魔法少女まどか☆マギカ クロスss/2つの風車と7つの宝石   作:がとーショコラ

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お久しぶりです!
第8話完結です!!


第7話 志郎、風見野に行く④

「マミ」

 

夕御飯を食べ終わった後、志郎が話しかけた。

 

「何ですか?」

 

「実はな、明日俺は風見野に行く。だから魔女退治はすまないがさやかと2人で行ってほしい」

 

“風見野”という単語を聞き、マミは一瞬顔をしかめた。

 

「どうした?」

 

その様子に気付き、志郎が聞く。

 

「い、いえ。何でもないです。分かりました。気をつけてくださいね」

 

「……………。ああ、ありがとう」

 

何かある。

志郎はそう感じながら聞くわけにもいかず、そのまま話を切り上げた。

 

 

 

 

それから数時間経った。マミは宿題と睨めっこをし、志郎は明日の弁当のおかずは仕込みをしていた。

 

「ふわぁ〜、志郎さん、おやすみなさい」

 

すると、宿題が終わったのか、マミは欠伸をしながらそう言った。

 

「ああ。おやすみ」

 

志郎は短くそう答え、鍋の中をかき混ぜ始めた。

マミはそれを見て、明日の弁当を楽しみにしながら寝室へと向かった。

 

「ふぅ。行ったか」

 

マミの後ろ姿を眺めながらそう呟いた。

志郎は残りの工程をさっさと済ませ、ソファに座った。

それは、神敬介と通信をするためだった。

マミが起きている時にしても良かったが、何か悟られては困ると考え、そうした。

 

『敬介』

 

志郎が通信を送ると、すぐに帰ってきた。

 

『遅くなってすまない。で、昼の続きだが』

 

『ああ、ソウルジェムの事なんですけど』

 

『ソウルジェムの成れの果てがグラーフシードって事だろ?』

 

『…………。さすがですね。もう気付いていましたか』

 

『魔女を倒したあの感じ、そして、魔法少女のシステムを考えれば合点がつく』

 

『ですよね。やっぱり』

 

『お前の所の、リィズだったか?その娘はもう知っているのか?』

 

『いえ、それが、今はそれどころじゃないんです』

 

『どういう事だ?』

 

『実は………!』

 

そこまで来て、敬介の通信は止まった。それと同時に、ある映像が流れ、全てのライダーに通信が繋がった。

それは、荒廃した街。ビルがなぎ倒され、道路は割れ、森は崩壊していた。

そんな中に、上空に浮かぶ1つの巨大な物体があった。映像が乱れているため、詳しくは分からないが、大きさは100mを超えていた。

 

『貴様が、ワルプルギスか』

 

そこへ聞こえる一人の男の話し声。

それをこの通信の発信者である村雨良ー仮面ライダーZX(ゼクロス)ーが発していることは明白だった。

 

『まさか街を一瞬で破壊するとはな』

 

彼の声は怒りに満ちていた。

 

『許さん、貴様、許さんぞ!!』

 

空気が震えるほどの激情が溢れる声で“ワルプルギスの夜”に突っ込んで行く。

しかし、それから流れる映像は目を伏せたくなるようなものだった。

電磁ナイフ、マイクロチェーン、衝撃吸収爆弾、虚像投影装置。

あらゆる武器を使ってもその魔女の身体には傷一つ付けることはできなかった。

それだけでなく、ワルプルギスの狂ったような笑い声と共に出される複数の触手にいいように痛ぶられるだけだった。

 

『く、クソッ………』

 

過去に習得した梅花の型を崩されたZXは片脚を失いながらも立ち上がり、跳躍した。しかし、限界が来ていたためか、10m程しか飛べなかった。

が、

 

『ヘルダイバー!!!』

 

ZXがそう叫ぶと後方から彼の愛車、ヘルダイバーが飛んで来た。

その座席部分を踏み台にし、さらに高く飛んだ。

 

『これが、俺の、最後の技だ………!』

 

ZXはそう言うと、ワルプルギスの夜に向かって手を大きく回転させた。

すると、そこに竜巻ができ、ZXは自身の体を回転させながら突っ込んだ。

 

『ZX穿孔キック!!』

 

技名を叫びながら必殺のキックを放つ。

それは過去に彼が必死の思いで得た技だった。

が、それはワルプルギスの夜のボディをほんのちょっと傷つけるだけで終わった。

それを怒ったのか、ワルプルギスの夜は先ほどの倍以上の触手を出し、ZXに叩きつけた。

 

 

通信はここで途切れた。

この映像が流れている時、ライダーは誰一人として言葉を発しなかった。

村雨からの電波はもう感じられない。生きているのか、死んでいるのか分からない状態だった。

想像以上の化物だ。

誰もがそう思っていた。

 

『まさか、村雨がやられるとはな』

 

なんとか絞り出したと言うふうに、本郷猛が言った。

 

『こりゃマジでやべーな』

 

それに答えるかのように城茂が言った。

 

『あそこまで強いなんて………」

 

予想外の強さに、沖一也が声を震わせながら言った。

 

『本郷先輩、奴の次の目的地を予測する手段は無いんですか?』

 

志郎が聞いた。

 

『無理だな。いや、分かるとしても台風が発生した時か』

 

『というと?』

 

『奴は台風と共に現れる。しかも突発的にな。しかし、その前触れは何も無い。簡単に言えば台風が急に来るまで誰も分からないと言うことだ』

 

『そんな…………』

 

仮面ライダー達の中にある種の絶望が生じる。

それは、誰もがあの魔女に負け、人々を守れないのでは、と言うものだった。

 

『いや、方法なら、一つだけあるぜ』

 

そんな時、一文字隼人がそう言った。

 

『何だ?それは?』

 

本郷が聞く。

 

『お前ら、村雨の戦い方見て何も思わなかったのか?』

 

瞬間、彼らは一つの戦術を思いついた。

 

『それしか、無いみたいですね』

 

筑波洋がそう言った。

仮面ライダー達は、その作戦を話し合った後、通信を切った。

その後、敬介に通信を入れたが、返事は無かったため、切った。

 

「そうだ、忘れてた」

 

そのまま身体を休めようとした志郎はある事を思い出し、ある男に通信を入れた。

 

『俺だ。今、時間は大丈夫か?』

 

『志郎、どうしたんだ?村雨の事か?』

 

『いや、実はな、お前に作って欲しいものがあるんだ』

 

そこから志郎はまどか達の事を話し始めた。

 

『……………と、いうわけだ』

 

『本気か?いくら何でも無茶だぞ?』

 

『無茶なのは分かっている。だが頼む』

 

『…………はぁ、分かったよ。作っておくよ』

 

『すまないな、結城』

 

魔法少女まどか☆マギカ クロスSS

2つの風車と7つの宝石

 

翌日。

朝、及び昼間には昨日と変わらず、何もなく、平和に過ごした。

そして、夕方。

さやかは病院にいた。

志郎がいない事をマミから聞き、 無理を言って修行兼魔女退治の時間を少し遅らせる許可を得た。

 

「ふぅ〜。なんか緊張するな〜」

 

病室の前で胸に手を当て深呼吸するさやか。

そして、よし、と覚悟を決め、病室に入った。

 

「恭介〜?さやかちゃんが来てやったぞーー!」

 

しかし、その声に反応する者はいなかった。

 

「あ、あり?き、恭介?」

 

室内を見回すが人影は無かった。

 

「おっかし〜な〜。どこに行ったんだろ?」

 

後ろから人影が近付いているのに、さやかはそれに気付かずそう呟いた。

 

 

 

 

風見野市内

志郎は杏子のいるホテルへと向かっていた。

確信はないが、昨日ほむらが風見野に行けと言ったのは、杏子の身に何か起こるからだと思ったからだった。

 

「よし、着いた」

 

GT750から降り、杏子の泊まっている部屋に向かう。

が、そこには杏子はいなかった。

 

「ゆまもいない。あいつら、どこ行った?」

 

(まさか…………!)

 

最悪の想定をしながら志郎はホテルの屋上へと向かった。

 

「よし、誰もいないな」

 

周りを見て、自分以外の人間がいない事を確認した志郎はV3ホッパーを掲げた。

 

「V3ホッパー!」

 

その声と共に空高くホッパーが打ち上がる。

志郎はそこから送られてくる映像の中に杏子とゆまを探した。

しかし、その姿は見つからなかった。

 

「まさか、いや、そんなはずは………!」

 

嫌な予感がし、志郎はホテル内に戻り、階段を駆け下りた。

 

 

 

 

「これで、どうだ!?」

 

「キョーコすっご〜い!」

 

風見野から数十キロ程離れた街の河原に、杏子とまゆはいた。

杏子は魚をお手製の罠を使って捕まえ、ゆまはそれを見て歓喜していた。

 

「いいか?ゆま。今は志郎が金出してくれてるけど、それもいつまでもつか分からねぇ。それに、あたしだっていつまでお前の面倒を見てやれるかも分からねぇ。だからこれから週に1回はこうして一人で生きてく為の方法を教えてくからな?」

 

「うん!分かった!!早くお魚食べよ!?」

 

「ハァ、本当に分かってんのかな」

 

取った魚を見て刺身にしようか焼き魚にしようか迷ってるゆまを見て、杏子は溜息を吐いた。

 

「今回は焼くか………」

 

杏子はそんな独り言と共に焼く準備を始めた。

表面が少しずつ焦げていくと、ほんのりといい匂いが辺りに漂い始めた。

 

「焼き魚、焼き魚〜♪」

 

その様子を見てゆまがくるくると回り、喜びを身体で表現する。

 

「ハイハイ、まだ時間かかるから待っててな」

 

「うん!」

 

それから暫くして、杏子製焼き魚が完成した。

ゆまと杏子はそれを美味しそうに頬張りながら談笑していた。

それは、とても幸せそうな風景だった。

2つの黒い瞳が、遠くから彼女達を監視している事を除いたら。

 

 

 

 

「美味しかったね〜!お魚!」

 

「ああ、そうだな。今度は刺身にして食うか?」

 

「うん!ゆま、お刺身も大好き!!」

 

「ハハハ、そうかそうか」

 

そんな会話をしていると、2人はホテルに着いた。

夜もかなり深くなっており、何度か警察に見つかり補導されかけたが、杏子とゆまはなんとか潜り抜けた。

 

「217の9号室の佐倉杏子ですけど」

 

ホテルの受付でそれを伝え、ルームキーを受け取った。

 

「あ、佐倉様、夕方にお客様がいらっしゃいました」

 

手元のメモ帳を見ながら、スタッフが志郎が来た事を伝えた。

 

「え、あ、ありがとう、ございます………」

 

それを聞き、驚きを隠せない杏子。

 

「そ、それじゃあ。ゆま、行くぞ」

 

動揺が隠しきれず、手足か一緒になりながら部屋に向かった。

 

「ねぇ、杏子、志郎が来たって本当?」

 

部屋に着き、開口一番にゆまが聞いた。

 

「ら、らしいな」

 

どもりながら答える杏子。

 

「嬉しそうだね、杏子」

 

ゆまがジト目でそう聞いて来た。

 

「へ?う、嬉しい!?このあたしが?な、何言ってんだよ」

 

「だって、杏子顔真っ赤でニヤニヤしてるよ」

 

「え?マジかよ!?」

 

そう言ってバスルームの鏡を見に行く。そして、

 

「ち、違う違う!これは、その、そんなんじゃない!!」

 

と、杏子はパニックになって頭を抱え、丸く座った。

 

 

 

 

「一応、隣町まで来たが、ここでもあいつらの姿は見えないな」

 

志郎はV3ホッパーをしまい、そう呟いた。

 

(入違いになった、って事はないよな?)

 

はぁ、という溜息と共に風見野へ戻ろうとした。

瞬間、志郎の頭に少女の声が響いた。

 

(風見志郎、警告するよ。これ以上この件に関わらない方がいい。もし、関わろうとすれば私達は君を殺さなければならない)

 

「ほう、誰だ?他人の頭に無断で通信を入れるなんて、いい度胸だな?」

 

(それで凄んだつもり?残念だけど君じゃ私達に勝てないよ?さっきも言ったけど、これは警告だ。敵となる可能性があると言っても君は一応私の恩人。殺したくはない)

 

「………。恩人。恩人、か」

 

キーワードとなり得る言葉を繰り返し呟く。

 

(あ、い、今のなし!無しだからね!!と、とにかく、これ以上魔法少女に関わるな!いいね!!)

 

そう言って、通信は一方的に切られた。

志郎は自分の過去の経験から、少女から“恩人”と言われた事は一度しか無かった。

 

「呉キリカ…………」

 

そうなれば美国織莉子もグルか………。

 

志郎は自身の中に燃えるものと、何か、悲しみに似た感情を覚えた。

 

「まさか、奴ら………」

 

不安を感じつつ、志郎は風見野へと向かった。

 

 

 

 

ホテルの室内で、杏子はゆまの寝顔を見ていた。

それは、今の自分の境遇を知らないかのような、無垢な表情だった。

 

「いつか、こいつも一人で生きていかないといけなくなる」

 

そう呟くと自然に、両手に力がこもった。

 

(いつか、あたしが死んだ時、こいつはどうするんだろうな。施設に行くのか?それとも、誰か親切な奴に拾ってもらうのか?)

 

それは無理だろう、と杏子は心の中で断言した。

ふと、ゆまの額に手を当てる。

そのまま前髪を搔き上げると、そこには根性焼きの跡が痛々しく残っていた。

 

(こいつは、実の母親に虐待されていた。だから簡単に人に心を開こうとしないし、近付こうともしない)

 

「あたしも、こいつほど酷くは無いけど、似たような経験はしたからな………」

 

そう、感傷に浸っていると、急に魔女が現れた感覚がした。

 

「チッ、空気の読めねー奴だな」

 

ソッとゆまの頭を撫で、杏子はホテルから飛び出した。

 

 

 

 

「ここか………」

 

廃ビルの壁に、結界が開いていたのを見つけた杏子は魔法少女へと変身し、結界の中へと突っ込んだ。

と、同時に、壺や落花生のような姿をした使い魔が襲って来た。

 

「悪いけど、今お前らに構ってる暇はないんだ、よ!!」

 

杏子はそう言い、気合を入れながら武器である槍の柄を持ち、一回転すると共に振り回した。

 

「1☆♪€+♪6,*2○〆」

 

声にならない叫び声を上げながら使い魔達は身体を切断され消滅した。

すると、結界内が一気に歪み、魔女が姿を現した。

 

ー魔女の名は『シズル』。性質は「趣」。彼女は悪戯心を抑えることが出来ない。一度彼女の罠にはまってしまったら抜け出す事は困難だろう。そして、惨たらしく殺される未来がまっているだろうー

 

シズルは大きな骸骨のような頭に長い髪。そして、そこから手足のようなものがある、という姿をしていた。

 

「こんなふざけた奴が相手だってのか」

 

若干イラつきながら杏子は槍を構える。

瞬間、背筋に寒気が走った。

 

(なんだ、この感じ……。嫌な、予感がする)

 

杏子は硬直した。

 

「欄、蘭、乱、ラン、藍♪」

 

そんな杏子の様子を見てか、シズルは余裕そうに歩み寄った。

 

「ッチ、なめんじゃねぇ!」

 

それが杏子の逆鱗に触れたのか、シズルに向かって真っ直ぐに走り、頭蓋骨に向けて力一杯唐竹割をした。

 

「魏griィィィいいいいゐ鋳ィィ!」

 

悲鳴を上げながら割れた頭蓋骨から血のような赤黒い液体を噴出し、シズルは悶えた。

 

 

 

 

「んっ………」

 

寝室で、ゆまは目を覚ました。

ふと、隣にいたはずの杏子がいない事に気付く。

 

「キョーコどこ?どこいっちゃったの?」

 

ベッドから降り、キョロキョロと辺りを見回す。しかし、杏子はいなかった。

直後、ふわ、と柔らかい感覚がゆまを包んだ。

それは綺麗な白髪の長髪が特徴的な少女だった。

 

「佐倉杏子。彼女はまだ現世にいるのかしら。それとも最早死神は彼女を連れ去って仕舞ったのかしら?」

 

背後から諭すように、優しく彼女が囁いた。

 

「しにがみ………?」

 

ゆまは、その単語を繰り返し呟いた。

 

「死…。キョーコ、が?」

 

ゆまの頭の中には先日の事が思い出された。

母親だったものが急に動かない肉塊になった事を。

もし、杏子がそのようになってしまったら………。

 

「キョ、ウ、コ、死…ん…じゃ…う……の?」

 

ゆまは譫言のように繰り返しながら顔を青くし、うずくまった。

その様子を見て少女はニコ、と微笑んで答えた。

 

「彼女は魔女と戦って、そして死ぬ運命」

 

「あ、あ、い、いや………」

 

「貴女に運命の輪を回せるのかしら?」

 

少女はそう言ってゆまに近付き、ポツリと呟いた。

 

「かわいいだけの役立たずさん」

 

ピシッ………

 

それを聞いた瞬間、ゆまの中で何かが弾けた。

 

 

 

 

「げ偽ッ」

 

シズルは悶えながら逃げようとした。

 

「逃すわけ、ねぇーだろ!」

 

杏子は背後から高く跳躍し、割れた頭蓋骨目掛けて袈裟斬りした。

 

「これで、終わりだ!!」

 

ドバッと血を出し、シズルは倒れグリーフシードを落とした。

 

「あっさり終わったな。あのやな感じは気のせいか」

 

グリーフシードを拾いながら杏子は呟いた。

 

「ふわぁーあ、もう一眠りするかな」

 

そう言い、杏子は大きく伸びた。

いつもはこれで終わりだった。

終わりのはずだった。

 

パリン………

 

「ん?」

 

何かが割れるような音が手の中でし、杏子は確認した。

 

「な!?」

 

手の中を見て、杏子は驚いた。

そこには大きく『はずれ』と書かれた紙があった。

再び結界が歪み始める。

 

「これは、割れたのは外っ側だけってことか」

 

冷静にそう分析し、シズルの出方を伺う。

すると、背後から落花生の殻の形をした使い魔が押し寄せてきた。

 

「くっ、ちまちまとうざい奴だな!」

 

使い魔をなぎ払い一息つくと、上に“何か”いることに気付いた。

それは、頭蓋骨の目の部分から触手の様な太く長い物を出しているシズルだった。

その触手の先端には大きな口があった。

 

「尾ッほ頬ォー、肺ホー、蘭、乱、覧♫」

 

それは楽しそうに唄を歌っていた。

そして、数百の使い魔と共に杏子に襲いかかった。

 

「こんなんで、やられるとでも、思ったのか、よ!」

 

杏子はそう声を張り上げ、槍の太刀打ちの部分を離し、鎖状にして振り回した。

それにやられ、使い魔は全て消滅し、シズルも致命的なダメージを受けた。

 

「あたしの武器に合わせて攻撃したんだろうけど、範囲攻撃できる武器もあるってことさ。あんた、甘く見過ぎだよ」

 

杏子はそう言い、まだ反撃を試みるシズルの元へと向かった。

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁっ」

 

ゆまは、杏子を探して走っていた。

このままでは杏子が死んでしまう。

そんな恐怖がゆまの身体を支配していた。

 

「やあ、どこに行くんだい?」

 

そんな彼女に無機質な声をかける者が一人。それはQBだった。

 

「あのね、キュウベー、杏子が、杏子が!杏子が死んじゃうかもしれないの!どうしよう!!」

 

「残念だけど、僕の力ではどうにもできないよ」

 

「そんな………!」

 

「でも」

 

絶望しかけたゆまに、QBは言った。

 

「千歳ゆま、君には魔法少女の才能がある。僕には無理だけど、君にはできるかもしれない」

 

「ゆ、ゆまが?」

 

「そうだよ。千歳ゆま。君にはその資格があるんだからね」

 

QBはゆまに近付き、囁いた。

 

「君は、どんな願いでソウルジェムを輝かせるんだい?」

 

「ゆまは、ゆまは………!」

 

 

 

 

「ヒ魏ぎぎ、うぐ虞」

 

シズルは杏子にやられ、身体中から血を流していた。

 

「こんなにてこずったのは久しぶりだね。褒めてやるよ」

 

そう言って杏子はシズルに留めを刺そうとした。

が、次の瞬間、シズルは大量の血を操り始めた。

 

「目くらましか?しゃらくさいな」

 

それをものともせず、杏子は突っ込んだ。

が、

 

「なっ!」

 

その血が杏子はの四肢に巻き付いてきた。

そして、それらは強い刺激臭を放ち始め、杏子の手足を切断した。

 

(なっ、なん、だと………!)

 

突然の事に驚きを隠せない杏子。

シズルはそんな彼女目掛けて大きな口でかぶりつこうとした。

 

(まいったな。これ、死ぬじゃん……。しけた人生だったなぁ…)

 

諦めの感情が身体を支配して行くのが分かった。

やりたい事はやったし、悔いは無かった。

しかし、唯一気掛かりなことがあった。

 

(ゆまの奴、一人で生きていけるかなぁ……)

 

そんな事を考えながら、杏子は目を瞑った。

が、覚悟した瞬間はいつまで経っても訪れなかった。

 

「あ、あれ?」

 

杏子はゆっくりと目を開けた。

そこには、遠くに飛ばされたシズルの身体と、見知った異形が一つ。

 

「し、志郎………?」

 

「遅くなったな、杏子。大丈夫だ。お前達を死なせはしない。絶対にな」

 

そこには仮面ライダーV3が立っていた。

V3は杏子を一瞥し、シズルを睨みつけた。

 

「さて、こいつ。中々厄介な敵だな。見た所、かなり深い部分に“コア”がある。それを破壊しない限りは倒せないだろうな」

 

マトリックスアイでシズルの中身をみながらV3は呟いた。

 

「それに、外側はかなり頑丈で簡単には破壊できないということか」

 

V3は身構え、空高く跳躍した。

 

(あまり性能に頼った戦い方はしたくないが、今回は仕方ない)

 

そう思いながら反転し、蹴りの構えを取る。

それをシズルの頭蓋骨に当てると同時にその衝撃で再び空に舞った。

 

「V3ィィィィ、反転、キック!!」

 

必殺技を言いながら強力な蹴りを入れる。

だが、それでも頭蓋骨にヒビができただけで、コアには到達していなかった。

 

「まだだ!!」

 

V3はもう一度高く飛び、26の秘密の1つ、レッドボーンパワーを発動させた。これにより、V3は強力な力を発揮できる。

 

「V3ィィィィスクリューキック!!!」

 

今度は身体を高速回転させながら蹴りを入れた。

26の秘密を2つ同時に使う事で相当な破壊力を得た技に、シズルの外装は耐えきれず粉砕した。

その中に光る黒い球を見つけたV3はそれを取った。

 

「これがコアか」

 

そう呟き、マジマジと見つめる。

 

「…………………。すまん」

 

小さな声でそう言い、V3はそれを握りつぶした。

 

 

 

 

 

 

つづく




シズルを倒し、杏子のピンチを救ったV3。
傷付いた杏子を治してもらうためにさやかの元へ向かう。
次回「思いと想いの衝突」
御期待ください。
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