東方心奪録   作:Agies

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第二十一話

 これはとある宴会の中での一幕。

 

 

 

 

 

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「なぁ、紫、今回の異変って結局なんだったんだ?」

 魔理沙が問いかける。

「なんだったんだ。っていうのは?」

 

「んー?えーと………」

 

「………異変を起こした動機を聞きたいの?」

 

「んー………まぁ、そんな感じだ」

 

「動機ねぇ……。本人たちに聞いたほうがいいんじゃないかしら」

 紫は嵐や緋露たちの方を向きそんなことを言う。

「嵐、緋露ー。魔理沙が呼んでるわよー」

 『呼んでる』としか嵐と緋露に教えないから、普段から霊夢に胡散臭いと言われるのだ。と、魔理沙が考えていると、嵐と緋露しか呼んでいない筈なのにワラワラと関係のない奴らが集まってきた。随分と人気者だな。

 

「どうした?」

 

「今回の異変について詳しく聞かせて貰いたいんだぜ」

 

「んー、長くなるが…」

「かまわないぜ。お前らもかまわないだろ?」

 魔理沙が周りにいる野次馬どもに問いかける。そして聞こえて来るのは了承の意。

「待ってましたゼー!赤桜の旦那ァ!」

「ヒューヒュー!」

 酒が入っているからか、天狗どもは矢鱈テンションが高い。そんな五月蠅い天狗どもは気にせず、少女たちは嵐たちの話に耳を傾ける。

 

「えーと、今回の異変は俺と咲雅の喧嘩…というより揉め事から始まった訳だが」

 

「なんで揉め事になったんだ?」

 天狗の一人が問いかける。

「咲雅が強くなりたいって言ってきてな。まだ早い。って言ってやったら出ていっちまった」

 嵐は淡々と話を進める。

「で、出ていった先が外の世界って訳か」

 魔理沙が口を挟む。

「あぁ、外の世界だ。それも幼かった霊夢の力を借りて。確かそれが14年前だな」

「………」

「………」

 霊夢はそんなことあったかしらと首を傾げ、咲雅は、覚えてねぇ。といった様子で眉間に皺を寄せている。

「で、この異変を起こした動機なんだが………」

 ある者はどんな動機なのかワクワクした様子で話を聞き、ある者は酒の入った器を傾け話を肴にしようとし、またある者は異変の真相を知っているためかニヤニヤしながら話を聞いている。

 

「えーと、紫が最近退屈だって言うから、折角なら派手にやろうかなーって。あと永琳や藍に協力してもらって、咲夜ちゃんと咲雅に嘘の情報を吹き込んでもらった」

 

「……うんうん、なるほど………って、ハアァァ!!?」

 会場がザワつく。その様子を見て紫は、してやった。と言いたげな表情で酒の入った器を傾ける。

「え、じゃあ永琳が私に話した昔話って──」

「えぇ、全部演技よ。フフフ」

 永琳も悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべる。

「すまないな。俺が先代の博麗の巫女を殺されて、暴れて魔界に封印された。っていうのも嘘だ」

「えええぇっ!?」

 会場に本日二度目の驚愕の声が木霊する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「じゃ、じゃあ、今回の異変をまとめると、

 咲雅と嵐が喧嘩。咲雅が家出。嵐は、咲雅が強くなって帰ってくるまで追いかけることはしない。緋露と藍は外の世界へ赴き、咲雅を育てる。幻想郷に再び帰ってきた咲雅は嵐が適当な情報を流して起こした異変を解決。それにより、咲雅は認められ異変は無事解決……」

 魔理沙は深いため息をついて……

「ややこしいし、長いわっ!!!」

 帽子から取り出したミニ八卦炉を稼働させる。

 稼働し始めたミニ八卦炉に強い魔力が集まり、弾け、極太のマスタースパークが嵐へ向かって放たれる。

「おお、凄い」

 マスタースパークを間近で見た咲雅は思わず感嘆の声を上げる。

 プスプスと煙を上げて倒れる嵐の咲雅の周りに天狗どもがワラワラと集まっていく。

「ふう、すっきりだぜ!」

 明らかに他のメンバー───咲夜や霊夢たち───がやりすぎだろと言いたげな表情で魔理沙を見ているが魔理沙は気にしない。

 

 嵐がむくりと起き上がり、

「痛いよ」

 ぼやく。

 

 隣で緋露が、

「ハッハハハハ!真っ黒に焦げてる!ハハハ!」

 笑う。

 紫も、

「フフフフ。情けない姿ねぇ」

 笑う。

 こうして二人が笑うのを見て、しんと静まっていた会場の雰囲気が明るくなり、また天狗たちが酒をのみ、ばか騒ぎを始める。

 咲雅が嵐に歩み寄る。

「親父大丈夫か?」

「あぁ、なんとかな」

「そうか。ところで……なあ、紫さん。なんで天狗がいるんだ?今回の異変に関係ないだろ?」

 

「んー、今回の異変には関係ないのだけど、天狗は元々嵐の部下なのよ。だから顔を出さないなんてことは出来ないのよ。天狗は上下関係が厳しいから」

 

「天狗の上司で博麗神社に奉られた神様……いったいどんな人生を送って来たんだ………」

 

「お、咲雅、嵐の昔話聞くのか?私も混ぜてだぜ」

 魔理沙が近づいてくる。

「おい魔理沙。俺に何か言うことがあるだろ?」

 

「………手加減はちゃんとしたぜ!」

「………」

 嵐のジトっとした冷ややかな目が魔理沙に突き刺さる。

「……あは、アハハハハ……そ、そんなことより、嵐たちの昔話をもっと聞きたいぜ!」

 

「………昔話か、凄い長くなるが?」

 

「かまわないぜ」

 天狗どもがまた集まってくる。酒を持って。

 会場がザワつく。

「そうだなぁ。何から話そう。そうだ、永琳と出会った頃の話をするか。

 あれはいつだったかなぁ。そうそう、月の綺麗な夜だった────

 嵐が口を開くと会場全体がしんと静まる。

 

 

 

 

 

 

~~

 

 

 

「ふぅー、今日のお仕事は終わりですっ!私お疲れ様ですっ!」

 古ぼけた木製の部屋に少女の声が木霊する。

「文ちゃーんお仕事終わりましたよー!」

 

 

「……って、あり?返事がない。おかしいですね。ちょっと探してみますか…………」

 そう言って少女は部屋を飛び出し天狗の里を飛び回る。

 

「ありゃりゃ、誰もいないですね……ん?なんだろあれ?」

 ふと何かが目に入った少女が降り立った先の家の扉には………

 

 

『  天魔様へ

 我々烏天狗と白狼天狗は嵐様と緋露様の主催する宴会に呼ばれたので行ってきます。天魔様はお仕事が忙しそうだったので誘いませんでした。すいません。

P.S.お仕事ちゃんとやって下さいね?

         射命丸より。』

 

「え?宴会?私置いてかれたの?私怒りました!」

 少女は一陣の風となって妖怪の山から嵐たちのいる桜零亭へと飛ぶ。

 

 

 

 

 

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