魔法少女まどか☆マギカ クロスss/2つの風車と7つの宝石   作:がとーショコラ

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早めの投稿です。
人物関係がここから大きく動きます。
さやかちゃん好きな方には辛い展開がしばらく続くと思います。

それでは、お楽しみください


第9話 魔法少女の真実 ①

「ねぇ、まどか。まどかは私の親友だよね?」

 

ふと、さやかちゃんがそんな事を口走る。

当然だよ、と私が返すと、さやかちゃんはニッコリと笑いました。

 

「じゃあさ、私の頼み、一つだけ聞いてくれる?」

 

さやかちゃんが縋るような目で私を見てきました。

さやかちゃんはショックな事が続いていたので誰かに頼らないと、このままでは心が壊れてしまう。

そう思った私は最大限の笑顔で、うん、と頷きました。

するとさやかちゃんは輝くような笑顔でこう言ったのです。

 

「じゃあさ、私の為に死んで」

 

魔法少女まどか☆マギカ クロスSS

2つの風車と7つの宝石

『魔法少女の真実、美樹さやか崩壊の章』

 

家に着いたさやかは悩んでいた。

何故人のため、正義のために戦っている自分が人の道を外れたような奴に負けるのか。

何故志郎やマミのように強くないのか。

杏子との戦いの時、閃いた戦い方をしたが、それもいとも容易く破られてしまった。

 

「あんな奴に負けちゃダメなのに…………」

 

ボソッとさやかがそう呟くと、

 

『何かあったのかい?』

 

と、聞いたことのある声が頭の中に響いた。

 

「え?」

 

さやかが周りを見回すと、ベッドの上にQBがちょこんと座っているのが見えた。

 

「QB!?あ、あんた死んだんじゃないの!?」

 

『僕は無事だよ。それよりもさやか。君は更なる力が欲しいのかい?』

 

QBが赤い瞳にさやかを映しながら聞いた。

 

「え?うん。そうだけど………」

 

『それは何故だい?』

 

QBがそう聞くと、さやかは先ほど起こった杏子とのイザコザについて話した。

 

「………ということ」

 

『なるほどね。確かに杏子は強力な魔法少女だ。魔力の量も才能もさやかより遥かに高い』

 

「うぅ………。それって不公平じゃない?」

 

ショックを受けつつ、思った事を聞くさやか。

 

『仕方ないよ。魔法少女としての強さは個人差があるんだから』

 

慰めるような事をせず、キッパリと言うQB。

 

「じゃあ、どんな事してもあいつには勝てないの?」

 

『いや、方法はあるよ。確実じゃないけどね』

 

「本当!?」

 

それを聞き、QBの元へと飛びつくさやか。

そのままQBの顔を掴んで伸ばしながらどうするのか聞いた。

 

『簡単なことさ』

 

ジタバタして何とかさやかの手から逃れたQBは、ゆっくりと告げた。

 

『君が二重契約すればいいのさ』

 

 

 

 

ホテルに着いた志郎と杏子はホテルマンに見つからないようにコッソリと部屋へと向かった。

 

「あっ!!シロー!キョーコ!」

 

部屋に入った瞬間、そんな声とともにゆまがベッドから飛び出した。

 

「ゆま、お前起きてたのかよ」

 

杏子が呆れつつ頭を撫でながらそう言うと、ゆまは元気よく、うん、と答えた。

 

「シローがキョーコを連れて帰るって言ったから、ゆまちゃんと待ってたんだよ!えらいでしょ!?」

 

「ハイハイ。えらいえらい」

 

胸を張るゆまに杏子は溜息を吐きつつ答える。

 

「むー!キョーコほんとに思ってない!」

 

そんな杏子の態度が不満だったのか、ゆまは頬を膨らませ抗議の声を上げた。

 

「そんな事より、ゆま。一つ聞いていいか?」

 

二人の様子を見ていた志郎が話し始める。

 

「なに?シロー?」

 

「お前、誰かに役立たずって言われたのか?」

 

一瞬で空気が凍りつく。

杏子は志郎が何を言っているのか分からないというふうに、彼の顔を見つめた。

 

「オリコがゆったの!」

 

ゆまがその空気を緩和するような明るい声で答えた。

 

「………………そうか」

 

志郎はそれだけ言ってゆまの頭を撫でた。

 

「ち、ちょっと待てよ志郎、どういう事だよ?」

 

そこに杏子がって入る。

 

「俺が説明するよりもゆま自身が話した方がいいな」

 

志郎がそう答えると、ゆまは笑顔で話し始めた。

それを聞き終えた杏子の顔には言いようもない怒りの色があった。

 

「織莉子、か」

 

ただそれだけを発して、杏子はゆまを抱き抱えベットに潜った。

 

「??何している?」

 

その意図が分からないというふうに志郎が聞くと、杏子はだるそうに

 

「あたしらはもう寝るから、志郎は出てって」

 

と言った。

 

「おいおい、この部屋の本来の借主は俺なんだがな」

 

志郎は小さな声でそう呟くと、部屋を出た。

ドアが閉まる音を聞き、杏子はゆまの頭を強く抱いた。

 

「キョーコ?痛いよ?」

 

「ん、ああ、すまんすまん」

 

杏子がパッとゆまを離すと、今度はゆまが抱きついて来た。

 

「お、おい、ゆま?」

 

「キョーコとギューてしながら寝たいの」

 

ゆまは上目遣いでそう告げると、胸部に顔を埋めた。

 

「はぁ、しゃーないな」

 

杏子はそれを受け入れ、ゆまの頭を撫でながら目を瞑った。

 

(織莉子。この落とし前は付けさせてもらうからな)

 

憤怒を胸に抱えながら。

 

 

 

 

次の日の朝

マミは一人でに目が覚めた。

志郎の気配がせず、少々早足でリビングへと向かった。

予想通り、志郎はまだおらず、マミは溜息を吐いた。

 

「まだ帰ってないのかしら?」

 

そんな事を言いながら朝食の準備を始める。

メニューは焼いた食パンにバターを塗って砂糖をかけた簡単な物だったが、今のマミには十分な量だった。

それは、昨日のさやかの戦い方に不安があり、食欲が湧かなかったからだ。

 

(美樹さん、大丈夫かしら………?)

 

その時は偶々マミが上手くフォローに回れた為に大事には至らなかったが、これからはそういうわけにはいかなくなる。

 

(志郎さんがいれば良かったんだけど)

 

そう思いながら残ったパンを口に放り込む。

 

(いない人の事を考えても仕方ないわね。美樹さんは今日私から一言言っておきましょう)

 

マミは両手を合わせた後立ち上がり、準備を済ませ学校へ向かった。

が、

 

「今日は土曜日だったわ」

 

そう言いながらすぐに戻ってきた。

 

 

 

 

志郎は杏子達と別れた後、ある人物の元へと向かっていた。

風見野から5,6時間ほどかかり、着いたのが早朝だったため、会えるかという不安があったが、バイク修理店の前で元気にラジオ体操をしている姿が見え、ホッとした。

 

「おやっさん!」

 

志郎がGT750から降り、声をかける。

その人物は、彼ら仮面ライダーの父と言っても過言ではない、立花藤兵衛だった。

 

「ん、お前は………志郎か!?」

 

声をかけたのが志郎だと分かると、藤兵衛はラジオ体操を止め、非常に嬉しそうな顔をしながら店内へと入っていった。

 

「お前も来い!久々なんだ。ゆっくりしてけ!」

 

手招きをしながらそう言う藤兵衛に、志郎は深刻な顔をしながら

 

「ええ、少しお邪魔します」

 

と答えた。

その様子に気付いたのか、藤兵衛は急に真面目な顔になり、どうした、と聞いた。

 

「実はですね、おやっさん。話しておきたいことが」

 

志郎は、ネクスト・デストロンが行動を始めたこと、今自分たちは魔法少女と共に戦っていることと、魔女という存在。そして、ワルプルギスの夜と、それと戦って敗れたZXの事を話した。

 

「そうか………」

 

藤兵衛は影を落としながら呟いた。

 

「お前達は、また戦うのか…………」

 

「ええ…………」

 

「BADANも滅んだ。悪の組織はもういないとばかり思っていたのに…………」

 

「……………………」

 

「それに、その魔法少女とかいう女の子達まで…………」

 

「あの娘達を死なせない為に、そして人々を守る為に戦ってるんです」

 

「分かっている。分かってはいるんだが…………」

 

そう項垂れながら言う藤兵衛の目尻には涙があった。

 

「それで、一つ。おやっさんにお願いしたい事があるんですが」

 

志郎が申し訳なさそうにそう言うと、藤兵衛は目を吹き、顔を上げた。

 

「なんだ!?オレにできる事があったら何でも言ってくれ!!」

 

藤兵衛が身を乗り出して志郎に言った。

 

「ええ、おやっさんには………………」

 

 

 

 

志郎に頼まれた藤兵衛は緑川るり子へと連絡し、船を手配した。

 

「え〜と、最初の目的地は中国だな。よし、行くか」

 

藤兵衛はサングラスをかけ、キセルをふかしながらあの男の場所へと向かった。

 

「待ってろ良、今行くからな〜!」

 

 

 

 

昼。

マミは一人で昼食を摂っていた。

志郎の帰りをずっと待っていたが、結局午前中は帰って来ず寂しい思いをしながら過ごしていた。

 

(何かあったのかしら?)

 

不安になりながらチラリと窓を見る。

それは、まるで彼女の心を表すかのような曇天だった。

が、次の瞬間インターホンが鳴った。

 

「あら?誰かしら?」

 

マミがカメラを確認すると、そこには志郎が写っていた。

 

「志郎さん!?」

 

喜びのあまり、急いで玄関へと向かうマミ。

ドアを思いっきり開けると、そこにはやはり志郎が立っていた。

 

「お、おう。マミ、ただいま。遅くなってすまないな」

 

マミの様子に驚きながらも志郎は謝った。

 

「い、いえ。私も、その、すみません」

 

マミも興奮が収まったのか、顔を赤らめながら謝り返した。

 

「ここじゃなんだ。上がらせてもらうぞ?」

 

「あ、はい!ど、どうぞ」

 

二人は室内に戻り、向かい合って座った。

 

「実はですね」

 

「少しいいか」

 

マミと志郎は同時に切り出した。

すると、志郎が咳払いをして、マミに先に言うように譲った。

 

「ありがとうございます。その、美樹さんの事なんですけど」

 

「マミもあいつの事で気になることがあるのか?」

 

「え?」

 

「昨日さやかに会ったんだか」

 

そこから志郎は夜起こった事を話し始めた。

 

「杏子って魔法少女と関係を持ってるんだが」

 

が、志郎がそう言った時、マミが急に立ち上がった。

 

「佐倉さんと知り合い、なんですか?」

 

「ああ。そうだが?」

 

志郎は頭に?マークを浮かべたが、すぐに杏子の言っていた事を思い出す。

 

「そうか、知り合いだったのか」

 

「ええ………。腐れ縁みたいなものですが」

 

「そうか。で、話の続きだが」

 

「はい」

 

「すまない。結局俺から話すことになってしまって」

 

「いえ、気にしないでください」

 

そこからマミは大人しく聞いていた。

全てを話し終えた時、マミは複雑な表情をしていた。

 

「佐倉さんと美樹さんが………」

 

「あいつの煽りにも酷いものがあったからな。その辺はちゃんと反省するように説教はしたが」

 

「え?あの佐倉さんに説教を、ですか?」

 

「ああ、そうだが?」

 

マミは志郎の話が信じられないというふうに目を見開いた。

 

「そんなに変か?」

 

「い、いえ。すみません」

 

「ああ、まあ、いいが」

 

「で、私の話しなんですが」

 

そこからはマミがさやかの戦闘について話し始めた。

 

「さやかの奴、浮かれてやがるな…………」

 

志郎が溜息を吐きながらそう言った。

 

「はい。多分、上条君が治ったのがよっぽど嬉しかったんでしょうね」

 

「こればっかりはあいつの問題だからな……………」

 

「どういう事ですか?」

 

マミは思った言葉とは違うものが出てきたため聞いた。

 

「いくら俺らが何か言ってもあいつには意味がない、という事だ。そういう奴はいくら言っても無駄だ。自分で気付く以外に方法はない」

 

「そう、なんですか…………」

 

「ああ」

 

志郎はそう言い、溜息をもう一度吐くと立ち上がり紅茶を入れる為にキッチンへと向かおうとした。

しかし、急に通信が入ってきたため、立ち止まり耳に手を当てた。

 

(誰だ?)

 

(風見志郎、私よ)

 

(暁美ほむら、か。どうした?)

 

(少し時間あるかしら?)

 

(ああ)

 

(少し付き合ってもらえるかしら?)

 

(今すぐか?)

 

(当然よ)

 

志郎はそれを聞くと一旦通信を無理矢理切った。

そして、マミに向かって

 

「すまないが少し出かける。いいか?」

 

と聞いた。

マミは驚きながら頷いた。

それを見て、志郎は通信を再び繋げた。

 

(俺だ)

 

(急な通信を切るなんて、最低ね)

 

(そう言うな。で、どこに行けばいい?)

 

(学校の屋上はどうかしら?)

 

(……………分かった)

 

志郎はそう言うと通信を切り、急いで学校へと向かった。

 

 

 

 

同時刻、さやかは恭介の病室の前にいた。

彼女の顔は困惑と驚き、そして悲しみを帯びていた。

 

「え、何で?」

 

さやかの視線の先。そこには病室のドアの横にあるプレートがあった。

が、いつも書いてあるはずの“上条恭介”の名前は無く、別人の名前になっていた。

 

「あ、あの。上条恭介って………」

 

偶々通りかかった看護師に声をかけるさやか。

それは、さやかが恭介の見舞いに来る際に知り合った人物だった。

その看護師はさやかに気付くとズイッと顔を近付け、ボソボソと話し始めた。

 

「実はね、上条君、退院したの」

 

「え?退院?」

 

「うん。何でか分からないんだけど、急に決まってね。朝には帰っていったわ」

 

「そんな………」

 

看護師は顔を離すとニッコリ笑って、良かったわね、と言った。

さやかは何とか返事をし、その場を離れた。

トボトボと歩くさやかの背中を見送った看護師はスライムのような液体になり、崩れた。

 

「バカァめ。俺の変装を見破れないィなんてな。これで作戦のだいィいィち段階ィは完了ゥだ。グジュジュジュジュジュ」

 

スライムのようなそれは不気味な笑い声とイントネーションを出しながら消えた。

 

 

 

 

志郎は屋上の真ん中にあるベンチに座っていた。

ほむらを待って十分が経ったが、現れる様子はなかった。

が、次の瞬間、志郎は背後に何かいる事を察知した。

 

「誰だ!?」

 

志郎は跳躍して距離を取ろうとした。

しかし、それがほむらだと分かりやめた。

 

「ごめんなさい。遅くなったわ」

 

ほむらはフサァと髪をかきあげながらながら謝った。

 

「いや、俺も今来たところだ」

 

志郎はそう答え、2人は並ぶようにベンチに座った。

 

「風見志郎。昨日の事なんだけど」

 

ほむらが切り出した。

 

「杏子は助けたぞ」

 

「!?そう。ありがとう。正直貴方が杏子の事を知っているのは賭けに近かったわ」

 

「………そうか」

 

「ええ。戦力が減らずにすんだもの」

 

それを聞いた瞬間、志郎は自身の中で疑問に思っていた事がほぼ確信に変わり、聞き返した。

 

「お前、杏子が危険な目に合うって知っていたのか?」

 

「……………さあ?」

 

「本当の事を話したらどうだ?」

 

志郎の詰問にほむらは少し黙り、

 

「面倒な男ね。貴方の事は信用するけどそこまで教える義理はないわ」

 

と答えた。

 

「面倒なのが性分なんでな」

 

ほむらの煽りに対し大した事でもないという風に志郎は返す。

 

「で、お前は何者なんだ?」

 

「教える義理は無いって言ったでしょ?」

 

ほむらはそう告げ、消えた。

 

「…………。全く、分からないな。女の子ってのは」

 

志郎は目を瞑りながらそう呟いた。

瞼の裏に反抗期だった妹の姿を映しながら。

 

 

 

 

夜。

さやかは恭介の家の前にいた。

その家から美しいヴァイオリンの音色が聞こえる。

 

「恭介…………。急だったんだよね。仕方なかったんだよね」

 

そう、自身の中で合理化してさやかは家に帰ろうとした。

 

「見ていくだけかよ?」

 

しかし、その声に呼び止められた。

その声の主をよく見ると、さやかには忘れられない相手だった。

 

「杏子…………!!」

 

さやかはその名を言い、睨め付ける。

 

「あんたのたった一つの願いを使って治してやったんだ。合えばいいじゃねーか」

 

「あんたには関係ないでしょ」

 

「ハァ、あのなぁ、お前は何がしてーんだ?」

 

「何がって?」

 

「あいつを助けた恩人になりてーのか?それともあいつに夢を叶えて欲しいのか?さっさとハッキリさせなよ」

 

「あんたに関係ないって言ったでしょ?」

 

「関係あるね。このままだとあんた、壊れるよ」

 

「は?何言ってんの?」

 

「だから」

 

杏子が言葉を紡ごうとしたらさやかに遮られた。

 

「てかさ、あんたこそ何なの?悪人が今更何言っても無駄だってのに」

 

「何だと?」

 

「あんた、言ったよね?使い魔がどーとか。使い魔も人襲うんでしょ?あんた、間接的に人殺してんじゃん」

 

「…………」

 

「はぁ、あんたみないなのを産んだ両親が可哀想だよ」

 

それは、昨日さやかが言われた侮辱の返しだった。

内心でさやかは勝ち誇った。

やはり正義は勝つのだと。

こいつは何も言い返せまい、と。

が、杏子の反応は予想外の物だった。

 

「テメー、あたしの家族を馬鹿にしやがったな…………!」

 

「な…………!」

 

昨夜の志郎ほどではないが、確かに感じる殺気にさやかはたじろいだ。

 

「場所移そうぜ?ここじゃ色々不便だ」

 

杏子はそう言い、歩き始めた。

さやかはその後ろ姿を睨めつけながらついていった。

 

 

『なるほど。これは、いいね』

 

影からその様子を見ていたQBは嬉しそうにそう言い、マミの家へと向かった。

 

『これで一気に汚染が進むかもしれないね』

 

 

 

 

つづく




次回、杏子VSさやか。
そんな中に乱入者が一つ………。


ご期待ください!!
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