遊戯王ARC-V Undead Duelist 仮面を添えて。   作:羽吹

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エクシーズ次元編、番外編です。

【注意】
瑠璃の性格が原作と(ry


その兄妹と、仮面。(vs黒咲)

 

「よって、私は眼鏡をつけたマフラーの化け物、赤馬零児と名乗る社長とのデュエルに引き分け、このアイテムによってこの次元に飛ばされたの」

 

 大きく腕を振り上げてジェスチャー。次いでサングラスを眼鏡に見立てて相手を見下ろす赤馬社長ポーズ。カメラさん、下から映すのはやめてください、靴下は履いています。

 

「へぇ、それで、そのアイテムって?」

 

 と、ユートの声。ゴーストタウンと化した街を歩きながら、遊歌の話にユートが相槌を打つ。聞き上手なユートに、遊歌は腕に着けたウジャト眼の彫刻が施されたブレスレットを強調するように振る。

 

「これよ。スタンダード次元で手に入れた伝説のアイテムでね、とても貴重なものなの」

「伝説って?」

「ああ。それってハネクリボー?」

「こいつはカーバンクルのルビーだ」

「ユート。何を言っている? それは幻影騎士のブレイクソードだ。カーバンクルではない」

 

 おっと、少しうっかりしていた。とユートが笑って、黒咲が心配そうにユートに気遣う。

 

「無理はするな。アカデミアとの連戦が続き、お前は3日は寝ていないだろう。少し休むべきだ」

「まあ、随分走り回ったしね。貴方も相当消耗したんじゃないかしら」

「貴様は黙っていろ。俺はお前を信用していない。ユートもそうだろう。先程のユートの嘘も、お前を試していたものだったのだとすれば、納得がいく」

「いや、隼、それは素で──」

「ユートがっ。自分のデッキのモンスターを間違える筈がない! やはり、こいつは信用できない。そういうことだろう、ユート!」

「…………ぁ、あぁ」

 

 不自然にユートは視線をそらす。だが、黒咲と口論を始めた遊歌はその様子に気付くことができず、黒咲の理不尽な行動を非難していた。

 お互いに譲る気のない様子を見たユートは、ばつが悪そうに二人の会話に割って入ろうとする。だが、ヒートアップした遊歌と黒咲の二人は逆にユートを睨み、『邪魔をするな』と逆ギレをされた。

 

「そこまで言うならデュエルで証明しましょう!」

「ほう、いいのか? デュエルをすれば貴様がアカデミアの刺客であることが露見するぞ?」

「そうでは無いことを証明してあげると言ってるの。ただし、このデュエルで私が勝てば、黒咲、貴方には私に謝ってもらう。そうね、そこの地面に、土下座でどう?」

 

 遊歌の宣言。挑発の文面が込められたそれは、黒咲にとって遊歌を敵だと認識するには充分なもので、

 

「いいだろう。後悔させてやる」

 

 当然、黒咲はデュエルを受けた。

 

「待て、隼。俺は別に遊歌をアカデミアだとは思っていない! 怪しい点はあるが、俺たちに敵対感情は持っていないと──」

「黙っていろユート。これはもう、そう言う問題ではない。お前がどう思っていようと、俺は既にこいつを敵だと認識したのだ!」

「ええ。今に限っては、私は黒咲の敵よ。その一方的な考え、地面に頭を擦り付けて磨耗させてあげる」

「遊歌……。君まで……!」

 

 ユートが頭を振る。もう何を言ってもこの二人には届かないと理解した彼は、本当に土下座をさせられるようなことが起きたら、それは身を呈して止めようと考え、このデュエルを見届ける事に決める。

 

「はぁ。分かった。なら、俺がこのデュエルを見届ける。二人とも、分かってるだろうが、フェアプレーでデュエルをしてくれ」

「ええ」

「ああ」

「では、」

 

「「デュエル!」」

 

「俺の先行。貴様を相手に手加減はない! 俺は《RR-バニシング・レイニアス》を召喚し、効果で手札の『RR』モンスター特殊召喚する。俺は《RR-トリビュート・レイニアス》を特殊召喚。そして、このカードの効果でデッキから《RR-ミミクリー・レイニアス》を墓地に送る」

 

 機械化された鳥獣が瓦礫の中から飛び出して、フィールドに舞い降りる。その鳥は甲高い叫び声をあげ、周りの瓦礫を吹き飛ばす。

 そして、声に反応したのか、どこからか別の機械の鳥が飛び込んできて、ここはRRの巣となった。

 

「これは、止まらないぞ……!」

 

 黒咲の初手を確認したユートが驚愕と共に言葉を漏らして、気の毒そうに遊歌を見るが、当の本人は冷静に戦況を見極めている。

 モンスターの大量展開に動揺すらしない彼女の様子に、ユートは遊歌が相当に場数を踏んでいるのだと辺りを着ける。

 

(俺たちのハートランドのように戦場だった訳でもないと言うのに、隼の洗礼を受けても怯まないとは……。遊歌、君はいったい……)

 

 ユートは遊歌を見ながら固まっているが、それでもデュエルは進行し続け、黒咲の容赦のないデュエル展開が初手から繰り広げられる。

 

「更に墓地に送られた《ミミクリー・レイニアス》を除外し、デッキから《RR-ペイン・レイニアス》を手札に加える。続いて永続魔法《RR-ネスト》を発動し、その効果でデッキから《RR-アベンジ・ヴァルチャー》を手札に加える。

 行くぞ! レベル4の《RR-バニシング・レイニアス》と《RR-トリビュート・レイニアス》でオーバーレイネットワークを構築!

 ──エクシーズ召喚っ。《RR-フォース・ストリクス》!」

 

 二体のモンスターが黒い閃光となって渦のなかに引きずり込まれ、一体の梟が産声をあげた。

 

「《RR-フォース・ストリクス》の効果を発動! デッキから鳥獣族・闇属性・レベル4のモンスターを手札に加える」

「なっ……! サーチ能力……!?」

 

 遊歌の表情が驚愕に彩られる。

 今までの流れからしても、RRは展開力・サーチ力に長けたデッキなのだと分かる。その上でエクシーズモンスターにサーチができるモンスターまで加われば、手札を減らさずに大量展開が可能だと理解したのだ。

 

「まだだっ! 俺は《RR-ファジー・レイニアス》を手札に加え、特殊召喚。このカードは1ターンに1度、フィールドに『RR』モンスターがいる時、手札から特殊召喚できる。そして《ペイン・レイニアス》の効果も発動っ。このカードは1ターンに1度、自分フィールドの『RR』モンスターを選択し、そのモンスターの攻撃力か守備力のどちらか低い方の数値分のダメージを受け、手札から特殊召喚し、対象のモンスターと同じレベルになる。更にダメージを受けたことにより、手札から《RR-アベンジ・ヴァルチャー》を特殊召喚する」

 

【黒咲】LP4000→LP3500

 

 自分のモンスターでダメージを受け、その効果を利用して更にモンスターを展開するコンボ。大量のサーチによって可能になった動き。

 これで黒咲のフィールドにはレベル4のモンスターが三体。よって、

 

「2体目だっ。《ペイン・レイニアス》と《ファジー・レイニアス》でオーバーレイネットワークを構築する。来い《フォース・ストリクス》!

 その効果により、ORUの《RR-ファジー・レイニアス》を墓地に送り、デッキから《RR-シンギング・レイニアス》を手札に加え、墓地に送られた《RR-ファジー・レイニアス》の効果で、デッキから同名カードをサーチ。そして《RR-シンギング・レイニアス》を特殊召喚する。このカードは自分フィールドにエクシーズモンスターが存在する時、手札から特殊召喚することができる」

 

 これで黒咲のフィールドにモンスターが二体存在する。それはつまり──

 

「3体目だ! 俺は《アベンジ・ヴァルチャー》と《シンギング・レイニアス》でオーバーレイ! 《フォース・ストリクス》!

 効果で《RR-ブースター・ストリクス》を手札に加える。俺はこれでターン終了する」

 

 フォース・ストリクスが三体。守備力3000のモンスターを三体並べながら、黒咲の手札消費はトータルでたったの一枚である。

 

(それに、最後に手札に加えたモンスター。あそこまで展開した以上、あのモンスターは恐らく守備用の手札誘発モンスターだと見るべき。権現坂君たちみたく手札誘発のカードを時折確認したりはしていないけど、私の勘がそう言ってる。《RR-ネスト》のようなサーチカードがある以上、必要以上の警戒は死を招くでしょうけど。それでも戦闘破壊は諦めた方がいいわね)

 

 凄まじいプレッシャーを放つ黒咲。まるで技ポイントが普段の二倍の速さで削られているような感覚を遊歌は覚える。しかし、そんなプレッシャーは慣れているとばかりに、動揺もなく、冷静に戦況を分析して手札から戦略を考えていく。

 

【黒咲】

 LP3500

 手札4枚

 モンスター

 《RR-フォース・ストリクス》×3

 魔法・罠

 永続魔法《RR-ネスト》

 

「私のターン、ドロー。魔法カード《精神操作》を発動。貴方の《フォース・ストリクス》ってファルコン、かわいい」

「貴様ぁ! 俺の仲間を愛玩動物にするつもりかっ。それにフォース・ストリクスは梟だ。ファルコンではない!」

 

 モンスターのコントロールを奪われ、自分のモンスターを好き勝手にもふもふと弄っている遊歌に黒咲は堪らずに声を荒げた。

 

「そうなんだ。でもこのフィールドの中ではどんなモンスターもアンデットに早変わり。私はフィールド魔法《アンデットワールド》を発動する」

 

 ぼこっ、ごぽっ、と地面からしゃれこうべが独りでに涌き出て、フィールドが瘴気に染まる。

 けたけたと髑髏が笑う世界。瘴気の満ちるこのフィールドでは全てのモンスターはアンデットに変更される。その効果を受け、フォース・ストリクスの守備力が2000にまで減少した。

 

「私は魔法カード《闇の誘惑》を発動。2枚ドローして《地獄の門番イル・ブラッド》を除外。続けて《D・D・R》を発動し《ヴァンパイア・グレイス》を墓地に送って《イル・ブラッド》を特殊召喚。そしてこのカードをデュアル召喚することで、墓地から《ヴァンパイア・グレイス》を特殊召喚する。

 レベル6《地獄の門番イル・ブラッド》と《ヴァンパイア・グレイス》でオーバーレイネットワークを構築。──エクシーズ召喚。《巡死神リーパー》!」

 

 エクシーズ召喚。この次元におけるスタンダードの召喚法を使用し、まずは展開を始動させる。

 

「《巡死神リーパー》の効果を発動。ORUを1つ使用し、お互いのデッキからカードを5枚墓地に送る。更に《エクシーズ・ギフト》でカードを2枚ドローする」

「《エクシーズ・ギフト》。自分のフィールドにエクシーズモンスターが2体以上存在するときのみ使える魔法。なるほど《精神操作》はこの為の伏線だったと言うわけか」

 

 ユートの呟き声が響く。何度か共闘する間に、運命力に物を言わせた複雑なデュエルタクティクスを見慣れていたとはいえ、よくもあんな安定性の無いデッキを回せるものだと息を着く。

 同時に違和感も覚えた。ユートには遊歌がただフォース・ストリクスの守備力を下げるためだけにアンデットワールドを張ったとは思えないのだ。

 そして、その疑問の解答はすぐに帰って来た。

 

「これで私のフィールドにはアンデット族モンスターが2体存在することになった。よって、私は手札から《火車》を特殊召喚する」

「っ、デッキバウンスだとっ!」

 

 黒咲が驚きに目を剥いた。

 火車。このモンスターは自分フィールドにアンデット族モンスターが2体以上存在するときのみ特殊召喚でき、特殊召喚時にフィールドの全モンスターをデッキに戻してしまうのである。

 

「墓地になんて置かせてあげない。そして私のフィールドのレベル8以上のモンスターをリリースすることで《アドバンスドロー》を発動。お疲れさま火車。そして速攻魔法《デーモンとの駆け引き》によってデッキから《バーサーク・デッド・ドラゴン》を特殊召喚する」

 

 《バーサーク・デッド・ドラゴン》

 /☆8 ATK3500 DEF0

 

 エクシーズ召喚を踏み台に上級モンスターの連打。モンスターが二転三転していく落ち着きの無いデュエルだが、その最後の形は綺麗に相手に合わせられている。

 攻撃力3500。黒咲のライフも同様に3500であり、この時点で後攻ワンショットが成立していた。

 しかし、

 

「終わりよ。《バーサーク・デッド・ドラゴン》で直接攻撃。バーサーク・ストラグル!」

「墓地から罠カード《RR-レディネス》を除外。このターンのダメージを全てゼロにする!」

 

 この程度で終わる黒咲ではない。彼は焦ることもなく、リーパーの効果によって墓地に送られていた罠カードを使用してダメージをなくした。

 黒咲を仕留める絶好の機会を逃した遊歌。リーパーの効果を使わなければこの時点で勝利していたのだが、そんな後悔をいつものこと、と彼女は割りきる。失敗と後悔は遊歌に取って慣れ親しんだものなのだ。

 

「……カードを2枚伏せてターンを終了する」

「俺のターンだ」

 

 黒咲はドローしたカードを確認し、目を閉じた。デュエル中にこのような行為をするのは珍しいのか、ユートが不審な雰囲気を漂わせる黒咲に目を向ける。

 やがて静かに瞼を上げた黒咲は、

 

「俺は《RR-インペイル・レイニアス》を召喚。このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズに、フィールドの表側攻撃表示のモンスターを守備表示に変更できる。だが、俺はその効果を使用しない!」

「隼!? 何を言っている!?」

 

 意味☆不明の宣言を行った。

 バーサーク・デッド・ドラゴンの攻撃力は3500である。遊歌のターンエンド時にデメリット効果によって3000まで下がってはいるが、それでも最上級モンスターの攻撃力に匹敵する攻撃力を誇る。対して守備力は0だ。闇属性守備力0ということから悪夢再びなどに対応するメリットにもなるが、今回においては最悪のステータスである。インペイル・レイニアスの効果を使えばワイトであっても戦闘破壊できてしまえる。

 

 だが、黒咲は拒否した。

 

 まるでプライドが邪魔をしたような、意地なのか意固地なのかすら分からない子供の我が儘のような行為。

 そして、

 

「行くぞ。俺は《インペイル・レイニアス》で《バーサーク・デッド・ドラゴン》を攻撃する」

「っ、これは……」

(何かの罠!? わざわざ、言わなくてもいい《インペイル・レイニアス》の効果を宣言してまでこんな行為をする意味は何? まさか《インペイル・レイニアス》には隠蔽された特殊な効果が存在して、35パーセントの可能性で相手のモンスターの攻撃を回避できるとか……? ううん。ユートがあそこまで取り乱すところを見るに、そんな荒唐無稽な話はない、はず。……くっ、分からない。黒咲の思考がまったく読めない! 自暴自棄になっているとは思えないほど冷静なのに、何て無茶苦茶な……。ええい、仕方がないっ!)

 

 遊歌がどう行動すべきか迷っていると、インペイル・レイニアスはすでにバーサーク・デッド・ドラゴンに肉薄していた。今を逃せば伏せカードを使用するタイミングは存在しない。

 

「永続罠《不知火流 輪廻の陣》を発動! 《バーサーク・デッド・ドラゴン》を除外して、このターンのダメージをゼロにする」

 

 バーサーク・デッド・ドラゴンが消失した。

 インペイル・レイニアスは空白になった場所を通りすぎて遊歌に接近し、体当たりを敢行する。だが、力が入らないのかふわふわした体当たりに落ち着き、遊歌の服の布を微かに揺らすだけに留まった。

 

「……警戒、したのか……」

「えっ?」

 

 小さく黒咲が何かを呟く。微かに空気を揺らしただけのその言葉は、遊歌に届く前に風に乗ってどこかに運ばれていった。

 

「……《インペイル・レイニアス》が攻撃をしたターンのメインフェイズ2、このモンスターは更なる効果を発揮し、墓地から『RR』モンスター1体を特殊召喚する。俺は《RR-ナパーム・ドラゴニアス》を蘇生させ、永続魔法《RR-ネスト》を使用する」

「この瞬間に速攻魔法《相乗り》をチェーン発動。このターン、貴方がサーチ・サルベージを行う度に私はカードを1枚ドローする」

「くぅ、ならば墓地からから《RR-バニシング・レイニアス》を手札に加え、《RR-ファジー・レイニアス》を特殊召喚。《RR-フォース・ストリクス》をエクシーズ召喚し、効果で《RR-トリビュート・レイニアス》を手札に加える」

「《ファジー・レイニアス》はORUのまま。でもね、その猶予が死に繋がっていくものよ。私のターン、ドロー! 手札から《酒呑童子》を召喚して効果を発動。墓地の《地獄の門番イル・ブラッド》と《不知火の宮司》を除外して1枚ドロー。《不知火の宮司》の効果で《ナパーム・ドラゴニアス》を破壊し、《手札抹殺》を発動っ」

 

 黒咲が5枚、遊歌は2枚の手札を交換した。手札を墓地に送る黒咲は苦い顔だ。サーチを多用する戦術を取る彼にとっては嫌なカードだったのだろう。

 

「墓地から《シャッフル・リボーン》の効果を発動。《酒呑童子》をデッキに戻して1枚ドロー。更に墓地から《妖刀-不知火》の効果を使用し、このカードと墓地のアンデット族モンスターを除外することで、アンデット族シンクロモンスターをエクストラデッキから特殊召喚する。

 私はレベル4《不知火の隠者》にレベル2《妖刀ー不知火》を擬似的チューニング!

 ──シンクロ召喚《デスカイザー・ドラゴン》」

 

 シンクロ召喚。エクシーズ次元では存在しないらしい召喚法だ。因みに融合召喚も存在しないらしい。ゼアル本編の中で某ナンバーズハンターさんが融合召喚をしていたので、ここはゼアルの世界ではないと言うことだ。

 

「シンクロ、モンスターだと……? 何だそれは? 白い枠のモンスターなど見たことがない!」

「ここには存在しないモンスターらしいからね。でも、デュエルディスクは不正を示さない。貴方たちには悪いけど、この召喚は有効よ」

 

 高性能のデュエルディスクは次元を隔てていようが別の召喚法を認識できるのだ。きゃーすごーい。

 自分のデュエルディスクを確認し、弄られた形跡が無いことを理解した黒咲は、ふん、と鼻を鳴らし、最低限の了承を遊歌に伝えた。

 

「そして特殊召喚された《デスカイザー・ドラゴン》と墓地の《ヴァンパイア・グレイス》、そして除外された《不知火の隠者》の効果が発動。貴方の墓地から《インペイル・レイニアス》を、ライフを2000支払い墓地から《ヴァンパイア・グレイス》、除外されている《不知火の宮司》と《妖刀-不知火》を特殊召喚」

「何っ、一瞬でフィールドが埋まっただと!?」

 

【遊歌】LP4000→LP2000

 

 黒咲が驚愕の声を上げる。無理もないだろう。手札を1枚も使わずに、たった1体の特殊召喚から五体のモンスターが並べたのだ。異常なまでの展開力に黒咲はただ閉口するしかない。

 だが、遊歌の目的は黒咲を驚かせる事ではなく、自分がスタンダード次元の住人でありアカデミアでは無いことを証明する為だ。

 よって、

 

「私は《置換融合》を発動して、フィールドに存在する《RR-インペイル・レイニアス》と《妖刀-不知火》で融合の儀式を執り行う。

 私の全力を! 私の全霊を!

 ──融合召喚っ。《冥界竜 ドラゴネクロ》!」

 

 まだまだ展開は続くのだ。

 

「更にレベル6《デスカイザー・ドラゴン》と《ヴァンパイア・グレイス》の2体でオーバーレイネットワークを構築する。

 ──エクシーズ召喚。《巡死神リーパー》!」

 

 シンクロ召喚からの融合召喚とエクシーズ召喚。儀式・ペンデュラムを除く全ての召喚法を駆使するデュエル。それこそがスタンダードにおけるデュエルの一つのあり方だ。もっとも、実際に全ての召喚法を扱うのは非常にトリッキーではあるのだけれど。

 こうしてスタンダードのデュエルを展開すれば、黒咲も自分をアカデミアではないと認めるだろう、と遊歌は考えたのだ。

 だが、遊歌の認識はチョコレートよりも甘かった。甘すぎたのだ。

 

「融合、召喚、だと……!」

「……黒咲?」

 

 黒咲が胃を押さえて震え出す。体がぴくぴくと痙攣して、伏せていた顔をゆっくりと上げた。

 

 ぞくり、と。

 

 遊歌におぞ気が走り、頬に軽く冷や汗が浮かぶ。

 裏デュエルで、闇のデュエルで、沢山の人を喰い殺してきた遊歌ですら冷や汗を感じるほどの殺気。それが黒咲から発せられた。

 

「っ、」

「貴様……。アカデミアだな……」

 

 地の底から響くような低い声が、

 

「融合は、俺たちを……。俺たちの友を、家族を、街を、夢を、希望を奪っていった」

 

 爆発する感情を押さえつけるように。

 

「俺たちが何をした……! どうして狩られなければならないっ。泣いていた友がいた。笑顔を無くした友がいた! 居なくなった友がいた!」

 

 反響する。

 

「俺はっ。俺たちから奪い取られたものをっ。絶対に奪い返して見せる! 何をしてもだ!」

 

 黒咲が叫ぶ。猛禽類のごとき瞳を遊歌に向けて、絶対に奪い返す、と語気を強めて吐き捨てる。

 

「隼! 落ち着けっ。遊歌がアカデミアだと決まったわけではない! 遊歌のいた場所に、融合召喚があっただけの可能性が──」

「黙っていろユートォ! あのモンスターは俺たちにとって災厄の象徴っ。打ち倒すべきものだ!」

「なん、だと……」

 

 今度が遊歌が静かに言葉を発する。

 遊歌の着けているブレスレットが、からん、と音を立てて、きぃ、と鳴く。同時に遊歌が纏っていた雰囲気が先ほどまでとはがらりと変わった。

 

「遊歌……?」

「黙って聞いていればぐだぐだぐだぐだと負け犬の遠吠えを好き勝手に吠えて、挙げ句の果てには私のドラゴネクロは災厄の象徴? その言葉、骨の髄まで後悔させてやる」

「貴様っ、負け犬だと……!」

 

 売り言葉に買い言葉。黒咲がキレたように、遊歌もまたキレたのだ。

 

「二人とも! 落ち着くんだ!」

「「黙ってろ!」」

「な、ぁ……」

 

 ユートが二人の間に入って、仲裁をしようと試みるものの、当の二人から黙っていろと怒鳴られた。

 その惨状に『どうしてこんなことに……』とユートは力なくうなだれ、しかしデュエルを見届けることはやめない。

 

「バトルよっ! 私は《巡死神リーパー》で《RR-フォース・ストリクス》を攻撃っ!」

「ぐっ、づぁあぁああああああああっ!」

 

 フォース・ストリクスが死神の鎌に切り裂かれる。両翼を切断され、バランスを崩したフォース・ストリクスの喉を掻き切り、噴出した血液で白い髪を赤く染め上げた。

 

「隼!? まさか、実体化しているのか……?」

 

 吹き飛ばされて瓦礫に埋まった隼を見たユートの推測通り、既にこのデュエルは尋常のデュエルではない。モンスターが実体化し、その衝撃がプレイヤーにも伝わっているのだ。

 

「どうしたの? 私のフィールドには《冥界竜 ドラゴネクロ》と《不知火の宮司》がいる。合計攻撃力は4500。あの遠吠えはただの負け惜しみだったのかしら?」

「それは、どうかな……?」

 

 遊歌の言葉に反逆するように、瓦礫に埋もれていたはずの黒咲が飛び出してくる。その傍らには小さな鳥が取り巻いていて、

 

「俺は手札から《RR-ラスト・ストリクス》の効果を発動していたっ! このカードは『RR』モンスターが戦闘を行うダメージ計算時に手札から特殊召喚できる!」

「手札誘発……。運の良いことね」

「そうだ。俺たちは運良く生き残っただけ。だからこそ、仲間の想いを無駄にはしない。《ラスト・ストリクス》の効果っ。この効果で特殊召喚した場合、フィールド・墓地の魔法・罠カードの数×100のライフを回復する」

「ならその魂に聞きなさいっ、私が本当に敵なのかどうかを! 《不知火の宮司》で《ラスト・ストリクス》を破壊し、《冥界竜 ドラゴネクロ》で黒咲に直接攻撃っ。ソウル・クランチ!」

 

 ドラゴネクロが黒咲に噛みついた。

 腕を拘束し、尻尾で体を打って一時的に抵抗力を削ぎ、黒咲の首筋に牙を立てその魂に食らいつく。

 

「う、っ、ぁあぁああぁあああああああああっ!」

 

【黒咲】LP3500→LP3700→LP700

 

 ドラゴネクロは実体化している。その痛みは脳が現実だと受け入れてしまい、痛覚や衝撃が死なない程度にリアルで再現されていく。

 竜に噛みつかれ、魂を啜られる実体験。その痛みは想像を絶するのか、ドラゴネクロから解放された黒咲はその場に崩れ落ちた。

 

「私のドラゴネクロを侮辱した報いよ」

 

 遊歌は言葉を吐き捨てて、黒咲に背を向ける。

 だが、

 

「ま、て……」

「貴方……。まだ意識が……?」

 

 その背中に、黒咲の言葉が掛けられた。

 

「まだ、デュエルは、終わって、いない……」

「隼! 無事か? 遊歌っ。これはいくらなんでもやりすぎだ! 一歩間違えれば本当に……」

「ユート! まだ、デュエルは終わっていないと言っているっ。デュエルの邪魔をするなっ!」

「しゅ、ん……?」

 

 這いずりながら立ち上がろうとする黒咲にユートが駆け寄って肩を貸そうとする。だが黒咲はユートを振り払い、震えながらも自力で立ち上がった。

 

「遊歌。お前のモンスターはアカデミアではない。そのモンスターにはお前の想いが乗っていた。配布されただけのデッキを道具のように扱う奴等とは正反対の想いが」

「黒咲……」

 

 遊歌を真っ直ぐと見つめ、黒咲が語り始める。ドラゴネクロの攻撃を受けたからこそ、そのモンスターには遊歌自身の執着じみた想いがあったとうそぶく。

 しかし、と黒咲は小さく首を振った。

 

「お前はアカデミアではないのかもしれない。だが、俺はまだ確信を持てていない。だからこそ、このデュエルでそれを確かめる。その結果がお前の言う通りであれば、土下座でも何でもしよう」

「……私も、負け犬と言ったことはこの場で撤回しましょう。だけど、謝るのはその確信を得てから。私は《不知火流 輪廻の陣》を発動し、除外されている《不知火の隠者》と《バーサーク・デッド・ドラゴン》をデッキに戻して1枚ドロー。《巡死神リーパー》の効果でデッキを5枚墓地に送り《黒白の波動》で《RR-ネスト》を除外する。そしてエンドフェイズに《不知火の武士》を除外して《妖刀-不知火》をサルベージする」

 

 そのまま伏せカードも出さずに、遊歌はデュエルディスクのエンドフェイズのボタンをタップする。軽やかな機械音がお互いの鼓膜を揺らして、黒咲のターンが始まった。

 

「俺のターン、ドロー。その為にも、俺は本気でお前を迎え撃つ。《RUMーソウル・シェイブ・フォース》を発動! ライフポイントを半分払い、俺は墓地のモンスターをランクアップさせる!」

「ら、『RUM』……? それも、墓地から!? そんなっ! 一体何がどうなってるの!?」

 

【黒咲】LP700→LP350

 

 遊歌がこれまでに無いほどに取り乱す。RUMは特殊なカードなのだ。その出自はアストラル世界やバリアン世界と関わるものであり、当然この世界には存在しないはずである。

 

「まさか、バリアン!?」

「何を言っている。俺は人間……っぅ!」

「やめろ隼! そのカードはまだ研究中のもので、使えば体に相当の負担がかかる──」

「だからなんだ! 確かにこのカードは研究中の対アカデミア用の切り札っ。だが、こいつを相手に手加減などしていれば負けるのはこちらだっ!」

 

 遊歌が混乱から意味☆不明な事を言い出し、ユートが黒咲を諌めようとする。だが黒咲はその言葉を突っぱね、自身の体の負担を省みずにデュエルを続行した。

 

「俺は墓地の《フォース・ストリクス》でオーバーレイネットワークを再構築する。ランクアップ・エクシーズ・チェンジ! 来いっ《RR-レヴォリューション・ファルコン》!」

「そんな危なそうなの通すわけないでしょうっ。永続罠《不知火流 輪廻の陣》の効果を発動。私のフィールドの《不知火の宮司》を除外して、このターンの私へのダメージをゼロにする。そして《不知火の宮司》が除外された場合、相手フィールドの表側表示のカード1枚を破壊する!」

 

 遊歌はソウル・シェイブ・フォースにチェーンして不知火流 輪廻の陣を発動させる。これによってランクアップしたモンスターの自由を許さずに不知火の宮司の効果を打てるのだ。

 

「レジスタンスは滅びない! 俺は墓地に存在する《RUM-レイド・フォース》の効果を発動。そのカードと手札の《RR-スカル・イーグル》を除外して、墓地から《RUM-ソウル・シェイブ・フォース》を手札に加える。もう一度ランクアップ・エクシーズ・チェンジだ!

 《RR-レヴォリューション・ファルコン》!」

 

【黒咲】LP350→LP175

 

 《RR-レヴォリューション・ファルコン》

 /R6 ATK2000 DEF3000

 

 だが、黒咲は諦めずにもう一度レヴォリューション・ファルコンを召喚する。凄まじいまでの執念の表れであるともいえるだろう。

 

「うっ、ぐはっ、ぐぅ……! お、俺は《レヴォリューション・ファルコン》の効果を発動する。このカードは『RR』エクシーズモンスターをORUとしている場合、相手フィールドのモンスター1体を破壊し、その攻撃力の半分のダメージを与える!」

「《不知火流 輪廻の陣》の効果で、このターンに私へのダメージは全てゼロになる」

「だが、それはお前に対してだけ。モンスターへのダメージは通るっ! 行け《レヴォリューション・ファルコン》っ。《冥界竜 ドラゴネクロ》を破壊しろ!」

「そのモンスターの攻撃力は《冥界竜 ドラゴネクロ》よりも下よ。迎え撃て《ドラゴネクロ》っ!」

 

 空中からの波状攻撃でもって、レヴォリューション・ファルコンはドラゴネクロを制圧する。

 暴風の嵐を爪で切り裂いて、尾で降り注ぐ爆薬を凪ぎ払うドラゴネクロ。だが飽和する爆撃の嵐には耐えることができず、吠えながらもドラゴネクロは爆薬の海に沈んでいった。

 

「《レヴォリューション・ファルコン》は特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うダメージステップ時、そのモンスターの攻撃力・守備力を0にする。よって《ドラゴネクロ》は破壊される」

「ドラゴネクロはただでは死なない。このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時、そのモンスターの攻撃力を0にする」

 

 相手の痛みを奪い取る効果もあるのだが、それはレベルを持たないエクシーズモンスターが相手では奪えないのだ。

 

「っ、《レヴォリューション・ファルコン》の攻撃力を潰されただと……。ならば、更にランクアップするまで! 俺は《RUM-スキップ・フォース》を発動。《レヴォリューション・ファルコン》のランクを2つ上げる。

 ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!

 《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》!」

「そんな……。更なるランクアップ……?」

「がはっ、うっ、俺は止まらない。『RR』モンスターを素材とした《サテライト・キャノン・ファルコン》がエクシーズ召喚に成功した場合、相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する!」

 

 《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》

 /R8 ATK3000 DEF2000

 

 遊歌のフィールドにレーダーが走り、一瞬後にフィールド魔法と不知火流 輪廻の陣が破壊された。

 遊歌が空を見上げると、その上空にはサテライト・キャノン・ファルコンが優雅に滞空している。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

「私のターン。ドロー。私は《妖刀-不知火》を通常召喚してカードを1枚伏せる。ターンエンド」

「俺のターン、ドロー。行くぞ、バトルフェイズだっ。《サテライト・キャノン・ファルコン》で《妖刀-不知火》を攻撃!」

「罠発動。《不知火流 燕の太刀》! このカードの効果で《妖刀-不知火》をリリースして《サテライト・キャノン・ファルコン》とそのリバースカードを破壊する!」

「させんっ。リバース魔法《禁じられた聖衣》を《サテライト・キャノン・ファルコン》に対して発動する。このカードによって、攻撃力が600下がるが効果では破壊されない!」

「だけど《不知火流 燕の太刀》の更なる効果でデッキから《不知火の鎚師》を除外す……、っ!?」

 

 爆発。

 

 唐突に轟音が響き、同時に遊歌の背後の瓦礫が爆発する。吹きすさぶ瓦礫の破片を紙一重で回避をしながら、遊歌は瓦礫の頂上で自分を見下ろす影を睨み付ける。

 

 その人物は、柚子だった。

 

「ゆ、柚子!? どうしてここに? 逃げたのか? 塾長が暑苦しくて、自力で脱出を!?」

「貴女が、アカデミア……!」

「…………ゑ?」

 

 瓦礫の上から彼女が飛び降りる。空中で体のバネを全力で引き絞った彼女は、遊歌に肉薄すると同時にデュエルディスクを叩きつける。デュエルディスクは武器なのだ。

 

「ゆ、柚子……? 私、何かしちゃった? と言うか髪の毛が急激に伸びてない?」

「兄さんがRUMまで使うなんて……! この人は、私が物理的に倒して見せます!」

「ちょ、ちょっと柚子!? 今はデュエル中──」

「《サテライト・キャノン・ファルコン》で直接攻撃! エターナル・アヴェンジっ!」

 

 キィン、と遥か上空から、サテライト・キャノンが遊歌に襲いかかる。彼女と瑠璃を中心に質量の暴力が飛来し、瓦礫ごと吹き飛ばしていった。

 

「彼女は柚子ではない。瑠璃だ」

 

 白煙にまみれる女性二人を見下ろして黒咲が独りごちる。その後ろからユートが引きぎみに黒咲へと話しかけた。

 

「隼、瑠璃も巻き込まれたぞ……」

「問題ない。瑠璃はこの程度でくたばりはしない」

「いや、私ほどじゃないけどやりすぎでしょう」

 

 と、黒咲たちから少し離れた廃墟の上から遊歌による黒咲たちへの苦言が降ってきた。

 

「……無傷か」

「ええ。私だけじゃなくて、ついでに柚子、いや、瑠璃だっけ、彼女も無事よ。残念でした」

「ふん。お前ならこのくらいは躱すと思っていた。フィールドの様子から見るに、墓地からの罠か」

 

 遊歌のフィールドに伏せられたカードはなく、同時に手札も減っていないことを確認して、黒咲は遊歌へと説明を求めた。

 得意顔で黒咲を見下ろす遊歌の後ろから、ゆらり、と瑠璃が立ち上がり、音もなくデュエルディスクを──

 

「ふふん。私は墓地から《完全燃焼》の効果を発動したのよ。直接攻撃宣言時に墓地からこのカードを除外して、除外されていた《地獄の門番 イル・ブラッド》を特殊召、痛いっ!」

「成☆敗っ!」

 

 遊歌の頭に降り下ろした。

 

「ちょっと、何するのっ!?」

「悪霊退散!」

「話を聞いてっ!」

 

 連打。

 繰り返し打ち付けられるデュエルディスクに対抗する為に、遊歌もデュエルディスクを使って応戦する。甲高い戦闘音が何度も廃墟の街に響いていった。

 ヒートアップしたデュエルはやがて移動を孕んだものに変化していき、瓦礫の山を走りながら遊歌と瑠璃がデュエルディスクで打ち合っていた。

 

 その様子を黒咲とユートはため息を吐きながら見物しており、デュエルが一時的に中断してしまっている。

 

 その時、

 

 街に巨人が現れた。

 

 単眼の巨人が無差別に武器を振り回し、背の高いモニュメントも背の低い家屋も踏み潰していく。

 

「っ、アカデミアか……!」

「近いな……。行くぞユート!」

「ああ! 遊歌、瑠璃っ。君たちも行くぞ!」

「ユートっ。でも、ここにもアカデミアが!」

「私は、アカデミアじゃ、ないっ!」

 

 その暴虐を止めようと黒咲とユートが巨人の元へと駆けていく。遊歌と瑠璃もそれに習おうとするが、その前に遊歌は瑠璃の誤解を解かなければならない。

 

「とにかく、私はアカデミアじゃないの」

「じゃあ、なんで兄さんは体に負担の掛かるRUMまで使って貴女とデュエルをしていたのっ?」

「えっと、それは……。そう、黒咲はそういう趣味なのよ。痛め付けられることで快感を得ちゃうタイプの……」

「そんなっ。兄さんがそんな趣味だったなんて……。でも、それなら納得できちゃう……!」

 

 ふう、と遊歌は息を着く。なんとか瑠璃を説得することができたのだ。犠牲として黒咲が大切な何かを失った気がするが、それは必要な犠牲だったのだ。

 何ごとかを呟きながら呆然と中空を見つめていた瑠璃だったが、急に我に返ると、思い付いたように声を荒げる。

 

「それよりも兄さんたちの援護に行かなきゃ!」

「私も一緒に行く。貴女は少し危なっかしいから、独りにするのはちょっと心配だし……」

「ひ、酷い……」

 

   ☆☆☆

 

 

「デュエル狩りよぉっ!」

「かりー」

「かれー」

 

 遊歌と瑠璃が黒咲たちの援護に向かう途中、幼い少女二人と大きな女装筋肉の三人組を見つけてしまう。

 白い服と黒い服。白い服の女の子は甘ロリと形容したい服装だが、どちらかと言うとガーリーファッションにも思える。羊をイメージした白と薄い黄色のワンピースと帽子を着用しており、明るくまとめている。黒い服装の女の子は黒ロリと表現するのが適切で、フリルの着いたスカートと黒いウサギを意匠とした帽子で、コケティッシュに、だけど少女らしい可憐さを失わないようにまとめられていた。

 そしてもう一人は、半袖のブレザーと非常に短いミニスカートを着用している。パリッと糊の効いた美しい袖口から覗く、逞しすぎる上腕二等筋と三頭筋。ミニスカートからは、小柄な遊歌の腰回りほどはありそうな太ももが露出しており、盛り上がったハムストリングスが太陽の光を反射している。発達した大腿二頭筋と半模様筋が黒色のストッキングに包まれて、背徳的なエロティシズムを醸してだしている、男。そう、男性。

 

「へ、変態だー!」

「この前の、変態……」

 

 全力でスルーしたい遊歌だったが、その三人がハートマークの街のシンボルに『筋肉最高』とか『この解放感、たまらない☆』などと落書きをしており、街の尊厳的に無視できる存在ではなかった。

 

「なに、あれ……」

「見ちゃいけません」

「私も見たくないけど、無視するわけには……」

 

 顔を引きつらせながら二人が物陰で会話をしていると、汗ばんだ小麦色の筋肉が、ぴくん、と反応し、二人の隠れている場所を向いて立ち上がる。

 何者かに見られている気配でも察したのだろう、視線を右に左に動かして、遂には遊歌たち二人が隠れている場所に顔を向けて静止する。

 

「あらぁ? ネズミでも居るのかしら?」

「オスでしたね」

「ひっひっひっ」

 

 そうして振り向いた顔には、申し訳程度に仮面がつけられている。仮面を着け慣れてはいないのか、視界を確保し辛いのかは分からないが、杜撰な着用だった。明らかに傾いており、手入れもしていないのか汚れと埃が嫌に目立つ。

 『義務だから仕方なく……』といった理由で着けられただけの仮面を見て、遊歌は微かに震えだす。

 

「ふざ……けるな……」

「……どうしたの? いきなり震えだして──」

「ふざけるなっ! 仮面とは! もっとプライドを持って着けられるべきものなんだ!」

 

 怒号を発した彼女は、既に仮面を着けている。よってそこに結遊歌は存在してはいない。仮面デュエリスト☆ユーカの姿がそこにあるのだ。

 

「……なんで、仮面?」

 

 瑠璃が心底不思議そうに呟き、遊歌に疑問を呈するが、当の本人は瑠璃の声が聞こえないほどに苛立っており、完全に自分の世界に入っている。

 そして、仮面デュエリストは無言で立ち上がった。

 

「貴女はあの時のっ。私の筋肉を見に来たのね!」

「貴様の仮面、誇りがない! それでは仮面デュエリストではないっ。そんな悲しい仮面は私が回収する!」

「この前の人だ。おとといきたなー」

「焼きナスは居ないの? お腹すいたー」

「何なの……これ……」

 

 敵味方が共に自分勝手な言い分を垂れ流している。もはや毒電波に近い意味不明な状況に、瑠璃は思わず茫然としてしまうのだった。

 

「貴様らの仮面、狩らして貰おう!」

「ならばこの上腕二頭筋をじっくりと……」

 

 デュエル開始の宣言をした仮面デュエリストのデュエルディスクから膨大なエネルギーが渦を巻いて彼女を取り囲み、空へと一心不乱に立ち上っていく。

 対する筋肉のデュエリストは腕の筋肉を強調するポーズを取り、その左右で少女二人もポーズを決めている。

 

 そして、仮面デュエリストは挑発するように腕を降り下ろし──

 

 ──周囲全てを吹き飛ばすほどの炎が降ってきた。

 

 

「虚しい、戦いだった……」

 

 それからしばらくの後、瓦礫の頂上で仮面デュエリスト☆ユーカは冷めた瞳で周囲を見下ろした。

 そこには、敗者が横たわっている。

 最下層に転がる筋肉の残骸。次の階には長い黒髪の瑠璃っぽい女の子。その周囲には白ロリと黒ロリの女の子が倒れているのだ。

 

 仮面デュエリスト☆ユーカの手には仮面が三枚。顔に一枚。懐にはいくつかの予備があるので合計十枚ほど。

 だが、これだけの数の仮面を集めてなお、彼女は満足していない。

 

「まだだ……。まだ満足できない。もっと仮面が要る。たくさんの仮面を集めて満足するしかない」

「まだ、仮面を集めるつもりなの……!」

 

 狂気を孕んだ仮面デュエリストの言葉に、下から、具体的には二層目辺りから声が立ち上って来た。

 険を含んだその声に彼女は驚きながらも、しかし冷静さを失わないように努めた、抑揚のない声で返答する。

 

「……瑠璃。私の、邪魔をするの……?」

「……うん。今の貴女は正気じゃない。だから、私が、元に戻して見せる! 優しかった、貴女にっ!」

「ふふっ。私の仮面、貴女に剥がせる……?」

「やってみなくちゃ、分からないっ!」

 

 仮面が光を反射して光る。仮面の下から見下ろす彼女の瞳はどこか焦点の合っていないぼやけた輝きで。

 仮面デュエリスト☆ユーカは戦場の高揚感に酔っているのだ、と瑠璃は判断した。

 

LL(リリカル・ルスキニア)-アセンブリー・ナイチンゲール!」

「真紅眼不死竜。瑠璃の後ろのアカデミアの兵士を攻撃っ。アンデット・メガフレア!」

「えっ?」

 

 瑠璃の言葉と共にお互いがモンスターを召喚し、だが、経験の差なのか仮面デュエリストの方が攻撃命令を下すのが早かった。彼女の後ろに真紅眼の不死竜が召喚され、実体化した時には既に攻撃モーションに入っている。仮面デュエリストが体を反らせて攻撃命令を完遂させると同時に、その口胞から赤黒い炎弾が発射された。

 

 膨大な熱量は周囲の空気を焼きながらも高速で進み、瑠璃の横をすり抜けて、隠れて瑠璃を狙っていた青い制服を着たアカデミアに直撃する。吹き飛ばされたオベリスクブルーであろう少年は体に軽い火傷をしながらも地面を転がり、瓦礫に体をぶつけてようやく止まった。

 瑠璃は後ろを振り向いて、気絶したアカデミアを確認した後、安心したようにため息を着く。

 

「瑠璃。囮役、ごめんね。大丈夫だった?」

「うん。でも遊歌、いきなり演技してって言われても、困ったんだけど。次からはもうちょっと恥ずかしくない役を……」

「演技するのはいいんだ……」

 

 移動中に最低限の自己紹介は済ませていた遊歌と瑠璃は、お互いの名前を既に知っている。

 そして仮面デュエリストは遊歌ではない。違うったら違うのだ。だが彼女は遊歌と呼ばれたことを黙認して言及せず、瑠璃との会話を優先した。

 

「それじゃ、仮面は回収しないと」

 

 そう呟いた少女はアカデミアから仮面を剥ぎ取る。これで合計十枚。まあ、人が着用してた仮面は着けないけど……、と彼女は言葉を続けて、

 

「どうして仮面を回収するのだろう……?」

 

 彼女の背後で、瑠璃が不思議そうに呟いた。

 

 ーーー

 

 

「……既に廃墟じゃない……」

 

 ユート、黒咲とは一歩遅れて激戦区へと到着した遊歌たちだったが、既に戦闘音は消え去っていた。

 

「でも、あの巨人は居ないわ」

「あいつは俺と隼で倒した。もう居ない」

 

 と、廃墟となった瓦礫の山からブレイクソードが飛び降りてくる。その背中には大した怪我もしていないユートが騎乗していた。

 その上から、

 

「他にアカデミアも居ないな。瑠璃とお前がやったのか?」

「……遊歌よ。まあ、ここに来る途中で見つけたアカデミアは片っ端から狩ったけど」

……仮面をね

 

 黒咲の声が降ってくる。サテライト・キャノン・ファルコンの背中に騎乗していた黒咲が近くに舞い降りる。上空から辺りを偵察していたのだろう。

 

「……終わったわね」

「まだだ。俺たちのデュエルは終わっていない」

 

 瓦礫の頂上。巨人の亡骸のその上で、遊歌と黒咲が向かい合う。デュエルディスクを構える両者には既に険はなく、遊歌のアカデミア疑惑はもう過去の事だった。

 

「隼、まだやる気なのか……!」

「兄さん、いくら趣味だからって……」

「趣味……? だが、奴とのデュエルに中断などない。決着を着けなければ、俺と奴の間に繋がりは築けないからだ」

「隼……」

「ユート。ここで見ていろ。スタンダード次元とやらが俺たちの敵かどうかを見極めてやる」

 

 

【黒咲】

 LP175

 手札2枚

 モンスター

 《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》

 魔法・罠

 Φ

 

【遊歌】

 LP2000

 手札2枚

 モンスター

 《地獄の門番イル・ブラッド》

 魔法・罠

 Φ

 

「行くぞ。メインフェイズ2に手札から《ファジー・レイニアス》を特殊召喚してリリース。《RR-ワイルド・ヴァルチャー》をアドバンス召喚っ。更にこのモンスターをリリースすることで墓地から《RR-スカル・イーグル》2体を特殊召喚し、オーバーレイネットワークを構築! ──エクシーズ召喚っ。《RR-デビル・イーグル》!」

 

 《RR-デビル・イーグル》

 /R3 ATK1000 DEF0

 

 不知火の鎚師が除外されたことで、このターンの間、アンデット族モンスターは戦闘破壊することができない。それを見越した上での遊歌の戦略に、黒咲は意地で着いていく。

 

「終わりだっ! 《デビル・イーグル》の効果を発動。ORUを1つ使い、《地獄の門番イル・ブラッド》の元々の攻撃力分のダメージをお前に与えるっ!」

「その程度は読めている。墓地から《ダメージダイエット》を発動っ。このターン、私への効果ダメージを半分にするっ! ぅ、ぁあぁあああああっ!」

 

【遊歌】LP2000→LP950

 

 墓地発動罠。リーパーによって大量に肥やされた墓地は既に魔境だ。どんな魔法や罠が潜んでいるのか、お互いに気を抜くことはできない。

 

「更にORUとして墓地に送られた《スカル・イーグル》の効果で、墓地から《RR-ネクロ・ヴァルチャー》を手札に加える!」

「私のターンっ。ドロー! 墓地から《置換融合》の効果を発動。《冥界竜 ドラゴネクロ》をデッキに戻して1枚ドローする。更に魔法カード《死者転生》を発動。手札を1枚捨て、墓地から《火車》を手札に加える」

「ここでデッキバウンスだとっ!?」

「もう遅いっ! 《地獄の門番イル・ブラッド》の効果を発動。墓地から《ヴァンパイア・グレイス》を特殊召喚して効果を発動。貴方のデッキからモンスターカードを墓地に送る!」

 

 ヴァンパイア特有の地味デッキデス効果。魔法・罠・モンスターのいずれかを選択し、その種類のカード1枚を相手のデッキから墓地に送るのだ。

 

「っ、俺は《RR-バニシング・レイニアス》を墓地に送る!」

「そして手札から《火車》を特殊召喚。このカードの特殊召喚成功時、全てのモンスターをデッキに戻す。そして、このカードでとどめよ。魔法カード《天よりの宝札》を発動っ。私はフィールドの《火車》と手札の《ネクロフェイス》を除外して2枚ドロー」

「なにっ、そのカードは……!」

「《ネクロフェイス》の効果っ。お互いのデッキからカードを5枚除外するっ! 私はカードを1枚伏せて、墓地から《妖刀-不知火》の効果を発動。レベル8《バーサーク・デッド・ドラゴン》にレベル2《妖刀-不知火》を擬似的チューニングっ。──シンクロ召喚《炎神-不知火》!」

 

 《炎神-不知火》/☆10 ATK3500 DEF0

 

 守備表示で特殊召喚される炎神。最初のターンに使われたRR-レディネスを警戒した遊歌の戦術。戦闘をする必要などないのだ。

 なぜなら──

 

「デッキ、破壊……!」

「そんなっ。隼のデッキは、残り──」

 

 1枚。

 

「俺の、デッキが……」

 

 手札は1枚。RR-ネクロヴァルチャーのみ。フィールドのカードは存在すらしていない。

 遊歌のデッキは残り4枚。火車でデッキに戻したモンスターはそのまま遊歌の勝利への一歩だったのだ。

 

「兄さん……」

「隼、ここが勝負だぞ……!」

「俺の、ターンっ、ドロー! っ、ラスト・ドローがこれか……。だが、烏合の集でも意地はある。行くぞっ。俺は《RR-ネクロ・ヴァルチャー》を召喚してリリース。墓地から《RUM-レヴォリューション・フォース》を手札に加える。更に墓地の《RUM-スキップ・フォース》の効果を発動し、《RR-レヴォリューション・ファルコン》を特殊召喚!」

 

 三回目の革命。何度やられようと諦めない黒咲の執念に答え、モンスターが墓地から舞い上がった。

 

「バトルだっ! 《レヴォリューション・ファルコン》で《炎神-不知火》を攻撃っ!」

「《炎神-不知火》の効果。このカードが破壊される場合、代わりに墓地の『不知火』モンスターを除外できる! 私は《不知火の隠者》を除外。そして、このカードが除外されたので《不知火の鎚師》を特殊召喚する」

「まだ終わらないっ。俺は手札から速攻魔法《RUM-レヴォリューション・フォース》を発動。ランクアップ・エクシーズ・チェンジ! ──《RR-アーセナル・ファルコン》!」

 

 《RR-アーセナル・ファルコン》

 /R7 ATK2500 DEF2000

 

「行け《アーセナル・ファルコン》っ。あの《炎神-不知火》を破壊しろ!」

「くっ、でも、これで貴方はもう……!」

「速攻魔法《烏合無象》を発動する! 《アーセナル・ファルコン》を墓地に送り、エクストラデッキから《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》特殊召喚っ」

「っ、また貴方……。けど《烏合無象》の効果では特殊召喚したモンスターの効果・攻撃は許されていない。それでは私には届かない!」

「それはどうかな……!」

「……えっ?」

「お前は《アーセナル・ファルコン》を甘く見ている。『RR』をORUとしているこのカードが墓地に送られた場合、エクストラデッキからモンスターを特殊召喚できるっ。来いっ《RR-アルティメット・ファルコン》!」

 

 《RR-アルティメット・ファルコン》

 /R10 ATK3500 DEF2000

 

 黒咲のジョーカー。究極の名を冠するレベル10のエクシーズモンスターがアーセナルによって降臨させられた。

 その効果は狩られる側の効果とは決して思えないほどに理不尽な耐性。そしてコンバットトリック。

 

「それだけじゃない! このカードはお互いのエンドフェイズに相手のフィールドのモンスターの攻撃力を1000ポイントダウンさせる。そして、モンスターがいなければ1000のバーンダメージを相手に与える!」

「そんなっ、私のライフはっ!」

「お前のライフは残り950! これで終わりだっ。《RR-アルティメット・ファルコン》! 最後のモンスターである《不知火の鎚師》を破壊しろっ!」

「っ、ぅあぁああぁああああああああっ!」

 

 アルティメット・ファルコンの体当たりが不知火の鎚師に直撃。巨大な質量が地面ごとモンスターを削り取り、遊歌のフィールドから全てのモンスターが取り除かれた。

 

「これで、俺の勝ち──」

「罠、発動! 《バージェストマ・レアンコイリア》っ。その効果で除外されている《ダメージ・ダイエット》を墓地に戻す!」

「なん、だと……!」

「そして、墓地の《ダメージ・ダイエット》を除外する。これで、私への効果ダメージは半分。私はアンデット、死にはしないっ!」

 

【遊歌】LP950→LP450

 

 バージェストマ・レアンコイリア。この罠カード群は墓地から発動する共通効果が存在している。しかし、遊歌が使ったのはその効果ではなく、通常の罠カードの効果だ。

 その効果でダメージ・ダイエットのカードを使い回し、遊歌は自分のライフをギリギリで残す。しかし、遊歌の劣勢に変わりはない。

 そして、彼女は、

 

「だが、次のお前のターンに召喚できるモンスターを引かなければ、そのエンドフェイズに《アルティメット・ファルコン》の効果が発動し、バーンダメージで俺が勝利する」

「……それ、気に入らない」

「……なにっ?」

「私は遊歌。(つむぎ)遊歌(ゆうか)よ。私の勝利の暁には、土下座の変わりに名前で呼びなさい。私のターン、ドローっ!」

 

 迷いもなく、カードを引いた。

 

「遊歌、何を引いた……!」

「兄さん……」

「……私は、《茫漠の死者》を特殊召喚する」

 

 《茫漠の死者》/☆5 ATK88 DEF0

 

 茫漠の死者。自分のライフが2000以下の時、手札から特殊召喚できるモンスター。その時、このモンスターの攻撃力は相手ライフの半分の数値になるのだ。

 

「これで、ターンエンド」

「……俺の、負けか」

 

 デュエルディスクのスクリーンに勝敗宣告が表示される。遊歌のディスクに勝者の表示が、黒咲のディスクに敗者の表示が下された。

 しばらく何も話さずにデュエルの余韻に浸っていた二人だったが、どちらともなく、

 

「悪かったわ。貴方たちを負け犬と呼んで」

「……結、遊歌。お前のドラゴネクロへの侮辱、撤回しよう。どんな召喚法も、それ事態に善悪などない。分かっては、いるのだがな……」

 

 お互いに、謝罪した。

 

 本当は、デュエルが再開したタイミングで既に黒咲は遊歌をアカデミアとは見なしてはおらず、遊歌はそもそも黒咲たちに敵対感情はなかった。

 だが、それでもお互いのプライドが譲れない一線に触れていたのだ。だからこそ、決着を着ける必要があった。感情の行き着く先を見つけるために、だ。

 そして、決着がついた今、それぞれの感情は勝敗に収縮され、わだかまりがなくなっていったのだ。

 

 こうして、遊歌はエクシーズ次元で過ごしていくことになる。

 




第一章番外編です。

ラストドローを描写しようか小一時間悩みましたが、結局書くことに。勝敗をうやむやにしたい気持ちもあったんですけどね。
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