「さぁ、来い魑魅魍魎ども‼たとえ屍になろうとも食らいついてやる‼」
………ノリで決め台詞みたいなのを言ってみたけど、めっちゃ恥ずかしい………
それにしても、妖怪5000体か、どうしようかな。まだ俺は能力を使いこなせてないからな……
「こういうときこそ能力を感じるんだったな」
……あ、敵の命を
そんなことを考えているといきなり正面からバカデカイ
「うお!?危ねぇ!」
なんだこいつ……凄く、大きいです……じゃなくて、どうやって倒そうかな。最初から能力使うのもなんだし取り敢えず物理で行こうね。
「オーラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオr……って効いてないじゃん」
痛いね。硬いね。そりゃそうだよね。だって人間だもの。殴ってるこっちの骨が折れそうだよ。ついでに心も折れそうだよ。予定変更。もう能力使います。
やはり人間と妖怪の差は歴然で、咲雅の物理攻撃(笑)が効かなかったため、能力を発動する。
能力を発動すると同時にキシャァァァァと襲って来たときと同じような奇声あげてその場に倒れる。
「ふうっ。 一体目撃破。あとまだ4999体か………こりゃ骨が折れるな……」
そんなことを言っているうちに一気に500体ほどに周りを囲まれる。
「おっと、これはまずいぞ…」
どうするか、一気に複数の命を奪うってできるのかな?
無理でした。やっぱり命を奪うには対象を定めないといけないみたい。複数同時は無理だね。どうすっぺ。ほんとに。
「………よし、あれでいこう」
ほんとは、やりたくなかったんだけど、もう面倒くさくなっちゃったから、やっちゃいます。
「今俺が“敵5000体と戦わなくてはならないという事実”を奪う」
そう咲雅が宣言すると周りの妖怪が消え去り紫の元へ来たときと同じように咲雅の体が光に包まれ目の前の景色が瞬く間に変わっていく。
~~
「ほいっと、到着」
スタッと咲雅は地面に着地し、周りを確かめる。すると目の前に八雲紫がいた。
「あら、もう倒したの?」
と、軽く目を見開き、驚いたかのような顔をする。
「あぁ、倒したってより消滅させたに近いかな?」
「………そう、じゃあ話さなくてはいけないわね
と、紫が話し始めようとしたとたん咲雅の体に異変が起こる。
「ん?………うっ……」
咲雅はバタッといきなり地面に倒れこむ。
「………きっと能力の使いすぎで体がついていかなかったのね……好都合だわ。
紫は咲雅の頭に手をかざし、能力を行使し記憶の境界を弄り、咲雅の記憶を消す。
「ごめんなさいね。でも、貴方は少し急ぎすぎたわ。もっとゆっくりでいいの。貴方はゆっくりと歩んでいって頂戴」
そのときの彼女の顔はいつもの胡散臭い妖怪の賢者としての顔でなく、八雲紫の顔だった。
~~
「知らない天井だ」
はい、これを言いたかっただけです。でも本当にここどこだ?
「失礼します。お体のほうは大丈夫ですか?」
と、恐らく狐の妖怪だと思われる金髪の女性が咲雅のいる部屋に入って来た。
「どちら様?」
「申し遅れました。八雲紫に仕える式、
「よろしく。それで何で俺は紫の家で寝てるんだ?」
「それは私が説明するわ。藍、下がっていなさい」
と、いきなりひょっこりと紫がスキマから顔を覗かせる。
「かしこまりました」
「それで何でここに俺はいるんだ?」
「え~とね、咲雅がもう『夏が終わって学校が始まるから外の世界に戻してくれー』って家に来たと思ったらいきなりぶっ倒れたのよ」
「そうだっけ?」
「えぇ、そうよ、気絶する前後のことだから若干記憶が曖昧なのよ。きっと」
「そうか、そういえば、夏休みが終るな、そろそろ。というわけだ。外の世界に連れてってくれ」
「わかったわ。出発は明後日でいいかしら?」
「あぁ、その間に知り合いに暫く留守にするって言っとかないとな」
「そうね、その前に、今晩はここに泊まっていきなさいな」
「…………そうさせてもらう」
~~
「じゃあ出発するわよ」
「あぁ、よろしく頼む」
「行ってらっしゃい。次はいつ頃帰ってくるのかしら?」
「そうだな、一応高校を卒業してからだからだいたい半年くらい留守にするよ」
「そう、だったらこれを持って行きなさい」
と言って紫から札のようなものを渡される。
「これは?」
「通信用の札よ。困ったときとか、迎えが必要なときにこれに向かって話せばいいわ」
「わかった。ありがとう。じゃあいってくるよ」
と、今の会話夫婦っぽいな。なんて思いながらも紫のスキマをくぐり抜ける。
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