神喰い達の後日譚   作:無為の極

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第120話 平和の時

 厳しい戦いが過ぎてから数日が経過していた。周囲にアラガミの気配が少なくなった事を確認したからなのか、アナグラでは既に厳戒態勢は解除されていた。

 当然ながらローテーションは従来の物へと戻っているからなのか、訓練場は相変わらずの利用状況となっていた。

 

 

「今日はここまでだ。午後からは教導の予定になっている。不足分に関しては、後日改めて調整する」

 

「了解であります」

 

「それとリンドウ。午後からの教導はエイジに代わりを任せてある。お前は直ぐに報告書の作製に取り掛かれ」

 

 20時間の訓練は予想以上に厳しい物だった。訓練で厳しい状況を作り出せば、実戦でも問題無くその実力を発揮できるとの概念の元で行われている。

 リンドウだけでなく、北斗もまた、その考えを否定するつもりは無かった。

 普段が緩い訓練であれば実戦では確実に自分の命が消え去る事になる。これまでに幾度となく潜って来た戦いがそれを如実に表してた。

 

 だからこそ、今回の射撃訓練に不満は無い。しかしツバキの指導は2人の予想を容易く凌駕していた。

 訓練はあくまでも自分の為の物であって、支部としての内容ではない。

 当然ながらリンドウは厳しい訓練を終えた後は自分の仕事が待っていた。教導は戦場よりはマシだが、指導する点を考えれば案外と大変な部分もある。だからなのか、ツバキの言葉にリンドウは僅かに安堵しながら、その代わりの報告書の作成に顔が僅かに引き攣っていた。

 

 

「あの、姉上。少しは休憩を入れるのも必要では……」

 

「そうか。ならば昼食の時間を与える。北斗は自分のやるべき事をやるんだ。良いな」

 

「了解しました」

 

 手厳しい言葉にリンドウはそれ以上は何も言えない。実際に、アナグラの中でも少しだけ空気が緩んでいる様に感じているのはツバキだけでは無かった。

 激しい戦いの後に気が緩むのはある程度は仕方ない部分がある。厳しいやりとりが続けば、確実に精神が摩耗するのは当然だった。

 

 肉体とは違い、精神の疲労は簡単には回復しない。それが今になってまだ響いていた。

 口頭で注意すれば最悪は士気が下がる可能性もある。だからなのか、リンドウと北斗の厳しい訓練をする事によって、場の空気を引き締めていた。

 疲れ切った身体を強引に動かし北斗はラウンジへと移動している。リンドウもまた移動しようかと思った矢先にツバキから呼び止められていた。

 

 

「リンドウ。分かっているとは思うが、済まない」

 

「このまま放置するよりはマシなんで。でも、エイジが来てるならこの空気は直ぐに無くなるでしょう」

 

「違いないな」

 

 北斗が居なかったからなのか、そこには姉弟の空気が漂っていた。

 エイジだけでなく、ナオヤもまた教導の際には手加減をする事は一切無い。ここで緩いままに戦場へ出て命を散らすのは、他の誰でもなく自分である。これがスポーツであれば負けたとしても次があるかもしれない。しかし、戦場に於いてはその限りでは無い。

 命のやり取りの前に妥協を許す訳には行かないからと、常に厳しい内容を繰り返していた。

 それを知っているからこそ、ツバキだけでなくリンドウもまた笑みを浮かべる。午後からの教導が間違い無く厳しい物になるのは考えるまでも無かった。

 

 

「でも、射撃訓練はやり過ぎじゃないかと」

 

「何を馬鹿な事を言っている。射撃訓練は最初から考えていた事だ。それに、今後の事を考えれば、お前もまたそれを現場で指導する立場になるんだ。ここで手を抜いてどうする。あの時の二の舞になるぞ」

 

「そう言われれば…そうですが………」

 

 ツバキの言葉にリンドウは内心、藪を突いた事を後悔していた。

 少なくともこの場に於いてツバキが冗談を言う必要は何処にも無い。実際に金色の狼の存在は厄介以外の何物でも無かった。

 まだ確定はしていないが、あの動きから察するにキュウビと似たような性質を持っている可能性があった。

 事実、キュウビも初見ではかなり苦労をしている。今回のアラガミもまた同じだと考えたのは、偏にその行動原理だった。

 これまでのアラガミの様に、あからさまに分かる攻撃であれば対処の仕方は幾らでもあるが、あれはエイジだからこそ気が付いた部分が多分にあった。

 爪に風を纏わせることによって攻撃の間合いを外し、一方的な致命傷を与える事が可能となっている。これが自分であれば、確実に攻撃を受けた事によって初めて理解出来ると思えるもの。僅かな大気の揺らぎを察知したエイジを素直に褒めるしか無かった。

 実際にそれだけの戦力を揃えても、内容そのものは僅差で勝利を収めただけに過ぎない。あの場にコウタやアリサが居なければ、何らかの大きなダメージを受ける可能性も否定出来なかった。だからこそ生き残る為には相応の努力もまた必要だった。

 

 

「なに。こちらもサクヤやシエルの様になれと言っている訳では無い。実戦の最中であっても、どこで何が有効活用出来るのかは分からん。ならば、どうとでも対処出来る様にするのもお前の技量のうちだ。不服があるならば、それ相応の実力を見せるんだな」

 

リンドウの言いたい言葉を全て察知したからなのか、それ以上は従う事によって見せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、どうだった?」

 

「中々厳しいですね。まさかああ迄だとは思いませんでした」

 

「でも、実戦を想定すれば、ある意味では仕方ないからね」

 

「そう言われればそうですが……」

 

 昼食の為に北斗はラウンジへと足を運んでいた。既に時間もそれなりだからなのか、午前中に終わった人間がラウンジへとそぞろに移動している。食堂も併設されているが、昼に関しては全員がアナグラに居る訳では無い。そんな事もあって、基本的にはラウンジだけの営業になる事が多かった。

 

 席はそれなりに埋まっている。空いているのは、カウンターの部分だけだった。

 本来であればカウンター席が一番早い。しかし、今は偶然なのか、それとも必然なのかエイジの前に座ろうとする人間は居なかった。

 ベテランの人間やクレイドルの人間であれば特に気にしないが、新人や派遣組はかなり気にする。

 それは午後からの教導が全てだった。基本的にエイジかナオヤが担当していた場合、その相手は確実に打ちのめされるのは半ばお約束とも取れる事だった。

 新人であれば恐れ多いと感じるが、派遣組はその隔絶した技量を見ていると、自分のやっている事が何だろうかと自信を無くす。その結果として、エイジがカウンターに居る際には近寄らない事が多かった。

 誰もが遠慮しているからなのか、北斗は気にする事無く椅子へと座る。元々、午前中の予定を知っていたからこそ、エイジもまた苦笑交じりに北斗と話をしていた。

 

 

 

 

 

「そう言えば、最近はあまり教導教官をやっていないみたいですが、サテライトの方が忙しいんですか?」

 

「そうだね。今回の件もあったから、少しだけ手間取ったのは事実だけど一応は目途が立ったよ。だから、あのサテライトに関しては後任に任せるって感じだね」

 

「って事は、今日からは暫くはここですか?」

 

「そうなるね」

 

 既に時間もそれなりに経過したからなのか、ラウンジの込み具合はかなり解消されていた。

 実際にランチに関しては余程時間に余裕が無い限り、決まった物しか出さない。

 余裕があれば問題は無いが、ムツミの場合は余程の事が無い限り応じる事は難しかった。

 実際に作る速度の問題ではない。単純に体格差を考えた末の結果だった。

 大幅な移動を必要とすれば、当然時間がかかってしまう。忙しい昼時の時間のロスは致命的だった。となれば1人の問題で済むはずがない。それならば最初からやらない方がマシと言う考えだった。

 勿論、エイジであっても忙しければ引き受けない。それを分かっている人間は敢えて時間をずらして来る事が多かった。

 事実、カウンターには整備途中なのか、どこかオイルで汚れたツナギを着ているリッカとナオヤが座っている。お互いが何かを話している事を見たからなのか、エイジもまた会話には入らず、北斗と話をしていた。

 会話はすれど手が止まる事は無い。既に注文を受けているからなのか、エイジの視線は目の前のフライパンに移っていた。

 

 肉が焼ける音と同時に香辛料を振りかけ、直ぐに蓋をする。北斗は料理に詳しい訳では無い為に、エイジが何をしようとしているのかは分からないが、澱みなく動く手を見る事によって、その先がどう動くのかを考えていた。

 料理を作る為には広い視野が必須となる。一度でも複数の物を作った事があればその意味は直ぐに理解出来る程だった。

 フライパンの様子を見ながらも既に手は他の食材を取り出し、順番に切り刻む。

 幾つもの鍋に反応があれば、その都度動きが変化していた。目だけでなく耳を使う事によって音で食材の状況を確認していく。通常であれば凄いで終わる感想も、北斗からすればある意味では驚愕だった。

 決められた手順など存在しない。それどころか素材によっては熱の入り方も違う為に優先順位を素早く決めていた。当然ながら時間がかかればその分品質は落ちていく。そうならない様にエイジはあらかじめ動きやすい配置に全てを設置していた。

 

 

 

 

 

「なぁ、今日から入るのか?」

 

「今日の午後からだけど」

 

「悪いな。神機の整備はもう少しかかりそうなんだ」

 

「あれは仕方ないよ」

 

 ナオヤの言葉にエイジは僅かに笑みを浮かべるしかなかった。

 数日が経過しているが、神機の整備は完全に終わった訳では無かった。

 実際に厳しい戦場では神機そのものが大破に近い状況になったケースが多く、本来であれば完全にオーバーホールする必要があった。しかし、全部を一からやれば現場は完全に止まる。整備班もまた事実上の24時間体制でやってはいるが、通常のメンテナンスと並行している為に、その速度は遅々として進まなかった。

 無理はしない程度で整備をしながら、様子を見ながらフルメンテナンスにかける。当初は終わる気配すら無かったが、ここに来て漸くそのメドが立ちそうになりつつあった。

 

 

「一番面倒なのがまだ残ってるんだよ。参考に聞くけど、カノンさんのあれ、お前がやったのか?」

 

「そんな事しないよ。最近はこっちもそれ所じゃなかったから」

 

 ナオヤの言うあれとはカノンが最後に放った銃撃の事だった。

 基本的にはバレットエディットによる破壊力の制限と言う物は存在しない。それはバレットの威力が神機の耐久力よりも下回るからだった。

 しかし、その耐久力の壁を取っ払ったのがオラクルリザーブだった。これまでに無い程にオラクルを神機に充填する事で、従来ではありえなかった破壊力をもたらしている。

 厳しい戦場でひっくり返す事が出来る可能性を秘めたバレットエディットは確かに魅力的ではあるが、当然ながらそこには大きな弊害が待っていた。

 

 破壊力を優先すると神機の耐久力を上回る事だった。

 当然ながらそれを放ては銃身が歪むと同時に使い物にならなくなる。

 これが本当の意味での止めとなればまだ良いが、乱戦時であれば待っているのは自身の死。神機を使えないゴッドイーターは一般人と大差無かった。

 

 当時からその懸念は整備班の中でも存在している。しかし、銃身を歪ませてまで戦う事を要求される状態では無理を言う事は出来ない。

 本来であれば懲罰は必至だが、討伐を優先させた事によって始末書で済んでいた。

 カノンもまた同じ事をしている。銃身が歪むだけでなく肝心の発射機構にまで多大なダメージを負っていた為に、カノンは色々な意味で罰則を言い渡されていた。

 未だ戦場に立てないのは、神機の整備が間に合っていないから。幾ら交換できる技術があっても、肝心のパーツが無ければ話にならない。

 後回しにしていたそれも、今となっては漸く部品が届いた事によってゆっくりと進みだしていた。

 

 

「オラクルリザーブを解禁したまでは良かったんだがな。あれが続くとなれば、再度封印せざるを得ないだろうな」

 

「パッと見た感じは随分と落ち込んでいた様だったけど」

 

「んな訳無いって。あれは神機に負担がかからないバレットの研究をしてるだけだ。実際にリッカからも厳しく言われてるからな」

 

「ちょっと、私はそんなひどく言ってないよ」

 

「あれでか?周囲はドン引きだったと思うけど」

 

 

 二人の言葉に当時の状況が容易に想像出来ていた。

 神機を大事にしていない人間は極東支部には居ない。しかし、大事にしていないと扱いが雑は別物だった。

 カノンがどんな状況下であれを放ったのかは、ログを見ればすぐに分かる。その為に言い訳じみた言葉を口にしても無意味だった。

 だからこそ、リッカもまたそれ程強く言ったつもりは毛頭無かった。

 しかし、他の人間から見ればそんな風には一切見えなかった。実際にカノンは小さくなりながら棄てられた子犬の様になっている。ナオヤもまたその現場に居た一人だった。

 ゴッドイーターは基本的な収入は討伐実勢に左右される。決して神機の修理をしない訳では無いが、やはり損傷の度合いから見れば後回しになるのは当然だった。その間は何も出来ない。だからこそ、神機を大切に扱っていた。

 

 

「もう……あの時はこっちも大変だったの」

 

「知ってるよ」

 

 ナオヤの言葉に食事を終えたリッカは、渾身の力でナオヤの背中を叩いていた。

 鍛えた肉体にリッカの攻撃はまるで効いていない。それが何時もの日常だと言わんばかりの光景が広がっていた。

 

 

「そろそろ時間だ。なるべく早く終わらせる様にする」

 

「無理はするなよ」

 

 時間の都合だからなのか、ナオヤは用意された食事を終えたからなのか、頭の中は次の段取りを考えている。厳しい戦いをしているのはゴッドイーターだけでは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、終わりました?」

 

「ああ。今日の分は終了だね」

 

 教導のメニューはある意味では過酷な内容ではあるが、始まる前に説明されている為、大きな混乱を来す事は無かった。

 始まった当初は何かと問題も生じていたが、今となっては一定以上の戦闘能力を育成した事によって殉職率は大幅に減少していた。

 ゴッドイーターは基本的に神機との適合率が全て。当然ながら適合出来る人間の数はそう多く無かった。

 

 一時期の様に徴兵じみたやり方はしていないとは言え、全員が望んでいる訳では無い。

 当然ながらそんな人間の練度は極めて低い物だった。自身の意欲が無ければ生存率にも直結する。当然ながら事前の講習ではその事実を淡々と説明されていた。

 一度戦場に出れば、頼れるのは己の手にある神機のみ。誰もが好き好んで命を散らしたいとは考えない為に、この方法が採用されていた。

 当然ながらアラガミの狂暴さを理解させた上で教導を開始する。だからなのか、訓練室の中では誰もが自然と真剣になっていた。

 

 

「そうですか。この後はどうなってますか?」

 

「今日はラウンジの当番だよ」

 

「じゃあ、先に行ってますね」

 

 先程の厳しい空気は霧散していた。顔を出したのはアリサだった。

 基本的にエイジを良く知っている人間であれば特段珍しい光景ではないが、まだここに来たばかりの人間はアリサの存在は知っているが、エイジとの関係までは知らなった。

 精々が同じ制服を着ている為にクレイドルである事位。だからなのか、どちらかと言えば興味本位で聞くつもりだった。

 

 

「あの……先程の人はアリサさんですよね?」

 

「そうだよ」

 

「あの……如月教官とはどんな関係なんですか?」

 

「……え?」

 

「だって、同じ部隊なんですよね?」

 

「そうだけど。それがどうした?」

 

「色々と知りたいと思って………」

 

 突然の言葉にエイジは珍しく言葉に詰まっていた。

 これまでのケースではこんな話をここでした事は一度も無かった。

 実際にはアリサが顔を出した事がその要因ではあるが、新人の誰もがどこか憧れやそれ以外の感情を持っている様にも見える。空気を読むのであれば多少は言葉を濁す事もあるが、ここで濁した所で近いうちにその関係性を知るのは直ぐに予測出来た。

 

 広報誌ではクレイドルに関しては、最近はサテライト関連の記事が取り上げられる事が多く、また、紹介に関してはアリサが受け持つ事が多かった。

 実際にはエイジもまた新たな予定地の探索や建設中の護衛など、やるべき事は場合によってはアリサよりも多い。当初はアリサもそれを誇示するのは意にそぐわない様子だったが、弥生の説得によって今に至っていた。

 名前からすれば理解出来るはず。エイジ自身も隠すつもりは無いが、面と向かって聞かれた事が無いからなのか、この手の質問にどう答えれば良いのかを迷っていた。

 

 

「でも、アリサさん綺麗だよな」

 

「広報誌で見たのとは違うって」

 

「やっぱり恋人とかいるのかな」

 

 適当な事を言い出したからなのか、エイジは恋人はいないが夫はいると内心突っ込んでいた。

 それと同時にこの場で公表する事もまた諦めていた。この手の話を説明した所で碌な結果にならない。少なくともエイジはそう考えていた。

 そんな事に時間を費やすなら他の事をした方が何倍もマシ。だからなのか、エイジもまた解散と告げ、自分のやるべき事を優先していた。

 

 

 

 

 

「笑いごとじゃないですよ」

 

「悪い悪い。そんな事、今まで殆ど無かったからな」

 

 ラウンジでは既にやるべき事をやり終えたリンドウが早めの食事とばかりに足を運んでいた。

 実際には自分の部屋に戻ればサクヤが食事の準備をしている為に、ここでは簡単にひっかける程度。既にリンドウの前に置かれたジョッキの中身の大半は無くなっていた。

 

 

「流石に僕も空気は読みましたよ。それに態々公表するまでも無いですから」

 

「まぁ、そう言われればそうだな。公表しなくても勝手に知れ渡るだろうしな」

 

 そう言いながらリンドウは残ったビールを飲み干していた。元々食事の前はそれ程飲む事は無い。小鉢と摘み程度の物を用意すれば、後は適当だった。

 チェイサー代わりに次のジョッキを持っている。余程報告書の事が堪えたのか、そのピッチは何時も以上だった。

 

 

「リンドウさん。それ以上はサクヤさんに怒られますよ」

 

「堅い事言うなって。今日は本当に大変だったんだぞ」

 

 既にリンドウの前には空になったジョッキが2つ置かれていた。何時もであればもう少し数が置かれるが、最近になってサクヤから厳しく言われていた。

 キッカケはツバキの復帰による物。ベテランが泥酔で戦線に出れないとなれば、何かと都合が悪くなるからと言う大義名分の元、リンドウの飲める量が制限されていた。

 自室でも飲めるが、ラウンジで飲むのとはまた違う。だからと言って、サクヤに逆らえる程家庭内のヒエラルキーは高くない。

 それが影響しているからなのか、リンドウもまたここでの飲酒は自然と控えていた。

 

 

「でも、飲ませたら今度は文句を言われるのはこっちなんで」

 

「しゃあないな。じゃあ、これ位にして一旦帰るとするさ」

 

 既に厳しい戦いの残滓は完全に消え去ろうとしていた。訓練室や戦場では分からないが、ラウンジの様に寛げる空間に居れば自然とその空気は感じ取れる。

 死傷者数が無かった訳では無いが、だからと言ってアラガミが根絶出来た訳でも無い。

 束の間の時間を過ごす空気は、既に穏やかな物となっていた。

 

 

 

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