神喰い達の後日譚   作:無為の極

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第74話 模擬戦

 子供達とリヴィの戦いを見ていたのは北斗とシエルだけではなかった。

 隠れていた場所から見た光景は正に効率的な狩りを思わせるやり方。何時もは慕って来るはずなのに、どこか冷たい雰囲気が漂っていた。

 既にリヴィが捕獲されたからなのか、そのままリタイアとなっている。

 今の状況で自分が同じ立場ならば反撃の可能性があるのだろうか。ナナはそんな事を考えながら自分の次の行動を考えていた。

 以前の遊びから判断すれば、このままだと見つかるのは時間の問題。先程の光景から考えるに、少なくとも自分もツーマンセルで行動することが先決だと判断していた。

 隠れながらに移動を開始する。しかし、その様子は既に屋根の上から人知れず捕捉されていた。

 

 

「あ!ギル。大変だよ。リヴィちゃんが捕獲されちゃった」

 

「リヴィがか?」

 

「うん。どうやらここの子供達は私達と敵対しているみたいだよ」

 

 ナナの言葉にギルは顔を顰めていた。元々ここの子供がどれ程技量を持ているのかは同じ槍を使うからなのか、ブラッドの中でも北斗と同じくらいに理解していた。

 ナオヤを筆頭に槍術は単に突くだけの技術では無い。受けと払いすらも習熟しているからなのか、その行動に澱みを感じた事は殆ど無かった。

 まだ年齢を考えれば異様としか言いようが無い。だからなのか、ナナの言葉にギルは内心焦りを浮かべていた。

 

 

「だとすれば、ちょっと拙いかもな。とにかく単独は危険だ。ナナ、ここからは一緒に行動するぞ」

 

「うん。分かった」

 

 お互いが共同する事で障害を排除する。同じ近接同士ではあるが、ハンマーのナナと槍のギルでは間合が違う。近距離から中距離をカバー出来るからなのか、ナナは僅かに安堵した瞬間だった。

 

 

「ナナ!後ろだ!」

 

「えっ?」

 

 ナナが振り向くよりも早くギルが真っ先に動いていた。

 牽制の為に放たれた矢はナナの胴体めがけて放たれた物。判断が早かった為に矢はナナに届く事無く、そのまま地面に叩き落とされていた。

 それと同時に二の矢が来ないかと警戒する。牽制だったからなのか、次に飛来するはずの矢は飛んでこなかった。

 

 

「あ、ありがとギル」

 

「ナナ、ここは拙い。直ぐに離れろ。時間をかければ囲まれるぞ」

 

「そ、そうだね」

 

 ギルの判断は早かった。矢が飛んでくる時点で既にここは捕捉されている。

 このままではリヴィの二の舞になるのは決定事項。だからなのか、この場から直ぐに離れる事を判断していた。気が付けば気配が僅かに感じてくる。2人は逡巡する暇すら与えらえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロミオ、リヴィがやられたんだが、本当にここの子供達がやっているのか?」

 

「ああ。少なくとも技量は人によっては俺達以上かも」

 

 リヴィ捕獲の情報はジュリウスとロミオの下にも届けられていた。なす術もなく捕獲された事実は予想以上の衝撃が大きい。

 当初は何も分からないままに進んでいたが、リヴィの情報を耳にしてからはこれまでの様な慢心は完全に無くなっていた。

 事前に渡された神機代わりの木刀がやけに小さく感じている。これまでにこんな形式の訓練をした事が無かったからなのか、ジュリウスは無意識の内に手に汗を握っていた。

 

 

「そうか……これは慢心を無くす為に用意された物かもしれんな」

 

「だよな。俺もそう考えてる。後はどうやって回避するかだよな」

 

 既に2人の思考から甘えは無くなっていた。元々ここに呼ばれた時点で何かしらある事は間違いかった。

 事実、今の状況に陥る事で漸くその意味を理解している。ここから先に出来る事が何なのかは誰も知る由も無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、リヴィ姉さんはこちらにどうぞ」

 

 捕縛されたかと思った瞬間、リヴィは厨房へと運ばれていた。

 既に縄は解かれ、前に歩く子供の後に着いて行く。厨房に向かっている事は理解していたが、それが何を意味するかまでは分からないままだった。

 

 

「私はこの後何をすれば良いんだ?」

 

「取敢えずリタイアしたから、この後は食事の準備をするんだよ。皆、出払ってるから」

 

 子供の言葉にリヴィは大よそながらに理解していた。

 今回の教導が屋敷の敷地内全域である事から、駆り出された人間はほぼ全員。幾ら何をしようが人間である以上、動けば腹が減るのは道理だった。

 誰も居ないからなのか、一部の子供達だけで作るのは大変な作業。だからこそリタイアしたリヴィはその大事な人員として確保されていた。

 

 

「なるほどな。確かに合理的だ」

 

「じゃあ、この野菜の皮を剥いてね」

 

 渡されたのはピーラーとジャガイモ。数は数える事すらしたく無い程の量だった。

 何を作るのかは聞かされていないが、見れば既に作業は開始している。既に外部との接触を絶たれたからなのか、今はだた作業をするしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギルとナナは周囲を確認しながら移動を開始していた。

 元々ここで過ごす事が余り無いからなのか、今がどんな状況になっているのかを判断するには材料が足りなさ過ぎていた。

 確保されてからの状況は不明だが、何処に連れて行かれたのかが分からない。事実上のリタイアだった。

 なるべく音を立てる事無く動き続ける。未だ絡みつくような気配は消える事は無かった。

 

 

「何だか嫌な展開だな」

 

「確かにそうだよね」

 

 ゴッドーターの脚力であれば仮に追跡されたとしてもその速度で振り切る事は不可能では無い。しかし、それは障害となる物が何一つ無い状態である事が前提だった。

 事実、建物が常に何かしらの死角を作り出すと同時に、行動の範囲までもが制限されていく。

 それだけではない。ナナはここの子供達がどれ程常識から逸脱した行動をするのかを理解しているからこそ、行動は何時もの様に大胆に動くのではなく細心の注意を払っていた。

 気配だけでなく、音すら立てる事無く忍び寄る。時折頭上も確認するが、ギルとナナは何も気が付かないままに行動していた。

 それを見たからなのか、一人の子供が持つ弓が一気にしなる。効率を高めた弓は既にギルに狙いを付けていた。

 

 

「ぐぅっ!」

 

 声にならない悲鳴はギルの口から洩れていた。殺傷能力は低いがそれでも直撃すればかなりの威力を発揮する弓から放たれた矢はギルの腹部を直撃していた。

 突如として飛来した矢を確認したものの、その先にいるはずの子供の姿はどこにも無い。矢が刺さった事によって、周囲の探知は記憶から抜けていた。

 

 

「ギル!」

 

「来るな!周囲を確認しろ!」

 

 ナナの心配する声を制し、ギルは改めてナナの方へと視線を動かす。

 時すでに遅し。ナナの意識がギルに向かった瞬間に飛び込んで来たのは一つの刺突だった。

 

 

「きゃああああああ!」

 

 一度ではなく二度突いたからなのか、ナナもギル同様に腹部と大腿にダメージを受けていた。

 意識が一方に向いた瞬間に間合が完全に詰められたからなのか、既に槍の有効範囲だった。

 腹部を突き、反動で戻った所を素早く払う。払った先にあったのはナナの大腿だった。

 幾ら強靭な肉体を持っていしても瞬時に受けたダメージが直ぐに回復する訳では無い。衝撃はそのままナナの悲鳴を誘っていた。

 

 

「ナ……ナ!」

 

 一方のギルもまたそれ以上の声を出す事は無かった。ナナだけではない。攻撃に参加しているのは全部で3人。

 ナナに意識を向けた瞬間、物陰からギルめがけて斬撃が飛んでいた。油断した為に、側面から薙ぐ様に木刀が直撃する。無意識下での一撃はやはりギルの動きを完全に止めていた。

 蹲ればこのまま終わる。それを理解したからなのか、ギルは思わず落としそうになった自分の槍をそのまま握り、汚れる事すら構わずに回転しながらその場から離れていた。

 

 

「こんな所で!」

 

 悲鳴はあがったものの、ナナとてこのままやられるつもりは毛頭なかった。

 無理矢理痛みを押さえ、自分が持つ槌を攻撃が受けた方向へと向けていた。

 槍と槌の間合いは大きく離れている。距離が離れたままでは致命的だった。

 以前の教導で対峙したナオヤと姿が重なって見える。気配を完全に消し去ったからなのか、ナナの視界に映るのは一本の槍だけだった。

 ギルだけでなくナナ自身も今の状況のままでは終わる事を理解していた。先程のリヴィを捕獲した際に見た連携はまさに死角すら見当たらない。事実上の連携攻撃はある意味ではナオヤ以上に厄介だった。

 しかし、今は一対一。これなら何とかなるだろうとナナは無意識の内に自分の持つ槌の握りを強く握っていた。

 

 

 

 

 

「まさか、こんなやり方があるとはな……」

 

 ナナが対峙した事を確認したからなのか、ギルもまた木刀を持った2人と対峙していた。

 間合を図りながらゆっくりと移動している。気が付けば既にそこはギルの得意とする場所ではなくなっていた。

 若干狭くなった場所で槍を振れば何かに衝突する可能性が高く、また刺突するにしても狭所だからなのか、攻撃の範囲は自ずと限られていた。

 狭所を忘れギルは二度三度と突きを続ける。しかし、来る場所が分かっているからなのか、フェンイトすら入らない攻撃は全て無効化するかの如く往なされる。攻撃の手を止めれば反撃が待ち構えてるからなのか、ギルは対峙した子供に対し手を止めるつもりは無かった。

 

 

「お兄さん、甘いよ」

 

「クソッたれが!」

 

 刺突は距離を活かせる為に槍術の考えからすれば間違った選択肢では無かった。寧ろこれだけの狭所であれば事実上の正解に等しい行為。しかし、それはあくまでも一対一での話に過ぎなかった。

 狭い事を有効活用したからなのか、後ろに居たはずの子供は直ぐに壁を使って三角飛びの容量でギルとの距離を詰めていた。

 これまでとは違い、明らかに殺意が籠った一撃はギルの懐へと飛び込んでくる。

 刺突の為に放たれた槍は何時もの様に戻る事はなかった。伸びきった腕を止めるかの様に往なした行動から一転、槍の穂先の部分を地面に叩きつける。

 衝撃が槍と通じてギルへと流れ込んだ瞬間だった。懐に入った子供の一撃は、再びギルの腹部を直撃する。

 突きを出した事によってギルの身体は完全に死に体だった。痛烈な一撃だけに留まらす、二撃目までもが連続して叩き込まれる。

 これが実戦であれば自分の胴体が斬られたと錯覚する内容にギルは終始驚きを見せたまま意識を失っていた。

 

 

 

 

「このままやられる訳にはいかないよ!」

 

 ナナは渾身の力で槌を振り回していた。ギルの事も一瞬脳裏を横切るが、自分が対峙した相手の事を無視する訳には行かなかった。

 間合が確実に異なる為に、一方的な防戦を余儀なくされている。本来であれば分断された時点に何かしらの対策を練る必要があった。

 これがエイジやナオヤが相手であれば確実にそうする。しかし、相手が子供である事がナナの行動を方向付けていた。

 ここで何とかすればギルの所に向かう事が出来る。今のナナはその一点だけに囚われていた。

 槌を振りながら圧力をかける。一方の子供もまた間合を取ながら牽制を続けていた。

 このままならば確実に押し切れる。そう考えた瞬間、何か重要な事を忘れている可能性があった。

 自分達はなぜこの場所で戦っているのか。どうやってここに来たのか。戦いの最中が故に脳が高速回転し、思考が加速する。その瞬間だった。

 

 

「忘れて……たよ」

 

 ナナの腹部に矢が命中していた。ここにくるまでに誘導されたのは一本の矢。そしてお互いが対峙した瞬間、その意識は完全に槍を持った子供だけに向けらえていた。

 死角からの一撃。ナナの動きが僅かに緩んだ瞬間だった。

 裂帛の気合いと共に3本の衝撃が襲いかかる。これが神機であれば盾で防ぐ事も可能だが、あいにくと槌ではそれが出来ない。

 両肺と腹部への質突はナナの意識を奪い去っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり予想通りと言うか、何と言うか」

 

 物見櫓から見た光景はエイジが予測した結果に落ち着き始めていた。元々今回の教導のは事実上のロミオの実技試験も兼ねていた。

 対戦するまでもなくそれなりに上位のレベルであれば、分断された場合や、情報が無い状況での判断をどうするのかを見定めていた。

 

 真っ先に退場する事になったリヴィはともかく、警戒していたはずのギルとナナまでもが捕獲されている。本当の事を言えばギルは状況を把握し、ナナは相手の力量を判断する必要があった。

 視覚から入る情報は確かに重要ではあるものの、やはり万が一の予測を立てない限り、逆に返り討ちにあう。

 恐らくは時間さえかければナナも様子を伺う事を優先したのかもしれないが、やはりギルの事を考えての行動に間違いなかった。

 その結果として自分が捕獲されれば本末転倒。このままでは改めて戦術論の座学に突入するのは間違い無かった。

 

 

「でも、あの子達って確か、ここでもかなりの上位でしたよね?」

 

「まぁね。ナオヤまでは行かないけど、それに近い技術は持ってるよ。恐らくは見た目に惑わされたんだろうけどね」

 

「それは……私だって多分同じだったら、そう判断しましたよ」

 

 櫓から見ていたのはエイジとアリサだった。今回の教導にあたり、エイジは無明とツバキに今回の概要を説明していた。

 元々子供達も他の人間と模擬戦をすれば更に技量を高める事も出来ると判断し、ブラッドもまた臨機応変に行動する事を学ぶ事が可能だと判断した結果だった。

 実際にエイジは子供達に何かしらの作戦を指示した訳では無い。子供達が各々の判断で決めた結果だった。

 

 

「でも、見た目だけに囚われたら、この前と同じなんだ。実際に変異種と普通種に見た目の差は無いからね。戦っていれば何となく分かるかもし、最悪は再戦でも良いかもしれないけど、今のアナグラではそれが出来ない。厳しいかもしれないけど、ここは乗り切ってもらうしか無いんだよ」

 

 エイジの目は何時もの教導と同じだった。

 決して貶めようとしている訳では無く、純粋に危機管理能力を持ってもらいたいが故の判断だった。

 確かに途中でツーマンセルでお互いの不備を庇い合う考えは正解だが、簡単に分断されれば意味を成さない。誘導された時点で周囲の様子を伺いしれないのであれば、今後はそれも教導に盛り込む事を優先していた。

 気が付けば、ギルとナナは予定してた場所へと運ばれる。恐らくはこれから厨房に回される事になるのを知っているのはエイジだけだった。

 

 

「でも、どうしてアリサがここに来たの?本来はリンドウさんだったはずじゃ」

 

「そ、それはちょっとサクヤさんからお願いされたので……」

 

 言い淀むアリサにエイジはそれ以上の事は無いも言わなかった。

 恐らくはサクヤが気を使ったのかもしれない。最近は慌ただしい時間が続いたからなのか、お互いがゆっくりと出来ない。

 今回の様に事実上、まる1日がここだからと知った上での指示に違い無かった。

 

 

「そうなんだ」

 

 全てを悟ったからなのか、エイジは再び周囲を確認していた。

 櫓からでは軒下の入られると行動が全く見えない。今見えるのは屋根伝いに行動している子供達だけだった。地上と同じ様に移動している。此方は此方で成長の度合いがよく見えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと……」

 

「ナナ。漸く気が付いたのか」

 

 ナナの視界に飛び込んできたのはエプロン姿のギルだった。気が付けばここは厨房の隣なのか、扉の向こうからは何か騒がしい声が聞こえて来る。ここが屋敷の中だと気が付くのに僅に少しだけ時間を必要としていた。

 

 

「ギルは何してるの?」

 

「見ての通りだ。隣で全員の食事を作ってる。リヴィも既に駆り出されているぞ」

 

「って事は私達も捕獲されちゃったんだね」

 

「ああ。冷静になれなかった俺達の負けだ」

 

 ギルの言葉にナナも漸く自分達が捕獲された事に気が付いていた。

 確かに冷静さを失ったのは拙かったが、まさかこうまで一方的になるとは思わなかった。

 奇襲だけでなく自分が持っている武器の特性を完全に理解しているからこそ立案された作戦。分断した時点でお互いが苦手な場所へとおびき出された事実は明らかに戦術で負けていた事になる。

 一度脱落してからの再起は不可能。だからなのか、ナナも自分の置かれた状況を理解しながらもどこか悔しい気持ちが勝っていた。

 

 

「何だか悔しいね」

 

「ああ。これからはもっと戦術論も学ぶ必要があるな」

 

「そうだよね。聞いてただけじゃこんな風になるなんて思わなかったよ」

 

「あとはロミオ達と北斗達だな」

 

「せめてブラッドしては頑張って欲しいよね」

 

 リタイアした為に、ここから先の展開を伺う事は出来なかった。既に時間もそれなりに経過しているからなのか、どこか良い匂いがナナの鼻孔をくすぐる。

 今日のメニューは何だろうか。そんな事を考えていた時だった。

 

 

「ナナ。ギルも何時まで油を売っているんだ。お前達も参戦しないと食事は抜きだぞ」

 

 エプロンではなく割烹着を来たリヴィは、おたまを持ったままここに来ていた。

 未だ準備中なのか、出来上がった要素はどこにも無い。少しだけ視線を動かせば、小さな子供とシオが陣頭指揮をとって鍋と向かい合っていた。

 

 

「了解。そう言えばリヴィちゃんのそれは私物なの?」

 

「これか?これはここで作る際に借りてる物だ。案外と使いやすいぞ」

 

 エプロンとは違うからなのか、動く事に対し気にする様な要素はどこにも無かった。

 今回の食事は何時もの人数では無い。ブラッドが参加している為に料理の手間だけは余計にかかっていた。

 

 

「ナナ。これはお前の分だ。取敢えずは今の俺達に出来る事はこれ位だからな」

 

「そうだね。折角なんだし、ここは一つ私の腕の見せ所かな」

 

 既に先程までの悔しさの影は消えていた。幾ら悔しい気持ちを持っていても、今出来る事は何一つ無い。

 負の感情をズルズルと引き摺る事無く気持ちを切り替える事を優先してたからなのか、ナナも用意されたエプロンを付け、そのまま厨房へと向かっていた。

 

 

 

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