東方心奪録   作:Agies

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第十二話

「伯父さん!?」

 

「大きくなったな。咲雅」

 

「え、なんで咲雅の伯父さんがここに………」

 二人が驚くのも無理はない。何故なら、咲雅の伯父と伯母は4年ほど前に死んだからである。

 

「何でって、そりゃあ……なんでだ?」

 

「この異変は危険すぎるから貴方の助けがいるのよ」

 

「ほう、成る程」

 

「そうじゃなくて………なんで生きてるの……」

 

「実は、死んでなくてな。俺も、お前の伯母も」

 

「え?  でも、伯父さんたちは、俺の目の前で………」

 

「それは、私が化かしていたんだ。化けて君の伯母になりすまし、君が自立できる年になったら死んだように見せかけ、幻想郷に帰った」

 

 今まで黙って紫の隣に座っていた、藍がそう告げる。

「もう、ここまで来たら貴方たちにすべてを教えましょう」

 そう言って紫が語り始める。

 

「まず、この異変を起こしている犯人は昔、魔界に封じられた貴方の父の赤桜(せきおう)(らん)。彼は、すべての妖怪を、この幻想郷を滅ぼそうとしている。

何故、妖怪を滅ぼそうとするかは14年前、貴方の母を妖怪に殺されたから。そんな事件があってから、あの人は狂い出したわ。だから、私が魔界に封じ込めたのだけれど、それがあの人にとって余計にストレスになって、封印が解けかけてきた今、この異変を起こした。

 そして、貴方たちには、この異変を解決して欲しいのよ」

 

「大体、わかった。だが、なんで俺を外の世界に連れ出した?連れ出す必要性があったのか?しかも、今さら解決しろだの意味わかんねーよ!俺らを巻き込むなよ!」

 

「ごめんなさい……でも、どうしても貴方たちの力が必要なのよ」

 

「ふざけんなよ!俺の母さん殺した犯人に復讐する程度なら別にいいけど、なんで幻想郷をぶっ潰そうとしてんだよ!迷惑なんだよ!」

 と、やり場のない怒りを、叫んで当たり散らす。

 

「………」

 

「おい、紫!親父は魔界にいるんだろ!?」

 

「え、えぇ」

 

「だったら、一発ぶん殴ってやんなきゃ気がすまねぇ!俺を魔界に連れてけ!」

 

「………フフフ、そう来なくちゃ♪でも、貴方のレベルじゃまだ嵐には勝てないわ。だから、修行に行ってらっしゃい~♪」

 突然のことで、少しのあいだ呆けていたが、言葉の意味を理解すると、修行に行ってこいと、咲雅と雅嶺の足下にスキマを開き、二人を落とす。

 

「ウワァァァァァ!?」

 

「なんで俺もォォォォ!?」

 そんな二人の叫びも虚しく、スキマに飲み込まれて行く。

 

 

 

 

~~

 

 

 

 

 

 二人が落とされた先は、咲雅が竹林でいつか見た、寝殿造の大きな屋敷だった。

 そして、そこには、先程まで紫の家にいたはずの緋露が佇んでいた。

 

「おぉ、来た来た。じゃあ早速始めるぞー」

 

「何をするんだよ!?」

 

「紫から聞いてないの?修行だよ」

 

「幻想郷が大変なことになってるってのに、こんなことする時間があるのかよ!」

 

「この屋敷は、俺の能力で時間の流れを速くしてて、幻想郷での一日分がこの屋敷での五年分だから、大丈夫だよ。きっとね」

 

「なにその便利な設定!?しかもどこかで聞いたことがあるんだけど!?」

 

「咲雅、設定とか言っちゃダメだよ。怒られるよ?作者に」

 

「お前も作者とか言うなよ!!」

 

「はーい。それじゃあ、修行を始めたいと思いまーす。じゃあまず、霊力の扱い方ですがー………」

 

「勝手に始めんな!!」

 

 

 ………こうして、カオスな、緋露による、咲雅と雅嶺のための修行が始まった。

 ここから二人は約二年と半年の間修行をするのだが、全てを話そうとすると、時間が足りないので、掻い摘んで話そう。

 初日。

「はい。じゃあ霊力を扱うところから始めるぞー。とりあえず瞑想4時間ねー」

 

「「長いわ!!」」

 

 二日目。

「昨日の瞑想でだいたい霊力を感じられたでしょ?だから飛んでみようー」

 

「いや、霊力なんて感じられてネェよ!!」

 

「咲雅!俺飛べたぞ!!」

 

「なんでだよ!?」

 

「咲雅も飛んでみ?案外簡単だから」

 

「あ、ほんとだ……」

 

 十日目。

「霊力の使いかたはマスターしたみたいだから、その霊力で弾幕を作って見よう。ボールをイメージして作ればいいからー」

 

「毎度毎度教え方が適当すぎる……」

 

 一ヶ月。

「今日は実戦だ。弾幕ごっこをやってもらう。あ、あと弾幕は非殺傷じゃなくて、殺傷性がある弾幕使ってね」

 

「「殺す気か!?」」

 

 一年。

 

「今日は体力トレーニングな。とりあえず屋敷の周りを十週な」

 

「それって何キロくらいになるの?」

 

「50」

 

「「長っ!?」」

 

 二年。

 

「能力の使いかたを教えるぞー。咲雅はだいたいわかってるみたいだけどちゃんと使いこなせるようにしろよ。まずは能力を感じる作業からだ」

 

 体力トレーニングや、霊力の扱い方、能力の扱い方等々、修行の日々。そして迎えた最終日。

「俺に弾幕ごっこで勝てたらとりあえず修行終了な。それじゃあ、かかってこい」

 

 

~~

 

 

 

 

 今までの修行の成果を全て出しきり、二人とも何とか、緋露に勝ち、緋露が出したスキマのようなものをくぐり、紫の家に帰ってくる。

 

「ただいまー」

 

「紫さんと会うのがすごい久しぶりな気がする」

 

「あら、お帰りなさい。思ったより早かったわね。それに、二人ともより一層男前になった気がするわ」

 

「二人とも筋が良くてな、なかなか扱きがいがあったぞ」

 

「修行が終わったんだから、もう行ってもいいでしょ?」

 

「行くなら、博麗神社に行きなさい」

 

「それじゃあ、行ってきます」

 

「ちょっと待て」

 咲雅と雅嶺が、博麗神社に向かい飛び立とうとしたとき、緋露が呼び止める。

 

「行くならこれを持ってけ」

 そう言って二人にそれぞれ一振づつの刀を渡す。

「なんですかこれ?」

 と、雅嶺が問いかける。

「お前らの能力をより引き出せるように細工した刀だ。切れ味もかなりいいから一応持ってけ」

 

「ありがとうございます!」

 

「それじゃ、行ってきます」

 貰った刀を咲雅は腰に、雅嶺は背中に差し、博麗神社へと向かい、飛び立つ。

 

 

 博麗神社へと一直線に飛ぶ。

 紅い霧を突き破り、蒼く光る月の光を浴びて、二人は飛ぶ。

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