こえてくる。 毒状態にかかったとジュンは確信した。

 

(よし、いける!)

 

 そうと分かればジュンはアオアシラに張り付くように攻撃し続けた。 前脚を使って反撃も来た。 しかしいつもより勢いのない攻撃はジュンにかわす時間を与えるには充分だった。

 

「はあぁぁぁぁっ!」

 

 湧き上がる気合いが声にでる。 声につられるように攻撃も鋭くなっていく気がした。 そして何回目か分からない回転斬りを決めた時だ。

 

 アオアシラが伸びるように立ち上がる。 そして、

 

「グオォ……ォ……」

 

 うめくようにかすれた声をあげ、前のめりに倒れた。 そこから動く気配もない。 アオアシラが死んだのだ。

 

「ふぅ」

 

 がくについた汗をぬぐい、一息つく。 それからアオアシラに近づき、はぎとり用ナイフを取り出した。

 

 そこから、目に見えて使えそうな所をはぎとっていく。

 

「ごめんね」

 

 尻部分から毛皮をもらう。

 

「でも、君がここにいると近くの村の人達が危ないんだ」

 

 背中から甲殻をもらう。

 

「君の死は無駄にしない。 あの村の人達は全力で生きていくだろうし、君からもらった物は僕らの生きる糧にする」

 

 前脚から腕甲をもらう。

 

「だからありがとう。 君は強かった。 楽しかったよ。……おやすみなさい」

 

 こうして、一つの狩りが終了した。 狩猟場は再び静けさを取り戻し、辺りは一掃に静まり返ったのだった。

 

 

 

(運搬3時間+狩猟余り時間1時間=日の出まで残り時間4時間)

 

  




つづく
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