星界の風章「祝宴」    作:いち領民

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星界の風章「祝宴」 第三章

ハイド伯爵帝都城館・完成記念式典と祝宴の参列者を見て、リン・スーニュ=ロク・ハイド伯爵・ジントは、感慨深く感じた。

参列者は、ジントと多少なりともかかわった人々が主だっていたが、1000人近く収容できる帝都城館・式典の広場には、500人のアーヴ貴族と皇族とその家臣や士族がいた。

クリューヴ王家からはラフィール、ドゥヒール、ドゥビュースが来ており、フェブダーシュ男爵・ロイと元男爵のスルーフ、レトパーニュ大公爵となぜかクファディス参謀長、

そして、『幻炎作戦』や『狩人作戦』で上司であったビボース兄弟のネレースとネフェー、バースロイルでの戦友のソバーシュとエクリュア。

さらに主計修技館時代の親友のダリシュとその妹のユーリル、さらには、委員長もこの祝宴には参列していた。

ジントにかかわりが無かった者でも、ハイド伯爵家の祝宴に興味がある物好きな士族や貴族もこの祝宴には参加することができた。もっとも、戦争中だったために、星界軍に所属していない人々に限定されていた。後にそのほとんどが、紋章院の『青の牙』のメンバーだということをジントは後でダリシュによって知ることとなった。

 

アブリアルの皇太子であるドゥサーニュは、ダルマプ星系で全艦隊の司令長官として動けなかったので、彼の記録映像の祝辞がハイド伯爵家には送られてきた。

 

「ハイド伯爵、アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュです。私も帝都城館完成記念の祝宴にぜひとも行きたかったのですが、何ぶん、帝国艦隊司令長官の職務を果たさないといけないので、参加できなくて本当に残念です。ですから、この記録映像で祝辞を言います。ようやく、アーヴ貴族としての地盤を固めることができたみたいで、おめでとう。私は、あなたの領地を作ったおかげで、酔狂の皇子とかいわれたこともありますが、ハイド伯爵がそれを覆す活躍をしてくれたので、私はたいそう鼻が高かったのです。これからも、クリューヴの姫君と共に波瀾に満ちた人生を送ってくださいね。」と最後は、ちょっとした皮肉を込めてドゥサーニュの映像は終わった。

 

 

「皇太子殿下、ありがとうございます。僕はなるべくなら平凡な人生がいいのですけどね」映像を見終わり少し苦笑するジント

 

こうして、ドゥサーニュの祝辞から始まった式典もつつがなく進行していった。

そして、最後から2番目の祝辞をのべる直前になって、その会場にアーヴ帝国の27代目の皇帝であるラマージュ陛下がダリシュと皇帝の護衛と一緒に来た時は、会場にどよめきが起きていた。

 

「どうやら、ダリシュ、私の祝辞までには間に合ったみたいだな。」そういって、隣に並んでいるダリシュに話しかけるラマージュ

 

「陛下、そうですね。どうやら、皆さん、驚いていますね。陛下の登場に」といつもの穏やかな笑みをするダリシュ

 

「まぁ、私が来るのは一応、内密だったからな。ハイド伯爵、遅れてすまぬ。」そういいならがらラマージュは式辞を言うべく壇上へ優雅に上がった。

 

「まずは、ハイド伯、ようやく、自分の城を手にいれて、おめでとう。そなたの諸侯としての活躍を期待する。さて、皆も私がここにいることに驚いていると思うが、これは、公式なものではない。皇帝としてきたのでなく、ラマージュ個人としてきたのだ。もっとも、こんなことをするのは、皇帝になってほとんど無い機会だが、たまには、よいであろ。

私もこの祝宴を楽しませていただく。」

公式の祝宴とは違い、簡単に言葉をまとめるラマージュ

 

「皇帝陛下、ありがとうございます。」ジントの感動はさらに高まっていった。

 

最後は、ラフィールが祝辞を述べた。

 

「ハイド伯爵、帝都城館の建設おめでとう。そなたとは、色々あったが、ようやくアーヴ貴族として一つの区切りを迎えたみたいだな。これからも、生きていれば、ここに私がくることもあろ。そのときは、よろしく願うぞ。伯爵閣下。」と不敵な笑みを浮かべて優雅に短い祝辞を言い終わるラフィール

 

式典の最後は、ジントが祝宴に来た人に答辞を言って、乾杯をする段取りであった。

 

「えーっと(……やっぱり、緊張するな。昔からこういう式典みたいなものは苦手だから)」

 

ジントは、さすがにこれだけの帝国の貴賓が戦争中にもかかわらず集まっていたので、今までの人生においてもかなり緊張した場面に出くわしていた。そして、緊張のあまり、最初の言葉を言うのにも苦労していた。

 

その様子を正面から見ていたラフィールは、だんだん、ジントの情けなさに怒りがつのり、眉毛が危険な角度へ上がっていった。

 

「…(あ、ラフィールが怒っている。こんな姿見せたら怒るかな。…あれ、なんだか、震えが止まったみたいだ。安心したのかな)」ラフィールの怒りの様子を見て安心するジント

 

「今日は僕のためによくぞ参られました。僕はまだ、自分の中でアーヴ貴族としての自覚は無いかもしれないですが、帝国の力に少しでもなれるように微力をつくします。それでは、皆さん、杯をもってください。帝国に…そして、ハイド伯爵家に」そういって、杯を掲げるジント

 

「栄えあれ!乾杯!」来賓が唱和して、乾杯した。

その後、ジントが目線で家臣のミカエルに合図を送ると、自走卓が料理やさらに多くの飲み物をのせて、会場に入ってきた。

 

ジントの元に最初に挨拶にいったのは、ラマージュだった。さすがに皇帝ということもあり、この祝宴には最後まで参加することができなかったので、早目にすることになっていた。もちろん、その隣にはダリシュがいた。

 

「ハイド伯爵、初めての自分が主役の式典はどうだ?なかなか、味わい深いものであろ。しかも、この手の経験の家臣もいなかったみたいだから、苦労したのでは?」穏やかな笑みを浮かべるラマージュ

 

「ええ、でも、アクリアさんを始めとして、ダリシュが紹介してくれた優秀な家臣たちのおかげで、無難にこなせました。すでに式典の段取りも料理も祝辞の相手も全部、彼女達が決めてくれて、僕がそれを決済するだけという感じでした。」少し緊張した様子で話すジント

 

「ジントもようやく、ラマージュとの対面に慣れたみたいだな。前に比べるとずいぶん、ましになったよ。」と悪戯っ子の笑みをするダリシュ

 

「ダリシュ。今でも、緊張するよ。でも、以前ほど極限状態ではないけどね。だって、皇帝陛下だよ。人類世界の半分をしめている国の皇帝陛下だよ。それを平常心で対応するのも無理じゃないかな。」曖昧の笑顔でごまかすジント

 

「今回は、皇帝というより、そなたの親友であるダリシュの想人の立場できたのだ。それに、そなたは、ラフィールとあれだけ対等に話せるのだ。その祖母と思えば、気が楽になるのであろ。」

 

「それは、そうなんですが、やはり、難しいですね。ところで、陛下、ここに来た護衛兵の方々は思ったより、少ないですね。もっと、多いかと思っていました。その分を考えて料理も少し多めにしたのです」護衛兵の少なさに気になるジント

 

「ジント、いっておくけど、ここの警備は、王宮よりも厳重だろうな。なんていっても、君の家臣のミカエルたちがいるからな。それに、僕がそばにいる限り、大丈夫さ」余裕の笑みを浮かべるダリシュ

 

「そうだ。ハイド伯、私は別にダリシュさえいれば、護衛はいらぬといったけど、さすがに、彼らの義務を無視するわけにもいかないのでな。」ダリシュを見ながらうっとりとした様子を浮かべるラマージュ

 

「はぁ、そうなんですか(相変わらず、アツアツだな。この前も、陛下とダリシュのノロケ話をきかされたしね。)」苦笑を浮かべるジント

 

 

「さてと、いくら皇帝とはいえ、ここの祝宴の主役をいつまでも一人占めにするわけ無いから、そろそろ、他へ行く。まだ、時間があるから、ダリシュと一緒に私的なひとときを過ごそうか。では、また、今度。伯爵」

そういって、颯爽とその場をさるラマージュ

 

「じゃぁ、ジント。また、ミカエル達をかわいがってくれよ。」

ダリシュもラマージュの側で歩いていった。

 

 

皇帝が離れたのを見計らったように、そこへ、レトパーニュ大公爵とクファディスがジントの元へ挨拶に来た。

 

「ハイド伯、帝都城館建設おめでとう。それと、お久しぶりね。そういえば、まだ、公子だったとき以来かしら。あのときは、本当に楽しかったわ。でも、狩人作戦の時はあなたが地上でおままごとをしたために、その始末を王女殿下に頼まれたのよ。まったく、あのときは、本当に死ぬかと思ったわ。ねぇ、クファディス千翔長」と紅い瞳で話題を振るペネージュ

 

 

「はぁ、そうですね(この嫌味をいうために、この祝宴に参加したのか?だとすると、けこう、根に持つタイプなのか。スポール閣下は、恐ろしいな)」スポールの本心を素早く見ぬき、恐れるクファディス

 

「そうですか、でも、大公爵閣下のおかげで、ラフィールも助かったのです。僕からもお礼を言わないといけないですね。ありがとうございます。」鈍いジントには、スポールが誇る伝統的な婉曲の嫌味は理解できなかった。

 

「ハイド伯、あなた、意外に鈍いわね。まぁ、いいわ。一応、挨拶をしたので、他の方をお相手しますわ。(…鈍い方に婉曲な罵倒や嫌味を言っても、反応無いのは、面白くないわね。)」どうやら、ジントの反応が鈍すぎるので、他の相手を探すペネージュ

 

「ハイド伯爵閣下、言い忘れましたけど、おめでとうございます。閣下の家の今後の発展を期待しています。」結局、無難に話すクファディス

 

「クファディス千翔長、他に話し相手を探しましょう。あのお姫様か、皇帝陛下かどっちにしましょうかしら?」と紅の瞳で答えを促すスポール

 

「はぁ、陛下は忙しいと思うので、パリューニュ子爵殿下にした方がいいと思います。(間違っても私の立場がスポールの遊び仲間と陛下には思われたくない。)」

 

「なら、陛下にしましょう。忙しいなら、クファディス千翔長もこういう機会にとっては、滅多に無いと思うから、一緒にいきますわよね。」にんまり口を歪めるスポール

 

 

「…はい、わかりました(なんてこった、陛下もからかう気か?恐るべし、スポール閣下)」げんなりするクファディス

 

こうして、スポールとクファディスは、ジントから離れて、ラマージュを探しに会場を動き回った。

 

 

その後もビボース兄弟やバースロイルで仲間だった従士、メイディーン記念保安団の幹部などもジントに挨拶に来ていた。

 

 

 

シュリル・ウェフ=キルヒム・ユーリルは、ジントの様子を遠くで眺めながら、一人で林檎酒を飲んでいた。幾人かの士族や貴族に話しかけられたが、その大半は、彼女を口説こうというものだったが、丁重に断っていた。

 

「(それにしても、どうして、こんなに『青の牙』の人達が多いのかしら、彼女に聞いてみるとわかるかも)」そういって、ミルフィーユとソバーシュがいるところへ向かっていった。

 

「ミルフィーユさん、お久しぶりです。例の事変以来ですね。」と懐かしそうに声をかけるユーリル

 

「あら、ユーリルちゃんじゃない。だいぶ、大人っぽくなったわね。そういえば、確か、今はハイド伯爵閣下と同じ艦<フリーコヴ>の砲術士だったわね。ここには、その艦の方々もけっこう、来ているみたいだし、あなたも、その口かしら」

 

「ミルフィーユさん、まぁ、それもありますけど、個人的にこの祝宴に来たいと思ったの。だって、ハイド伯爵閣下…ジントのアーヴ貴族としての初めての晴れ舞台ですものね。」満面の笑みを浮かべるユーリル

 

「ふーん、我が君とは、ユーリルちゃんも何かあるのね。ちょっと、気になるわ。詳しいことを教えて」興味を持ち、含みのある言い方をするミルフィーユ

 

「ジントをその我が君というのは、やめてくれませんか。ミルフィーユさん。あなたが言うと、なんか、いやらしく感じるわ。まぁ、ジントとのことについては、話すわ」ミルフィ−ユの態度を嫌がるユーリル

 

こうして、ジントが主計修技館時代に寮でダリシュと偶然同部屋で、当時、ダリシュが好きだったユーリルがその部屋に通っていて、何かと話すことになった。そこで、ダリシュがジントを親友としたことに驚いたと同時にジントに興味を持ち、ジントのことについて、考えるようになり、ジントの優しさと魅力に引かれて、気づいたときには、ユーリルの心はダリシュへの想いはなくなり、ジントへの想いで満ち溢れていた。

そう、説明したとき、ユーリルは、頬を染めて、恥ずかしそうな表情をしていた。

 

「なるほどね。私が地上に捕らわれていた間にそんな面白いことがあったのね。それで、念願の我が君と同じ艦に乗れたということね。(となると、ハイド伯爵閣下は、相当苦労しそうね。)ユース、本当はこの艦に乗りたかったじゃないの?」面白い状況になっていると思い、楽しむミルフィーユ

 

「まったくだよ。ミルフィーユ。すでに、色々とハイド伯爵閣下の周辺では起きていてね。でも、まぁ、そこには、イリュス後衛翔士もいるし、彼から情報をもらって、楽しませているよ。」微笑むソバーシュ

 

「イリュス…。まさか、ナリシア?人の恋愛には必ず口を出すというはた迷惑な趣味を持つというあいつ…。ユース、まさか、あなたがその人事を根回したんじゃないの。」ソバーシュの真意を汲み取るミルフィーユ

 

 

「正解だよ。さすがだね。それにしても、『黄金眼の天才児』がまさか、アブリアルの姫君の横恋慕をするとは、彼も楽しくてしょうがないみたいだ。かなり、感謝されたよ。」満足そうな笑みを浮かべるソバーシュ

 

「『黄金眼の天才児』?何、それ、ユーリルちゃんのことをさしているの?」ソバーシュの発言が気になるミルフィーユ

 

 

「ああ、そうか、ミルフィーユは、彼女の星界軍の経歴を知らないみたいだね。彼女は、飛翔科修技館時代に歴史上最高の成績を次々と出して、『黄金眼の天才児』という称号を得たのさ。実戦に出ても、巡察艦の先任砲術士としても、まったく、すごいとしか言いようの無い戦果を上げていたよ」そういいながら、彼女の星界軍の履歴を送るソバーシュ

 

 

「なるほどね。わかったわ。ところで、ユーリルちゃん、あなたがここに来たのは、何か用があったのでしょう?」

 

 

「はい。この祝宴に『青の牙』の皆がいるのが気になるの。ラクファカールにいるメンバーでは、ほとんどいるし、すでに引退している各マスターとかもいますしね。」と周りを見まわして、該当する人を目線で送るユーリル

 

 

「ああ、それね。ハーデスがね。ここにダリシュ坊やの想人をつれてくるという情報を流したの。そうしたら、ヤジウマが集まってね。みんな、相当、気になっていたみたいね。彼の想人がね。ハーデスの話によると、この件に関して情報がほとんどでていなかったので、知りたがっていたわけなの」

 

 

「なるほどね。私は、前から知っていたわ。修技館時代から、兄さんの想人については、ジントから聞いていたしね。でも、皆、驚いたろうな。ラマージュ陛下ですものね。」

 

「なんだって、もしかして、あの陛下の隣にいるのが君の兄さんかい?」その言葉に驚くソバーシュ

 

「ええ。ソバーシュ百翔長、そうです。あそこにいるのが兄さんです。まぁ、兄さんは、いい男ですからね。かなりもてますから、その中で運良く、陛下が心を射止めることができたのでしょう。ああ、そうだ、ソバーシュ百翔長、あそこへ兄さんを紹介しに行きましょうか?」と悪戯っ子の笑みを浮かべるユーリル

 

 

「遠慮しておくよ。それに、今、近づくとアブリアルとスポールの争いに巻き込まれそうだから。ほら、あそこへ、レトパーニュ大公爵閣下が、近づいている。遠くて見ている方がしょうにあっているよ」肩をすくめる素振りを見せるソバーシュ

 

 

 

 

一方、そのスポールの隣にいたクファディス・ウェフ=エスピール・セスピーは、緊張感と憂鬱が入り混じった気分に陥っていた。

 

「(はぁ、なんで、こんなことになったのだろう。確かにハイド伯爵閣下は、俺に何か共通したものを感じて、親近感があるし、その閣下の祝宴なら来てもいいとスポール閣下に誘われたときは、そう思ったけど、まさか、陛下がくるなんて…。しかも、閣下の同行者として対面するとは…あまり、気分がよくないな。いや、それどころか、嫌な予感さえする)」

そうクファディスが考えている間に二人は、ラマージュの前に立ち止まった。

 

 

「陛下。お久しぶりです。スポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵・ペネージュです。それにしても、驚きましたよ。戦争中とはいえ、軍務に生真面目なアブリアルの皇帝陛下がこのような祝宴に参加するとは思いませんでした。」一応は、慇懃に挨拶をするスポール

 

 

「そうだ。大公爵。久しぶりだな。ラフィールの修技館の入学資格を得た祝いの祝宴以来だな。私も、そなたがここに来たのは、驚いている。そなたの役目はほとんどが前線での指揮する威力偵察が多いとドゥサーニュからも聞いているしな。」露骨に嫌そうな顔をしながら言うラマージュ

 

その発言と共に二人に何とも言えない殺伐とした雰囲気が流れた。

 

「皇帝陛下。はじめまして。クファディス・ウェフ=エスピール・セスピーです。現在、レトパーニュ大公爵閣下の参謀長をしています。このような所で陛下にお会いできるとは、とても光栄であります。」その雰囲気を察して、自己紹介をして、和らげようとするクファディス

 

 

「ほう、そなたがあのクファディス参謀長か。多大な激務に耐えて、私はそなたの翔士としての忍耐は、相当なものだと思う。そなたの参謀長としての在任期間は、いわば、伝説的な記録になっているからな。」と穏やかな笑みをクファディスへ向けるラマージュ

 

 

「あら、陛下。参謀長は、喜んで私の元で働いていますわよね。ねぇ、クファディス参謀長」そういって、口元は笑っているが、鋭い目つきで睨むスポール

 

 

「はい。大公爵閣下の言われるとおりです。陛下。私は、喜んで軍務に精を出しています(ああ、これで、ニ度とスポールとの縁は切れないんだろうな。陛下にまでこんなことを言ってしまって)」その発言を後悔するクファディス

 

 

「陛下、ところで、隣にいる方は誰ですか?護衛の方々とは雰囲気も違いますし、もしかして、陛下の新しい遊び相手ですか?」と興味の矛先をダリシュに変えるスポール

 

 

「遊び相手ではない。私の想人のダリシュだ。まぁ、私の付き合った中では最高のものだ。」と自信に満ち溢れた表情をするラマージュ

 

「初めまして、レトパーニュ大公爵閣下、シュリル・ウェフ=キルヒム・ダリシュ後衛翔士です。今は、主計科翔士として、軍令本部に勤務しています。」いつものように穏やかな表情のダリシュ

 

 

「(ふーん、この方が陛下の想人、信じられないわね。一見すると、気のよさそうな若い士族にしか見えないけど、これは、試してみる価値はありそうね)」何かたくらむスポール

 

 

 

「シュリル後衛翔士、あなたに聞きたいのですけど、この祝宴に来ている方々にただならぬ気配の方たちが多いの。その人達のほとんどがあなたに注目している。陛下ではなく、あなたにです。これは、どういう理由か御存知?」周りを見渡しながら言うスポール

 

 

「(なんだって…。そんなこと全く気づかなかった。それにしても、只ならぬ気配ってどういう人のことを言うのだろう?)」スポールの発言に驚きながら回りを眺めるクファディス

 

 

「大公爵閣下、さすがですね。驚きましたよ。彼らは、僕のちょっとした知りあいです。それで、僕の父が想人をここにつれてくるという情報を流したら野次馬根性が起きて、見に来たというわけです。彼らと僕の関係について、知りたいなら陛下に許可がないとダメですね」と言葉とは逆に全く、驚いていない様子で話すダリシュ

 

 

「ダリシュ、その件に関しては話すのはやめるがよい」しっかりと意思のこもった口調で言うラマージュ

 

 

「ということなので、大公爵閣下、三等勲爵士の身分に過ぎない僕は陛下の勅令には逆らえません」と大げさに言うダリシュ

 

 

そのやりとりの様子を眺めながらこの青年が只者ではないとクファディスも感じていた。

 

「(さっきの探りの発言は、こらからスポール閣下が、何か、からかいのネタを思いついたときの突破口だったはず、それを、陛下の発言を利用してあっさり、かわした。しかも、閣下の探りは事実を表していたと確信できる。だからこそ、陛下はその話を打ち切った。

いわば、からかいのネタを話す前に機先を制したことになる。あのスポール閣下が)」

 

 

「(ち、思ったよりやるわね。さすがに見た目だけの方ではないということね。では、あまり、優雅ではないが、この手でいくわ)」

 

その様子を見た瞬間、クファディスは、思った。

「(まさか、あれをやる気か?『スポールの眼光』を)」クファディスは、スポールの意図を知り、恐怖した。

 

クファディスが命名した『スポールの眼光』……それは、彼が数年間、参謀長として仕えている間に数々の翔士が犠牲になった。スポールに対して、失礼な言動や行動、あるいは、趣味に合わない態度をとった翔士を彼女の側に呼んで、家徴である紅の瞳で特別な意思を込めて睨むという行為だった。

そのときの睨まれた翔士の反応は様々だった。あるものは、恐怖のあまり、声がでなくなり、あるものは、胸を抑え出して、顔をひきつらせたり、あるものは、大声で泣き始めたり、普段から威勢のいい翔士も、この『スポールの眼光』を目にして、平静でいられるものなど、いなかった。まさに、その翔士達は、「蛇に睨まれた蛙」を実体験するという悪夢の中に突き落とされる思いだった。

クファディスは、スポールの隣で真っ直ぐ、その視線をつきつけられなかったが、それでも、そのときの気分は、あまり良いものではなく、対象者でなくても、恐怖心を抱かせるには十分な視線だった。その『スポールの眼光』が、再び、しかも、皇帝陛下の前で行われようとしている事態にクファディスの精神も締め付けられていた。

 

だが、クファディスがその考えをめぐらしている間にすでに、『スポールの眼光』は発動された。それは、ダリシュに向けて、行われていた。

 

そのとき、『スポールの眼光』を真正面に受けていない皇帝の護衛達も、様々な反応をしていた。あるものは、恐怖の色を瞳に浮かべ、あるものは、胸が痛い影響のせいか、手を抑えて、あるものは、視線に耐えきれずに後ろを向いて、他の景色を見て、ごまかそうとしていた。ただ、皇帝だけは、真っ直ぐとスポールから視線をはずさず、怒りの形相でスポールを睨んでいた。

 

「(さすがは、皇帝陛下だ。あの視線をうけても、逆に睨み返すなんて。)」クファディスは、これまでの経験を考えて、素直にそう感じた。

 

そう思い、『スポールの眼光』の対象者のダリシュの表情をクファディスが見たとき、彼は、今までの経験でも信じられない光景を目にしていた。

 

「(なんで…。まったく、さっきと同じような穏やかな表情なんだ。信じられない。あれをまともにうけているのに……)」驚愕するクファディス

 

 

「(…これは、驚いたわ。この視線を真正面から受けて、変化がないなんて、相当鈍いのかしら…それとも……)」ダリシュの表情を見て、いぶかしるスポール

 

クファディスから見れば、ダリシュの反応はまるで、ハリケーンが襲う風速100メートルという嵐の中をそよ風が吹いているところを穏やかに歩いているようなことをイメージさせた。

 

彼がそう思いながら、今の状況を眺めていると、次の瞬間、クファディスがゆっくりと穏やかな微笑…それは、どんなに傷ついた人の心も癒すような温かで、心が洗練されて、さらに、ドキドキするような微笑を浮かべながら、ダリシュは言った。

 

 

「レトパーニュ大公爵閣下は、案外、かわいいいお人だったのですね」ダリシュが数々の女性を虜にしたその微笑を浮かべながら言った。

 

「なんですって…」とスポールは、そういいながらも、頬を紅く染めて、まるで、少女のときに戻ったような表情をするスポール

 

 

「(信じられない。スポール閣下があんなかわいい表情をするなんて……それにしても、あの微笑はすごかった。同性愛者ではない、俺でさえ、こんなにドキドキするのに、女性や同性愛者にとっては、麻薬みたいなものだな。あのせいで、スポール閣下まで顔を紅くしているなんて、世の中信じられないことは起きるものだな)」

クファディスは、いまだにその状況を信じられなかった。

 

 

「フフ、面白いものを見せてもらったぞ。レトパーニュ大公爵。そなたのその表情を見られただけでも、この祝宴に来たのも間違いで無かったみたいだからな。さてと、そろそろ、私も皇帝の義務に戻らねばならぬ。ダリシュ、そなたは、もう少し、この祝宴を楽しむがよい」そういって、満足そうにラマージュは、帰っていった。

 

「わかりました。陛下。では、また、今度お会いしましょう。」

そういって、敬礼をするダリシュ

 

「シュリル主計翔士、一つお尋ねするわ。どうして、私の視線をまともにうけても、反応がなかったの?他の方たちは、今までは、とても面白い反応をしてきたわ」いつものスポールに戻り、疑問を聞くスポール

 

「レトパーニュ大公爵閣下。さきほどの視線についてなんですけど、敵意や悪意はありますが、殺意はなかったです。そういう状況の中でも冷静にいられるように訓練したので、大丈夫だったのです。それと、さきほどの無礼な発言失礼しました。」そういって、深く頭を下げるダリシュ

 

「あら、いいわよ。別に気にしていないわ(やるわね。このタイミングで謝っておくなんて、反撃しようかと考えていたけど、すっかり、その気もなくなったわ)」毒気を抜かれるスポール

 

「さてと、そろそろ、僕も他の知人や妹に挨拶するので、ここを離れます。閣下との、やりとり、楽しかったです」

ダリシュは、そういって、スポールとクファディスの元から去っていった。

 

「クファディス参謀長、あなた、彼をどうみる?私があったアーヴでは、いないタイプだわ。たぶん、彼は、相当のものを持っているわ。でも、それを最初に私にまったく、感じさせなかった。それだけでも、すごいわ。第一印象で私を騙せる人間なんてそういないわ」普段のように冷静にダリシュを分析するスポール

 

 

「はい、今、調べたところ、彼はシュリル・ウェフ=キルヒム・ユーリルという『黄金眼の天才児』という異名を持つ、飛翔科修技館の歴史上最高の成績を上げた翔士の兄ということがわかりました。その点を考慮すると、彼らの家は、かなり優秀なのではないでしょうか?」無難な答えをひねり出すクファディス

 

 

「そうね。なら、しばらくしたら、その妹のところへ行きましょう。その異名が本物かどうか、試してみたいし、それに、この祝宴には、面白い方たちがかなりいますしね。」そういって、再び、スポールは、話し相手を探しにいった。

 




◎登場人物紹介①

リン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵(ドリュー・ハイダル)・ジント本シリーズの主人公。第2代ハイド伯爵。兵籍番号21-17-839951。帝国暦935年、人類社会から孤立していたハイド星系惑星マーティンで生まれる。父はハイド星系政府主席ロック・リン、母は鉱山技師。生まれてまもなく、母を事故で亡くし、多忙な父に代わって秘書のティル・コリント、リナ・コリント夫妻に育てられる。帝国暦945年(10歳頃)、ハイド星系のアーヴによる人類帝国編入に伴い父が叙爵したため、ジント・リンからリン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵公子(ヤルルーク・ドリュール・ハイダル)・ジントとなる。同年のうちにアーヴ語の習得のため、ヴォーラーシュ伯国の惑星デルクトゥーに留学し、アーヴ言語文化学院に入学する。帝国暦952年(17歳頃)、アーヴ言語文化学院卒業。主計修技館入学のため、帝都ラクファカールに行くために巡察艦ゴースロスに便乗する。このとき迎えに来たラフィールと運命的な出会いを果たす。ゴースロスの敵艦隊遭遇を受け、ラフィールと共に連絡艇で脱出。フェブダーシュ男爵領、スファグノーフ侯国惑星クラスビュールを経て帝都に辿り着く。帝国暦955年(20歳頃)、主計列翼翔士に叙任。同じ頃、父ロックの死を受け、クリューヴ王ドゥビュースを後見人としてハイド伯爵位を継承。突撃艦バースロイル書記に着任。アプティック門防衛戦の後アプティック伯国領主副代行を務める。主計後衛翔士に昇進後、ロブナス伯国領主副代行を務める。ロブナスIIの移民計画に反対する領民の反乱に巻き込まれ行方不明となり生存が絶望視されたが奇跡的に生還する。その後星界軍に休暇願いを出しハイド伯国へ向かう。マルティーニュ領民政府と条約締結後、星界軍に復帰。主計前衛翔士に昇進し、フリーコヴ書記に着任。栗色の髪と瞳で、どことなく頼りなさそうな印象を受ける。素直で穏和だが、やや積極性に欠ける性格。語学の才能に長け、マーティン語、デルクトゥー語、アーヴ語、クラスビュール語、リクパルを話す。代々の長老派基督協会の信徒だがあまり敬虔ではない。地上世界出身者らしくアーヴの薄い味付けが苦手。珈琲(スルグー)をよく飲んでいる。初等学校にあがるまではコリント夫妻の実の子供だと信じていて、ロックよりもティルやリナにより強い愛情を抱いていた。だが実の両親への愛情がないわけではなく、父親が2人いることを誇りに思い、母が鉱山技師だったことを知ってからは鉱山技師になりたいと思っていた。デルクトゥーでは身分を隠し西ブーキク・ミンチウ団に所属し、クー・ドゥリンを始めとする団員たちと交遊していた。デルクトゥーを離れる3日前に身分を明かしたが、見送りに来たのはドゥリンだけだった。この件は後にデルクトゥーを再訪した際に数人から謝罪を受けている。ラフィールに対する第一印象は「黙っていても偉そう、しゃべったらもっと偉そう」だった。フェブダーシュ男爵領やクラスビュールではお互いに助け合い距離を縮めていった。特にクラスビュールからの脱出時は、本来1人用棺桶である葬儀用水素(核融合でなく化学反応)ロケットで共に打ち上げられた。バースロイル着任時にラフィールとお互いに希望を出したため、同じ艦に配属された。以降常に同じ艦に配属されている。そのためバースロイルは2つの貴族城館を持つ船として星界軍では有名だった。アプティック防衛戦でバースロイルが致命的な被弾をした際に逃げ遅れ、爆発寸前に助けに来たラフィールとともに救命ポッドで脱出した。この際、救出されるまでの時間が原作とアニメ版で大幅に異なっている(原作は12分、アニメ版は12時間)。ロブナスIIにおける反乱の際、ぎりぎりまで地表に留まろうとした。責任感からのものであろうが、メイディーンは英雄願望と評した。自分が地上人なのかアーヴなのか長い間葛藤していたが、数々の経験を経てアーヴ貴族として生きること・ラフィールに人生を捧げることを決心した。そのためデルクトゥーでドゥリンと再開した際に、彼のアーヴに対する疑念を聞かされたときは強く憤っていた。軍休暇中にハイド伯国を訪れコリント夫妻と再会するが、それが最後の帰郷であり、父母同然の関係であったコリント夫妻との今生の別れとなった(領民政府との条約のためハイド伯爵家の人間はマルティーニュ中心部から1光秒以内に立ち入れない)。また、長らく翔士個室以外の軌道城館を持っていなかったため、元巡察艦ボークビルシュをハイド伯爵城館として設置した。ただし、マルティーニュから0.8光秒にあるため彼が住むことは無い。バースロイル時代の同僚とはその後も縁が深い。サムソンとパーヴェリュアはハイド伯爵家の家臣であり、エクリュアとソバーシュは上官である。フェブダーシュ男爵家とも縁が深く、クロワールからは監禁されたが、スルーフとは年の離れた友人であり、ロイは軍歴のほとんどにおいて良き上司であり、おおむね良好な関係を築いている。

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵(ベール・パリュン)・ラフィール。クリューヴ王家第1王女。第27代皇帝ラマージュの孫でもある。兵籍番号01-00-0937684。帝国暦936年、クリューヴ王宮で生まれる。親はクリューヴ王ドゥビュース、遺伝子提供者はレクシュ・ウェフ=ローベル・プラキア。王宮で生誕の儀が行われパリューニュ子爵号を授与される。帝国暦949年(13歳頃)、翔士修技館入学。帝国暦952年(16歳頃)、修技館卒業後、翔士修技生として巡察艦ゴースロスに配属。ヴォーラーシュ伯国でジントと運命的な出会いを果たす。ゴースロスの敵艦隊遭遇により、艦長のレクシュの命令を受けジントを連れ連絡艇で脱出。フェブダーシュ男爵領、スファグノーフ侯国惑星クラスビュールを経て帝都に辿り着く。その後列翼翔士に叙任。帝国暦955年(19歳頃)、十翔長に昇格し、突撃艦バースロイル艦長に着任。アプティック門防衛戦の後アプティック伯国領主代行を務める。その後ロブナス伯国領主代行を務める。この代行業務の過程でジントがロブナスIIの移民計画に反対する領民の反乱に巻き込まれ行方不明となったため、星界軍に休暇届を出し傭兵団を雇ってジントを救出した。副百翔長に昇格後、ジントにつきあい共にハイド伯国へ赴く。その後、星界軍に復帰しフリーコヴ艦長に着任。名前の由来は珠玉(ラーフ)と星霧(ヒール)から。黝くしなやかな長髪、淡い小麦色で卵形の顔。黒瑪瑙のような瞳で眦が高く、アブリアルとしては耳が小さい。声は切れる寸前にまで張った琴線を爪弾いたような清冽な音色。本質的に素直な性格で嘘をつくのが下手だが怒りっぽい。スポール曰く「アブリアルのなかのアブリアル、その瞋恚の炎たるや、宇宙開闢の瞬間にのみ比喩の対象を見いだせる」。アーヴらしくごく薄い味付けが好み。熱めに温めた桃果汁(ティル・ノム)に、檸檬(ロープ)のスライスを浮かべた飲み物と、蜜酒(ケテク)の林檎火酒(レルテル)割りが好み。どこでも熟睡できるという特技を持つ。王女らしく、というより気質的に態度はやや尊大。「〜(する)がよい」という口癖がある。また、ジントに対しては、しばしば「ばか(オーニュ)」と言う(その時により、本気であきれていたり、照れの感情がこもっていたりする)。耳が小さいのを気にしているが、それは彼女の遺伝子が自然結合のままで調整されていないからである。自分の遺伝子提供者が誰であるか、また「愛の娘」であるかを気にしていた。8歳の頃、父に言われた「アーヴ猫の遺伝子を使った」との冗談を真に受けて、しばらく悩んでしまったことがある。翔士修技館への入学が早かったのは、遺伝子提供者が誰かを知りたいとの強い願いのためもあった。生まれたときから王女としてかしずかれて育つ一方で、他のアーヴが対等の立場で互いに名前で呼び合う様子に羨望を覚えていた。このため、ラフィールを知らなかったジントに名前を問われたときに、ある種の喜びと興味を感じ、ジントに対して「王女」や「殿下」ではなく、単に「ラフィール」と呼ばせることを許した。直後に現皇帝の孫ということを知ったジントが「皇孫女殿下」と呼んだ時は、非常に気分を害した[1]。フェブダーシュ男爵領でクロワールから足止めを受けた際に、悪評高いアーヴの微笑を見せて反抗の意思を示した。その後戦闘になった際に、推進剤に反物質を使い反陽子砲の代用に使うという機転を利かせて勝利した。射撃の腕に秀でていて、フェブダーシュ男爵領やクラスビュールで、その腕を遺憾なく披露した。ただしクラスビュールではその世間知らずぶりも披露して、ジントを何度も呆れさせた。祖母である先帝ラマージュに似ているらしく、帝国暦952年の上皇会議の場において曾祖母のラメームは「娘の幼いころを見ているよう」、ドゥセーフは「息子(ドゥサーニュ)のあとを襲うのはそなたかもしれない」と評価している。だが、帝位への出世レースで先頭を走っているわけではなかった。

エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノール。バルケー王国の平面宇宙を航行中の交易船の中で生まれる。親はナース、遺伝子提供者はコリュア・ウェフ=ボーザク・コンサ。5歳になったころにエクリュア館に送られる。15歳のときに曾々々祖父が永眠。帝国暦952年、翔士修技館入学。帝国暦955年、突撃艦バースロイル次席翔士に着任。アプティック門防衛戦の後、後衛翔士に昇進。帝国暦956年に前衛翔士に昇進後、フリーコヴ航法士に着任。ハイド門沖演習後に十翔長に昇進し、副長兼航法士に就任。帝国暦958年、副百翔長に緊急昇進。髪、眉、瞳がすべて空色をしている。無口、無表情で物静かだが、あまり他人に気を使わないので失礼な言動を平気でする。重度の音痴で船の操舵が異常に荒い。アーヴとしては珍しくラクファカールの生まれではない。奇妙な歌は父譲りのものである。人参が大嫌い。時空泡内での加速にともない発現する円形の虹が好き。交易船の中で育てられていた頃は多数の飼い猫にいじめられていた。エクリュア一族は貧しく、子供を共同で育てるため、星界軍から払い下げられた旧型突撃艦を改造したエクリュア館では多数の子供たちと一緒に育った。修技館入学の直前に愛猫を亡くしている。これ以降、猫を飼わないと決めたが、他人の飼い猫をかまうのは大好き。また猫ともアーヴとも違う年の取り方をする地上人に強い興味を持っていて、特に初めて会った同世代の地上人であるジントが老いていく様を見てみたいと思っている。砲術士としても航法士としても有能で、特にアプティック門防衛戦の際に見せた砲撃手としての腕は、艦長であるラフィールが感嘆するほどのものだった。なお、砲撃の際に発する印象的な「撃つ!」というセリフはアニメ版オリジナルのもの。船を操縦するときは地上人が乗っていようがいまいがお構いなしに、アーヴでなければ耐えられないような高加減速や無謀とも思われる機動を行う。自分の思い通りに操縦させてもらえない場合には口汚く罵ることもある。そのためソバーシュからは翔士としては有能だが、指揮官には不向きなタイプかもしれないと思われている。また、十翔長への昇進後に砲術担当の内示があったが、ソバーシュに強硬に反対され実現していない。本人はそれをまったく気にかけていないが、なぜ反対されたのかは理解していない。そのほかにも、非直の乗員を起こすためだけに警鐘を鳴らすなど非常識な行動が多い。ラフィールとはバースロイルからの付き合いでそれなりに理解しているらしく、ケマル門での戦いの際に自らの判断が正しかったのか葛藤する彼女の内心を看破していた。


サムソン・ボルジュ=ティルサル・ティルース。地上人出身の星界軍の軍士。のちハイド伯爵家家宰。リネー伯国の惑星ダクフォー(現地名称ミッドグラット)出身。帝国暦952年、スカレーシュ門沖会戦に参加。イリーシュ門沖会戦後に軍匠修技館に入学。帝国暦955年、突撃艦バースロイル監督に着任。帝国暦956年に星界軍退役。その後ハイド伯爵家家宰となる。。アニメ版では頬に十字傷を持つが、原作には存在しない(「星界の断章1」において、頬の傷の由来が作者自身の筆によって書かれたが、あくまで番外編であり原作本編にはサムソンの頬に傷が無い事が断られている)。気さくで話のわかる性格であり、部下の従士たちには慕われていた。ミッドグラット人らしく、それなりに義理堅く、料理が得意で1000や2000の料理はそらでつくれると自称している。無類の酒好きで軍務中に(あくまで冗談として)飲酒許可を求めたことがある。普段はほろ酔い程度にしか飲まないが、1年に1度は自分に許す贅沢として潰れるまで飲むらしい。酔い潰れてソバーシュの世話になったことがある。故郷ミッドグラットを心から愛しており、「麗しのミッドグラット」と呼ぶ。星界軍に入ってまもなくのころは、故郷の食生活を明かして友人を何人か無くしている。また、従士から翔士になるとき、同時に身分が国民から士族になるため、故郷への裏切りになるのではないかと悩んでいた。また地上世界出身者からアーヴ身分になった人物の例に漏れず、当初は生粋のアーヴとうまくやっていけるかどうか不安がっていた。いずれは故郷で結婚し農場を経営するのが夢。ジントやソバーシュとは良き友人であり、互いに気に入っている。ジントがロブナスIIで行方不明となった際、星界軍に休暇届を出しラフィールに同行してジントを迎えに行った。この際、故郷の流儀に従い料理を用意して待っていた。また、ソバーシュとはバースロイル時代はよく酒を酌み交わしており、退役後も手紙を受け取っている。

ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユース声 - 斎賀みつき帝国暦955年、前衛翔士の階級で突撃艦バースロイル先任翔士に着任。帝国暦956年に副百翔長に昇進し、襲撃艦フリーコヴ艦長に着任。ハイド門沖演習後、第1蹂躙戦隊先任参謀に就任。その後に百翔長に昇進し、ラフィールの階級を追い抜いている[4]。非常に中性的なアーヴで、原作小説本編を読む限りは性別の記述は全くない。ただし作者の森岡は自分の脳裏では男性だと設定していたとするが、アニメ版では女性として描かれており、森岡は自分が脳裏で考えていた性別と違った事について「面白いんじゃない?」とあっさりと了承した。原作で性別の描写が曖昧なこともあって、ストーリーの齟齬は生じていない(もっとも森岡は、その後、ソバージュが男性である事を明確に記した番外編を書いている)。また、アニメのキャラクターデザインを起こす際にそのモデルとなったのが、声を演じている斎賀みつき本人。監督の長岡曰く、自分が知っている中で一番の“男前”。非常に穏やかで人のよい性格をしている。50歳をゆうに超えていて、成人して独立した子供が2人いる。エクリュアとは逆に士族としてはかなりの富豪で、帝都に独立した軌道館を持っている。星界軍に入る前は長く交易に出ていて、その際のある航行において帝国商業史上屈指の利益を上げたことがある。また、アーヴとしては珍しく、地上世界に降りることを厭わない。交際を大事にしていて、事務的なものも含めて毎日大量の手紙をやり取りしている。普段は穏やかな微笑を絶やさない好人物だが、ロブナスIIでジントを人質に脅迫した囚人たちに対しては、アーヴの微笑を見せて、ジントを殺せばアーヴの地獄へ入れると脅迫した。この脅迫は功を奏し、ジントが危害を加えられず助かる要因となった。現在のところ劇中でアーヴの微笑を見せたのは3人だけで、皇族を除けば唯一の例である(後はラフィールとラマージュ)。自らを根っからの交易者と考えていて、軍人としての立場は仮初のものとしている。そのためかハイド門沖演習後に第1蹂躙戦隊が再編成される頃には厭戦気分を持ち始めていた。だが、翔士としても優秀で、ハイド門沖演習における指揮ぶりは、見学していたラフィールが驚くほどのもので、アトスリュアから、指揮官としても優秀だが補佐に回ったほうがより能力を生かせると評され、参謀に指名された。悪癖を持つ人物を好んで部下にしたがるという悪癖を持っていて、フリーコヴにサムソンを迎えられなかったことを残念がっていた。ただしジントの悪癖ともいえる戦場に猫を連れて行くことに対しては否定的。猫自体は好きなようだが過去に何らかのいきさつがあり飼わないと決めている。エクリュアを指名してフリーコヴに配属させたが、その時点では彼女の悪癖を知らなかったので、指名したのは別の理由によると思われる。


アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵(リューフ・フェブダク)・ロイ。4代フェブダーシュ男爵。帝都ラクファカールで生まれる。親は第2代フェブダーシュ男爵スルーフ。遺伝子提供者はコセール。直後にフェブダーシュ男爵領に送られ、祖母である初代フェブダーシュ男爵やスルーフによって育てられる。その後、父、兄クロワールと共にラクファカールに移り住む。程なくして祖母が死去。帝国暦952年、クロワールの死後フェブダーシュ男爵に叙爵。帝都城館へ移り住んだスルーフのために、代官や執事長を手配した。帝国暦955年、突撃分艦隊ラトゥーシュ第1058突撃戦隊第1突撃隊司令に着任。当時の階級は百翔長。帝国暦956年に千翔長に昇進し第1蹂躙戦隊司令官に着任。青みがかった銀色の髪を後ろで束ねていて、豹のような黄玉色の瞳、朱色の唇、光沢のある眉を持つ。父親譲りの饒舌で、道楽者を自認している。食べ物で遊ぶのは下品だから耐えられないと発言している。星界軍が久しぶりに導入した新型艦種による戦隊の初代司令官に任命されたように、翔士として極めて有能で軍上層部からの評価も高く、部下からの信望も厚い。ただし、物事を教えられる立場の人間が手を抜いているとひっぱたきたくなる質。突撃隊司令時代にクロワールの弔いの晩餐(ギューク・ロボロト)にラフィールとジントを招いて、会食を行った。この際に用意した料理は、かつてクロワールがラフィールに振舞ったものと同じであった。幼少時から地上世界出身者である祖母や父と接していたため地上人的な価値観を強く有する。そのため自らの遺伝子提供者たるコセールを影で「お母さま」と呼んでいる。ストレス解消のため、自室に革製の砂袋をおいている。誰かの名前がつけられていたらしいが、その名前は極秘とされ明かされていない。皇族の上官でいることは気が重いので、ラフィールには早く追い抜いてほしいと思っていた。また、追い抜かれないようでは彼女は皇帝にはなれないとも発言していた。道楽者を自称しているようにパーティ好きで、戦隊司令官になってからは「戦隊に諸侯がいる場合は機会を見つけて皆におごること」と定めた(当時第1蹂躙戦隊の諸侯はジントだけだったので、実質的にジントにおごるように命令しているのと同義であった)。


アブリアル・ネイ=ラムサール・アブリアル伯爵(ドリュー・アブリアルサル)・ドゥサーニュ。アーヴによる人類帝国第28代皇帝。前バルケー王。帝国暦945年、流砂艦隊司令長官として、ハイド星系をハイド伯国として帝国に編入させる。帝国暦955年、幻炎艦隊司令長官として幻炎作戦を指揮。帝国暦956年、狩人艦隊総司令長官として狩人作戦を指揮。双棘艦隊司令長官として双棘作戦を指揮。上皇ドゥセーフの息子で、クリューヴ王ドゥビュースより3か月年下。ラフィールと同年代の息子がいる。濃紺の髪を腰の辺りまで垂らしていて、新雪のように白い顔をしている。ケネーシュからは度し難い性格と評される。エクレーム子爵でもあるが、領主生活には魅力を感じず、領地も義務的に一度訪問したきり放置している。大抵のアーヴがそうであるように、握手を好ましいものとは思っていない(曰く「地上人に相応しい優雅さからは程遠い習慣」)。ハイド星系を帝国領にするに当たり、ロック・リンを領主にすることを受け入れた。その際に「地上の統治」について毒の効いた演説を行い、星系市民から反発を買った一方で、スポールからは絶賛されている。また、ハイド伯爵家の創設者を自称しており、ジントのことをそれなりに気にかけていた。大抵の相手に対しては個人名に「さん」付けで呼ぶ。たとえばドゥビュースは「ドゥビュースさん」、スポールは「ペネージュさん」。


アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵(ドリュー・アブリアルサル)・ラマージュ。アーヴによる人類帝国第27代皇帝。帝国暦905年、帝国艦隊司令長官としてカミンテール戦役に勝利。帝国暦952年、4ヵ国連合に対して宣戦布告。前クリューヴ王。ラフィールの祖母。長い縹色の髪、琥珀の色を帯びた眼に赤褐色の虹彩、象牙色の手をしている。子供はクリューヴ王ドゥビュースとゲムファーズ伯爵ラムリューヌの2人。

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・クリューヴ王(ラルス・クリュブ)・ドゥビュース。クリューヴ王。星界軍元帥。先帝ラマージュの息子でラフィール、ドゥヒールの父親。青灰色の髪をしている。苛烈で知られるアブリアルの中では例外的に穏やかな性格。家族など親しい人間には会話の際に多彩な称号を付け呼びかけに使う癖がある。翔士向きではないと自認しておりずいぶん早い段階で帝位を諦めた。帝国暦935年、レクシュと共にかつての太陽系で源アーヴとは別の人工生命体が乗っていた宇宙船を発見。 帝国暦936年、長女ラフィール誕生後、まもなくしてクリューヴ王となる。帝国暦940年、長男ドゥヒール誕生。帝国暦955年、予備役准提督から現役復帰。帝国暦956年、大提督に昇進後、淡雪第2艦隊司令長官に着任。独特の方針の持ち主で「出生の秘密があったほうが子どもの人格は豊かになる」と考えている。レクシュが評して曰く「ばかげた考え」。そのためか遺伝子提供者を教えてくれとせがむラフィールに、アーヴ猫のホーリアを半身の源として紹介したことがある。ただし母ラマージュからは「息子としては不出来だが、親としては意外と才能があった」とも評価されている。ラフィールが翔士修技生となった際、レクシュが艦長を務める巡察艦ゴースロスに配属されるよう手配した。またラフィールに地上世界出身の友がいてもいいと考え、ジントが便乗する艦にゴースロスを推挙したのも彼である。ラフィールに対して平面宇宙航法がなければアーヴは帝国など築かずに銀河を流離っていられたのにと話したことがある。これをラフィールは「懐古趣味」と評した。ハイド伯国再建のための、多額の資金を低金利でジントに貸し付けている。また、ラフィールと関わりを持ったセールナイにも援助を行い、彼女の自立を手助けした。


アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ウェムダイス子爵(ベール・ウェムダイサル)・ドゥヒール声 - 保志総一朗クリューヴ王家第1王子。戦列艦カイソーフ次席通信士。後衛翔士。ラフィールの4歳年下の弟。帝国暦940年、誕生。帝国暦955年、翔士修技館入学。列翼翔士に叙任し、カイソーフ次席通信士に着任。姉以上に生真面目で嘘のつけない性格をしている。姉と同じく熱い桃果汁(ティル・ノム)が好き。姉に比べて、遅く修技館に入学したことから、劣等感を抱いている(ドゥビュースによればラフィールが特別なのであって、彼が皇族として劣っているわけではない)。13歳のとき、家出を試みたこともある。カイソーフをあまり居心地良く思っておらず、ヴォーニュからは浮いていると評された。帝国暦958年、双棘第13艦隊が雪晶艦隊に移行する前に司令長官のコトポニーから出頭命令を受け、皇帝ラマージュからの極秘命令を知らされると共に、コトポニーからの命令書を受け取った[5]。4ヵ国連合侵攻後、雪晶第5艦隊司令長官ジャムペールに同命令書を提出、スキール王国レスィード伯国にてコトポニーと再会。同部隊には父ドゥビュースも合流していたため、皇帝名代とされることはなくなったものの、事態がはっきりするまで軍士ではなく皇族として扱われる旨を告げられた。

スポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵(ニーフ・レトパン)・ペネージュ声 - 深見梨加根源氏族の1つ、スポール一族の宗家レトパーニュ大公爵家の当主。大提督。17歳で修技館に入学。帝国暦949年ごろ、准提督に昇進。帝国暦952年、偵察分艦隊フトゥーネ司令官としてスファグノーフ門沖会戦に参加。帝国暦955年、ラルブリューヴ鎮守府副司令長官に暫定的に就任。同年、幻炎第1艦隊司令長官としてアプティック門沖会戦に参加。帝国暦956年、狩人第1艦隊司令長官に就任。その後ソトリュール鎮守府副長官に着任。帝国暦958年、大提督に緊急昇進し、不死鳥第7艦隊司令長官に就任。丹念に結い上げられた蒼炎色の髪と流れるような同色の眉、終末期の巨星表面のような紅の瞳(「スポールの紅眼」と呼ばれる家徴)、毒々しいまでに妖しく紅い唇を持つ。『星界の紋章III』では「肉食性の蝶を思わせる」と記述されている。わがままで気まぐれな性格で、ラフィール曰く、スポールの中のスポール、スポール一族が千年にわたって洗練してきた婉曲な罵倒の技術を芸術の域まで高めた人物。母アセーヌと同じく起床後6時間は固形物を口にしない。「時間に厳密な人」と「弱いものいじめ」が大好きと発言している。艦隊指揮官としての手腕は卓越していて、スファグノーフ門沖会戦の際に艦隊運用の妙を司令長官トライフ提督から激賞されている。またアプティック門沖会戦の際には半ば無理やり蹂躙戦に持ち込んだ戦術を総参謀長ケネーシュから評価されている。ただし、総司令長官ドゥサーニュは呆れていた。スポールらしく破天荒な行動や言動が目立つ。スファグノーフ門沖会戦の際に捕虜の取り扱いについて先任参謀クファディスと対立し、惑乱の淑女の称号を受けた。また、これもスポールらしくアブリアルへの対抗心と忠誠心が非常に強い。「淑やかなスポールとがさつなアブリアルは昔から反りがあわない」と発言し、皇族はスポールにからかわれる為に存在していると考えている一方で、狩人作戦当時ロブナス伯国領主代行を務めていたラフィールの要請を受け入れ、ロブナス門沖で狩人第1艦隊司令部直率33隻のみで人類統合体サライ方面艦隊との絶望的な戦いに望み、26隻を撃沈されてしまう。自分の好み以上に大切なものは存在しないと考えている。そのためか、巡察艦の艦長をしていた時期に戦争にならなかったことを残念がっていた。また、レトパーニュ大公爵家には贅を尽くした当主の棺を建造し、その完成披露宴を行う伝統があり、28の邦国の芸術家を集めて作られた彼女のものは帝国暦968年ごろに完成予定。


クファディス・ウェフ=エスピール・セスピー声 - 千葉進歩スポール付きの参謀長。准提督。一等勲爵士。帝国暦952年、前任者の育児休暇にともない第184打撃戦隊先任参謀から偵察分艦隊フトゥーネ先任参謀に転任し、以降常にスポールのもとで参謀を務める。当時の階級は百翔長、帝国暦955年、スポールの配置換えに伴い千翔長に昇進。同年、幻炎第1艦隊参謀長に着任。帝国暦956年、狩人第1艦隊参謀長に就任。その後ソトリュール鎮守府副長官付参謀長に着任。帝国暦958年、准提督に緊急昇進し、不死鳥第7艦隊参謀長に就任。鮮緑色の髪で端麗な眉目をしている男性。星界軍ではスポール一族の者を直属の上司に持つのは不幸といわれている中で、よりによってスポールの当主たるレトパーニュ大公爵ペネージュを上司に持ってしまった星界軍きっての苦労人。成人して以来星界軍一筋で、生涯軍に奉仕すると宣言しているが、スポールからは人生の楽しみの半分を捨てたようなものだと評された。いつもスポールの無理難題に振り回されているので、離れたいと思っているが、彼女にはいたく気に入られているため、なかなか解放してもらえない。だが、「戦闘に関するかぎり」いつも立派な指揮官だった、と評しているのでそれなりに信頼はしている。幻炎作戦時にアプティック星系首相マクリット・タラスと会話をした際には強いシンパシーを感じていたが、そのときに彼から聞いた「土豚と泥亀」という下品なスラングを図らずもスポールに教えてしまった。なお、「異性の上司に振り回される」と言う点ではジントと相通じるものがある(『星界の紋章III』で、ジントたちがスファグノーフから救出されてスポールと面会した際に一度だけ顔を合わせている)。家族は父と姉が1人いる。昔から姉には全く頭が上がらない。


ビボース・アロン=ネレム・公子(ヤルルーク)・ネレース声 - 井上和彦根源氏族の1つ、ビボース一族の男性。提督。帝国伯爵。帝国暦955年、幻炎艦隊副司令長官に着任。幻炎1号作戦から幻炎18号作戦への切り替えにともないアプティック防衛艦隊司令長官に就任。帝国暦956年、狩人第4艦隊司令長官に就任。菫色の巻毛に白銀色の瞳、陰影の多い美貌をしている。一卵性双生児のためネフェーと瓜二つ。ビボース一族としては傍流だが華やかな狂気と呼ばれる一族の性からは自由ではないと周囲からは見られている。しかし、自己評価は「ぼくほど健全な常識を備えている人間はいない」。原作ではアプティック門防衛戦のときに一度行っただけだが、アニメ版では戦闘中の入浴が趣味として描かれている。空識覚芸術を好む。ネフェーとは一卵性双生児の双子で人工子宮から出た時間も同じなため、どちらが兄、弟ということはない対等な関係である。またネフェーと会話する際に頻繁に相手の名前を呼ぶのは、そうしないと自分がどちらなのかよくわからなくなる感覚に襲われるから。アニメ版では、前髪を一房だけ右側から垂らしている。皇太子ドゥサーニュからは戦い方は概ね堅実と評されている。実際アプティック門防衛戦の際に立案した作戦と、実際の戦闘における指揮ぶりは、敵が撤退し始めた後に追撃戦を指示した以外は「平凡」と称されるほどに極めて堅実なものだった。アーヴの例に漏れず堅苦しい儀式を嫌うため、降伏したアプティック星系との降伏調印式典では、たまたま指揮下にいたラフィールとジントに帝国代表およびその後の領主代行、領主副代行の役を押し付けた。狩人作戦時もいくつかの星系で2人に代表を押し付けていた(そのうちのひとつが戦旗IIの舞台のロブナス星系)が、バスコットン星系ではたまたま先行していた淡雪第2艦隊司令長官のドゥビュースにその役を押し付けられてしまう。

ビボース・アロン=ネレム・公子(ヤルルーク)・ネフェー声 - 井上和彦ネレース付きの参謀長。根源氏族の1つ、ビボース一族の男性。千翔長。帝国暦955年、アプティック防衛艦隊参謀長に就任。帝国暦956年、狩人第4艦隊参謀長に就任。双子のネレースよりも階級が下なのは、ネレースよりも「恋多き男」であるため。菫色の巻毛に白銀色の瞳、陰影の多い美貌をしている。一卵性双生児のためネレースと瓜二つ。アニメ版では、ネレースとは逆に、前髪を一房だけ左側から垂らしている。参謀長として司令長官を補佐する立場上か、ネレースよりは常識人的に描かれることが多く、双子同士の会話の際も大抵は彼が一枚上手を取っている。総合芸術を好む。
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