雷鳴の様な轟音は、一つの質量体を持って聖母へと襲い掛かっていた。
これまでに幾度となく撃ち込んだ銃弾によって不思議な衣の所々は崩壊している。
既に体表にも血液の様な夥しい赤が噴き上げ、既に残された命はそれ程ではない。
過去に一度も交戦経験が無い人間であったとしても、既に命の灯が消える寸前である事は容易に想像出来ていた。だからこそ、一撃必殺とも取れる銃弾は聖母の額めがけて飛翔する。
動く事も困難だからなのか、聖母の様なアラガミは回避する事も出来ないままに、額に大きな穿孔を生んでいた。
着弾した瞬間、聖母の目は僅かに見開く。その後はまるで何も無かったかの様に飛翔していた体躯を地面へと沈めていた。
《対象アラガミのオラクル反応は消失しています。既に帰投の準備は初めていますので、暫くお待ちください》
「了解。こっちも帰投準備に入るよ」
《周囲にアラガミの反応はありません。ですが、警戒だけはお願いします》
既に手慣れた会話に部隊のメンバーもまた通信機を耳にしながらも周辺状況を探っていた。
元々今回のミッションは感応種の中でもかなり厄介な部類に入っている。『ニュクス・アルヴァ』はある意味では極東に限らず、ゴッドイーターの鬼門とも言えるアラガミだった。
初めて対峙した瞬間、全ての攻撃が通用しないとまで言われていた。
だが、様子を伺いながら交戦する際、一つの事実が浮かび上がる。
剣における直接攻撃は何の変化も見せないが、銃による攻撃に関してはその限りではなかった。
一度攻撃の手段が知れれば後は何時もと何ら変わらない。当然の様にニュクス・アルヴァには銃弾の雨嵐が吹き荒れていた。
「今日は本当に助かった。まさかこんな場所に出るとは思わなかったからさ」
「いえ。今回のこれは仕方ないです。流石にニュクス・アルヴァだとは思いませんでしたけど」
「でも、結果オーライって事で」
コウタの何気にない言葉に北斗は少しだけ畏まっていた。
元々今回の作戦に関してはコウタが取り纏めをしたミッションが発端だった。
事実、今ののメンバーは何時もの第一部隊ではない。新人を投入したそこそこのミッションのはずだった。
これまでのコウタの事を考えれば北斗やシエルが介入する必要が無いミッション。
事実アナグラもまた同じ感覚だった。
だが、そんな感覚を嘲笑うかの様に現場に一つのアラガミが乱入する。それが今回の『ニュクス・アルヴァ』だった。
これまでの交戦経験は事実上の片手にも満たない数しか発見さいていない。その為に解析するだけの個体が確保されていなかった。感応種の中でも更に希少な個体。その時点でブラッドが出動する事案となっていた。
リンクサポートシステムを使うにしても、これまでに出没した数はかなり少ない。
これがそれ以外のアラガミであれば考える必要が無かったが、このニュクス・アルヴァに関して完全に想定外だった。
最大の要因は銃撃のみダメージを与える事が可能だった点。これまでのゴッドイーターであれば自分の得手にだけ注視し、それ以外は何の感想も並べる事が無かったから。
だからこそ、このアラガミの存在はある意味では厄介だった。
既に得手不得手を口にする事を許さない。第一世代型神機であれば仕方ないが、それ以外のゴッドイーターは押並べて銃撃の必要性を実感していた。
襤褸切れの様になった体躯から、黒い咢はコアを引き抜く。これまでのアラガミとは違い、感応種独特の宝石の様な光沢が、その存在を示すかの様だった。
「あの、お蔭で助かりました」
「有難うございました」
「いえ。気にしないで下さい。それよりも大丈夫でしたか?」
「は、はい。でも、俺、初めて感応種を見たんで………」
「わ、私もです……」
中堅やベテランであっても初めて感応種と対峙した瞬間の異様さは直ぐに感じ取っていた。
実際に神機が機能不全になる事は知識として知っていても、体感する事は殆ど無かった。
ましてや今回の様に特殊個体ともなればその脅威度は格段に高くなる。リンクサポートシステムを使わない以上はスタングレネードによる撤退以外に手段は何もなかった。
「まあ、良い経験になっただろ?それに今後は銃撃の重要さも感じたなら、もっと教導も必要だろうしさ」
「そうですね。今回の件はかなり役に立ちました」
「でも、銃撃って、ツバキ教官なんですよね?」
「どうだろう。サクヤさんかもしれないし、それは何とも言えないかな」
コウタの何気ない一言に新人もまた少しだけ緊張がほぐれはしたが、完全にそうかと言われれば微妙だった。
実際に銃撃の教導は一定上の技量を要求される為に、近接の教導とは違った内容になっていた。
元々ツバキにしてもサクヤにしても、射撃に関しては一級のセンスを持ち、ツバキに至っては極東支部がまだ今の体制になる前から一線を張っている。
サクヤにしてもまた同じだった。
だが、この二人に決定的に違うのは指導方法。ツバキの厳しさとサクヤの厳しさには質が異なっていた。
緊張感はお互いにあるが、ツバキに関しては空気が凍結するとさえ思う程。誰に当たるのかは当日のその場に行かない限り分からない状態だった。
だが、それ以上に技術面の向上は限りなく上昇する。新人でさえもそれを知っている為に、銃撃の教導の際には色々な意味で緊張感に包まれていた。
「その前に感応種への慣れも必要だろうな」
「北斗の言う通りですね。冷静さを失うと普段の実力の一割も発揮出来ません」
「まあ、その辺りはおいおいだよ。まだ新人なんだしさ。感応種の対策は今後の教導にも活かされるはずだから」
感応種が出た時点で本来であれば撤退を余儀なくされる。それは極東のゴッドイーターであれば常識だった。
辛うじて戦う事が出来るのは、クレイドルの一部とブラッドだけ。だが、実際に滞りなく動く事が出来るかと言われれば疑問もあった。
人間誰もが想定外の状況に陥れば直ぐに動く事は難しい。今回の件に関しても、コウタの指示が出た事によって漸く動く事が可能だった。
「でも、今回の感応種はある意味では特別な存在ですから、良い経験になったと思いますよ」
「そうだな。今後はリンクサポートシステムを使用すれば影響を受ける事は無いだろうから」
シエルと北斗の言葉に新人もまた改めて教えられた事を思い出していた。
実際にブラッド以外のゴッドイーターはリンクサポートシステムを利用する事によって感応種の影響を完全に防いでいる。そうなれば感応種であっても、ただのアラガミと同じだった。
新人の段階ではその辺りの説明だけ終わる為に、何も知らない可能性の方が高い。だが、中堅になればそれと実戦も併せて付いていた。
まだ知らない世界が故に過剰な反応を示す。シエルだけでなく北斗もまた自分体がブラッドに入った頃を思い出していた。
《素材の回収は全部終わったから、そっちに行くね》
「了解。周囲にアラガミの気配は?」
《今の所は無いと思う。アナグラからの情報はどうなってるの?》
「今の所は問題無いみたいだって」
何気なく新人とブラッドの二人を眺めていたコウタの耳朶にはマルグリットからの通信が入っていた。
本来であればコウタと新人も動くのがこれまでだったが、初めて感応種を見た新人と、ブラッドの二人をそのままにする訳には行かなかった。
実際に北斗にしてもシエルにしても、それ程フレンドリーな性格をしている訳では無い。北斗に至ってはブラッドに配属された頃はそれなりに人間関係を構築するべく話かけていたが、極東支部に配属されてからはそれ程話しかける事は無かった。
一番の要因はエイジとナオヤの存在。自分よりも明らかに格上の技量を持っている人間が身近に居れば、自然とそちらに力が入るのはある意味では当然だった。
ブラッドが他に比べて有利のは感応種に関してだけ。それ以外は他と同じだった。
その為に神機の性能やブラッドアーツに頼らない技量を磨いていた。そうなれば必然的に他のゴッドイーターとの関連性は低くなる。その結果として新人が北斗の姿を見る機会が激減していた。
そうなれば、ある意味では北斗の存在はレアな部類に入っていた。ブラッドの中で考えれば、北斗以外の人間は割と顔が知れていた。
実際に今回の様なイレギュラーな部分が無ければ、北斗は感応種の際に出動する事が殆どだった。
実際に北斗の『喚起』の能力色々な意味で凡庸性に優れている。リンクサポートシステムを利用するよりも北斗の能力を使う方が結果的には便利だった。
一番の要因は想定外の感応種が現れてた場合。リンクサポートシステムは基本的には事前に分かったアラガミの能力を反映した形で運用をしている。だが、最前線で利用する機会は早々無かった。利用率の高さで言えば一番は防衛班。ある意味当然の事だった。
実際に防衛班が利用するのはそんな意味があった。
事前にアラガミの種類が分かっていればその対処は難しくは無い。どんなアラガミであっても弱点となる属性を変化する事は不可能でしかない。それがこれまで、世間一般が考える常識だった。
だが、感応種が存在した事により、その常識は脆くも崩れ去る。
その結果としてこれまで以上に教導カリキュラムが厳しくなっていた。
何も分からない状況での指導であれば音を上げる者や不満を漏らす者も出てくる。だが、最初の段階で明確な数値にして居る為に厳しい内容であっても文句は出なかった。
一時期は憧れによる人数の増加があったものの、ここ最近になってからそのブームはひと段落していた。
勿論、損耗率を考えれば適合者を遊ばせる余裕はない。クレイドル計画が順調に進んでいる事もあってか、防衛の為の配備に余念がなかった。誰でも自分の命は惜しい。死なない為には努力するよりなかった。
「そうだ。折角だし、偶には奢るから皆でメシでも食わない?」
「でも………」
「大丈夫だって。北斗達だって、この後の予定って急ぐ様な物は無かったよな?」
「特段、急ぎの用件は無いですね」
「だろ。中々こんな事が無いとブラッドとも交流する機会は無いからさ」
帰投のヘリの中でコウタは突如として思いついたかの様に話をしていた。
実際に今回の件に関しては新人からすれば完全に荷が重すぎた。
北斗達が来なければ完全に命を張った撤退戦が要求される事になる。これがエリナやエミールが居る第一部隊であればそれ程大きな問題にはならないが、新人の場合はその限りではない。
実際に未知のアラガミと対峙した場合、高確率で取り乱すのは間違い無かった。
只でさえ実戦経験が不足している所への新種や感応種は完全に混乱する元でしかない。幾ら熟達した人間であってもそんな状態から生き残るには相応の実力が必要だった。そう考えれば帰ってからのラウンジでの食事程度で不安を払拭できるなら安い物。ベテランの中では誰よりもコウタが一番それを知っているからこその提案だった。
勿論、マルグリットもまた、コウタの考えを理解している為に何も言わない。懸念するとすれば北斗とシエルの都合だけだった。
「出がけにエイジから聞いたんだけど、ラウンジで限定メニューがあるらしんだ。折角だからそれにしようぜ」
コウタの言葉にマルグリットも少しだけ思い出していた。何時もと違った手順と材料から何となくそのメニューを理解していた。恐らく屋敷で料理に関する事を習って無ければ想像すら出来なかったはず。時期的に考えれば理論上は可能ではあったが、まさかそれを本当に取りに行くとは思えなかった。
只でさえクレイドルの中でもエイジの戦闘力は極東一と言っても過言ではない。そんな最高戦力がそんな事をするとは思えなかった。
だが、冷静に考えればその選択肢はあり得る。極東支部と言う括りで考えれば無いだけであって、それ以外となれば可能性はかなり高い。コウタはそんな内情なんて考える事は無いが、マルグリットは何となく理解していた。
だからこそ限定メニューが何なのかは想像がつく。確かに限定と謳うのは当然だった。
「確かに限定ですね。恐らくはラウンジでさえも全員には賄いきれないと思いますよ」
「ひょっとして、マルグリットさんは何なのか知ってるんですか?」
「何となくですけどね」
コウタだけでなく、マルグリットがそう言うのであれば何となく限定メニューが何なのかが北斗には想像出来ていた。
この時期特有のそれであれば今の状況から予測が立つ。何となく懐かしい記憶が蘇ったからなのか、北斗は珍しくうっすらと笑みを浮かべていた。
「コウタさん。遠慮はしなくても良いんですよね?」
「お、おう。でも北斗がそんな顔をするなんて珍しいな」
「そうですか?自分としては懐かしい方が先に出ますから」
普段はどちらかと言えば感情が表に出る事は少ない。事実、シエルでさえも北斗の表情が変わるのを見たのは数える程だった。
今の北斗は何時もと違った表情を浮かべている。だからなのか、この場に居た他のメンバーの表情を見る事は無かった。
「思たより人が多いな」
「誰だって期間限定の言葉には弱いと思うよ」
マルグリットの言葉通りラウンジにはそれなりの人が来ていた。
カウンターの隣にある小さい黒板にも本日のメニューは期間限定である事が書かれている。コウタは事前にエイジから聞いていたからなのか驚く事は無かった。
「感応種が出たんだってね」
「ああ。でも北斗が来てくれたから助かったよ」
「ニュクス・アルヴァ……だったよね。あの情報が届いてからはツバキ教官とサクヤさんが色々と相談してたよ」
「……マジか。聞かなかった事にする」
感応種が出た際には極東支部に所属する一定上の階級の人間の端末には情報が流れる様になっていた。
幾らリンクサポートシステムの恩恵があったとしても直ぐに対処出来る人間はそう多くない。防衛班に限っても、まともに対処出来るのは旧の第2、第3部隊の面々だけだった。
当時の段階でハンニバルに代表される接触禁忌種の危険度はこの場ではコウタが一番知っている。当時の最新の精鋭でさえも対処が不可能だったアラガミ。あの時は偶然だったが、今では必然となっていた。
そんな特殊な状況を理解しているからこそ今回の話は一定以上の回答が求められる。だからこそ、その対応は至極当然とも言えた。
「近々案内が来ると思うよ。多分部隊長クラスからだろうね」
「俺、これしか無いんだけど」
「コウタの場合は戦術面じゃないかな。元々からそのポジションなんだから、今から特殊な事はやらないと思うよ」
「よりによって戦術か……」
エイジの言葉にコウタは渋い表情を浮かべていた。
実際に第一部隊としても指示は出すが、その殆どが新人から中堅に対してだった。
これがベテランになればそれぞれの考えを持つ為に、指示を出さなくても連携は取れる。今まではそれでも問題は無かったが、やはり、今後の課題が残る以上はその可能性は否定出来なかった。
それを理解するからなのか、自然と渋面になる。隊長と言えど常に学ぶべき物は多々あった。
「結果は早く求められるかもしれないけど、今はまだゆとりもあると思うよ。はい、注文の品。数量限定だから残りはそれ程じゃないけど」
「おっ、これか!何だか秋って感じだな」
コウタの前に置かれたのは季節限定と言うだけあって、この時期特有の品ばかりだった。
用意されたのはご飯の中に鎮座する黄色い物体。少しだけ黒胡麻がかけられていたのは彩の為だった。
メインとなる物は塩焼きの秋刀魚。どうやって仕入れたのかは分からないが、これもまた数量限定で用意されていた。
本来であればこれに味噌汁が付くが、コウタの性格を考えれば他に何かしらボリュームのある物があった方が満足度が高い。そう考えた末の豚汁だった。
順番に出されたからなのか、コウタだけでなく、マルグリットや新人の前、北斗とシエルの前にも次々と置かれている。コウタとマルグリット以外は早々見る事は無かったからのか、どこか驚いた表情をしていた。
「やっぱり旨かった。エイジ、サンキューな」
「気にしなくても良いよ。本当に数が無かったから、材料が無くなれば終わりだから」
「因みに在庫は?」
「これで最後かな」
「ひょっとして拙かった?」
「数量限定だから仕方ないよ。黒板も消したから。〆も出しておくから」
用意されたお茶を飲みながらコウタは他のメンバーを見ていた。
新人は普段ラウンジに来る事はそう多くない。基本的に誰が来ても問題は無いが、来るのが殆どが中堅以上の為にどこか緊張した面持ちだった。
だが、今回に限ってはコウタ主体となっている為にその限りでは無い。
用意された料理に箸を付ければ緊張はほぐれていく。まだ箸が止まる気配は無いが、それも想定内だった。
「エイジさん。久しぶりにこれ食べました」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
このメンバーの中で意外だったのが北斗だった。
普段もここで食事をする事が殆どだが、実際にそれ程食に対して欲求があるとは思えなかった。
決して口に合わない訳では無い。単純に指向の問題だった。
出された物の大半は山の物。恐らくは故郷の何かを感じ取っていたかの様だった。
だからなのか、栗ご飯は何時もとは違いお代わりをしている。隣に居たシエルもまた珍しい表情をしていた。
「でも、北斗がそんなに食べるなんて珍しいですね。普段はそれ程じゃないはずですが」
「まだ小さかった頃は良く取って食べたんだ。それと銀杏も」
「銀杏……ですか?」
「ああ。結構臭いがきついけど、中身は美味いんだ。そう言えば、移動中に葉の黄色い樹を見ただろ。それがそうなんだ」
北斗の言葉にシエルも少しだけ思い出してた。既に季節の変わり目になっているからなのか、アラガミの影響を受けていない木々色は変わり出していた。
極東では紅葉を見ると言った風物詩が旧時代にあった事は記憶している。
既にアラガミが闊歩する様になってからはそんな事は不可能となってた。だからなのか、旧時代に比べて影響を受けない場所は緑が濃くなっているのは必然だった。
当時と今で決定的に違うのは空気が澄んでいる事。旧時代であれば常にどこなの地域で空気が汚染されるのは当然だった。
だが、オラクル細胞の発見と共にその状況は大きく崩れる。産業にまみれ、自然が破壊されるのを防いだのがアラガミであるのはある意味では皮肉だった。
「ここからでも割と安全な場所にあったから時間があれば採取しに行く位の時間はあると思う。それに、今回のこれもそこで採ってきたから」
エイジの示した場所は意外と近い場所にあった。
確かにそこならばそれ程時間はかからないはず。ゴッドイーターであれば尚更簡単だった。
アラガミの心配をする事も無くゴッドイーター特有の身体能力であれば時間もかからない。そうであれば時間があればそれも一つの手だと北斗は考えていた。
「今度時間があれば行ってみます」
「材料があれば、また作るよ」
「お願いします」
何気ない会話ではあったが、今はそれで十分だった。
カウンターを見ればムツミが限界ギリギリの動きをしている。本来であればエイジがここに居る事はない。
だが、エイジもまたコウタと同じく新人の状態を確かめる為に近づいていた。
視線を動かせば感応種との遭遇に対する感情が薄まっている様にも見える。コウタとマルグリットも居るのであれば、この場は大腰部だと判断し、カウンターへと戻っていた。
気が付けば抹茶のアイスが置かれている。厳しいミッションを労うかの様にそのアイスの冷たさと甘みが身体に染み渡る様だった。
時間が経過したからなのか、ラウンジもまた徐々に喧噪が多くなる。早めに来た為に、コウタ達もこの場を離れていた。