魔法少女まどか☆マギカ クロスss/2つの風車と7つの宝石   作:がとーショコラ

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自分の計画性のなさが滲み出ている・・・。まさかこんなに長くなるとは。これからもう一度ストーリー構成を練り直さねば。
第4話・前編。今回は戦闘パートはほぼ無く、会話が中心となっています。
それでは、お楽しみください。


第5話 機械と少女の出会い/前編

ほむらとマミ、さやかとまどかは合流した後まどかの家へ行った。運がいいのか知久と詢子とタツヤは出かけており、傷付いた2人を見られずに済んでいた。

 

「ほむらちゃん、マミさん、傷薬持ってたよ」

 

まどかが救急箱を持って3人がいる部屋ーまどかの部屋ーに入る。

マミは動かず、ほむらが受け取った。

幸い、傷は浅かったためか傷はほとんど治っており、薬を必要としないほどになっていた。

 

「魔法少女って治癒能力も上がるんですね」

 

まどかが感心したように言う。

 

「そのために魔力を消費しちゃうけどね」

 

ほむらが呆れと自傷を半々にしたような口調で言った。

そこから誰も何も語らなかった。自然と訪れる気まずい沈黙。まどかもさやかも聞きたいことはあり、それをほむらもマミも理解していた。しかし、誰も言い出せずにいた。

 

「・・・・。あ、あのさ」

 

数分経った後、さやかが遠慮気味に口を開いた。

 

「あのさ、その、怪人はそんなに強かった、の?」

 

ビクッ!と2人の身体が反応した。よほどトラウマが強いのか、マミに至っては冷や汗をかいていて、ガタガタと震えていた。

 

「えと、その、ごめん。でも、やっぱり聞きたくて」

 

さやかはそれ以降黙ってしまった。そこから再び訪れる沈黙。が、唐突にほむらがそれを破る。

 

「強かったわ。とても。私たちが本気を出しても勝てなかったもの。はっきり言って二度と会いたくはないわね。ね、巴さん?」

 

『本気を出しても勝てなかった』という部分を聞いてさゆかは訝しげな目線をほむらに向け、マミは話題を振られ、反応こそは遅かったが、そうね、とただ一言だけ言った。

 

「仮面ライダーがいたら勝てたのかしら・・・」

 

ほむらがボソッと呟いた。彼女は独り言のつもりだったが、それは他の3人にもはっきり聞こえており、さやかは驚いた視線を向けた。

 

「何かしら?」

 

その視線に気付いたほむらが聞いた。

 

「転校生、それはただの噂だよ。そういった話があるだけで噂は噂でしかないよ。仮面ライダーを見たって人もいるけど、どの証言も姿形もバラバラなんだ。しかも、中にはBADANの怪人が仮面ライダーだったって言う人もいるし。結局デタラメなんだよ」

 

マミは反応せず、まどかは何か言いたげだった。

 

「それじゃ、SPIRITS部隊に知らせるのは?BADANを倒したんでしょ?」

「それは無理なんだよ、ほむらちゃん」

 

次はまどかが答えた。

 

「SPIRITS部隊はたしかにあったし、BADANを倒すために力を尽くしてくれた。だから全てが終わって大国が一応経済的に立て直した時に無理矢理解散させられたの。自国の軍事力より優れた部隊はいらないって」

「それじゃ、本当に私たち2人で何とかしないといけないってことね」

 

ほむらは何かを決断するような口調で言った。

マミもまだ震えており、反応できないでいた。

さやかはそんなマミの姿を見て、決めかねるように言った。

 

「ね、ねぇ」

「何からしら?美樹さやか」

「私が魔法少女になるってのはダメなのかな。だってそうすれば戦力は上がるし、私の願いも叶うし」

「絶対にダメよ」

 

ほむらは即答した。

 

「なんでダメなのさ」

「簡単よ。あなたに命をかけて戦ってほしくないからよ。それに、ベテランのマミや私が力を合わせて勝てなかった相手に初心者のあなたが加わったところで戦力としては変わらないわ。いいえ、むしろ下がるかもね」

 

ほむらの正論にさやかは黙るしかなかった。

その時、玄関が開く音がした。そして、ただいまという3つの声が聞こえた。まどか達は知久、詢子、タツヤの3人が帰ってきたことを悟った。

 

「それじゃ、私たちは帰るわ。まどか、ありがとう。行くわよ。巴マミ」

 

ほむらが立ち上がって、いつもと変わらぬ口調で言った。

マミの方も立ち上がり、動きはぎこちないが帰る支度をする。

 

「待って。ほむらちゃん達、制服はどうするの?破れちゃってるし」

「心配には及ばないわ。この程度、魔法で治せるもの。私も、巴マミも」

 

そう言ってほむらは制服を修正してみせた。マミもそれに倣って制服を治す。

その後、ほむらはマミの手を取って、また明日と一言だけ告げて出て行った。

 

「んじゃ、私も帰るわ」

 

2人の後ろ姿を見送ったさやかも立ち上がった。

 

「ま、待っ」

 

ここまで言ってまどかは止めた。

 

「まどか?」

 

さやかが振り返る。

 

「ま、また、また明日ね」

 

まどかがそう言った時、さやかは一瞬複雑な顔をしたが、すぐに笑顔になって、じゃあねと告げて部屋を出て行った。まどかしかいなくなった部屋。そこは妙に静まり返っていた。

 

魔法少女まどか☆マギカ クロスSS

2つの風車と7つの宝石

 

マミとほむらはまどかの家を出た後、手をつないで歩いていた。マミの手はまだ小さく震えていて、彼女がいかに恐怖しているかを物語っていた。

 

「あ、暁美さん。その、ごめんなさい。私の力が至らなかったばっかりに」

 

マミの震えた声。

 

「いいえ。私の方こそごめんなさい。怪人を甘くみていたわ。まさかあんなに強かったなんて思わなかったもの」

 

事実、ほむらは侮っていた。怪人といっても経験値は自分の方があるという絶対の自信があったからだ。

 

「暁美さんは強いのね。私なんかよりもずっと」

 

自傷気味にマミは言った。

 

「そんなことないわ。ただ、私には目的があるだけ。それを達成するためには負けてられないもの」

「目的?」

「ええ。手の届く限り、みんなを守るっていう目的よ。それにあなたは私の目標でもあるのよ」

 

マミは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに微笑んで、そう、と言った。

 

「でも、なんで私なんかを?あなたと出会ってまだ2日しか経ってないのに」

「それは・・・秘密よ」

 

そこから2人はとりとめもない話をした。基本的にはほむらが何かを言ってマミがそれに答える形だったが、それでもマミの表情はだんだん明るいものになっていき、体の震えもなくなっていた。

 

 

 

「それじゃ、私はこっちだから」

 

歩いて数分経った時、2人は十字路に着き、ほむらはマミの手を離し、彼女の家とは別の方向へ行こうとした。しかし、

 

「待って、暁美さん!」

 

というマミの声に止められた。

 

「何かしら?」

 

くるりと振り返り、髪をかき上げるほむら。

 

「これからも、これからも一緒に戦ってくれる?」

 

確認するかのような口調で聞くマミ。

ほむらは当然よ、と優しく微笑んだ。

 

 

 

夜、さやかは寝室で考えていた。魔法少女の事、ほむらの事、マミの事、怪人の事。そして、自身の想い人である上条恭介のこと。

 

「何で、何で転校生は魔法少女になるなって言うんだろ」

 

答えは返ってこない、はずだった。

 

『自分の取り分が減るからじゃないからかな』

 

脳内に響く、無機質な声。さやかは後ろを振り向いた。案の定、そこにはQBがいた。

 

「あんた、マミさんのことにいなくてもいいの?」

『マミの所にも行ったんだけど、一人にしてほしいって言われたんだ』

「そうなんだ。で、今言ってた事だけど」

『これは僕の推測と経験によるものだけど、暁美ほむらが自身の利益のためにマミに近付いている可能性は高い。僕たちもそういう娘を何人も見てきたからね』

「そんな…」

『残念だけど、これは真実だ。それに最近、魔法少女狩りというものがある』

「魔法少女狩り?」

『うん。今は風見野を中心に行動してる。現に何人もの魔法少女がやられている」

「何人も!?」

『それに、目撃証言からすると犯人は魔法少女。しかも黒髪らしい』

「待って、転校生の能力って一体」

『これも推測でしかないけど、瞬間移動の類じゃないかな?』

 

さやかは戦慄した。黒髪の魔法少女。それは暁美ほむらに合っていたからだ。そして、もしほむらの能力が瞬間移動だとしたら、風見野での犯行も可能になるからだ。

 

「ま、マミさんとまどかには伝えたの?」

『マミには一応伝えておいた。まどかはまだ、というかできないんだ。』

「なんで!?」

『彼女の周りに結界が張ってあるんだよ。それもかなり強力な。僕たちと魔女を一切通さない仕組みになっている。暁美ほむらが張ってる可能性は否定できない』

「ねぇ、何で転校生はまどかにそんなに拘るの?」

 

さやかは自然と思った事を口にする。QBはそれに対してふぅ、と一息ついてから答えた。

 

『彼女の秘めた潜在力はとんでもないものだからだよ。もしまどかが魔法少女になったら、きっとマミ以上に強力な魔法少女になれるだろうね』

「ウソッ!?まどかが!??」

 

さやかは彼女のことを虫一匹殺せない優しい娘と認識していた為に、QBの言った事が信じれなかった。

 

『僕たちは嘘を吐けないようになっている』

 

QBが自身の言ったことを正論化するかのように付け足した。

 

「それじゃ、転校生がまどかに拘るのは」

『自分よりも強い存在が邪魔だ、という理由だろうね』

「そんな…」

 

それ以降さやかは何も言わず、QBも黙っていた。

数分経った時、QBは再び話し出した。

 

『彼女の監視はどうやら君にはそこまで徹底されていないようだ。魔法少女になるには今がベストだろ思うけど・・・』

 

さやかはしばらく経ってから、今は止めとく、と言った。

 

 

 

場所は変わってほむらの家。彼女は布団の中で今日戦った怪人の事を考えていた。

 

「あんなに、あんなに強いなんて・・・」

 

ほむらは目をつむり、その時のことを思い出していた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「さて、これで私たちになったわよ」

 

まどかとさやかがOLを連れて逃げた時、マミが磁石イノシシに言った。しかし彼女の目は泳いでおり、恐怖していることははっきりと分かった。

 

「シャシャシャシャ!貴様らのようなザコがいくら集まっても俺には勝てんわ!!」

 

2人はそのバカにしたような笑いを気にもせず、ほむらはバックルから拳銃を取り出し、マミはマスケット銃を召喚して構えた。

 

「来い!魔法少女!!」

 

磁石イノシシのその一言でマミとほむらは引き金を引いた。二人合わせて約20000発。これを2、3分で撃った。さすがに全ての弾は当たらなかったのか、いくつかは外れ粉塵を巻き起こした。

この時2人は磁石イノシシを完全に倒したと思っていた。マミの顔色も多少明るくなり、トラウマを克服できたと言った表情だった。しかし、それはいとも簡単に裏切られた。

粉塵が収まった時、2人が目にしたのは絶望だった。磁石イノシシに当たったはずの弾は全て彼の目の前で止まっていたからだ。

 

「この俺にそんなものは効かん!!磁石バリアーがあるからな!!!」

 

この時2人は、自分たちの攻撃では太刀打ちできないことを察した。瞬間、マミの身体が再び震えだした。

 

「今度は俺から行くぞ!!」

 

磁石イノシシはそう言って全力でダッシュした。

 

「イノシシ・ダッシュ!!」

 

その攻撃にほむらはなんとかして避けたが、マミはモロに受けてしまい、吹き飛ばされた。

 

「クッ!このままでは!!」

 

ほむらは焦り、急いでマミの元へと向かった。そして、耳元で何かを囁いた。

 

「ふん!次で終わらせてやる!!」

 

磁石イノシシは2人がどんな相談をしても関係ないといった口調でそう言い、2発目のイノシシ・ダッシュの準備をした。が、次の瞬間、彼の目の前にある物が置かれた。

 

「何だこれは!!」

 

そう言うのとそれが爆発して光ったのは同時だった。

目の前に置いたもの。それは閃光手榴弾だった。この隙にほむらはマミを抱え、廃ビルから脱出した。しかし、脱出の際負傷したため、速度は遅かった。が、運がいいためか、磁石イノシシは追ってこず、そのまままどかたちと合流できた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「どうしたらいいのかしら…」

 

目を開き、ため息をつく。ほむらは布団から出て机に向かい、作戦を練り始めた。

 

 

 

場所は再び変わって風見野の某ホテル内。志郎は他のライダーに定時連絡を入れていた。

 

(こちら志郎。みんな聴こえるか?)

(本郷、聞こえるぞ。)

(一文字、こっちもOKだ。)

(結城、こちらも)

 

これに続き、神啓介、アマゾン、城茂、筑波洋、沖和也、村雨良からも聞こえるとの通信を受けた。

 

(それじゃ、報告する。まだ見滝原には着いていない。それと今日、変な奴と戦った。おかしな空間を作り出し、人間を喰らっていた。その中で少女、幼女を一名ずつ保護した。少女の方はその変な奴を魔女と呼んで戦っていた)

 

ここまで伝えた時、志郎を除く全員の通信の波長に乱れが生じた。

 

(どうしたんです?何か知っているんですか?)

 

不審に思い、聞く志郎。

 

(そうか、お前はあん時音信不通になってたもんな。)

 

一文字が納得したように言った。

 

(志郎、お前は今その少女と共にいるのか?)

 

本郷からの質問に志郎は、はいと答えた。

 

(ならば事情はその娘から聞け。全てを話すのはその後だ)

 

本郷からの命令に志郎は従うことにした。

 

(分かりました。また連絡します)

 

そう言って、志郎は通信を切った。

チラリ、と近くのベッドを見た。そこには杏子とゆまが寝ていた。

 

「ふぅ。魔女、か」

 

今日1日あったことを再び頭の中でまとめる志郎。

常識的には考えられない存在。魔女と魔法少女。しかし、彼は現にそれを見た。

 

「あの声もそれと関係あるのか?」

 

再び思考の波に呑まれそうになるが、ベッドの中が動き、ぼやけた顔をした杏子を見た事でそれを止めた。

 

「目が覚めたか。痛いところは無いか?一応応急処置だけはしておいたが」

 

杏子に近づきながら話しかける志郎。一方の杏子はまだ意識がしっかりしていないのか、反応は薄かった。

1,2分程経った後、急に杏子の目は見開かれ志郎に食ってかかった。

 

「志郎、テメーどういうことだ!仮面ライダーだって知ってたら…」

 

杏子の言葉はそこで途切れてしまった。志郎の人差し指が彼女の唇に当たったからだ。

 

「落ち着け。それに大きな声を出すとあの娘が起きちまうぞ」

 

杏子がベッドを見、理解した。そして小さな声で話し始めた。

 

「まあ、なんだ。その、さっきはすまんかったな。取り乱しちまって」

「気にするな。それよりも俺はお前に聞きたいことがある」

「あたしらについて、か」

 

肯定の意を込めて頷く志郎。それを見て杏子はため息をついて語り始めた。

 

「あたしらは魔法少女って言って……」

 

志郎は彼女の口から語られた事実にあまり驚愕しなかった。しかし、一つの疑問が生じていた。

 

「・・・・と、いうわけ」

 

一通り説明を終えたのか、杏子はそこから黙った。すかさず志郎が質問する。

 

「お前らはQBとやらと契約して魔法少女になるんだったな?なら、QBの目的は何だ?」

「知らねぇよ」

 

即答する杏子。志郎はふむ、といった様子でいくつかの仮説を作ろうと考え始めた。が、それは頭の中に響く声によって止められた。

 

「ん?誰だ?」

 

志郎は周りを見回した。すると、部屋のドア付近にいる一匹の白い獣が目に入った。

 

「貴様は?」

 

それに話しかける志郎。するとその生物は赤い瞳で志郎の事をまじまじと見つめ、杏子は目を見開いて志郎を見た。

 

「貴様がQBか?」

 

先ほどとは違い、確認するかのような口調で聞く志郎。するとそれは口を動かさず頭の中に直接話した。

 

『そうだよ。それにしても驚いたなぁ。僕のことが見えるなんて。さすが仮面ライダーといったところか』

「そうか。で、貴様はさっき『それは僕の口から説明しよう』と言ってきたな?」

『言ったよ。杏子もいるし、ちょうどいい機会だ。僕たちの目的を話しておこう』

「へぇ〜、そんなこと話すなんて、あんたにしちゃ珍しいな」

 

杏子が菓子の袋を開け、感心したように言う。

 

『僕たちの目的、それはこの世を守ることさ』

「守るだと?」

『そう。僕たちはこの世を守りたいんだ。けど僕たちでは魔法少女になることはできない。だから杏子のような素質のある娘に頼むんだ』

「ほう」

 

QBに対して訝しげな視線を向ける志郎。しかし、当のQBはそんなことを気にしないかのように話を続けた。

 

『事実、僕たちは非常に助かってるんだ。彼女達が戦ってることにね。そうすることで僕たちの目標に近づけるのだから』

「なるほど、な」

 

志郎は近くにあった椅子に腰をかけ、ジッとQBを見つめた。

 

「で」

 

それまでスナック菓子を頬張っていた杏子が口を開く。

 

「QBがここに来た理由は何だ?さすがに志郎とあたしにそれをわざわざ説明するために来たわけじゃないんだろ?」

『うん。僕がここに来た本来の理由は君たち2人に情報を渡すためさ』

「情報?」

『そう。まずは杏子から。最近魔法少女狩りが行われている。それも魔法少女の手によって。残念ながら犯人は分からないけど』

「本当かよ?」

『本当のことだ。そして、風見志郎。君にも伝えることがある』

「何だ?」

『最近、ネクスト・デストロンなるものが動いている。彼らは再びこの世を支配するつもりだ。気をつけたほうがいい』

「そうか」

 

志郎はQBの言っていることは本当のことだと分かった。しかし、気になることがあった。

 

「なぜお前がネクスト・デストロンという組織を知っている?俺たちでさえ知らなかったのに」

『たまたまさ。偶然とある魔法少女が奴らと遭遇してね。彼女の犠牲によって得られた情報だ』

 

『犠牲』というフレーズを聞いて、志郎は一瞬、悔しそうな、悲しいような複雑な表情をした。

 

『僕の言いたいことはそれだけだ』

 

そう言ってQBはクルリと振り返って、ドアへと向かった。

 

「どこに行くつもりだ?」

 

志郎が聞く。

 

『他の魔法少女の所へ行って情報を回すのさ』

 

そう残してQBは消えた。

チラリと志郎は杏子見た。

 

(こいつらは死ぬまで闘い続ける。自分の運命と魔女と。だが、これが彼女達にとっての幸せなのか?)

 

その視線に気付いたのか、杏子は何かを言おうとした。しかし、後方でゆまの声が聞こえたので結局やめた。

 

 

 

「・・・・・。どこ、ここ?」

 

開口一番、ゆまが言った言葉がそれだった。彼女は周りをキョロキョロと見回し、頭に?マークを浮かべた。

 

「目が覚めたか」

 

そんな姿を見た志郎が近づく。

 

「あ、志郎。おはよう」

 

その存在に気づいたのか、ゆまが二パッとした笑顔で言った。

 

「ああ。気分はどうだ?」

「久しぶりにいっぱい寝たから元気だよ!」

「そうか。だが、まだ夜は更けていない。もう一寝入りしておけ」

「えー、眠くないよー」

「・・・、はぁ。分かった。午前中に遊びに連れて行ってやるから、今は寝ろ」

「え!?本当!??」

「本当だ。だから寝ろ」

 

ゆまは分かった、と言い再び布団にもぐった。一見するとゆまは魔女に襲われた事に関して何も感じてはいないように見えた。が、長年戦ってきた志郎の鍛えられた観察眼はゆまのとある行動に気づいていた。

 

(こいつ、久しぶりによく寝たと言ってたな。それに、目の前で人が殺されていたというのにそれに対するトラウマが全くない。・・・まさか)

 

そう思い志郎は寝息を立て始めたゆまの前髪をそっとあげた。

 

「ッ!!」

 

そこにあったものを見た志郎はゆまの頭を撫で、こっそりと杏子のいる場所へと戻った。

 

 

 

「杏子、一つ聞き忘れた事がある」

 

杏子の元へと戻った志郎が聞いた。

 

「何?」

 

対して杏子は興味がないとでもいうように新しいお菓子の袋を開けていた。

 

「もし、魔女の結界内で死んだらどうなる?」

 

ピタリ、と菓子を口に運ぶ手が止まる杏子。そしてニヤリと笑って、

 

「当然、魔女が死んで結界がなくなったら帰ってこない」

 

と言った。

 

 

朝が明ける。この日、機械の男と魔法少女は出会いを果たす。

 

つづく




今回は次回予告なしです。後編もよろしくお願いします。m(__)m
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