モンスターハンター 青熊好きのハンター   作:littlelock

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第八話


第八話

(残り時間1時間20分)

 

 

 

 

 

 ジュン達が帰り道を急ぐ中、村では引っ越し先から竜車を引くためのアプトノス達が届いていた。 後ろの竜車にはアイル―が乗っていて、そのアイル―がアプトノスに指示を出して村まで運んでくれるとの事。

 

 すでにアプトノスの後ろには引っ越しの荷物がつまさった竜車が取り付けられており、後は日の出と共に出発するだけという状態になった。

 

 しかし、ジュン達はまだ帰って来ていない。 日の出まだ時間があるとはいえ、待っている側としてはそわそわしてならない。

 

「そんちょー、ジュン達まだ見えませんけど、間に合いますかね?」

 

 村人の一人が村長に疑問を投げてくる。 他の村人も同じような質問を何度もしていたが、聞かずにはいられなかったのだろう。

 

「まあなんとかなるだろう。 いざとなったらシイナを先に行かせてジュンに走って追いかけさせればいい」

 

 村長は同じ質問ばかりされているからか、少し面倒くさそうに答える。 間に合うかなんて村長にも分からなかったが、とりあえず間に合わなかった時の事を話して置いて村人を落ち着かせる。

 

「すみません、うちの兄が本当にご迷惑を……」

 

 シイナとしては、もう謝る以外に何も出来ない。 身内が迷惑をかけていると思うと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 

「もういい、謝らんでも。 気にしちゃおらんよ」 

 

「そうしたいんですけど、なんというか、このいたたまれなさはもう謝る以外に解消されないんです」

 

「じゃあ我慢してくれ、村長命令だ」

 

「はい……」

 

 謝罪を禁止されたシイナはさらに居心地悪そうになったが、すかさず近くにいたギルドマスターがフォローする。

 

「気にするな、この村の者は皆ジュンの無茶に慣れている。 それに、これで最後だ。 十年後くらいには笑い話に変わっているだろう」

 

「……そうですね。 でも本当に、最後までありがとうございます」

 

「まあ、たまに帰ってくればまたこんな事になるかもしれんがな」

 

「それなら帰って来た時ジュン兄が暴走しないように、出来るだけアオアシラのクエストを別のハンターに受けさせといてください。 そしたら今日みたいな事にはならないでしょう」

 

「おう。 そうさせておく」

 

 いつの間にか、いたたまれなさは消えていた。 なぜか談笑に切り替わっている。 不思議と思うのと一緒に、この村らしいと思った。

 

「しかしまあ、お前達がこの村を離れるとはなぁ。 家計厳しかったのか?」 

 

 談笑がひとしきり終わった後に、村長が打って変わったように真面目な顔つきになる。 自分がリーダーである村の中に不幸な者がいたのか確認したかったのだろう。 シイナはあわてたように否定する。

 

「いえそんな、家計は充分なりたっていましたし、この村も住みやすかったです」

 

「本当か?」

 

 村長はまだ心配そうな顔をしている。

 

「前も話しましたけど、引っ越すのは私達にとって好条件な話が持ち込まれたからであって、けしてこの村がいやになったわけではありません。 むしろ大好きですよ?」

 

「そうか、ならいいんだ」

 

 ようやく安心した顔を見せる村長。 相変わらず優しい人だとシイナは思う。

 

「まあそれだけじゃなくて、もう一つ理由というか、理想あるんです」

 

「理想?」

 

 シイナのもったいぶった発言に聞き返す村長。 ギルドマスターも次の言葉を待っている。

 

「……違う場所に行けば、ジュン兄も別の事にも興味をもつんじゃないかと思って」

 

 少し困ったような笑みを浮かべるシイナ。 その言葉に村長達はおろか、聞き耳をたてていた村人達まで顔をしかめる。

 

「……難しい事だって、分かっていますけど」

 

 諦めたようにシイナは溜息をつく。

 

 ジュンがアオアシラに心酔したのは、ジュンが言葉を覚えはじめた辺りにアオアシラの絵本を読ませてからだとシイナは聞いていた。

 

 何度も何度も読み返して、当時ハンターだった人にアオアシラの話を聞いたりとしていたそうだ。 それから約十年間、アオアシラに心を奪われている。

 

「別に好きでもいいんですよ。 ただ、他にもいろんな事があるって、分かってほしくて」

 

 そのシイナの願いに、村人は誰も安心させる言葉を返せない。 この村にいる住民もジュンに色々と勧めてきたが、結局どれにも興味をしめさなかったからだ。

 

「おーい、竜車がみえたぞー!」

 

 その時、高台に上がっていた村人の大声が聞こえた。 おそらくジュン達だろう。 村中から安堵の声が聞こえてくる。

 

 シイナも一息つく。 とりあえず、予定通りに出発は出来そうだ。

 

「シイナ」

 

 そんな時、村長が再びシイナに話しかけてくる。 何事かと顔を向けると、村長は頭をかきながら口を開く。

 

「この村は、近隣の村に比べればハンターの数が多い。 そしてそれらは、ある程度経験をつんだ者ばかりだ。 そんな村だからこそ、ジュンも採取クエストやアオアシラ関係のクエストだけしかやらなくてもこの村はつぶれなかった。 だが」

 

「だが?」

 

「お前達が行く村は出来たてホヤホヤの新しい村だ。 住民も少なく、ハンターも数える程しかいないだろう。 周辺も安全ではないだろうし、色々困った事も多々起こるはずだ。 そうなったらジュンも村の一員として動かざるをえないだろうし、経験する事が自然と多くなる。 つまり・・・・・・お前の言った事もあながち理想で終わらないかもしれんぞ?」

 

「……そうなると、いいですね」

 

 今から住む村がジュンを変えてくれる、そう願わずにはいられなかった。

 

 

 

 




つづく
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