モンスターハンター 青熊好きのハンター   作:littlelock

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第九話


第九話

「ジュン、それとシイナ。 忘れ物はないよな?」

 

「多分ないかと」

 

「あったら届けておいて下さい」

 

「……村を出てからも迷惑をかけるつもりか」

 

 ジュン達が戻ってきて一時間後。 日の出まであとわずかの時間となり、間もなく出発するという状態になった。

 

 ジュンとシイナは既に竜車の荷台に腰掛けていて、村長に最後の確認をしてもらっている。

 

「ほんと最後の最後まで迷惑かけてすみません」

 

「ほんとだよ。 お前のせいで心配になった村の者がみな徹夜同然だ」

 

 竜車に乗っているおかげで目線が高くなったジュンは周りを見回すと、目の下に隈が出来ている者が大勢みられた。

 

「あらら、マジだ。 でも、僕がクエストに行かなくてもどうせ昨日のパーティで飲み明かすつもりだったんでしょ?」

 

「出来れば気分よく徹夜したかったんだよ!」

 

「……そりゃすんません」

 

 そんなやり取りを繰り返していると、先輩ハンターの一人が竜車に近づいてくる。

 

「ジュン。 これはせんべつだ。 受け取ってくれ」

 

 そう言い、手に持っていたぱんぱんにつまっている皮袋を渡す。 ジュンは受け取ってみるとその大きさに比べて軽い事に驚く。

 

「軽っ! なんですかこれ?」

 

「村を出た後になるべく早く開けてくれ」

 

 にっこりと歯を見せて笑う先輩ハンター。 その笑顔にジュンはいぶかしみながらも皮袋を受け取る事にした。

 

 その時、顔の横から光が射してきた。

 

 全員がそちらに顔を向けると、緑に輝いている山から昇ってくる朝日が見えた。

 

「出発の時間ですニャ~」

 

 アプトノスに指示を出すアイル―が呼びかける。 それを聞いたジュンとシイナは村にいる人達に聞こえるよう大声で挨拶する。

 

「それじゃ、お世話になりました!」

 

「お元気で!」 

 

 それから竜車が進みだした。 村人は手を振る、または別れの言葉を叫ぶ。

 

「じゃあな!」「ガンバ!」「達者でな!」「たまに遊びにこいよ!」

 

 ジュン達も涙をこらえて手を振リ返す。 それを村の人達がみえなくなるまで続けた。

 

 

 

 

 

「……村、でちゃったね」

 

「でちゃったね~」

 

 シイナの寂しそうな呟きにジュンは明るく返す。 ここで明るく振る舞わなければ旅先の中ずっと暗いままになりそうな気がしたからだ。

 

 気分を変えようとジュンは竜車を運転しているアイル―に話しかける。

 

「アイル―さんアイル―さん、到着までどのくらい」

 

「一応名前はあるんだけどニャー。 そうだニャー……。 休憩や宿泊、野宿や天候なんかも含めて遅くても十日はかかるかにゃ?」

 

「りょうか~い、二日でなんとかして」

 

「はいにゃ~て、みじか! アプトノスどんだけ速く走らせる気?」

 

 目の前にいるアプトノスは不安を感じたのかブルブルと震えているように見える。

 

「ジュン兄だめでしょ業者さんからかったりしちゃ」

 

 シイナが兄をたしなめる。 その話し方からはもう寂しそうな雰囲気は感じられない。

 

「はーい。 ねぇねぇシイナ、さっそくだけど、先輩からもらった皮袋開けてみない?」

 

「えぇ、もう? いくらなんでも早すぎない?」

 

「早く開けろとか言ってたし、もういいでしょ」

 

 そう話ながら皮袋の口を締めてある紐をほどく。 シイナは「もう」と言いつつも袋が開けられるのを待っている。

 

 雑に結ばれた紐をほどき終わり、袋を開ける。 中を覗くと、袋の中は色々な物でごちゃごちゃしている。

 

「ん、こいつらってもしかして……」 

 

 そう呟きながら手を皮袋の中に突っ込み、入っている物を取り出そうとする。 最初に出てきたのは白く細長い……骨。

 

「ひっ」

 

 いきなり出てきた予想外な物に悲鳴を上げるシイナ。 対してジュンは冷静に物を取り出して何なのか当てる。

 

「これ、竜骨の(小)だ」

 

「えっ」

 

 その後も皮袋の中身を取り出していく。

 

 別の小さな袋に入れられたネンチャク草が三本・砥石が一個・ツタの葉が四枚・小ビンに入れられた釣りミミズが九匹・石ころ四つ・クモの巣が三枚・暖かい毛皮が二枚、竜骨(小)も後から二本出てきて三本ある事が分かった。

 

「……何これ?」

 

 あまりにカオスな物がぞろぞろと出てきて呆気にとられるシイナ。 しかしジュンはこれが何なのかすぐ分かった。

 

「これ、多分さっきのクエストで先輩達が採取してきた物だ」

 

「やられた」みたいな顔をするジュン。

 

「ちょっ、なんでそんなのを私達に?」

 

「いらない物を押しつけられたんだと思う。 先輩達町に行って大量に買い込んでいたはずだし」

 

 迷惑をかけた分の仕返しだろうか。 ずいぶん地味な仕返しをとジュンは思う。

 

「あ~あ、もうちょっといい物期待したんだけどな……ふぁ」

 

 肩の力が抜けたのか大きなあくびをするシイナ。 つられてジュンもあくびをしてしまう。

 

「シイナも眠い?」

 

「誰かさんが夜にクエストを受けたせいでね」

 

 むくれて答えてきたシイナにジュンは「ゴメンゴメン」と苦笑しながら謝る。 それでもシイナはむくれ顔のままだ。

 

「そうだ、ならこれ飲めば? さっきの狩りの余りだし」

 

 そう言ってジュンはアイテムポーチから元気ドリンコを取り出す。 結局前のクエストで使わなかった物だ。

 

 以前にぶぜんとした顔ながらも元気ドリンコを受け取る。 そしてビンの口を開けて一気に飲み干した。

 

「あれ? ジュン兄は飲まなくてもいいの?」

 

「ああ、僕は寝るからいい」

 

 一際大きなあくびをするジュン。 

 

「……なんかずるい」

 

「夜見張りするからいいでしょ。 シイナ、ひざ貸して」

 

 そう言いながら色々とカオスな物が入った皮袋の中から暖かい毛皮を取り出し、シイナのひざに頭をのせ、毛皮をはおりながら寝転がる。

 

「おーい、やっていいなんて一言もこぼしてないぞー」

 

「そういいながらも拒まないシイナが大好き」

 

「はいはい、寝るならさっさと寝る!」

 

「はーい」

 

 シイナはジュンから顔をそらす。 しばらくすると、ひざ元から寝息が聞こえてきた。

 

「たく」とこぼしながらシイナは兄を起こさないように座り方を崩す。 足がしびれないようにするためだ。

 

「いやー、仲のいい姉妹で良さそうですにゃー」

 

「寝ている方は兄で兄妹なんだけどね」

 

「んにゃ?」

 

 シイナの弁解をアイル―は聞き間違いと思う事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    




つづく
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