男鹿辰巳。通称暴れオーガの名前で知られている彼は川でジャブジャブと汚れを落とし洗濯をしていた。
「アババゴボッ!」
もちろんそれは比喩表現だ。洗濯というのは
「ん?」
男鹿はとあるものが川から流れてくるのを見かけ不良を捨てた。それはおっさんだった。男鹿は気まぐれでドンブラコと流れるおっさんを拾い上げ…頭を叩くと…割れた
「バブーッ!」
すると緑髪の赤ん坊が出てきた。赤ん坊はおっさんから男鹿の元に寄り、近づく。おっさんは役目を果たすと「転送!」などとほざき、川に飛び込み去ってしまった。そんな状況で赤ん坊をどうするかと言われたら普通はあやすだろう。
「坊主!死にてぇなら覚悟はいいなぁ?!」
などと言って脅迫した。この男最低である。
「ダーっ!!」
しかし赤ん坊は返って喜び、男鹿を押し倒した。
「めっちゃ懐かれた…」
以上のことを男鹿は友である古市に伝えるが古市は疲れ切ってきた。主にツッコミ続けていたのが原因だ。
「何なんだよ…それ。」
「しょーがねえだろ。事実だし。」
男鹿は赤ん坊を引き離そうとするが見事にしがみついていた。
「はっはっはっ。仲の良い親子だの〜。」
そんな空気の中、3歳児くらいの金髪の子供を連れた男が現れた。大河内一郎である。
「誰だお前ら?」
挑発的な態度で一郎に接する男鹿。前回古市がその場にいたら間違いなく逃げろと警告しただろう。
「大河内一郎。17歳。一児の父だ。」
しかし一郎は上機嫌であり、そんな挑発的な態度も受け入れた。その際、古市が何か言っていたが二人は無視した。
「そしてこの子が俺の息子、ダニエル大河内、2歳だ。ほら自己紹介しろ。」
古市は「いやハーフとかありえねえだろ…マジで。」と呟いていたが一郎の息子ダニエルは無視した。
「HAHAHAー!ダニエル大河内だ!よろしく頼むぞ!えーと…」
「男鹿辰巳だ。」
「古市貴之。」
「オーガ!フルチン!」
「いやおかしいだろ!?何で俺フルチン!?」
オーガは納得出来る。しかしフルチンはどこからどう考えてもおかしい。そんな渾名をつけられたら変態確定である。
「うるさいぞ。フルチン。」
男鹿までそんなことを言い始めて、男鹿にひっついている赤ん坊も何か言いたそうだ。
「裏切り者がぁぁっ!!!」
古市がその場から逃げてしまい、男鹿はそれを追いかけた。
「行ったか…ま、いつか会う日が来るかもしれんの。」
一郎と男鹿のファーストコンタクトはこうして終わった。
〜商店街〜
「古市。ゲンコツコロッケ奢ってやるから機嫌なおせって。な?」
落ち込んだ古市を立ち直らせようと男鹿は財布を出す。ちなみにゲンコツコロッケは普通のコロッケと同じサイズなのに一個40円と破格の値段のコロッケだ。男鹿の好物でもあり男鹿はよくそれを食べる。
「5個…」
古市はぼそりとそう呟いた。5個奢らなければずっとこのままいじけるといっているのだ。
「調子に乗んな!2個だ。」
当然男鹿は背中を叩く。そんなことを言っているということはすでに古市のメンタルは回復している。それは男鹿ならではこそわかっていた。
「それじゃ2個奢ってくれよな。」
もちろん先程言ったことは冗談だ。
「ったく…90円も損するのか…」
「80円だ。男鹿。」
「うっせ!」
そんな最中、後ろから女が近づいてきた。その女は端から見れば痛々しいゴスロリメイド服を着ている外国人なので周りはヒソヒソと話し合っている。
「おい貴様。」
偉そうな態度でその女が男鹿に話しかけると更にヒソヒソと声が聞こえてきたが男鹿達はそれを無視した。
「んだよ?」
「ベルゼ坊っちゃまを離せ!ゴミ屑が!」
出会ってそうそうゴミ屑扱いされた経験はない。あったとしても不良が因縁つけた時くらいだ。もちろんその不良達は男鹿にボッコボコにされ人間テトリスとなった。
「坊っちゃま…もしかしてこいつのこと言っているのか?」
男鹿がそう言って頭に乗っていた赤ん坊を差し出すと女は猫撫で声を出し、機嫌を取ろうとした。
「さあ坊っちゃま〜…ヒルダが迎えに来ましたよ〜。」
「ダ!」
赤ん坊は女…もといヒルダの要請を首を振った。その事実にヒルダは固まる。
「ププーッ!言うこと聞かねーでやんの。」
男鹿はそれを見て優越感に浸る。ヒルダの態度が高圧的でしかも猫を被ったように赤ん坊に接したからだ。男鹿の頭の中でヒルダにかけてやる言葉は「自業自得」と決まっていた。
「ぼ、坊っちゃま?」
ヒルダが赤ん坊に近づくと赤ん坊は男鹿の手から逃げ、制服に油汚れのようにしがみついてしまった。
「ダ!」
それを見てヒルダは理解してしまった。自分の主人はこの男に懐いてしまったのだと…
「坊っちゃま〜っ!そのゴミ男からお離れくださいーっ!」
ヒルダは赤ん坊の足を持ち引っ張るが赤ん坊は男鹿にしがみついていた。…その有様を見て本当に唯の赤ん坊なのだろうか?と古市は思う。赤ん坊の握力は少なくとも成人女性を上回ることはない。
「はっはっはーっwww嫌われてやんのーwww」
男鹿はヒルダが必死になるのを見てかつてない以上に優越感に浸っていた。
「男鹿、そいつを離してやれば赤ん坊の面倒見なくてもいいんじゃないか?」
古市の指摘に男鹿はハッと気づき、ヒルダを手伝うように赤ん坊を離そうとする。
「ビェーッ!!」
赤ん坊が泣き叫ぶと赤ん坊から電気が発生し、ヒルダ、男鹿、古市の三名は感電した。その後、古市宅でヒルダが自身と赤ん坊ことベル坊(本名長すぎぃっ!)の正体を明かしベル坊が男鹿に懐いてしまったことを説明したが男鹿は納得いかず反論した。しかしヒルダは「そんなゴミに用はない」と言って古市を巻き込む形で男鹿に攻撃し始め追い詰めた。
その頃…三郎は絶体絶命の危機に陥っていた。
「てめえか…城山をやったのは。」
その男はDQN街道まっしぐらに突き進んだような格好をしている。しかし実力は相当なものであり、現在石矢魔統一に最も近い男と評される神崎一である。
「いえ、違います!兄がやりました!」
三郎は必死に事情を説明しようとした。だが神崎の前ではそれは逆効果だった。
「そーかてめえか。」
話を聞かず、神崎は三郎に詰め寄る。
「ヒィィッ!」
三郎は後退し、後ろの金網まで追い詰められた。
「まあ城山に病院で謝ってこいや!」
神崎はヤクザキックで三郎を蹴飛ばす…いや蹴飛ばそうとした。その前に三郎は神崎の威圧に呑まれ、失禁してしまった。その後、神崎が見た景色は城山のいる病院の天井だった。
ところ変わって男鹿side…
「死ね!ゴミ屑!!」
ヒルダは
「ビェェェェ!!」
しかしベル坊は男鹿に対するヒルダのドスの効いた声に泣いてしまった。その結果、電気が発生し、電波塔を破壊してしまった。
「男鹿ーッ!!」
古市は男鹿と離れており、その場で叫ぶしかなかった。
ドガッ!!
だが丁度その時、何かがぶつかり電波塔から男鹿を守った。
「っ!!?」
その時、ヒルダは感じた…大魔王以上の威圧感とドス黒いオーラを。
「ウォォォォーっ!!」
その正体は何と三郎だった。
〜10年前〜
当時、一郎7歳、二郎6歳、三郎5歳という年齢だったが一郎と二郎は5歳から万引き、高校生からカツアゲ、押し売りなど様々なことをやっていた。そして今回、一郎と二郎は三郎に大河内家の洗礼(という名前の悪事)をやらせようとしていた。
「三郎ーっ!俺の言うことが聞けねーのか!!」
当然三郎は嫌がった。一郎と二郎は問い詰めるために裏影に追い詰めていた。
「だ、駄目だよ…お婆さんの家に入り込んで盗むなんて…」
今回の悪事は老人の家に潜り込んで空き巣をするというものだった。二人とは違い罪悪感のある三郎はそんな真似は出来なかった。
「あのババアは年金たんまりと溜め込んでんだよ!」
「落ちている金拾わねーバカがいるかっ!!」
二人とも三郎を何回も蹴飛ばし、攻める(誤字にあらず)。三郎はそれを我慢し、立ち上がった。
「いつかそんな悪いことばかりしているとバチが当たるんだからね!!」
言ってやった。それで二人の兄達が更生するとは思えないが三郎の中ではスカッとしていた。
「ほう…長兄であるこの俺に説教か…少々キツイお仕置きが必要だな…」
それを聞いた二郎はとあるものを発見した。
「兄ちゃん!鉄パイプ見つけたよ!」
とんでもない凶器を手に持った一郎は狂気の笑みを浮かべていた。その姿はとても7歳とは思えなかった。
「な、何を…!?」
三郎が何か言う前に一郎が鉄パイプを振りかぶり三郎に当ててぶっ飛んだ。
「兄ちゃん!ブロックも発見したよ!」
二郎はさらにブロックをみつけ、それを凶器に三郎にぶつけた。その狂気は(以下略
「三郎!反省しろーっ!」
「そうだ反省だー!」
反省するのは一郎と二郎のほうであるが力が強ければそれを覆す。それが大河内家のルールだった。
「(ダメだ…このままじゃ死ぬ…)」
そして三郎は失禁して悟った。
「(殺られる前に殺る!)」
三郎が鉄パイプとブロックを破壊するとゆらりと起き上がった。
「え!?」
「うわぁぁぁっ!!」
その後一郎と二郎は50回以上も壁に叩きつけられ額の傷が出来た。それ以降、三郎はションベンを漏らすと大河内一族濃い血が覚醒し、一郎や二郎達以上に凶暴になるようになった。
〜現在〜
そんな三郎は神崎をボコボコにして男鹿を襲う鉄柱に向けて投げて救ったという訳だ。
「ダー!ダー!」
ベル坊すらもその凶悪さに惹かれ、そちらへと今にも行きそうになっていた。
「いけません坊っちゃま!」
ヒルダはそれを止めた。この男はあまりにも危険すぎると直感で感じていたのだ。
「…あれ?一体何が…?」
だがそれも束の間、三郎が元に戻るとベル坊も興味をなくし男鹿にひっついていた。
「(あの男…何なのだ?)」
ヒルダはそれを見て三郎を調べることにした。
ダニエルくん登場!一郎とダニエルの散歩する姿が書きたくて書いてしまいました。