魔法少女まどか☆マギカ クロスss/2つの風車と7つの宝石   作:がとーショコラ

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第6話完結篇です!
物語の1/4が終わったあたりです。


第6話 新たな魔法少女、誕生③

私は、夢を見ているのだろうか?

午後、自分を視姦していたであろうー少なくとも自分はそう考えていたー人物が目の前で昨日私を助けた戦士へと姿を変えたのだ。

ならば、彼は……

 

魔法少女まどか☆マギカ クロスSS

2つの風車と7つの宝石

 

「仮面ライダーV3!!」

 

変身したV3はポーズをとり、名乗りを上げた。

それを見たスプレーネズミとクサリガマテントウは嬉しそうに笑った。

 

「グェグェグェ、今度こそあの世に送ってやるわ!」

 

「この俺のデビルスプレーと」

 

「俺の鎌でな!!」

 

そう言って2人の怪人は攻撃態勢をとった。

 

「ほむら、君はまどかの所に行きなさい」

 

すると突然、V3はほむらにそう言った。

 

「え……?」

 

「奴らは2度、倒している。弱点は知り尽くしている。だから大丈夫だ。それより、今はまどか達を助けることの方が先決だろ」

 

V3はそう説得すると、ほむらは頷きその場を離れようとした。

しかし、

 

「させると思っているのかぁ!?」

 

スプレーネズミがそう言って右手にある腕から白色の粉を吹きかけてきた。

 

「何!?」

 

それを見たV3は守りの態勢に入り、一粒たりともほむらにかからないようにした。

 

「⁉︎」

 

ほむらが僅かながら驚く。

 

「大丈夫だ。私の体はこの毒を受け付けない」

 

V3はそう言って怪人達の方を向き、構えた。

 

「グェグェグェ!本当に大丈夫なのかぁ!?V3!!」

 

スプレーネズミが下卑た笑い声を出しながらそう言った。

 

「………?どういう事だ?」

 

真意が分からず聞き返すV3。

 

「貴様の身体を見てみろ!」

 

クサリガマテントウがそう言うと、V3は漸く自分の体に起きている変化に気付いた。

 

「変身が、解け始めている………?」

 

そう。粉を浴びた所を中心に変身が解除され始めていたのだ。

それは、少しづつだが、着実に彼の体に広がった。

 

「油断したな!V3!!」

 

スプレーネズミがそう言った。

 

「前までなら俺の毒は確かにお前に効かなかった。しかし、今回は違う!!俺はとある怪人の能力を手に入れて復活したのだ!!!」

 

「ある、怪人の、能力………。まさか」

 

V3はそこまで言って、あることに気付いた。

 

「貴様、幽霊博士の……」

 

「正解だ!!俺は奴の能力をさらに改良した物を手に入れて蘇ったのだ!!」

 

ー幽霊博士ー

それは、かつてジンドグマの四大幹部の一人として暗躍した怪人の一人。黄金病という特殊な病気を操り、人々を苦しめた。最終的には仮面ライダースーパー1である、沖和也に倒された。

 

V3とは直接的な接点はなかったが、情報だけは持っていた。

 

「V3、いや、風見志郎!!ここが貴様の墓場だ!!」

 

そう言って志郎にジリジリと近付くスプレーネズミとクサリガマテントウ。

変身がほとんど解けたV3はほむらを背に少しづつ下がった。

 

「ほむら、早く行け………」

 

ふと、志郎が小声でそう言った。

 

「え?」

 

「このままだと俺もお前も殺される。ここは俺がなんとかする。だから行け………!」

 

ほむらはその様子から彼が死を覚悟していることを感じた。

ここで、ふと、ほむらの頭の中にここ数日の事が駆け巡った。

 

「さあ、風見志郎!これで最期だ!!」

 

そんなほむらを無視したクサリガマテントウがそう言ってその鎖で志郎の腕を掴んだ。

それを見たスプレーネズミも、再びカビを浴びせようと腕を伸ばし、志郎に狙いを定めた。

 

「くっ…!行けぇ、ほむら!!」

 

切羽詰まってか、珍しく志郎は声を荒げた。

しかし、

 

「分かったわ、風見志郎。でも、ただでは逃げないわ。私は決めたの」

 

そう言ってほむらはその姿を消した。

志郎はそれに驚きながらもほむらがいなくなった事を安心し、前を見据えた。

 

 

 

一瞬後、クサリガマテントウの絶叫が響いた………。

 

「ぐが、ゲェ、アガっ、な、何故、ナゼ俺に、攻撃する………!」

 

明らかに、志郎を殺そうとしていたスプレーネズミの魔の手は彼ではなく、クサリガマテントウへと向けられた。

志郎自身何が起きたのか理解できず、目を見張っていた。だが、これを好機と見たのか、ありったけの力で鎖を引きちぎり、高く飛んでその場を離れた。

 

「す、スプレーネズミ、き、貴様、う、ゔ、ゔらびっだのが!?」

 

身体が腐敗していく中、クサリガマテントウは苦しそうにそう聞いた。

 

「わ、分からない!俺は、確かに風見志郎を!」

 

スプレーネズミも混乱していた。勝ったと確信し、Σからの褒美を期待していた矢先の出来事だったため、突然の事態に正しく対処できなかった。

 

「これを飲め!解毒される!!」

 

スプレーネズミはそう言ってベルトの中から小瓶を取り出し、クサリガマテントウに飲ませようとした。

が、その直後、彼の手からそれが消えていた。

 

「ど、どういう事だ!!?」

 

さらに混乱するスプレーネズミ。クサリガマテントウはとうとうドロドロに溶けて絶命した。

 

「な、何故解毒剤が、誰が!?」

 

「貴様が探しているのはこれか?」

 

唐突に声が聞こえた。それは、スプレーネズミが最も嫌う者から発せられるものだった。

 

「き、貴様!!?な、なぜ!?」

 

スプレーネズミが声の聞こえた方に向くと、小瓶を持ったV3がビルの屋上に立っていた。

 

「なぜ貴様がそれを持っているのだ!?」

 

「ふん。残念だが、それは教えれないな。さて、スプレーネズミ」

 

V3はそう言って深く息を吸い

 

「行くぞ」

 

そう言って、弾丸の様な速さで突っ込んだ。

 

「ギェ!?」

 

なんとか反応し、避けるスプレーネズミ。

そして、V3が着地した隙を見て再びカビを振りかけた。

 

「死ねぇ!V3!!」

 

これで奴は再び変身不能。どんなトリックを使ったか分からないが、殺せれば問題ない。もう一度風見志郎の姿に戻して嬲り殺してやる。

 

が、そんなスプレーネズミの思いも、高く跳躍したV3のかかと落としによって打ち砕かれた。

 

ズドン!!

そのままスプレーネズミは真っ直ぐ顔面から地面に激突した。

 

「き、貴様ァ、よ、よくも………!」

 

顔を抑えてスプレーネズミが苦しそうにそう言った。

指の隙間から僅かに見える顔は、原型をほとんど留めておらず、惨たらしいものとなっていた。

 

「これで終わりだ。スプレーネズミ」

 

V3は静かにそう言って、高く跳んだ。

そして、空中で前転し、蹴りの構えをとってドリルのように高速横回転をかけた。

 

「V3ィィィィ、ドリルキック!!」

 

その技はスプレーネズミの身体を真っ二つにした。

 

「ゆ、許さん、V、3、次は必ず……」

 

そこまで言ってスプレーネズミは爆発した。

 

「倒したか………」

 

V3はそれを見てそう呟いた。

ふと、自身の白い手を見る。

 

(今回の戦闘は、気になる点が3つあった。一つ目はスプレーネズミがクサリガマテントウを攻撃したこと。二つ目は俺の目の前に急に解毒剤が出てきたこと)

 

そこまで考えて、近くに落ちていた石を拾い、握りつぶした。

 

(そして三つ目は、解毒剤を使ってからの数分間、力の制御が効かなかったこと)

 

彼ら仮面ライダーには戦闘に対して一つのポリシーがあった。それは、己が力に飲まれて暴走しないことだった。

仮面ライダーは人間とはかけ離れた力を持つ。それは、強すぎるが故に使いこなせなければただの破壊を生み、彼ら自身が悪の組織、またはそれ以上の脅威へとなる。そのため、仮面ライダーはその力を人間だった頃の感覚と強靭な精神力で制御していた。

 

(まるで、ジェットコンドルと戦った時のような……)

 

V3は過去に、同じようなことを経験していた。

BADANとの戦いの時、ベルトが壊れ変身不能になった後、仮面ライダー1号・2号の緊急処置により不完全ではあるが再変身した。が、力の制御ができず、後輩である仮面ライダーZXが止めなければ衝動のままに敵を粉砕していたというものだ。

 

(この解毒剤の副作用か?それとも……)

 

志郎はそこまで考えて一旦思考を止めた。

 

(今考えても仕方ない。それよりも………)

 

V3は近くに停めてあるハリケーンにまたがり、V3ポッパーを飛ばして先ほどの集団を捜した後、そこに向かった。

 

 

数分後

V3は現場に到着した。すると、彼の目の前に信じられない光景が浮かんでいた。

魔法少女姿のほむらが涙を流しながらさやかの頬を張ったのだ。

よく見ると、さやかの服装は普通のものとは違い、軽装の剣士のようなデザインで、ビスチェ風のトップと左右非対称なスカートの上にマントを羽織っていた。

そして、露出された腹部には青く輝く三日月型の宝石のようなものがあった。

 

「まさか………!」

 

自分の予想が違っていてほしい。そう願いながらV3は彼女たちの元へと走っていった。

 

 

 

 

数十分前

まどかは仁美達についていっていた。

 

(どこに行くんだろう?)

 

そんな不安を覚えながらチラリと仁美の方を見た。その視線に気付いたのか、仁美はまどかの方を向き、ニコリと笑った。

いつもはその笑顔に元気をもらうまどかだったが、今回ばかりはそうはいかず、気分が沈むだけだった。

 

(何とかしないと………。そうだ、マミさんに連絡すれば………!)

 

魔法少女であるマミならこの状況を打開してくれるはずだ。そんな期待を込めてまどかはポケットの中にある携帯に手を伸ばした。

 

「あら?まどかさん?何をしようとしてるのです?」

 

それに気付いたのか、仁美が声をかけてきた。

 

「えと、その、と、友達を呼ぼうと思って……」

 

「まあ、そうでしたの!?それはいい事ですわ。救われる人は多ければ多いほどいいんですもの」

 

仁美はとても嬉しそうにそう言った。

 

異常だ。

 

まどかはひしひしとそれを感じた。

 

「それで、今から呼びますの?」

 

「う、うん」

 

「その方は何てお名前ですの?」

 

「と、巴マミさんっていう、3年生の先輩だよ」

 

「まぁ!私達よりも一つ上の方ですか!?それは嬉しいですわ!年齢はバラバラの方がいいですもの!!」

 

(……………ん?)

 

まどかは先ほどの仁美の言葉が引っかかった。

何か有益な情報を得られるかもしれない。そう思ったまどかは勇気を出して聞いてみた。

 

「ねえ、仁美ちゃん?」

 

「何ですか?」

 

「私達はどこに向かってるの?」

 

「どうしてそんな事を?」

 

「マミさんを呼ぶために必要かなって思って……」

 

「ああ、確かにそうですね。場所は………。ほら、あそこの工場ですわ」

 

仁美が指差した方向には確かに工場があった。しかし、それは外観からしてボロボロである事がハッキリと分かり、まどかは廃工場だと悟った。

 

(あそこって確かBADANに攻撃された………)

 

まどかは意を決してマミに電話をかけた。

 

『もしもし?』

 

5コール程でマミが出た。

 

「マミさん!?私です!鹿目まどかです!!」

 

『鹿目さん?そんなに切羽詰まったような声を出して、どうしたの?』

 

「実は………」

 

まどかはできるだけ手短に、かつ、周りの人に悟られないように状況を伝えた。

 

「………という事なんです!!」

 

まどかが説明し終えた後、マミは先ほどとは声のトーンが打って変わり、

 

『分かったわ。すぐにそっちに行く。でも、鹿目さんは危ないからできたら離れてて。それと、無茶はしちゃダメよ?分かった?』

 

それから、マミがいかに自分のことを心配してくれているか、いかに魔女に怒りを抱いているかを察したまどかは、はい、と答えた。

 

 

 

 

 

「さて………」

 

まどかから連絡を受けたマミは急いで変身した。

運がいいのか悪いのか、自分の家にいたため、人目を気にせず魔法少女の姿へとなれた。

 

「鹿目さんによると、場所は………ここね」

 

本棚にしまってある地図で場所を確認してから、マミはベランダから飛び出し、目的地へと向かった。

彼女の後を追う一つの影に気づかずに。

 

 

 

 

 

マミと連絡がとれてから数分後、まどか達は廃工場へとついた。

その敷地内にある一つの部屋に皆集まり、作業着を着た年配の男が

 

「俺の工場はもう終わりなんだ…………。BADANさえ、いなければ…………」

 

と、ブツブツと呟きながら、バケツの中に白い液体を入れていた。

ツン、と鼻をつくような臭いを覚え、嫌な予感を感じたまどかは、ジャージを着た男が持ってきた液体洗剤を見て、青ざめた。

 

『いいか、まどか?この手の物の扱いには十分気をつけろよ?混ぜたりなんかしたら私達家族はまとめてあの世行きだ。絶対に間違えるなよ?』

 

先日、彼女の母親である詢子が話した内容が思い出される。

 

このままだといけない!

 

そう思ったまどかはバケツに向かって走り出した。

が、後ろからガタイの良い男に腕を掴まれ、進むことができなかった。

 

「は、離して!!」

 

悲鳴のような声を上げるまどか。

それを見た仁美がまどかに近寄り、

 

「だめですよ?まどかさん。これから儀式をするのですから。邪魔をしてはいけませんよ?」

 

と、微笑みながら、諭すように言った。

 

「でも、皆死んじゃうんだよ!?」

 

まどかも仁美に正気に戻って欲しいと願い、叫んだ。

 

「当然ですわ。私達の目的地は死んだ先にあるんですもの。肉体に縛られたこの不自由な身体を捨てて、真の自由の為に旅立つのです。竜と共に………」

 

パチパチパチ、と、仁美の演説が終わってから拍手が起こった。そして、それがある程度収まった後、ジャージを着た男が液体洗剤を入れようとした。

 

このままじゃ、本当に………。

 

まどかはありったけの力を振り絞り、抵抗した。

ふと、一瞬だけまどかを掴んでいる力が緩んだ。まどかはそれを見逃さず、器用に体を動かし、男の拘束から逃れた。

そして、全力でバケツの元に走り、それを拾い上げた。

 

「どこか、捨てる所は………!」

 

焦りながら周りを確認すると、外に通じる窓が見えた。

 

「あそこなら………!」

 

息を切らしながらそこまで走り、ありったけの力で窓にバケツを投げ飛ばした。

 

ガチャーーーン!!

 

大きな音を立てながらバケツは外に放り出された。

 

(よかった、これで皆死なない)

 

そう思い、安堵していると背後から気配を感じた。

クルリと振り向くと、何人もの人間に囲まれていた。

 

「よくも、俺たちの儀式を………」

「ようやく解放されると思ったのに」

「旅立ちたかったのに………」

「許さねぇ、赦さねぇ………」

「許早苗、許早苗………」

 

皆まどかに憎しみの色を持った目を送り、怨嗟の声を発していた。

 

「ひっ………!!」

 

恐怖を感じたまどかは小さな悲鳴を上げ、小さな体を生かしてその場から逃げ出した。

 

「あ、あそこなら……!」

 

近くに別室を見つけ、そこに飛び込み、まどかは鍵を掛けた。

 

(これで、しばらくは大丈夫)

 

ホッと安堵するまどか。しかし、恐怖は終わってなかった。

 

「え?あれ?」

 

ふと、周りを見たまどかは景色の変化に気付いた。

空間が歪み、メルヘンチックな場所へと変わった。

 

「ここって………!」

 

まどかは絶望した。身を守るために飛び込んだ部屋が魔女が巣を貼る場所だったのだ。

上下の境目が無くなったかのような魔女の結界で、まどかは何体もの方翼の人形のような姿をした使い魔と一つの小さな画面付きの箱が自分の方へと向かってくるのを見た。

 

【!ンモダンルバンガニメタノワイヘ!イナケマニカンナンダバ】

 

まどかは何か、声のようなものが聞こえた気がした。

 

ー魔女の名はH.N.Elly(Kirsten)、通称エリー。性質は憧憬。彼女は気に入ったものは何でも箱の中に閉じ込めてしまう。それが、人であっても、人であったものだとしてもー

 

エリーはまどかの目の前に行くと、ある映像を見せた。

 

「あ、あぁぁぁ………」

 

それは、ここ数日の出来事。魔法少女であるマミに頼りきり、才能があるのに何もせずに安全地帯にいる自分の姿。マミの事を気遣いながら自分は戦わなくてもいいと安心している醜い自分だった。

それは、人であれば必ず持っている負の感情だったが、優しすぎるまどかには大きな精神的ショックを負わせた。

 

【!イナクタニシ!イナクタニシ!イナクタニシ】

【!カッバシタアデンナ!カッバシタアデンナ!カッバシタアデンナ】

 

再び声が聞こえる。それは、怒るような憎むような、悲しい声。

 

「あ、あ、あ」

 

まどかは涙を流しながら懺悔の言葉を口にした。

 

「ご、めん、なさ………」

 

瞬間、ものすごいスピードで何かがまどかの横を通り抜けた。それと同時に彼女の周りにいた使い魔の一体が消えた。

と、思ったら再び何かがまどかの横を通り過ぎた。

それと同時にまた使い魔が一体消えた。それが何回か繰り返され、使い魔は全て消え、残るは魔女の本体のみとなった。

 

「これで、終わり!」

 

かなりの速度で移動していた“それ”はエリーを突き刺してようやく止まった。

 

【''gemekgcj#,ekgcj#,ekgcj#,mmpp.#tG,#t@@@!!】

 

エリーは何か、言葉のようなものを残し、消滅した。

 

 

 

 

「さ、さやかちゃん?」

 

魔女の結界が崩れ、心を落ち着かせたまどかが見たものは親友の後ろ姿だった。

しかし、その服装は普段のものとは違い、特異なものだった。

 

「ま、まさか………!」

 

そこから一つの事実に辿り着く。

 

「さやかちゃん、契約、したの?」

 

「いやー、まどか、ゴメンね!助けるの遅くなっちゃって!!」

 

すると、さやかは振り向き、満面の笑みで言った。

 

「本当はもっと早くに助けたかったんだけどね、少し魔女を探すのに戸惑っちゃって!!」

 

「さやかちゃん、どうして?」

 

まどかがもう一度聞くと、さやかは腕を頭の後ろで組みながら

 

「あはは、まぁ、何?心境の変化っていうのかな?」

 

まどかは戸惑いながら何も言えずにさやかを見ていた。

 

「大丈夫だって!初めてにしちゃ上手くやったでしょ?」

 

『僕も確認はしたんだけどね』

 

突然足元から声が聞こえた。そこを見ると、いつの間にかQBがいた。

 

『でも、彼女は意志は固かったからね。契約したんだ。どうだい?まどか、君もついでに』

 

そこまで言って、QBは頭が胴体と離れた。

さやかは何かに気付き、剣を構え、まどかはビクッとした。

 

「転校生………!」

 

さやかが殺気を込めた声を出す。

まどかはさやかの視線をおい、目を見開きながら佇むほむらを見つけた。

 

「貴女………!!」

 

ほむらは徐々に赤くなり、拳を強く握り、さやかに近づいていった。

 

「何?なんか用?QBを殺しやがって、あたし、あんたを許す気はもうないから」

 

乱暴な口調でさやかがほむらに突っかかる。

それを気にしないかのようにほむらはどんどん近づいた。

そして、とうとうさやかの目の前に来た時、ほむらはフッと掌を広げた。

と、同時に、パァン、と高い音が響いた。

 

「え………?」

 

「あ?」

 

まどかとさやかは突然のことに呆けた。

が、さやかは早くに思考を戻し、ほむらにキレた。

 

「何すんだよ!あんた、人をバカにするのも大概に」

 

そこまで言ってさやかは言葉を止めた。ほむらの目に涙が溜まっているのを見たからだ。

 

「どうして、貴女は、いつもいつも!私の忠告を聞かないの!?私は貴女に死んでほしくないから言ってたのに!!貴女に絶望してほしくないから言ってたのに!!何で、何で…………」

ほむらはそこまで言って消えた。彼女がいた場所には、数滴、涙が落ちた跡があった。

 

「さやか、お前………」

 

それと入れ替わるかのようにV3が来た。

 

「あ、志郎………」

 

ショックが抜けないのか、低いトーンでさやかが返す。

 

「あ、そうだ!あたし、魔法少女になったんだ!!」

 

そう言いながらクルクルとその場で回ってみせるさやか。

V3は溜息を吐きながら

「後悔はしてないのか?」

 

と聞いた。

 

「全然!むしろまどか達を助けれたんだからなってよかったよ!!」

 

「そうか………」

 

V3はそこまで言って工場内へと入っていこうとした。

 

「あれ?志郎?どこいくの?」

 

「被害者達の様子を見にいくだけだ。お前達は今日は帰れ」

 

「ええー!」

 

「文句を言うな。いいな?」

 

「ちぇ、分かったよ」

 

さやかは納得できない風にそう言って変身を解除した。

 

「行こ?まどか」

 

そして、状況についていってないであろう友人に話しかけた。

 

「え、あ?う、うん」

 

まどかは呆然としていたが、ようやく頭の整理がついたらしく、さやかの手を取った。

 

「あ、そういえば」

 

帰ろうとした時、まどかはある事を思い出した。

 

「マミさんがまだ来てない」

 

「え?マミさん?」

 

「うん。実は……」

 

まどかはマミを呼んだ経緯を話した。それを聞いたさやかは

 

「ちょっと待ってて」

 

と言い残して、工場内へと走っていった。

程なくして戻って来た彼女は、

 

「大丈夫!志郎に言っておいたから!」

 

と自信満々の笑みで言った。

 

まどかは聞きたいことは沢山あったが、今は夜も遅いのでやめた。

 

 

 

 

 

 

某所

 

「困るな。君達の勝手な行動のせいで計画が台無しだ」

 

無機質な声が響く。

 

「せっかく鹿目まどかを魔法少女にできるチャンスだったのに」

 

それはまるで相手を責めているかのような口調だった。

 

「何をバカな事を。むしろ感謝して欲しいぐらいだ。私達のおかげで仮面ライダーV3が来る前に処理できたのだからな」

 

Σは手に持った“何か”をいじりながら言った。

 

「君達が作ってる物。あれはどれくらい完成したんだい?」

 

「4割と言ったところか」

 

「予定よりも少し早いね」

 

「当然だ。そのために怪人を投入しているんだからな」

 

「期待しているよ」

 

本心からそう思っているとは思えない口調で、それは消えた。

 

「計画通り、か」

 

誰もいなくなった部屋でΣは口角を上げた。

 

「スプレーネズミとクサリガマテントウ。奴らは戦闘能力は低かったが役には立ったな」

 

そこまで言ってΣは手に持っていた“何か”を飲み込んだ。

 

「おかげでイレギュラーの暁美ほむらの能力とこの薬の性能を把握できた」

 

薄暗い部屋で一人、Σは低い声で笑った。




まどか、さやか、マミと打ち解けた志郎。
そんな彼にほむらから依頼がくる。
場所は変わって風見野。魔法少女である杏子と素質を持ったゆまに魔の手が迫る。
次回、「志郎、風見野に行く」ご期待ください
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