魔法少女まどか☆マギカ クロスss/2つの風車と7つの宝石   作:がとーショコラ

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お待たせしました!!
ようやくV3とほむら達が出会います(ほんの少しだけど)!!
それでは、お楽しみください!!


第5話 少女達と男の出会い 後編/side魔法少女②

見滝原の外れにある、とある廃ビルの入り口。マミとほむらはそこにいた。2人はすでに魔法少女へと変身しており、いつ戦闘が始まってもいいようにしていた。

チラリ、とほむらは後方を見る。その視線の先には1台の車があった。それは、黒色のベンツで大きなサソリのマークがボンネットに描かれてた。

 

「・・・・。行くわよ。」

 

深呼吸をし、決意を決めたように言うほむら。対してマミも首を縦に振り、賛同の意を示す。

2人は同時にその中へと侵入した。

 

魔法少女まどか☆マギカ クロスSS

2つの風車と7つの宝石

 

時は遡ること15分前。ほむらはマミの前を走りながら、自身が気付いた磁石イノシシの弱点についてマミにテレパシーで説明していた-テレパシーは魔法少女の基本能力で、自分の意思を味方に素早く伝えるために最も有効な手段である。が、それと同時に、一度に大量の情報を送ると脳がその処理を優先的に行ってしまうため、戦闘中には多様出来ない技である-。

 

(背中?)

(ええ。あの時奴はバリアーを張っていなかったわ。)

(あの時・・・?)

(私とあなたが初めて出会った時よ。)

 

その時か、とマミは納得した。ほむらの言う通り、あの時は磁石イノシシはほむらの攻撃を食らっており、かつ、その時彼女は背中を攻撃していたからだ。

 

(多分、正面からの攻撃は全て磁石バリアーではじき返されてしまう。だから、背後に回る必要がある。)

 

ほむらの語る持論にマミはある程度賛成していた。が、不安もあった。

 

(でも、磁石イノシシにはイノシシ・ダッシュがあるわ。それはどうするの?)

(それは・・・)

 

マミからの質問に黙るほむら。実際、彼女は一つだけ対策案を持っていた。しかし、それはマミは勿論、彼女自身極力やりたくない方法であったため、言うのに躊躇っていた。

 

(あるには、あるわ。リスクが高いけど。)

(その方法は?)

(・・・・・。)

(暁美さん?)

(・・・・・。囮作戦よ。)

(囮作戦・・・)

(ええ。片方が磁石イノシシの気を引いて、もう片方が後方から攻撃する。それしかないわ。)

(でも、それじゃあ)

(当然、囮は私がやるわ。一撃の攻撃力と命中率はあなたの方が上だから)

 

マミが何かを言おうとするが続けるほむら。

 

(巴マミ、わたしにもしもの事があった場合、その時は)

「暁美さん!!」

 

マミの急な怒鳴り声にほむらは足を止め、振り向いた。そこには、目に涙を溜めて立ち止まっているマミがいた。

 

「と、巴、マミ?」

 

ビクついた様子でほむらは話しかけた。

「それしか、方法は、ないの?」

 

悲しそうに聞くマミ。ほむらはただ俯き、ええ、と言って首を縦に振った。

 

「今の私達には、それしか方法がないわ。」

「あなたは、それでいいの?」

「・・・。いいか悪いかの問題ではないわ。そうでもしなければ私達は勝てない。」

「暁美さん、あなた」

「私は覚悟を決めているわ。だから、お願い。巴マミ、協力して。」

そう言ってほむらは頭を下げた。マミは何かを考えるように手を顎に当てたまま何も言わずにいた。

 

「・・・・。分かったわ。」

 

数秒後、マミは何かを吹っ切るように言った。

 

「暁美さん、貴女の覚悟、よく分かったわ。」

 

そこで一旦切り、一呼吸おいてマミは次の言葉を続けた。

 

「だったら、私は貴女が傷付かないようにしっかりと仕留めるわ。」

 

それを聞いたほむらは、そう、と一言だけ言ったが、その表情はどこか嬉しそうだった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ー15分後ー

 

「ま、待ってよー、さやかちゃーん!!」

 

まどかは息を切らしながらさやかの後ろをついて行っていた。もともと運動の得意でないまどかが、運動の得意なさやかに追いつけるはずもなく、差は開くばかりであった。

 

「まどか、おっそーい!!」

まどかの悲痛な叫びが聞こえたのか、さやかは一旦足を止め、後方に位置するまどかを見た。

 

(もう!ゆっくりしてる時間はないのに!・・・・ん?)

 

遅いまどかに苛立ちながら、さやかは上空に何があることに気付いた。

 

「何あれ?鳥?にしちゃ変だし、何だろ?」

 

浮かんでいるそれを不思議に思っていると、まどかが追いついた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、さ、さやかちゃん、は、速すぎ」

「んもう、しょうがないなー。んじゃ、少し休憩してから行こ?」

「う、うん。ごめんね。」

 

いいよ、とさやかは返事をし、もう一度それを見るべく顔を上げる。しかし、それはすでに無く、雲ひとつない青い空が広がっていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

廃ビルに入ったマミとほむらは磁石イノシシの姿を探していた。すぐに戦闘が開始されると思っていた2人にとってそれは拍子抜けであった。

 

「見つからないわね。」

 

溜息を吐きながらほむらが言った。

 

「向こうから仕掛けてくるとばかり思っていたのに。」

 

不満そうにマミが愚痴る。しかし、口ではそう言ってはいるが、一撃で磁石イノシシを仕留めるべく、魔力を練り続けていた。

1階を探索し終えた2人は2階へと上がった。それまでの時間はほんの十数分だったが、彼女達にとっては何時間にも感じられた。

______________________

 

「ほぉ、マシンガンスネークはやられたか。」

 

某所。戦闘員からの報せを受けたΣは一言、そう言った。暗くいため表情は読み取れないが、声音からして明るく、どこか冷たいものがあった。

 

「で、磁石イノシシの方はどうだ?奴の能力なら魔法少女を捕らえることなど造作もないと思うが。」

「それが・・・・・、という作戦になっております。」

 

Σの質問に対し、耳打ちする戦闘員。内容を聞いたΣは満足そうに頷き、

 

「それは面白い作戦だ。さすがはG作戦を成功させただけあるな。」

 

と言った。

 

「Σ、君の部下である磁石イノシシは役に立ってくれるのかい?」

 

ふと、どこからか無機質な声が聞こえる。

 

「ふん。奴は成功体だからな。失敗作のサイタンクとは違う。」

 

さっきとは打って変わって不機嫌そうに答えるΣ。そんな様子が伝わったのか、無機質な声を放ったそれは溜息を吐くかのように

 

「やれやれ。僕も嫌われたものだね。さっさとお暇するかな。また個体を減らされるのは嫌だし。」

 

と言って、存在を消した。

 

「消えたか、邪魔者め。例の作戦はどうなっている?」

「それは・・・・となっています。」

 

戦闘員が耳打ちをし、それを聞いたΣはニヤリと笑って、

 

「磁石イノシシに伝えろ!!もしもの時は進化する事を許す、とな!」

 

Σがそう言うと、戦闘員はイー、と奇怪な声を出して部屋を出て行った。

 

「さて、」

誰も居なくなった部屋でΣは一人呟く。

 

「ここまでは予定通り。奴の情報収集力も中々のものだな。が、それを除けば奴は。」

 

ククク、と暗い部屋にΣの笑い声が響いた。

 

______________________

 

1階を探索し終えたマミとほむらは2階に上がっていた。依然として磁石イノシシは見つからず、2人のあとに疲れが見え始めていた。

 

「奴は本当にここにいるのかしら?」

 

ため息混じりにほむらが呟く。

 

「外に置いてあった車には誰も入っていなかったからいる。と思うけど・・・。」

 

自信なさげに答えるマミ。

そこから幾つかの部屋を回り、磁石イノシシを探した。が、結局どの部屋にもおらず、疲労だけが溜まっていった。

 

「2階にいないとすると残りは3階ね。」

 

ポツリとほむらが独り言のように言い、マミは、そうね、と答え、階段を上り始めた。

コツコツコツ・・・コツコツコツ・・・・。

薄暗い階段で2人分の足音が響く。

それ以外の音が全く聞こえず、異様な空気が2人を包んでいた。

 

「・・・・。ふぅ、やっと着いたわ。」

「ねえ、暁美さん、これって。」

 

3階にたどり着いたマミとほむらの目の前に、一際存在感のある扉が現れた。それは赤色で、大きな蠍のマークが掛けてあった。

 

「奴は、この中にいるのかしら?」

 

生唾を飲み込んでマミが言った。

 

「ハーフ・ハーフ、といったところかしらね。」

 

ほむらが答える。

 

「と、いうと?」

 

意味が分からなかったのか、マミが再び聞く。

 

「簡単なことよ。奴はこの中にいる可能性はある。でも、本当はいなくて、罠である可能性もある、ということよ。」

 

マミはなるほどと頷き、2丁のマスケット銃を生成した。一つはいつもマミが使用しているサイズで、もう一つはかなり小さいものだった。そして、小さい方をほむらに差し出した。

 

「どういうことかしら?」

 

マミの行動が理解できないという風に聞くほむら。

 

「あくまで保険よ。何かあった時に役立つように、ね。」

「でも、私マスケット銃を扱ったことないわ。」

「これは特殊な仕様になってるから大丈夫よ。」

「特殊な使用?」

「今は説明してる暇はないわ。行くわよ。」

「え、えぇ。」

 

マミの勢いに押され、ほむらは盾に銃をしまい、ドアに手をかける。

 

「いくわよ、巴マミ。」

「1、2の・・・」

______________________

 

「ま、待ってよー!さやかちゃーん!!」

「もう、まどか、遅い!」

 

同時刻、まどかとさやかは未だ廃ビルに着かないでいた。先ほどと同様、さやかがどんどん先に行き、まどかが必死にその後を追う構図となっていた。

 

「まどかは今日は帰った方がいいんじゃない?まだ着きそうにないし。」

 

さやかがまどかの元へと戻って声をかけた。それに対してまどかは答えようとしているが、よほど疲れているのか声が出ないでいた。

 

「うーん、困ったなー。まどか置いてくわけにはいかないし、かといって早く行かないと転校生が何しでかすか分かんないし・・・。」

 

さやかが手を顎に当て唸っていると、ようやく呼吸が整ったのか、まどかはゆっくりと話し始めた。

 

「ち、違う、の。さやかちゃん。」

「違うって何が?」

「おかしいって、思わない?」

 

まどかのその言葉を聞いた瞬間、さやかの顔は不機嫌そうな顔になった。

 

「おかしいって、何が?」

 

さやかが聞き返すと、ある程度呼吸が戻ったのか、先ほどよりもはっきりした口調でまどかは答えた。

 

「昨日行った場所って、こんなに遠かった?」

「??まどか、あんた何言って・・・!」

 

言葉の途中で、さやかは何かに気付く。

 

「ここって、さっき通らなかったっけ?」

 

そう。彼女達は迷わされていた。あの廃ビルに行けないように仕組まれていた。それは人の仕業か、それとも・・・。

 

「!?まどか!!危ない!!!」

 

何かに気付いたさやかがまどかの身体に覆いかぶさって、倒れた・・・。

______________________

 

「ん・・・・。」

 

ほむらは瓦礫の上で目を覚ました。立ち上がろうとしたが、全身が痛み、動くことすらままならない状態だった。

 

「何で、私、ここに・・・。」

 

周りを見回すほむら。そして、あるものを見つけた。

 

「あ、あれは?」

 

彼女の視線の先には、ほむらとマミが先ほどまでいたはずのビルが無惨な姿で立っており、瓦礫が様々な所へと飛び散っていた。

 

「あ・・・。」

 

そこで彼女は思い出した。

 

『いくわよ、巴マミ。』

『1、2の・・・』

扉を開け、突入した瞬間、彼女達を待っていたのは磁石イノシシでも、デストロンの戦闘員でもなかった。凄まじいほどの衝撃と音、そして、爆風が2人を包み込んだのだ。

結果からしてみれば、ほむらの言っていたことは正しかった。

しかし、規模が違いすぎた。

彼女が想像していたものは、最悪ガトリングが乱射される程度のものだと思っていた。が、現実はその想像をはるかに上回っていた。

 

「・・・痛っ!そ、そういえば、巴マミは・・・。」

 

もう一人の魔法少女、マミの存在が近くにいないことに気付き、痛む身体に鞭を打ち立ち上がるほむら。そして、足を引きずりながら探し始めた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」

 

一歩一歩歩くたびに傷口から血が流れ、体力を消耗していく。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」

 

一歩一歩歩くたびに身体中が痛み、歩くことをやめたくなる。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」

 

一歩一歩歩くたびに希望が小さくなり、絶望しそうになる。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」

 

体力も気力も魔力も限界だ。そう思った時、

 

「はぁ、はぁ。!?あ、あれは・・・。」

 

瓦礫から肘から先の腕が見えた。

 

「ま、マミ・・・!」

 

少しでも早く彼女の元へと行かなければ。

そんな思いがほむらを動かしていた。

そして、ようやくそこへと辿り着く。が、待っていたのは残酷な現実だった。

 

「マ・・・ミ・・・?」

 

確かに、そこには巴マミの腕はあった。が、そこから先は無かった。あるはずの身体が無く、ただただ、赤黒い血が広がっていた。

 

「い、いや。イヤァァァァァァァァァ!!!!」

 

普段の彼女からは想像できないような悲鳴が上がる。

僅かに残っていた希望さえも消え、絶望に包まれ始める。両目からはとめど無く涙が溢れ、錯乱状態に陥っていた。

 

「シャシャシャシャシャ!!」

 

そこへ、後方からあの鳴き声が聞こえた。

ほむらはゆっくりと振り向くと、そこには磁石イノシシがいた。

 

「まさかこんな簡単な罠に引っかかるとはな!そんなのでよくこれまで生き残ってこれたものだな!」

 

そこまで言って、今度は嘲笑するような声を出す磁石イノシシ。それを見たほむらは叫びながら盾に収納されている銃を磁石イノシシ向けて乱射し始めた。

が、

 

「無駄だということがまだ分からんのか!?俺は磁石バリアーがある限り無敵なのだ!!」

 

全ての弾を弾き返され、ほむらの行動は無意味と化す。

 

「あ、あ、あ・・・。」

 

口をただパクパクと動かすだけで何も話せないほむらを見て、磁石イノシシはイノシシ・ダッシュの態勢をとる。

 

「死ねぇ!魔法少女!!イノシシ・ダーーーーッ」

 

もう、死ぬ。

それを覚悟したほむらは目を瞑り、約束を交わした者達へと心の中で謝罪した。

が、いつまで経ってもその衝撃は来なかった。

恐る恐る目を開けたほむらは信じられないものを目にした。

 

「お、俺の、俺の背中を・・・」

 

磁石イノシシが背中を抑えて呻いていたのだ。

 

「私の可愛い後輩をいじめてくれたわね。」

 

そして、もう聞くことができないと思っていた声が、磁石イノシシの真後ろから聞こえた。

 

「巴・・・マミ?」

 

涙が止まり、その人物へと語りかけるほむら。

 

「心配かけてごめんなさい、暁美さん。でも、私は大丈夫よ。」

 

そこには左腕を失ったマミが立っていた。奇跡的に腕以外に目立った傷は無く、止血も魔法でし終えているようであった。

 

「はっ!」

 

マミが気合と共に跳躍し、ほむらの元へと着地する。

 

「ま、巴マミ、あなた。」

「ごめんなさい。本当はもっと早く助けに来れればよかったんだけど。」

「べ、別に気にしてないわ。」

「ふふっ。暁美さんらしいわね。そうだ」

 

そこまで言って、マミは何かを思い出したように右手の裾からグリーフシードを取り出した。

 

「暁美さん、貴女のソウルジェム、そろそろ危険なんじゃないかしら?」

「え?あっ・・・。」

 

ハッと気付き、自らの左手にあるソウルジェムを確認する。そこにはかなり濁った色のソウルジェムがあった。

 

「使って。」

 

そう言うとマミはグリーフシードを差し出した。

 

「あ、ありがとう。」

 

感謝の言葉とともに受け取ったほむらはソウルジェムに近づける。すると、“濁り”がグリーフシードへと吸収され、ソウルジェムは美しい紫色を輝かせ始めた。それと同時にマミも別のグリーフシードを使って、自らのソウルジェムを浄化した。

 

「これで一先ずは安心よ。」

 

マミが安堵したように言うと、落ちている自分の左腕を拾い、傷口へとつける。

 

「んっ・・・!」

 

マミが魔力を傷口に集中すると、その部分が光り出した。そしてそれが収まると、傷の跡はあるもののマミの腕はくっついていた。

 

「今はこれが限界ね。」

 

くっついた左腕を動かし、マミが言う。

 

「さすがね。」

 

それを見たほむらが感心したように呟いた。

 

「後で暁美さんの傷も」

「シャシャシャシャシャ!!!」

 

マミの言葉の途中で磁石イノシシが一際大きな声で遮った。マミ達が見ると、そこには撃たれたにも関わらずピンピンとしている磁石イノシシが立っていた。

 

「まさか、まさかソウルジェムとグリーフシードにそんな効果があったとはな!!」

 

そんな事を叫ぶ磁石イノシシ。

 

「まさかグリーフシードがソウルジェムの魔力充填装置だったとはな!奴はそんな事を言ってなかったが、これは面白い事を知った!!」

 

しまったとばかりの表情をするマミとほむら。

魔法少女は魔力をグリーフシードで補う。それを相手に知られる事は彼女達にとって弱点でしかなかった。何故なら、長時間の戦闘において魔力の補充は必要不可欠であり、それができなくなるという事はグリーフシードが尽きたということ、つまり、これ以上戦闘において魔法を使っての戦闘は不可能であることを意味する。それを悟られないようにする為、彼女達は本来魔女に対しては速攻で倒す事を心がけている。また、仮に戦闘が長引いてグリーフシードを使わなければならなくなったとしても、一旦退いてから再戦する事を常としていた。しかし、今回に限ってほむらとマミは極度な緊張状態が続いた為、使わざるを得なかったとしても、それが解けた時に生じた油断が隙を作ってしまった。

 

「つまり、貴様達はそのグリーフシードが無くなったら戦えなくなるという事か!シャシャシャシャシャ!!」

 

磁石イノシシが叫ぶ。

 

(暁美さん、こうなったら・・・)

(ええ。早く倒すしかないわ。)

 

マミがテレパシーを送り、ほむらがそれに応える。

 

(暁美さんはあとグリーフシードをいくつ持ってるの?)

(家にいくつかストックはあるけど、ここにはないわ。あなたは?)

(私も同じよ。)

 

そこで2人は同じ事を思った。

『生き残る為にも、魔力が尽きる前に奴を倒す!!』

そこまで来てー時間的にはほんの数秒だがー磁石イノシシが2人の闘志に変化が起きた事を悟ったのか、笑う事をやめ、戦闘態勢に入った。

先に動いたのはほむらだった。彼女は磁石イノシシ目掛けて全力疾走しつつ、盾から拳銃を取り出して、撃ち始めた。

が、例のごとく全て磁石・バリアーで止められる。

 

「無駄だ!貴様らの攻撃など、磁石バリアーの前では効かん!!」

 

そう言って、ほむらへと突進する磁石イノシシ。ほむらはそれを紙一重で避けて後方に回り、さらに銃撃を加える。

磁石イノシシはほむらの方へと向きを変え、再び突進しようとする。

 

「まずは一人。死ねぇ!暁美ほむら!」

「ティロ・フィナーレ!!」

 

磁石イノシシの言葉に、マミの必殺技を指す言葉が重なる。そして、巨大なマスケット銃から発射された弾が磁石イノシシの背中を撃ち抜いた。それと同時にほむらは空高く飛び、マミの元へと向かった。

 

「な、何!?お、俺の背中をぉぉぉ!!」

 

爆発が起こる。ほむら達は顔を守りながらそれが収まるのを待った。

 

「や、やったの?」

 

不安そうにほむらが呟く。

 

「そのようね。」

 

ホッとしたように言うマミ。

ー勝てた。一歩間違えれば死ぬほどの、かなり危険な賭けだったが、自分たちは怪人に勝つことができたー

喜びが2人の間に広がった時、爆心地で再び爆発が起きた。

 

「な、何!?」

 

驚いたマミがそう言いながらマスケット銃を構える。ほむらも声には出さないものの、驚きながら拳銃を構えた。

爆風によって上がった粉塵が薄れ、中から影が見える。

 

「そ、そん、な・・・!」

「何で・・・?」

 

その影の招待が分かった時、2人の間に僅かながら絶望が生じた。

 

「シャシャシャシャシャ!!シャシャー!!!まさかこの形態を使わされるとはな!!!」

 

そう言って現れたのは、磁石イノシシ。いや、姿形こそは似てはいるものの、全く違う何かがそこにいた。

 

「俺様は、磁石イノシシをさらに改造し、性能の向上を図って造られた、言うなれば、スーパー磁石イノシシ!!」

 

スーパー磁石イノシシ-片方にしかなかった磁石が両手にあり、身体が1.5倍ほと大きくなっていた-と名乗ったそれはものすごい速度でほむらとマミに突進していった。

 

「しまっ・・・!」

「キャァァ!!」

 

反応が遅れた2人-だが、ほむらは一瞬だけバックステップをした-はその攻撃をモロに喰らった。

 

「くっ・・・!」

 

ほむらは空中で何とか姿勢を整え、着地する。そして、マミが飛ばされた方向を見た。

そこには、身体の至る所から血を流し、ピクリとも動かないマミの姿があった。そして、最悪なことにスーパー磁石イノシシが彼女のそばにいた。

 

「巴マミ!!逃げなさい!!早く!!!」

 

ほむらは叫ぶがマミが動く様子は全くない。

 

「シャシャシャシャシャ!!俺様の攻撃をまともに喰らって動けるはずがない!!これで、これでM作戦の第二段階は成功する!!死ねぇ!!!巴マミ!!!!!」

 

スーパー磁石イノシシが右手の磁石を振り下ろしたその時・・・。

 

パァン・・・

 

 

銃声が響いた。それは、ほむらがマミから受け取ったマスケット銃から放たれたものだった。しかし、背後を撃ったにも関わらず、弾は止められた。

 

「シャシャシャー!!無駄だ!!!今の俺は背後にも磁石バリアーを張ることができる!!貴様の攻撃など効かん!!!」

「で、でも!」

 

そう言ってほむらは走りながら盾から拳銃を取り出し、撃ち続けた。

 

(絶対に死なせたくない!)

 

その強い思いがほむらを動かした。身体が痛もうが関係なかった。

しかし、当然かのように磁石イノシシは弾を防いでいた。

 

「無駄だ無駄だ!!どれだけ撃とうがこの俺にはそんな物通じない!!」

 

そう言って、マミからほむらへと標的を変え、突進の構えをとる磁石イノシシ。

 

(集中しなさい、私!奴を倒すにはすれ違いの一瞬を狙ってゼロ距離で撃たなければ・・・!)

 

そう思いつつ、動きながら攻撃を続けるほむら。

対してスーパー磁石イノシシは構えたまま動かないでいた。

 

(奴はまっすぐにしか突進できない?なら・・・!!)

 

危険だが、このまま少しづつ近付けば。

そこまで考えた時だった。ほむらは自分の脚からほんの一瞬だけ力が抜けるのを感じた。

 

「え・・・?」

 

態勢の崩れるほむら。疲労が極度に達したのだった。それを見て、突進を開始する磁石イノシシ。

段々とスーパー磁石イノシシが近づき、ほむらに渾身の一撃を加えようとする。

 

(まだ、諦めるわけには・・・!)

 

ほむらがそう思い、盾に手をかざした時だった。

 

 

「V3マッハキック!!!」

 

 

その声と共にほむらの後ろからものすごい速度で一人の異形が飛び出し、スーパー磁石イノシシを蹴り飛ばした。

 

「な、何ぃぃぃ!!!」

 

驚きの声と共に吹き飛ばされるスーパー磁石イノシシ。

 

「V・・・す、スリィ!な、何故貴様がここに・・・!?貴様は奴が足止めしていたはずだ。」

 

スーパー磁石イノシシが苦しそうに聞いた。それに対してV3はただ一言、

 

「貴様らがどんな計画を立てようが、この仮面ライダーV3には意味がない。覚えておくことだな。」

 

と言って、スーパー磁石イノシシに背を向けた。それと同時に、スーパー磁石イノシシは爆発し、跡形もなく消え去った。

V3はそのまま停めてあったハリケーンにまたがった。

 

「ん、そうだ。」

 

そのまま去ろうとしたV3だが、何かを思い出し、ハリケーンから“あるもの”を出した。

 

「これは君達に必要なものだろう?使うといい。」

 

そう言ってV3は“それら”をほむらへと投げ渡した。

それは、2つのグリーフシードだった。

 

「あ、ま、待って!!」

 

グリーフシードを受け取ったほむらはV3を止めようと声をかけたが、V3は既にハリケーンを飛ばし、遠くに行っていた。

 

「仮面ライダー・・・V3。」

 

ぼそりとその名を呟くほむら。

彼女はその後、グリーフシードを1つ使って自分のソウルジェムを浄化し、もう一つはマミのソウルジェムを浄化するのに使った。マミはすぐに目を覚まし、ことの全てをほむらから聞いた。

 

これが、少女達と機械の男の出会いとなった。




ありがとうございました!
次からはsideV3へと突入します!!
何故、V3がスーパー磁石イノシシを一撃で倒せたのか。
誰がさやかとまどかを襲ったのか。
そして、杏子とゆま、風見志郎の関係はどうなっていくのかを書きたいと思います!!
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