魔法少女まどか☆マギカ クロスss/2つの風車と7つの宝石   作:がとーショコラ

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スランプに陥ってあまり思うような文章が書けなかった……。

あと、今回は久々に1話(?)完結です。
というのも理由がありまして。

今までのものは簡単に言うと「V3と魔法少女の出会いの章」を描いたものでした。
なので、今回から新章「魔法少女の真実、美樹さやか・崩壊の章」という位置付けになっているわけで、今回のはそのプロローグ的な話にしようと思い、少し短めにしました。

では、新章、お楽しみください!


第8話 思いと想いの衝突

「ゆまは、ゆまは……!」

 

ゆまは必死に自分の願いを言おうとしていた。

自分は役立たずではないという事を証明するために。

しかし、どうしても言葉が詰まってしまっていた。

 

「ゆま、は………!!」

 

目の涙を浮かべながらも言葉を紡ごうとするゆま。しかし、出来なかった。

 

「君の願いはないのかい?」

 

呆れたとでもいうようにQBが聞いた。

 

「ち、違う!ゆまは、ゆまはキョーコを!」

 

助けたい。

そのワードが出かかったとき、背後から誰かが彼女の頭に手を置いた。

 

「え?」

 

ゆまが背後を見ると、そこにはよく知る人物がいた。

 

「シロー!!」

 

「何とか間に合ったか?ゆま」

 

「あのね、あのね、シロー!ゆまは」

 

「分かっている。杏子のために魔法少女になろうとしたんだろ?」

 

「うん。だって、だってゆまは役立たずなんかじゃないって」

 

「お前は役立たずじゃないさ」

 

ゆまの不安を取り除くかのように志郎は言った。

 

「いいか、ゆま。誰に言われたか知らんが、お前は今杏子の為に動いてるんだろ?」

 

「うん」

 

「実はな、杏子が戦ってるのはこの近くなんだ」

 

「ホント!?」

 

「ああ」

 

実際、ゆまのいる場所は魔女の結界から非常に近かった。志郎はV3ホッパーを飛ばした時、いくつかの羽化しかかってるグリーフシードを見つけ、その進行具合により倒す優先度を決めていた。

今ゆまがいる場所がまさに志郎が今夜辺りに倒そうと思っていた魔女のグリーフシードがある場所の近くだった。

 

「お前がもし全く別の方向にいたら杏子を助けるのは不可能だったかもしれない。でもお前はここにいる。その意味が分かるな?」

 

「うん!」

 

「杏子は俺に任せてお前はもうホテルに帰りな。安心しろ。必ず助けてやる」

 

「ぜったい?」

 

「ああ、約束する」

 

ゆまはそれを聞いて満面の笑みを浮かべ、分かったと頷いた。

そして、QBに魔法少女になる事を断ろうとした。

が、そこにQBはもういなかった。

 

「あれ?キュウべぇ?」

 

「きっと俺が来たから帰ったんだろう。ゆまが魔法少女になる必要はないって思ったんだろうな」

 

それは半分事実で半分嘘だった。

 

「分かった。じゃあね、シロー。キョーコを、キョーコをお願いね!!」

 

ゆまはそう言うとホテルに向かって走って帰っていった。

それを見送った志郎は魔女の結界の目の前まで行った。

その結界は獲物を待つ食虫植物のよつに大きな口を開けていた。

 

「さて、行くか」

 

志郎は覚悟を決め、構えを取った。

 

「変身、V3!!」

 

魔法少女まどか☆マギカ クラスSS

7つの宝石と2つの風車

 

シズルを倒し、結界が崩れていった。杏子とV3は廃ビルの中に出た。

 

「杏子、大丈夫か?」

 

V3が変身を解除しながら聞く。

 

「これ、が、大丈夫に、見え、るか?」

 

杏子は息も絶え絶えになりながら答えた。

 

「取れた部分をくっつければなおるか?」

 

「応急処置程度はな。ただ、完全に治すとなるとキツイかな」

 

「そうか」

 

志郎はある事を考えながら杏子の手足を傷跡にくっつけた。

 

「んっ………!」

 

杏子が力を入れると結合部から煙が出て仮止めされた。

 

「すごいな」

 

それを見て志郎が素直に思った事を言った。

 

「まあ、あたしも魔法少女だからこんぐらいはな」

 

杏子はフラフラしながら立ち上がった。

 

「おい、ちょっと待て」

 

志郎はそう言い、杏子のソウルジェムにシズルのグリーフシードを当てた。

穢れが相当溜まっていたのか、ソウルジェムからどんどん汚れが出てくる。

10秒ほどして、杏子のソウルジェムは赤く輝き始めた。

 

「これでよし、と」

 

志郎はグリーフシードをポケットにしまった。

 

「じゃあ、あたしはこれで」

 

杏子はそう言って、不自然な歩き方で帰ろうとした。

 

「ちょっと待て」

 

志郎がそれを止める。

 

「今度は何?」

 

「まだ完全には治ってないんだろ?少し付き合え。治せる奴の所に連れてく」

 

「は?何でそんな事しなきゃならんのさ」

 

杏子は不快感を露わにしながら聞いた。

 

「いいから付き合え」

 

志郎はそう言うと杏子に近付き、抱き抱えた。

それは、所謂お姫様抱っこという態勢だった。

 

「な!?は、離せ!!この野郎!!!」

 

杏子は顔を真っ赤にしながら抗議した。

 

「まあ、落ち着け。死にはしないだろうから」

 

志郎が何とか諭しながらそのままビルの外まで出た。

そして、GT750の後部座席部分に杏子を乗せた。

 

「これを付けておけ」

 

志郎はヘルメットを取り出し、杏子の頭に付けた。その頃には杏子はすっかり大人しくなっていた。

 

「よし、行くか」

 

志郎は座席に乗り、エンジンを掛けた。

すると杏子がスッと志郎の腰に手を回して来た。

 

「杏子?」

 

「か、勘違いすんなよ。運転中に落ちたら危ないだろ」

 

恥ずかしそうに言う杏子に、志郎はフッと笑いながらバイクを走らせ始めた。

 

 

 

 

「ハァ〜」

 

本日、何度目か分からない溜息をさかやはついた。

 

「まさか恭介があそこまで治ってるとはねー」

 

そんなことをぶつぶつ言いながら病院で起こった事を思い出す。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

誰もいなかった病室。

今日はリハビリでいないのか………。

そう思い帰ろうとした時、背後に巨漢がいることに気付いた。

 

「!?」

 

さやかは危険を察知し、距離をとった。

 

「うわ!びっくりした、さやかちゃんか」

 

その男は素っ頓狂な声を上げ、目を丸くした。

 

「え、恭介のお父さん!?」

 

さやかも驚きながら答えた。

 

「す、すみません……」

 

さやかは自身の行なった非礼を謝った。

 

「いいよ、気にしないで」

 

「そうだ、恭介知りませんか?」

 

「ああ、ちょうどさやかちゃんが見えたからそれを伝えにきたんだ」

 

彼はそう言い、深く深呼吸をした。

 

「実はね、恭介、治ったんだ」

 

「な、治った………」

 

「何故かは分からないけど、今朝にはもう動けるようになったんだ」

 

「そ、そうなんですか」

 

「それでね、恭介の奴、さやかちゃんにお礼がしたいって言って屋上にいるんだ」

 

「屋上?」

 

「ああ。治った腕でヴァイオリンを聞かせたいのはさやかちゃんだって言ってたからね。調子を戻すために練習してるんだ」

 

「………………。分かり、ました」

 

さやかはそう言い、恭介の父親にお辞儀をしてその場を去った。

本当なら屋上に行って恭介のヴァイオリンを聞きたいと思ったが彼が練習しているという事はベストな状態で聞かせたいという意図よるものだと言う考えがあったからだ。

しかし、病院から出た時にふと、美しい音色が聞こえてきた。

それが恭介のものだと思い付くのに苦労はせず、さやかは満面の笑みと共に楽しみを胸に閉まって、マミの家へと向かった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「やっぱ私のおかげ、なのかなぁ……?」

 

そう言い、もう一度溜息を吐く。

心には淡い期待があった。

それ以降、ずっとその調子だった為、魔女退治において失態を犯しやられかけた。

その時はマミがフォローに入ったお陰で事なきを得たが、さやかは全く気にしていなかった。

 

「何だかなぁ………」

 

そう」呟き再び溜息を吐こうとすると、頭の中に音声が入ってきた。

 

(さやか、ちょっといいか?)

 

それは志郎のものだった。

 

(あれ?どったの?)

 

(一つ聞きたいんだが、お前の回復魔法は他人にも使えるのか?)

 

(え?使えるけど?)

 

(治して欲しい奴がいるんだがいいか?)

 

(え、あ、うん。別にいいけど)

 

さやかがそう答えると、志郎は場所を指定してきた。それは復興したばかりの繁華街の裏路地だった。

さやかは快諾すると親にバレないように外に出て、志郎が待っている場所へと向かった。

 

 

 

 

「志郎、お待たせ」

 

出発してから数十分後、さやかは志郎を見つけた。

 

「ああ、すまないな、迷惑かけて」

 

志郎がそう言うと、後ろで不貞腐れている杏子をさやかの前に出した。

 

「こいつの両手両足の結合を頼みたいんだが」

 

「え?両手両足の結合?」

 

予想以上の怪我にさやかは聞き返した。

 

「ああ。杏子っていってな、こいつも魔法少女で、魔女との闘いで傷を負ったんだ」

 

「あー、そうなんだ」

 

さやかは興味津々な様子で杏子の顔を覗いた。

 

「何だよ?」

 

杏子は不機嫌そうにさやかに言った。

 

「何って、どんな娘なのかなーって思って」

 

「あっそ」

 

「……………」

 

杏子の態度にさやかはムッとした。

しかし、同じ魔法少女である為放っておかないと思い手を両肩に乗せた。

するとその部分から青い光が出た。

 

「少し我慢してて。多分ちゃんと治るから」

 

さやかは意識を集中させ、力を込める。

それに比例するかのように光は強くなり、反比例するかのように指輪型になっているソウルジェムは黒く濁っていく。

 

「…………。ふぅ、終わった」

 

5分後、杏子の怪我を治療し終えたさやかが額を拭ってそう言った。

 

「治ったのか?」

 

志郎がそう聞くと、さやかは大きく頷いた。

 

「そうか」

 

志郎はそう言い、ポケットからグリーフシードを出した。

 

「これは礼だ。すまなかったな」

 

志郎はさやかのソウルジェムにグリーフシードを当て、濁りを吸い取った。

 

「おー、ありがとー!」

 

さやかは満面の笑みでそう返した。

そのやりとりを杏子は面白くなさそうに見ていた。

 

「さて、杏子、帰るぞ。ゆまが待っている」

 

志郎が一通りさやかと話し終え、杏子の方を向いて肩に手を置いた。

それは怪我がしっかりと治っているのかを確認すると共に、先ほどまで蚊帳の外においてしまった謝罪を含んでいた。

 

「…………ッチ」

 

杏子は舌打ちをし、乱暴に志郎の手を払った。

そしてさやかの目の前に行き、睨みつけた。

 

「な、何よ?」

 

さやかがたじろぎながら聞く。

 

「おい、おめー、他人のために願い事使ったのか?」

 

杏子が厳しい口調でそう聞く。

 

「え?そうだけど、それがどうしたの?」

 

と、さやかは聞き返した。

 

「……………………」

 

それを聞き、杏子はしばらく黙った。

そして、10秒ほどして口角を上げ、

 

「くっだんねー事に願い事使ったんだな」

 

と言った。

瞬間、さやかの顔が真っ赤になった。

 

「なんで、すって?」

 

「だから、くだらねー事に願い事使ったって言ったんだよ。1回しか使えねー願いを他人ために使うなんてよ」

 

「はぁ?あんた、何言って」

 

「こんなんじゃマミみたいになるかもな」

 

“マミ”の名前を聞き、驚いた表情をするさやか。

 

「あんた、マミさんの事知ってんの!?」

 

「あんなバカみたいな奴、忘れたくても忘れれねーよ」

 

「な、なんですって………!!」

 

さやかはどんどん顔が赤くなっていき、手に力が入る。

杏子はそれを見てさらに挑発した。

 

「そのなりだとテメー、魔女だけでなく使い魔も狩ってんだろ?」

 

「それが何よ!?」

 

「そんな無駄な事して何になんのかなー?」

 

「使い魔だって人を襲うんでしょ!?そんなの、放っておけないじゃん!」

 

「だからアホなんだよ。そんな半端な事してっとコロッといっちまうぞ?」

 

「杏子、幾ら何でも………」

 

流石に言い過ぎだと思ったのか、志郎がために入ろうとする。しかし、志郎が足を踏み出した直後、彼の周りに結界が張られた。

 

「!!お前………」

 

志郎は結界に触れ、何か悟ったのかそのまま大人しくなった。

 

「志郎はそこで大人しくしてな」

 

「あんた、志郎になんて事を!!」

 

さらかはさらに激昂する。

 

「てかさ、あんた、先輩に対する態度がなってないよねー?口の聞き方っての親に教わらなかったの?」

 

杏子がさらにバカにしたように言う。

 

「ふざけんじゃないわよ!!」

 

さやかはそう叫ぶと魔法少女に変身し、サーベルで杏子に斬りかかった。

 

「鈍いんだよ!!」

 

杏子はそれをヒラリと交わし、魔法少女へと変身し、さやかを蹴り飛ばした。

さやかの体は大きく宙を舞い、地面に背中から落下した。

 

「ほぇ〜、こりゃ弱いわ」

 

杏子が呆れたように言う。

 

「こんなもんで、やられると、思ってんの!」

 

さやかは一瞬で傷を治すと、弾丸のように杏子に突っ込んだ。

 

「おりゃぁぁぁぁぁ!!」

 

気合を入れながら袈裟斬りを仕掛けるさやか。

しかし、杏子は槍を召喚し、欠伸をしながらそれを受け止めた。

必然的に2人は鍔迫り合いのようなかたちになる。

 

「くっ…………!」

 

さやかは全体重をかけ、杏子を押そうとするが、杏子の力があまりにも強いのか、一歩も後退させる事が出来なかった。

 

「無闇矢鱈に押し付けたって勝てねーぞ!!」

 

杏子はそう言い、一瞬力を抜いた。

力の行き所を失ったさやかは前面に倒れかける。

が、杏子はその隙を見逃さず、鳩尾に膝蹴りを喰らわせた。

 

「カハッ………!」

 

体内の空気が無理やり吐き出され、さやかはその場に蹲った。

しかし、その目には諦めの色は見えず、依然杏子を睨んでいた。

 

「ッチ、諦めの悪りー奴だな。正直、鬱陶しいんだけど」

 

杏子がイラついた様子で言った。

 

「負ける、もんか。あんたみたいな、魔法少女の、ううん、人の風上にも置けないような奴に負けるもんか!」

 

さやかはそう言い、傷を再び修復し、突撃した。

 

「何度やっても同じなんだよ!!」

 

杏子は叫び、カウンターの構えを取る。

しかし、次の瞬間杏子が見たものは自分の予想を超えるものだった。

さやかがサーベルを真っ直ぐ投げてきたのだ。

 

「これでーーーー!!」

 

そう言いながら、さやかは走りながら杏子の視界を覆うようにマントを投げた。

 

「これが何だってんだよ!!」

 

杏子はうざったそうにそう言い、体を捻ってサーベルを避け、その勢いでマントを斬った。

 

これで視界が戻る。

 

そう思った次の瞬間、杏子は目を見開いた。

そこにさやかは居なかった。

予想だにしない出来事により、一瞬の焦りを見せる杏子。

しかし、すぐに冷静さを取り戻し上を見た。

そこにはサーベルを構えたさやかがいた。

 

「ヘッ、やっぱ上か!!」

 

杏子はさやかに向けて跳躍した。

 

「喰らえぇぇぇぇ!!」

 

「舐めんじゃねーーぞ!!」

 

互いに叫びながら斬り合った。

二人とも傷を負ったのか、互いに血が噴き出す。

 

「こんなもんで………」

 

「甘いんだよ…………」

 

傷跡を修復しながら杏子とさやかは見合った。

一瞬、静寂が周りを支配した。

次の瞬間、2人はかなりの速度で突進した。

 

「ハァァァァァァァ!!!」

 

「オラァァァァァァ!!!」

 

勝つにしろ負けるにしろこれで決まる。

そう思った時、予期せぬ抵抗力が二人の間に生じた。

 

「なっ!?」

 

「はっ!?」

 

驚きの声を上げるさやかと杏子。

その間にはV3がいた。

 

「お前ら、少しやりすぎだぞ」

 

諭すような、怒るような声でV3は言った。

 

「離してよ志郎!こいつは許せない!!」

 

さやかがそう叫び、サーベルを抜こうとするが、全く動かなかった。

 

「離してって、言ってるで…………!」

 

思い切り引き抜こうとしたさやかは、何か液体のような物が落ちる音が聞こえた。

サーベルの鍔を見ると、そこから赤い血が滴り落ちていて、それがサーベルを握ったV3の手から出ていることを知った。

よく見ると、杏子の槍にも同じように刃の部分を握り、そこから血が流れていた。

V3の白い手袋が徐々に赤く染まっていくのを見て、さやかは血の気が引いていくのが分かった。

 

「し、志郎、あんた、なんてことを………」

 

さやかは信じられないかのように言った。

 

「2人とも、変身を解除しろ。さもなくば、痛い目を見るぞ」

 

ゆっくりと言ったV3の言葉に、さやかと杏子はゾッとした。

それが冗談ではなく、本気で言っていることだと本能的に理解したからだ。

 

「わ、分かったよ」

 

「…………ッチ」

 

そう言いながら、2人は変身を解除した。

それを確認したV3も変身を解除する。

 

「さやか、すまないが今日は帰ってもらえないか?」

 

志郎がそう聞くと、さやかは素直に、うん、とだけ答えてその場を離れた。

さやかが視界から消えたのを見た後に、志郎は杏子を見た。

 

「な、なんだ、よ…………」

 

申し訳なさそうに杏子が言う。

 

パァァァン…………

 

周りに乾いた音が響いた。

痛みとヌルリとした感触に、杏子は自分が打たれたと気付くのに数秒かかった。

 

「俺の言いたいことは分かるな?」

 

「…………………」

 

杏子はショックなのか、反抗しているのか、押し黙る。

 

「分かるな?」

 

確認するようにもう一度聞く志郎。

 

「…………………うん」

 

杏子はそう答え、俯いた。

 

「なら、いい」

 

志郎はそう言い彼女の頭に手を置こうとした。

が、まだ自分の手の傷が塞がっていない事に気付き、自身の頭をかく動作をして誤魔化した。

 

「帰るぞ」

 

志郎はそう言い、歩き出す。

 

「うん………」

 

杏子はただそれだけ言って志郎の後ろを追いかけた。

 

 

 

 

某所

 

「新たに魔法少女になった美樹さやかの交友関係を纏めました」

 

ダイナ・ギア・ザウルスが手に持った資料をΣに見せる。

 

「ほう。これはこれは」

 

それを興味深そうに眺め、Σはある事を思い付いた。

 

「ダイナ・ギア・ザウルス、我の言わんとしている事は分かるな?」

 

「もちろんです。あやつ、“Incubator”が何か隠している事は明白ですから」

 

それを聞いたΣは、クククと首を鳴らした。

 

「楽しそうですね」

 

「当然だ。人間を使った実験は久々だからな。確か、Gとどちらが優秀な合成生物を作れるか競ったんだったか?まあ、私が負けた事は無かったがな」

 

闇の中で蠢く悪の影は、日に日に魔法少女と仮面ライダーV3に迫っていた。

 

つづく




美樹さやかは納得いかなかった。
自分は正義のために闘っているのに何故杏子に勝てないのか。
何故志郎やマミのように強くないのか。
そんな時、志筑仁美が言った言葉が更にさやかを混乱させる。
次回、「魔法少女の真実」ご期待ください。
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