魔法少女まどか☆マギカ クロスss/2つの風車と7つの宝石   作:がとーショコラ

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早めの投稿です!
話がほとんど進みません。
それにしてもおかしい。いつの間にかマミがヒロインになっている………。


第7話 志郎、風見野に行く①

夜9時。

ゆまと杏子は仲良くベッドに入っていた。

ゆまは杏子の二の腕を掴んで離さず、杏子はただボーッとしていた。

 

「………!」

 

杏子は何かを感じ、ゆまが目を覚まさないようにゆっくりと指を解いた。

 

「…………ん」

 

ゆまが寝返りを打つ。

一瞬、起こしてしまったかと焦った杏子だが、直後に気持ち良さそうな寝息が聞こえ始めたため、溜息をついた。

 

「ゆま、行ってくるな」

 

返事をしないゆまに優しくそう言い、杏子はホテルを出た。

 

魔法少女まどか☆マギカ クロスSS

2つの風車と7つの宝石

 

「さて」

 

さやかに頼まれ、志郎はマミを待っていた。

警察への連絡は既に済んでいて、あと3分ほどで来ることになっていた。

 

「マミのやつ、遅いな」

 

ふと、マミの姿を思い起こす。

 

「迷子になったのか?それとも…………」

 

そこまで言って、志郎はこちらに向かってくる人影に気付いた。

 

「…………あれは?」

 

志郎が誰かを認識した時、顔色を変え、その人物へと駆け寄った。

 

「おい、マミ!どうした!?大丈夫か!?」

 

その人物ー巴マミーは全身傷だらけであり、服も所々破れていた。

 

「あ、貴方、は………」

 

そこまで言って、マミは倒れた。

咄嗟に腕で抱き抱える志郎。

 

ウーーーーーーー……………

 

突如、サイレンが聞こえ、志郎は舌打ちをした。

 

(思ったより早いな)

 

仕方なく、志郎はV3へと変身し、その場を離れた。

 

 

 

 

 

 

『お父さん!お母さん!』

 

一人の少女が叫んでいる。

 

私はそれを見ていた。

 

ああ、これは夢だ。

 

そして、魔法少女になる前の、過去の私だ。

 

たしかお父さんは私とお母さんを、お母さんは私を守ってBADANに殺されたんだ。

 

そうだ。

 

この後、誰かが助けに来るんだ。

 

誰だったっけ?

 

『嫌だよ!嫌ダァ!!嫌!!』

 

私が泣いている。

 

いつの間にか幼い私の後ろに黒い影が見える。

 

それが、私めがけて手を下ろして………。

 

 

 

 

 

「ん…………」

 

マミは薄暗い部屋の中のベッドで目を覚ました。

 

「あれ?私………」

 

マミは気を失う前の記憶を辿る。

 

(確か、私は来る途中に………)

 

「痛っ!」

 

急に肩に激痛が走る。

そこを見ると、綺麗に包帯が巻いてあった。

そこでマミはようやく自分の服装がパジャマであることに気付いた。

 

「これって………」

 

不思議に思うマミ。

 

(誰かがやってくれた?でも、誰が?)

 

マミの事を気にかけてくれる友達は数多く有れども、マミの事を気にかけてくれる親族は少ない。

 

(あんな時間に誰かいたとは思えないし………)

 

考えれば考えるほど分からなくなる。

 

「…………あら?」

 

ふと、マミはリビングルームに明かりが点いていることに気が付く。

 

「誰か、いるのかしら?」

 

もし、自分の面倒を見てくれた人であれば礼を言わなければならない。

 

そう思ったマミは重い足を引きずってそこに向かった。

 

「誰…………?え?」

 

「む?目が覚めたのか?」

 

マミの目にはエプロンを着けた高身長の男が立っていた。

よく見ると、男の手にはお玉が握られていて、鍋には火がついていた。

 

「貴方は、たしか………」

 

マミはその人物に見覚えがあった。

 

「警備員の、風見、志郎さん?」

 

「もう少し待っててくれ。スープが完成するからな。それと、まどか達は家に返した」

 

志郎はマミの質問に答えず、ただ鍋の中だけを見つめていた。

 

「え、どうして貴方が?」

 

「どうしてって、そりゃ、俺が君をここに運んだからな」

 

「もしかして、この包帯も?」

 

「ああ。応急処置だけだがな。改造人間なら手術はした事あるが、お前は人間だからな。悪いがその程度しか出来なかった」

 

マミは体温が一気に上がるのを感じた。

包帯を巻いてくれたという事は自分の身体を見られたという事だと気付いたからだ。

本来なら叫んで助けを呼ぶところだが、魔法少女としての経験が彼女を止めた。

 

(何であんなところにいたのか。どうして私の家を知っているのか。聞き出さないと)

 

マミがそう考えているうちに、温かそうなスープが目の前に出された。

 

「完成だ。味は保証しておく」

 

「あ、ありがとうございます」

 

マミはそれを受け取り、ガラス張りの三角形のテーブルに座った。

 

「さて」

 

対面に志郎が座り、マミに質問を始めようとした。しかし、先にマミが質問した。

 

「貴方は一体なにものですか?どうしてあの場所にいたんですか?どうして私の家を知ってるんですか?」

 

「あー、まぁ、落ち着け。そう質問攻めされても困る」

 

「でも」

 

「大丈夫だ。ちゃんと答えるから。そうだな。まず、俺は何者かというところから始めるか」

 

志郎はそう言って上着を脱ぎ捨てた。

 

「な、何するんですか!?」

 

志郎の突然の行動に戸惑うマミ。顔を真っ赤にし、顔を手で覆った。

 

「命の恩人にそれはひどくないか?」

 

志郎はそんなマミの様子を見て、苦笑しながら言った。

 

「そんな、上着を脱ぎ出すんだから当然です!!」

 

マミも負けじと反論した。

 

「いや、本当は変身してやりたいんだが、そうもいかんからな。部屋が荒れるかもしれないし」

 

「え?変身?」

 

マミはそう言って、恐る恐る手をどかした。

すると、彼女の目に特徴的なベルトが飛び込んで来た。

 

「それって………」

 

「ああ、これが俺が俺たる証拠だ」

 

「それと、変身って………」

 

「どうしてもダブルタイフーンの風車が高速回転するからな」

 

「それじゃあ」

 

マミは魔法少女の姿になり、リボンを作った。

 

「私が志郎さんの周りをリボンで覆えば」

 

「そんなに変身が見たいのか?」

 

「はい」

 

マミはそこまで言ってスープを一口飲んだ。

それは野菜の旨味がよく出ていて、身体の芯から温まるような美味しさだった。

 

「それを飲んだらお望み通り変身してやる」

 

「わ、分かりました」

 

マミは急いでスープを飲もうとした。しかし、それを勿体無いと体が感じているのか、思いとは裏腹にゆっくりと味わって飲んだ。

 

「ふぅ、ご馳走様でした」

 

「お粗末様」

 

十数分後、マミはようやくスープを飲み終え、満足そうにカップをテーブルに置いた。

 

「では、志郎さん。お願いします」

 

マミはそう言って魔法少女の姿になり、リボンで大きめの球体の空間を作り、そこに志郎を入れた。

 

「少し待ってろ」

 

志郎はその中へと入っていった。

数秒後、

 

「変身、V3!!」

 

と声が聞こえ、強風がリボンの中で起こった。

 

「!?」

 

予想外に強く、リボンによる球体が崩れそうになるが、マミは込める魔力を強め、なんとか耐えた。

 

「もういいぞ」

 

リボンの中からそう聞こえ、魔法を解除するマミ。

すると、彼女の目の前には最も会いたかった人物がいた。

 

「か、仮面、ライダー……」

 

マミに確信があるわけではなかった。しかし、直感的にそう感じた。

 

「これが風見志郎のもう一つの姿。仮面ライダーV3だ」

 

V3はそういって変身を解除した。

 

「これで納得してくれたか?」

 

「はい。まさか、仮面ライダーだったんて………」

 

マミはそこまで言って、涙が一滴溢れた。

 

「お、おい、どうした?」

 

突然の事に志郎が戸惑っていると、

 

「すみません、とても、嬉しかったものですから」

 

とマミが言った。

 

「そうか。それと、何で俺が君の家を知っているかだな。答えは簡単だ。君の制服にあった生徒手帳を拝借したにすぎん」

 

志郎はそう言って、脱ぎ捨てた上着からマミの生徒手帳を取り出した。

 

「直接返した方がいいと思ってな。最後に、俺がなぜあの場所にいたかだが、これは君もよく分かるんじゃないか?」

 

「はい」

 

風見志郎が仮面ライダーであるならば、あそこにいた理由はただ一つ。

魔女を狩っていた。

マミはそれを直感的に理解した。

 

「さて」

 

マミが納得したのを確認し、志郎が質問する。

 

「なんで君はあんなに傷だらけだったんだ?」

 

「それは………」

 

マミは廃工場までの道中に何があったのかを語り始めた。

 

 

 

 

〜2時間前〜

 

マミは廃工場へと急いでいた。

まどかからの連絡によれば、後3分ほどで着く場所だった。

 

「……………!?今、微かに魔女の気配が………」

 

それは、ほんの微弱だが、ソウルジェムが反応するほどハッキリしたものだった。

 

(どうしようかしら………)

 

まどか達のことは当然助けたい。しかし、ここで魔女を見逃すわけにはいかない。

 

(この感じだと、本格的に動くのはまだ先ね。先に鹿目さんの方に行きましょう)

 

マミはそう決め、廃工場への足を早めた、はずだった。

 

「…………おかしいわね」

 

何か異常を感じたのか、マミは立ち止まった。

 

「こんなに距離あったかしら?」

 

先ほどと比べ、明らかにスピードが遅くなっていた。

魔女の気配を感じたから2分ほど経つが、廃工場にはまだ距離があった。

 

(魔女の仕業とは思えないし、それともまたネクスト・デストロン?それにしては怪人が一向に出てこない)

 

「まさか………」

 

マミは一つの最悪の可能性を感じた。

 

「!?」

 

瞬間、高速で“何か”がマミに突っ込んできた。

マミは本能的にソウルジェムがある髪飾りを右手で覆い、上半身を仰け反らせた。

 

シャッ!

 

高速で空気を切る音がし、マミの右手の甲はパックリと割れた。

 

「くっ!!」

 

痛みのあまり、叫びそうになるが、唇を噛み締めてそれを抑え、マミは一旦その場を離れた。

 

「まさか、ね」

 

物陰に隠れたマミは、自身の手の甲を見て呟いた。

 

「今度の標的は私なんてね」

 

そこまで言った時、後ろに誰かが着地した音が聞こえた。マミは素早く後ろを振り向き、距離を取った。

 

「やっぱりベテランは一発じゃ死んではくれないかー」

 

そこには服の袖から複数の鉤爪を伸ばした魔法少女が立っていた。

髪は黒髪で短髪。燕尾服のような服装にタイトのミニスカート、右目側に眼帯という、他の魔法少女とは異質な姿で。

 

「貴女が魔法少女狩の犯人さんかしら?」

 

マミは余裕そうな表情を見せ、そう言った。

 

「んー、犯人といえば犯人だね。それにしても、君が初めてだよ。私の一撃を喰らっても生きてる奴なんて」

 

「あら?そうなの。それは嬉しいわね。それで、貴女の名前はなんて言うのかしら?魔法少女狩をしている目的も教えてくれると嬉しいんだけど」

 

「悪いけどそれは教えれないな。それに」

 

そこまで言って、犯人である少女は身を屈めた。

 

「恩人でもないし、これから死ぬ奴に教える義理なんて無いよ」

 

そう言って、再び猛スピードで突っ込んできた。

 

(狙う場所は分かってる。だったら………)

 

マミは前面にかなりの魔力を練り込んだリボンの結界を作った。

これだけ強力な物を作ればいくら速度が速くてもこれを突破する事は出来まい。

そう考えてのことだった。

しかし

 

「な!?」

 

マミの予想に反して、リボンの結界は引き裂かれ、その中から少女が躍り出てきた。

 

「残念、さよなら!」

 

その少女が鉤爪でマミのソウルジェムを砕こうとした。

 

「さよなら?それはどうかしらね?」

 

マミはフッと笑い、右手を軽く引いた。

 

「!?」

 

少女は何かに気付いたのか、超人的な動きで身体を反転させ、マミの体を蹴って後退した。

 

「ガハッ!!」

 

体内の酸素が強制的に吐き出され、マミは吹き飛ばされた。

10mほど先で壁に身体を打ち付け、ようやく止まった。

 

(この娘、スピードもそうだけど、パワーもかなりのものね。どうしようかしら………)

 

マミがそう思案していると、

 

「いやー、危なかったねー。あと少しで私もあの世行きだったよ」

 

と、少女がツカツカと歩み寄りながら言った。

 

「まさか自分のソウルジェムの手前にトラップを張るなんてね。私がそれに触れた瞬間、自動でマスケット銃が発射される仕組みだったんでしょ?」

 

「あら?よく分かったわね」

 

内心、そこまでバレていた事に多少の焦りを感じつつ、マミは肯定した。

結界を張った瞬間、マミは自身のソウルジェムにもごく微弱な結界を張った。

それは、その少女の言う通りの仕組みで、最悪でも道連れにしてこれ以上の被害を出さないようにしようと考えた事だった。

 

「でも、次は無いよ?」

 

「させると思って?」

 

マミは一際大きなマスケット銃を造った。

 

「お得意のティロ・フィナーレかい?残念だけど、私には効かないよ」

 

そう言って、少女は突撃した。

 

「ティロ・カッチャ!!」

 

技名を叫び、トリガーを弾くマミ。それと同時に巨大な弾丸が飛び出た。

 

(やっぱりね。でも、私の魔法を使えばこんなもの)

 

予想通りと思い、少女はニヤリとした。

 

ティロ・フィナーレとは違う技のようだけど、そんなに変わらないだろう。

 

そう高を括っていた。

が、突然予想外な事が起きた。

 

パァン!!

 

「なっ!?」

 

破裂する音と共に飛び出してきたのは百を優に超える小さな弾だった。

隙間なく放たれた弾に少女の姿は飲まれた。

 

「残念だったわね。ティロ・カッチャは散弾なのよ」

 

マミはその様子を見て、肩で息をしたがらそう言った。

 

「次は鹿目さんの所に行かないと」

 

そう言ってマミは跳躍しようとした。しかし、急に足に力が入らなくなり、その場にへたり込んだ。

 

「一気に魔力を使ったからかしらね。ティロ・カッチャはそこが辛いのよね」

 

そこでマミはグリーフシードを取り出し、自身のソウルジェムに当てた。

ソウルジェムからグリーフシードに濁りが移る。それと同時にソウルジェムが輝きを取り戻した。

しかし、それでもマミの体は傷を治すことができなかった。

 

「行かないと……」

 

マミはそう言って、重い足を引きずりながら廃工場へと向かった………。

 

 

 

 

 

「と、いうことなんです」

 

「なるほど、な。まさか魔法少女狩の犯人に遭遇するとはな。で、他に犯人に繋がるものはあったか?」

 

「いいえ、ありませんでした。その特徴だけしか。名前も名乗らなかったですし」

 

「そうか。犯人像は描けるか?」

 

「うろ覚えですけど………」

 

マミはそう言って紙とペンを取り出し、10分程度で描き上げた。

 

「やはり、な」

 

志郎はそれを見た時、そう呟いた。それは、志郎のよく知る人物だった。

 

「知ってるんですか?」

 

「多分な。だが、確信がない以上口には出せないが」

 

「そうですか………」

 

そこから沈黙が訪れる。志郎もマミも何も言わなかった。

 

「さて」

 

沈黙を破って志郎が立ち上がる。

 

「俺はお暇するよ。邪魔したな」

 

そう言ってマミの部屋から出て行こうとする志郎。

 

「あ、待ってください!」

 

それをマミは呼び止めた。

 

「ん?どうした?」

 

「あの、どこに住んでいるんですか?」

 

「そうだな、今の所は野宿か」

 

“野宿”。その言葉を聞いた瞬間、マミは意を決したようにこう言った。

 

「志郎さん、泊まるところがないなら、私の部屋に泊まっていきませんか?私は志郎さんの事を信頼してますし、志郎さんにとっても悪い話じゃないと思います」

 

「俺が、か?」

 

「はい」

 

「んー、そうだな」

 

志郎は悩んだ。確かにマミのところに滞在すれば泊まる場所には困らないだろう。しかし、現在志郎は警備員をしている。もし、マミと同居している事がバレようものなら問題へと発展し、最悪逮捕されかねない。さらに、BADANとの闘いの時、火事場泥棒が多発したことにより、地域の絆というものはかなり強いものとなっていた。そうなれば、通報される可能性もかなり高かった。

 

(メリットもあるが、デメリットもある、か)

 

志郎が悩んでいると、マミは

 

「私は志郎さんがいても構いませんけど………」

 

「そうは言ってもだな」

 

「ダメ、ですか?」

 

マミが上目遣いでねだる。

 

「!?」

 

『ねぇ、お兄ちゃん、遊ぼーよー』

 

志郎はその姿にかつての妹を重ねた。

 

「はぁ、分かったよ」

 

志郎は溜息を吐きながら承認した。

ここに、魔法少女と改造人間という、奇妙な二人組の同居生活が始まった。

 




第7話はあと3パートぐらいあるかもです。
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