魔法少女まどか☆マギカ クロスss/2つの風車と7つの宝石   作:がとーショコラ

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お待たせしました!
ようやく志郎が見滝原へ到着します(とは言っても、前話で少しだけ登場したけど…)!
それと、今回は戦闘シーンは全くないです。1文字も無いです。完全な日常回、だと思います。
それでは、お楽しみください!


第5話 機械と少女の出会い/後編 side仮面ライダー①

風見野の某ホテル。杏子やゆまよりも早く目を覚ました志郎は他のライダーへと連絡を入れていた。本来なら昨晩にするはずだったが、レッドボーンリングの使用によるダメージが来たことにより、自己修復を優先したためにこうなった。

 

(魔法少女と魔女の存在を知らされた。みんなの所にも魔法少女がいるのか?)

 

その問いに本郷猛が答える。

 

(ああ。全員魔法少女と共にいる。魔女とも交戦済みだ)

 

次に一文字隼人が志郎に聞く。

 

(志郎、おめーQBに会ったか?)

 

志郎はその質問に、はいと答えた後、どうしたのかと聞いた。

 

(いや、な。お前、あいつらの目的を聞いたか?)

(はい。自分たちの目的はこの世を守ることだと言ってました)

 

信じられないが、と付け加えた後、志郎は回線を切ろうとした。しかし、沖和也によって止められた。

 

(どうした和也?)

 

志郎が聞く。

 

(実は、風見さんに聞きたいことがあるんです)

(聞きたいこと?)

(はい)

(何だ?)

(風見さん、今見滝原に向かっているんですよね?)

(・・・?そうだが、それがどうかしたのか?)

 

訝しげに聞く志郎。

 

(どうして見滝原に行こうとしているんですか?)

(何を言っている?日本にいるのが俺だけだからって理由だろう?)

(風見さん、俺たちはそんなこと言ってませんよ)

(何?)

(俺たちは風見さんが見滝原に行くなんてこと知らなかったし、俺たちが見滝原に行ってほしいとも言ってないんです)

 

和也からの通信に驚きながら、どういうことだと聞く。

 

(話し合ったんですけど、分からないんです。ただ、いくつかの共通点があるんです。)

(共通点?)

(はい。あの日、通信の一部が何者かによって意図的に操作されてたんです)

(どういう事だ?)

(ここからは僕が説明するよ)

 

そこで、和也に変わって結城丈二が話し始めた。

 

(通信の内容が変えられた場所はいくつかある。一つは互いにどの場所へと向かうかということ。そして、それ以降の会話が不自然にならないように所々変えてあった)

(つまり、俺たちは行かされた、と)

 

志郎は不思議に思っていた。自分たちが使っている通信の波長は特殊なもので、いかなる組織であっても傍受できないものだからだ。

何故だ、と考える反面、ある一つの可能性を口にした。

 

(ネクスト・デストロン…)

 

瞬間、全員がそれについて聞く。なので志郎は自分が最近倒した怪人ー弱体化したサイタンクと強化改造されたマシンガンスネークーについてや、QBから聞いたことについて話した。

 

(新しい組織、か)

 

村雨良が呟く。

 

(一つ気になることがあるんだがよ)

 

それまで黙っていた城茂が話し始めた。

 

(ネクスト・デストロンはサイタンクにマシンガンスネークを風見さんに送ってきたんだろ?マシンガンスネークは分かるんだけどよぉ、何で失敗作のサイタンクまで戦わせたんだ?負けることは分かってんのに)

(おそらくは)

 

志郎は一つの可能性を提示する。

 

(大した戦力を持ってないからだろうな。強化改造したといっても一から怪人を作るよりもはるかにコストは低い)

(だからサイタンクを投入せざるをえなかった、と)

(そういうことだ)

 

直後、志郎は後方で体を動かす2つの気配を感じた。

 

(すまない、用事が入った。切るぞ)

 

そう言って通信を切った志郎はゆまと杏子の元へ向かった。

 

魔法少女まどか☆マギカ クロスSS

2つの風車と7つの宝石

 

「わぁ〜い!!」

 

遊園地に入った瞬間、ゆまは大喜びで駆けて行った。

 

「ったく、なんでゆまの奴はあんなにはしゃいでんだ?」

 

訳がわかんねーといった風に棒付きキャンデーを舐めながら杏子が言った。

 

「まあ、そう言うな。それに…」

「それに、何だよ?」

「いや、何でもない」

本当は志郎は気付いていた。愚痴を言っている杏子自身、遊園地に来てとても嬉しいのだということに。しかし、彼女の性格を一晩で把握していたので、それを言わずにいた。

 

「しやーねー、付き合ってやるか!」

そう言ってゆまの後を追う杏子。

 

「全く、素直じゃないな」

その様子を見て志郎は苦笑いをし、2人の後を追った。しかし、心の中は穏やかではなかった。

 

(魔法少女狩、か…)

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

ー約1時間前ー

 

目を覚ましたゆまと杏子を連れて、志郎はレストランにいた。ゆまは起きてからずっと機嫌がよく、対して杏子の機嫌は悪く、起きた時も投げつけるように志郎から貰った財布を返した。

 

「ねぇーしろー、ドリンクバー頼んでもいい?」

 

ゆまが物欲しそうな顔をして尋ねる。

 

「別に構わん。だが、ご飯もしっかり食べるんだぞ」

 

志郎からの許可がおりて、ゆまはとても嬉しそうな顔をして注文し、店員に渡された専用のコップを持ってジュースを注ぎに向かった。

ゆまがいなくなったことを確認し、志郎は杏子にある事を聞いた。

 

「昨日、奴が言っていたことだが」

「奴?」

「QBだ」

「あぁ。それで?」

「魔法少女狩りについて気になってな」

「あぁ。それで?」

「何か知ってることはないか?」

「あぁ。別に」

「…」

「…」

 

杏子のそっけない反応に黙る志郎。対して杏子も何も言わなかった。

そこからしばらくの沈黙が訪れる。志郎はじっと杏子を見つめるが、杏子は俯いたままだった。

 

「あ、あの、さ」

 

急に杏子が話しかける。

 

「あ、あの、さ…」

「何だ?」

「志郎は、仮面ライダー、なんだよな?」

「…、ああ。俺は仮面ライダーだ。それがどうかしたのか?」

「いや、あの、その…」

 

志郎の質問に対し、歯切れ悪く答える杏子。

 

「あ、あのさ、志郎って、BADANが攻めてきた時、戦ってたんだよな?」

「?ああ。そうだが?それがどうかしたのか?」

 

志郎がそこまで言った時、杏子は一瞬だけ寂しそうな顔をした。が、すぐに顰めっ面になり、コップを持って水を注ぎに席を立った。

 

「どうした杏子?」

 

その様子に心配した志郎は声をかける。しかし、彼女は志郎を一瞥しただけで、何も言わずに去った。

 

「どうしたんだ、あいつ」

杏子の背中を見て、志郎は首を捻った。

 

「何で、志郎の奴、覚えてないんだよ…」

 

志郎の視線を受けながら、杏子はボソッと呟いた。

 

______________________

 

『……う』

「ん?」

 

杏子とゆまが席を離れて少し経った時、志郎の脳裏に声が響いた。

 

『風見志郎!!』

 

今度ははっきりと自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。

 

(この声は、QBか)

 

そう思って周りを見回すと、後ろの席の客の頭に乗ったQBに目が入った。

 

(どうした?)

 

周りの客に不審がられないようにする為に通信を送る志郎。

 

『大変なんだ。魔法少女狩が行われている。すぐに来てくれ』

 

志郎の顔が驚愕に染まった。

【魔法少女狩】

その単語自体は昨日QBから聞いていたものだった。

 

(場所はどこだ!?)

 

志郎がそう尋ねると、QBはレストランから出て、

 

『すぐそこだ』

 

と言った。

分かったと通信を送り、席を立つ志郎。そこへ、ゆまと杏子がこっちに向かっていることに気付いた。

 

(くそっ!)

 

志郎は心の中で2人に謝り、財布を置いて店を出た。

 

(許せよ、杏子、ゆま!)

 

______________________

 

志郎はQBに連れられて裏路地に来ていた。

 

「本当にここなのか?」

QBに尋ねる志郎。それに対してQBはそうだよ、と淡白に答えた。

 

「だが」

「あれ!?恩人じゃーん!!」

 

志郎の言葉は別の声に遮られた。志郎がその方向を向くと、見覚えのある黒髪の少女ーキリカーと白髪の少女ー織莉子ーが志郎に向かって歩いてきた。

 

「ヤッホー、恩人!こんな所で会うなんて奇遇だね!」

「本当ですわ。志郎さん、おはようございます」

元気よくあいさつするキリカ。それと対照的な態度をとる織莉子。

 

「ああ…。奇遇だな。所でお前達はこんな所で何をしてるんだ?」

 

一瞬だけ怪訝そうな顔をし、素直な疑問をぶつける志郎。現在、彼らがいるのはひと気が余りに少なく、何か“悪事を働く’にはうってつけの場所だからだ。

まさかな、と思いながらキリカ達の答えを待つ志郎。

 

「………。ああ、ちょっち探し物しててね。ね、織莉子!」

「ええ。私が大事な物を無くしてしまって。それでキリカに手伝ってもらってますの」

 

ほう、と答える志郎。それに対してキリカは

 

「恩人はどうしてここにいるの!?」

 

と聞いた。

 

「ん、俺か?俺は人を探しているんだ」

「人、ですか?」

「どんな人ー?」

「そうだな。目印は身体のどこかに宝石を着けているか、指輪をしていると言っていたんだが…」

杏子の魔法少女姿と普段着姿を想像しながら志郎は答えた。

 

「んー、あたしらがいた方向にはいなかったなー」

「ええ。わたし達以外に人はいませんでしたわ」

 

キリカと織莉子は互いに答えた。

志郎は2、3秒思考した後、

 

「ありがとう。だが、もう少し探してみる」

 

と言って、織莉子達と別れた。

 

「さて、案内してくれ」

『分った』

 

2人の背中を見送った志郎は前を向き、志郎はQBと共に進んでいった。

 

______________________

 

キリカ達と別れ、志郎がQBについて行って10分ほどが経った。しかし、依然として魔法少女狩の犯人らしき人物もその被害者らしき人物も見つからないでいた。

 

「まだなのか?」

 

痺れを切らした志郎がQBにきいた。しかし、QBは何か焦っているような様子を見せているだけだった。

 

「QB、どうした?」

 

志郎の度重なる質問にも答えないQB。そんな様子に苛立ったのか、志郎は、おい、と大きめの声で言った。

 

『しまった…』

「何?」

『遅かった』

「どういう事だ?」

『実は…』

 

ここで、QBは魔法少女狩の被害者である女の子について話し始めた。

 

『実は僕が彼女を見つけたのは魔女の結界の中なんだ。僕が見つけた時には既にやられていたし、魔女もやられていた。本当はすぐに何とかしようとしたけど僕の力じゃどうにも出来ない。だから偶々近くにいた君を呼んだんだ』

「……」

『でも、予想以上に結界が閉じるのが早かった。これは僕の計算違いだったようだね』

「……そうか……」

 

志郎は何とかその言葉だけ絞り出すと引き返し始めた。その様子を見てQBが、帰るのかい、と尋ねる。

 

「ああ。俺にできる事はもうないからな」

そう言って志郎はその場を去った。一見すれば冷徹な反応のように思えたが、彼の心は違っていた。

 

(間に合わなかった…。魔法少女狩か…。次は逃がさん)

 

深い後悔と赤く燃える怒りに包まれていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

レストランに戻った志郎はゆまと杏子と合流し、風見野で唯一営業が再開している遊園地へと向かった。杏子の機嫌は未だ直っておらず、ふくれっ面をしていたが、大人しく志郎達について行っていた。そして、冒頭に至る。

あの後、ゆまと杏子はコーヒーカップに乗っていて、志郎は外から2人を見つめていた。

 

「キャーーーー!目が回る〜!!」

「あはははははは!もっと回すぞ〜!!」

 

ゆまはコーヒカップの縁に掴まりながら叫び、杏子はハンドルを回しながら笑い声を上げていた。

普段であれば微笑ましい光景。しかし、やはり志郎には先ほどの事が気になって仕方なかった。

 

(QBが嘘を吐いているか、それともキリカ達が嘘を吐いているか。だが、キリカ達が嘘を吐くメリットはあれども、QBが嘘を吐くメリットはない。それに奴らには僅かだが血の臭いがした。)

 

風見志郎は改造人間である。それゆえ、聴覚や視覚、触覚、そして嗅覚が以上に発達していたー本来は常時発達状態だが、志郎は改造人間としての経験が長いため、戦闘時や緊急時を除いては五感を極力人間に近いものへと調整する事ができるー。

 

(あの臭いは一人分の血ではない。何人もの人間の血を被ったのような、そんな臭いだった。そうなれば……)

「おーい、志郎ー!!次行こうぜー!!」

 

そこまで考えた時、杏子に呼ばれた。思考へとトリップしかけていた志郎は一旦考えることを中断し、ある確信と共に、2人の元へと向かった。

 

(魔法少女狩の犯人は、呉キリカ、そして、美国織莉子、なのか?)

 

______________________

 

ゆまと杏子、そして志郎の3人はいくつかのアトラクションに乗った後、遊園地内のレストランで昼食を摂っていた。

ゆまはお子様ランチ、杏子はハンバーグ定食、志郎はコーヒーとブレッドを食べていた。

 

「なあ、志郎はそれで足りんのかよ?」

「本当だ。志郎少ないね?」

 

杏子が志郎の食事を見て尋ねる。すると、ゆまもそれに同調したかのように聞いた。志郎はコーヒーを一口啜ると、

 

「俺は燃費がいいからな。これでも多いくらいだ」

 

と言った。

それに対してゆまは、ほぇ〜、と感心したような気の抜けたような返事をし、杏子は寂しそうな顔をした。

それからは誰も話さず、黙々とご飯を食べ続けた。

 

「ねぇ〜しろー」

 

十数分後、ゆまがやる気のない声で志郎に言った。

 

「早くあそびに行こーよー。ゆま暇ー」

 

ゆまの催促の声に、志郎と杏子は互いに見合わせ、クスリと笑ってから

 

「そうだな。行くか」

「おい、ゆま!次はどこに行きたい?」

 

と、席を立ちながら言った。

 

______________________

 

あれから志郎達は多くのアトラクションに乗った。ゴーカートや観覧車、メリーゴーランドにバイキング。今度は志郎も見ているだけではなく、ゆま達と共に遊んだ。運良く空いていたため、少ない時間で多くのアトラクションに乗ることができた。

 

「しろー!きょーこー!ゆま、次はあれに乗りたーい!」

 

ゆまはスカイサイクル目指して走り出した。

 

「全く、あいつは疲れるってこと知らねーのかよ」

 

杏子は愚痴をこぼしながらゆまを追った。口調こそ乱暴だが、表情は午前中よりも生き生きしていて、歳相応の笑顔を見せていた。

しかし、志郎は表情こそ笑顔に近いものだったが、心の中ではそうではなかった。午前中とはまた別の問題に直面していた。

 

(ゆまと杏子を、どうするか…)

 

本来、志郎の目的は見滝原へと向かう事だ。しかし、現在彼は佐倉杏子と千歳ゆまという2人の子供と共にいる。

 

(あいつらを置いていくわけにはいかないしな…。杏子は昨日見た感じ親はいないだろうし、ゆまの親は殺されている。そうなると、あいつらは完全に孤児だ。だが、俺にもやらねばならない事がある。どうするか…)

 

この時、志郎の選択肢は2つあった。ゆま達を見滝原に連れて行き、やるべき事を終えるまで面倒を見るというものと、見滝原に行かずに2人と共にいるかということだった。

 

(しかし…)

 

志郎はこの選択肢が非現実的だという事に気付いていた。

 

(あいつらを、特に杏子を連れていくことは無理だ。仮に連れて行ったとして、あいつらの面倒を見ながらほむらちゃんとやらを助ける事はできるとは思えん。かといって行かないわけにはいかない。さて、どうする?)

 

当然ながら、彼が解決しなければならない問題はそれだけではなかった。例の魔法少女狩についてもなんとかしなければならないと感じていた志郎はあまりの問題の多さに、珍しく頭を抱えた。

 

______________________

 

時刻は午後3時を回った。乗れるだけのアトラクションに乗った志郎、ゆま、杏子の3人は遊園地内にあるベンチに座って休憩していたーゆまは余程疲れたのか、杏子の脚を枕にして眠っていた。杏子も最初こそは嫌がっていたが、結局は渋々了承したー。

志郎は難しい顔をし、杏子は近くにあった自販機にあったジュースを志郎に買ってもらって、それを飲んでいた。

 

「なあ、志郎」

 

不意に杏子が口を開く。

 

「何だ?」

「志郎はさ、何かしなきゃならない事があるんじゃないのか?」

「……」

「なあ」

「何故そう思う?」

「ずっと何かを考えてるみたいだったからな」

「ほう、よく分かったな」

「あのなぁ、あたしは魔法少女だぜ?そんぐらいの観察眼ぐらいはあるさ」

「………。そうか」

 

志郎は一瞬迷った。自分の考えを正直に告白すべきかどうか。

仮に言ったとして彼女達は何を選ぶのか。

それが全く分からなかったからだ。

 

「………」

「………」

2人の間に沈黙が訪れる。杏子はただ志郎を見つめ、志郎は目を瞑っていた。

 

「実は」

 

沈黙を破り、志郎が口を開く。

 

「実は俺には、行かねばならない場所がある」

「どこだよ?」

「見滝原だ」

「!?」

 

志郎の言葉を聞き、杏子の顔は驚愕に染まった。

 

「な、なんでだよ?」

「それは秘密だ」

「………チッ。で?さっさと行きゃいーじゃねーか」

 

舌打ちをした後、杏子がそう言った。

 

「………」

「…。おい志郎、まさかテメェ」

 

黙る志郎に苛つきを隠さず、荒い口調で話す杏子。

 

「まさかテメェ、あたしらが可哀想だからとかって理由でここにいるんじゃないよな?」

「そうだと言ったら?」

「テメェを一発ぶん殴る」

「ほぅ。なぜだ?」

「こいつは別として、あたしは同情なんかしてほしくないからさ。親が死んでるだけでどうとか言う奴は心底苛つくからな」

「…。そうか。そう、だよな」

 

志郎は目を閉じ、そう答えた。瞼の奥にはかつての光景が広がっていた。

家族を殺され、その復讐の為に仮面ライダーとなった自分。そして、珠純子ー仮面ライダーV3を支援した、元少年ライダー隊の通信係で、志郎と同じくデストロンの被害者ーの同情とも哀れみともいえない態度にムカつき、危険だからと言う理由で突き放した自分の姿がそこにあった。

 

(こいつも、俺と同じ、か。ならば)

 

決意を決めた志郎は財布を取り出し、杏子へと差し出した。

 

「おい、どういうつもりだ?」

 

財布を受け取らず、杏子が聞く。

 

「簡単だ。お前達が独り立ちするまで支援するだけだ。2人を養うだけの金は持ってるからな。それに、お前だっていつまでもホテルに無断宿泊するわけにはいかんだろ?」

「…。チッ、分かったよ」

 

ゆまを一瞥し、舌打ちをいながらも杏子は受け取った。

 

「俺はそろそろ行く」

「そうかよ。さっさと行っちまいな」

「杏子」

「なんだよ?」

「……。いや、なんでもない」

 

そう言って志郎は身を翻し、その場を去った。

 

______________________

 

志郎が去ってから1時間ほど経った時、ゆまは目を覚ました。初めこそは志郎が居なくなって寂しがっていたが、すぐに慣れたようで、杏子と共にホテルへと向かっていた。

 

「楽しかったね、杏子!」

「ん、ああ。よかったな」

「また行きたいね」

「そう」

『やあ、杏子』

 

杏子の言葉の途中で何者かが無機質な声で被せる。杏子は声のした方向へと向く。そこには宙に浮いたQBがいた。

 

『こんな所にいたのか』

「なんだよ。テメェが来るなん」

「わぁっ!!」

 

またしても杏子の言葉の途中で何者かが声を被せる。その正体はゆまだった。

 

「すごぉい!!ぬいぐるみがお喋りしてる!!」

『やあ、君が千歳ゆまだね?僕の名前はQB。今日は君に』

「んんっ!!」

 

今度はQBの言葉に杏子が咳払いを被せる。

 

「何しに来た?」

 

なにかを察したのか、先程よりも厳しい口調で尋ねる杏子。そんな態度を物ともせず、QBは答えた。

 

『簡単さ。千歳ゆま。僕と契約して魔法少女にならないかい?』

「魔法、少女?」

『そうさ。僕は君の願いをひとつ、なんだって』

 

グチャ………。

 

QBはそこまで言ったかと思うと、何か生々しい音と共に地面に落ちた。杏子がソウルジェムから槍を生成し、突き刺したのだ。

 

「え、杏子?」

 

目の前の光景に驚きを隠せないゆま。対して杏子は冷たい声で

 

「いいか、ゆま。こいつの話は絶対に聞くなよ?」

 

と、突き刺すほど冷たい口調で言った。

 

______________________

 

(ようやく着いた)

 

同時刻、志郎はGT750を駆り、見滝原へ着いた。

 

「それにしても、酷いな…」

 

目の前に広がる光景にそう言わざるをえなかった。彼の目の前には破壊され尽くした街だった。かつての地方都市のおもかげは全くなく、どれほどの攻撃を受けたかを物語っていた。幾つかの民家や公共施設のような建物は再建されているが、その他の所はそのままだった。

 

(ここにも、多分だが魔法少女はいる。が、場所が分からんな)

 

そう思った志郎は腰のベルトよ の左側に手をかけた。

 

「V3ホッパー!!」

 

上空500mから25km四方の映像ー本来は10km四方だが、ベルトを修復した際、強化されたーが志郎へと送られる。

 

「!奴ら、一体何を!?」

 

何かを見つけた志郎は焦った様子でGT750に乗り、その場所へと向かった。




ありがとうございました!
今回は戦闘シーンが全く無かったです。期待していた人はすみませんm(_ _)m
その代わり、次は2つの戦闘を盛り込むつもりです!
V3との対戦カードは磁石イノシシとまさかのアレです!!
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