神喰い達の後日譚   作:無為の極

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第76話 模擬戦と試験

 木刀による連撃は如何にジュリウスと言えど完全に捌ききるのは容易ではなかった。

 一刀だけを意識すれば、次に来る一刀がジュリウスの胴体を狙って来る。お互いの隙を完全に無くす連撃は脅威としか言えなかった。

 自分の背中を護るロミオもまた同じ状況へと追いやられている。

 相手が太刀の長さに対し、ロミオは大太刀。有効範囲は広いが、その特性を理解している子供達からすれば、どうやって利点を潰すのかは容易だった。

 的確に弱点だけを付け狙う。お互いが防戦になっているも、この地では奇襲が出来ない事から、目の前の対処だけを優先すれば良いだけだった。

 迫り来る連撃に対し、反撃する隙がどこにも見当たらないからなのか、ジュリウスは僅かな綻びすら見逃さないとばかりに視線を集注させていく。

 その恩恵があったからなのか、まるで二刀流とも言える連撃に僅かな隙を見つけていた。

 

 これまで連戦を繰り返してきたからなのか、ジュリウスよりも子供達の方が疲労の色が濃くなっている。幾ら子供と言えど、この戦いに於いてはそんな感情は既に捨て去っていた。

 僅かに乱れた連携を力任せに強引に喰い破る。本来であれば完全に下策ではあるが、今のジュリウスに周囲の視線を感じる暇はどこにも無かった。

 

 

「やり方を変えて来たぞ!」

 

「隙を見せるな!」

 

 強引に押し返した事により、その攻撃網は確かに破る事は成功していた。

 本来であればここから反撃を開始するのが当然の事。しかし、ジュリウスもまた強引過ぎたからなのか、態勢は大きく崩れていた。

 死に体になれば確実に攻撃を受ける。最悪はそれだけは避ける事を意識し、ジュリウスは改めて対峙した者を見据えていた。

 

 

「お兄さんやるね」

 

「これだけ見事な連携の前には皮肉な言葉だな」

 

 お互いは既に肩で息をしているからなのか、会話をしている最中でも強引に呼吸を整えていた。

 幾らゴッドイーターと言えど無呼吸での攻撃には限界がある。本来であれば、ここで銃撃を浴びせながら一旦間合を取る戦法が使えるが、生憎とその銃撃は封じられている。

 だとすれば、この会話の中で呼吸を整える以外に手段は無かった。

 

 

「でも、本当にそれで良いのかな?」

 

「何?」

 

 会話そのものには何の意味も無かった。まるで無策かの様に木刀を構え、ジュリウスめがけて疾駆していた。これまでにこんな雑な攻撃を受けた事は一度として無かった。

 本来であれば常に隙を狙い、一撃の下で叩きつけているはず。どこか違和感を持ちながらもジュリウスは改めて木刀を構えていた。

 

 疾駆しながら中段の八相の構え。これではカウンターを狙ってくれと言わんばかりの攻撃。横薙ぎに迫る斬撃に違和感を持ちながらもジュリウスは攻撃を回避するつもりだった。

 何かしらの特殊な攻撃なのかもしれない。そんな危機管理の能力が働いていた。

 大気を切裂く攻撃はまともに受ければそれなりのダメージを受ける事になる。

 木刀が直撃する寸前までそう考えていた。しかし、こちらに向かっているその位置はジュリウスでは無い様な気がする。

 何を狙っているのだろうか。その刹那、ジュリウスは唐突に理解していた。

 

 

「好き勝手させる訳には行かない!」

 

 ジュリウスの怒号に近い声と同時に、大木の様にその場から動く事をしなかった。

 事実上の直撃に近い物はあるが、完全に防御の態勢を保った為に、その攻撃は完全にシャットアウトする事に成功していた。

 

 

「へぇ……」

 

 これまでの様子が一変していた。先程までのどこか子供特有の表情からまるで何か目的を持った様な、表情が抜け落ちた顔へと変貌している。

 先程までの攻撃とて決して油断した訳でもなければ手を抜いていた訳でも無い。細められた目と冷徹さを感じさせる口調。変わった表情からうかがい知れる情報は何一つ無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 背中で防戦しているジュリウスの行動はロミオも直ぐに理解していた。

 元々ここの人間の技量は自分に比べれば、遥かに高みに居る事は最初にここにきた当時から理解していた。

 自分達も安穏とした生活送って来た訳では無い。常にアラガミとの戦いによって命のやりとりを繰り返す日常に居るからこそ、その攻撃は時間と共に洗練されていく。

 しかし、目の前に対峙した子供達はそのロミオが持っている経験を遥かに上回っていた。

 幾らアラガミと戦った事が無いにせよ、確実に自分達以上に格上の相手に怯む様子は最初から無かった。大太刀の利点は通常の刀身よりも有効範囲が広くなっている点。

 ロミオ自身、元々個人技でも負けているからなのか、その差を気にする様子は一切ない。むしろ、屋敷の中では下から数えた方が早いとさえ考えている。

 既に受けるだけでも厳しいとさえ感じていた。そんな中で澱みなく続く攻撃を受けながらロミオは自分の背後で起こっている変化に気が付いていた。

 

 

「ジュリウス!さっきまでと同じだと思うな」

 

 ロミオは半ば無意識の内に出た感情をそのまま言葉に乗せていた。

 明らかに変化した氣は明らかに異質な物。ジュリウスは気が付いていないが、ロミオはこの感覚が何なのかを理解していた。

 以前に真剣を使った教導で放たれた物。明らかに何かを決定付けさせるそれは、決して気を抜けば自身の命に係わる可能性を持っていた。

 

 

「くそっ!」

 

「ロミオ。対戦相手間違ってない?」

 

 子供達の言葉にロミオは自身に対し苛立ちを感じていた。

 確かに指示はしたが、それが本当にジュリウスに伝わったのかを確認する為に意識を完全に変えた事が裏目に出ていた。

 これまでの様にまるで防御を無理矢理引きずり出すのではなく、明らかに仕留めにかかる攻撃は今のロミオにとっては厳しい物だった。

 連続して迫る斬撃は全てが致命傷を負わせる物。大太刀の特性でもある長い刀身の全てが防御の為に使われる。

 背後に動く気配を察知しながらも、今のロミオに出来る事は目の前の嵐の様な斬撃を防ぎ切る事だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出来た!」

 

 ジュリウスとロミオが交戦中のままに食事が完成していた。

 真っ先に脱落した者から作業に入った為に、本来であれば既に出来上がっているはずだった。しかし、普段は器用さを発揮するシエルやリヴィもこれが料理となれば話は変わる。

 細かい指導を下に何度も修正を余儀なくされていた。

 

 

「漸くですね。流石にこれ程の量を作ろうと思うとかなり大変でしたね」

 

「だが、身に付いていたからと言って困る様な内容でもないだろう。だとすれば、今後も精進すれば良いだけの話だ」

 

「俺はジュリウスとロミオの様子を見てくる」

 

 ナナの言葉に終わった事が認識出来ていた。

 これだけの人数の料理を作る事は早々無い。精々が部隊の人数分の食事を作っただけだった。

 既に準備が出来たからなのか、そろそろ模擬戦は終わっているはず。そんな事を思い出したからなのか、北斗は改めて戦っているであろう場所へと移動していた。

 

 

「あれ?エイジさん。どうしてここに?」

 

「ちょっとだけ用事があってね。丁度今、終わった所だよ」

 

 北斗の歩いていた先にはここに居ないはずのエイジの姿があった。

 元々今回の件に関しては既にアナグラにも通達されてるからなのか、教導の一環として来ている。そう考えればここにエイジが居る事に納得は出来るが、その視線は少しだけ違和感があった。

 本来であればもっと細かい部分まで見ている様にも思えたが、今の視線はどこか全体を俯瞰で見ている様にも思える。それが何を意味しているのかは分からないが、何か様子を探っている様にも見えていた。

 そんなエイジの視線の先には既に疲れ切ったからなのか、2人は既に疲労困憊だった。

 ジュリウスは腰を下ろしているが、そこから立ち上がるには恐らくはそれなりに時間が必要になり、ロミオに関しては地面に大の字になって寝そべっている。

 2人の息は荒く、恐らくは何かしらの教導の結果でしか無い。勝敗の行方は不明だが、苦戦の末に敗北、若しくは辛勝かのどちらかの様にも見えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やった~メシが食える」

 

「お腹空いたよ」

 

 子供達の勢いはそのまま途絶える事無く食事へと突入していた。

 既に模擬戦の様に冷たい雰囲気はどこに見当たらない。戦闘と日常は別物だと完全に割り切っているからなのか、その様子を見ていたジュリウスは少しだけ驚いていた。

 

 

「ジュリウス。どうかしたのか?」

 

「いや。先程までの戦いとは全く違うと思ってな」

 

「あ~それね。ここでは完全に割り切ってるんだよ。俺も初めて見たときは驚いたんだけど、こうでもしないとずっと引き摺るからって聞いた覚えがある」

 

 用意された食事は全員で多くの量を作ったからなのか、豪華と言うには程遠い内容だった。

 疲労を抜く目的もあるからなのか、酸味が多めの食事ではあったが、誰もが遠慮する事無く口に運んでいる。

 元々今回は全員で食べる予定だったからなのか、子供達とシオもまた同席していた。

 不揃いに切られた各々の野菜は各自の技量を表している。作っていた人間は誰が何をしたのかを知っているからこそ口に出す事無く食べている。

 味付けだけは完璧に仕上げられたそれは何時もの食事とは違っていた。

 

 

「なるほどな。しかし、あれだけの技量を見せつけられると俺達も改めてうかうかと出来ないと感じたのも事実だ。改めて自分の事を見つめ直すには良いキッカケだったのかもしれん」

 

「確かに。最後の攻撃はヤバかったからな。あの時だけはもうダメだと思ったんだよな」

 

 ジュリウスとロミオの最後の戦いはまさに紙一重の攻防だった。

 まるで図ったかの様に挟撃されたのは、お互いの獲物が不得手な攻撃。本来であれば各々が対処するはずだったが、ロミオは最後の土壇場でお互いの身を入れ替える事で反撃していた。

 しかし、刹那の時間が勝敗を分ける攻防での交換による隙は致命的だった。一撃目は防ぐ事が出来たが、その後に続く連撃はそのまま直撃を受けざるを得なかった。ギリギリの攻防での隙はまさ生死に拘わる可能性を秘めている。

 一方の子供達もまた反撃を受けた事によってかなりのダメージを受けていた。

 これが実戦であればまだ続くが、あくまでも模擬戦。だからなのか、その時点でエイジが制止していた。

 

 

「って事はブラッドは結局全敗か?」

 

「最後は引き分けだな」

 

 ギルの言葉にジュリウスは自分達を有利にするつもりは無いからなのか、純粋に自分が感じた事を口にしていた。

 ジュリウスの言葉に北斗やシエルも頷くしかなかった。以前に北斗がエイジと教導をした際に、徹底的にブラッドアーツを封じ込まれた当時の事を思い出していた。

 強大な力に対し、常に策を練り思考をし続ける。正に身も心も全身全霊を使用した模擬戦は明らかにどちらに天秤が傾いたのかを表してた。

 誰もが実感するからなのか、今は少しだけ騒ぎながら食事をしている子供達を見ていただけだった。

 

 

「私も今回の件はかなり参考になりました。不意の一撃は恐らくアラガミにも有効だと思いますから」

 

「私は少し反省かな……まさかあんな風にやられるなんて思わなかったよ」

 

「それを言うなら私もだ。奇襲もある事を念頭に置かなかったんだからな」

 

 それぞれが自分の思った事を口にしていた。ここがアナグラであれば中々言いにくいのかもしれないが、屋敷である以上誰も言う事は無い。

 そんな慌ただしい食事も終盤にさしかかろうとした時だった。

 

 

「皆、今日はご苦労だった。それと今回の模擬戦の件だが、ロミオ・レオーニ。貴官の実技に対する試験は合格だ。後は学科に励むんだな」

 

 ツバキの言葉に全員が固まっていた。それはブラッドだけではなく子供達も同じ事。

 先程までの喧噪は無く、全員が正座でツバキの話を聞いていた。

 

 

「って事は今回の件は試験を兼ねていたって事ですか?」

 

「そうだ。その為に今回の件では櫓からエイジが常に行動を見ていた結果だ。今後はこの事を念頭に精進するんだ」

 

 ツバキの言葉に漸くジュリウスとロミオは最後に止められた理由が理解出来ていた。

 元々模擬戦である事は当然ではあるが、まさか試験の実技を兼ねているとは思ってもいない。それが理解出来たからなのか、漸く全身に疲労感を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結果的には模擬戦での連携の大切さも理解できたのではと思います」

 

「ブラッドには今後も支部の看板としての役割もはたして欲しいからね。確かに君達でも悪くはないんだが、今後の事を考えるとブラッドにシフトした方が良さそうだね」

 

「僕らも完全に出来る訳ではありませんが、考える事は同じですから」

 

 支部長室では今回の顛末をエイジの口から報告されていた。元々ロミオの准尉に対する試験は事実上不要となる部分の方が多分にあった。

 しかし、既に終わっているブラッドの試験に無理矢理ねじ込むには時間が経ちすぎていた。下手に何かしようものならば本部の介入の口実にもありなかねない。そんな思惑があった末の判断だった。

 

 実際にどれ程出来たのかは言うまでも無かった。神機を使わない連携は自然と考えながら行動する事を優先し、その結果これまで以上の成果が生まれる可能性を秘めていた。

 未だP66偏食因子を完全に解析出来ない以上、ブラッドアーツそのものが徒花になる可能性も含まれている。だとすれば一度何も無い状態での戦闘能力がどれ程の物なのかを知っておく必要があった。

 仮にクレイドルとぶつければ、結果は見るまでも無く、また支部内に於いても何かしらの問題を孕む可能性もある。そんな中での屋敷での模擬戦はまさに想定上の成果を叩き出していた。

 

 

「とにかく、今後も宜しく頼むよ」

 

「はい。ですが、そろそろ教導教官の正規の人間の派遣はできませんか?僕もですが、ナオヤもかなり手一杯の状態が続くので」

 

「その件に関しては済まないが、暫くの間は続くと思ってくれると助かるね。実際に君やリンドウ君の様に現場のたたき上げの人員はどこの支部も貴重でね」

 

 部隊での活躍が出来るから指導も出来る訳でない。実際にエイジやリンドウがやっている事はこれまでに自分達が経験した事実を焼き直している点だった。

 既に他の支部からも実戦形式の教導名目で派遣されている以上、数の少なさは致命的だった。

 どの支部も自分達のエース級を放逐するつもりは毛頭無い。以前のドイツ支部の様に派遣を受け入れるのであれば膨大なコストが要求されるが、こちらから派遣する分には費用は掛からない。

 その影響もあってか、極東支部はここ最近の中ではかなりの人数に膨れ上がっていた。

 

 

「それと、ここだけの話になるんだが、そろそろ現場の居住区も余裕が無くなって来てね。そろそろ、そちらの面も考慮する必要があるんだよ」

 

「ですが、幾らなんでもそれは無理があるんじゃ……」

 

「何言ってるんだい。君だって心当たりが無い訳じゃないだろ?」

 

 榊の言葉にエイジは思わず言い淀んでいた。

 事実アリサとは結婚する前に暫く一緒に済んでいた事がある。当時はまだ人数だけでなくスペースにもゆとりがあった為に表面化しなかったが、今の段階でそれをやれば、人間関係が何かと複雑になる可能性もあった。

 

 

「……それと、これとは違いますので」

 

「そうか……良いアイディアだと思ったんだがね」

 

 弥生ではなく榊の口から出たからなのか、エイジは何となく嫌な気配を感じていた。

 自分達は問題無いが、それ以外の人間には何かしらの影響が出るのは間違い無い。

 榊に関しては支部長である為に権限も有している。仮に支部長権限を使用されれば確実に混乱の元になるのは間違い無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シエルとナナは食事後にサッパリしたいからとそのまま温泉へと足を運んでいた。既に夕闇になるからなのか、昼間とは違った雰囲気に2人は思わず息を飲んでいた。

 露天から見る空は満点の星空。周囲には態と光量を抑える為なのか、照明は提灯や行燈が幾つか置かれていただけだった。

 薄暗いとは言え、全く何も見えない訳では無い。だからなのか、何時も以上に温泉に浸かっていた。

 

 

 

「これは……中々良いですね」

 

「そうだね。湯上りなのに涼しく感じるよ」

 

 湯上りに用意されたのはハッカ油を使ったローションだった。

 これまでに色々な物を見た記憶はあったが、これは初めて見る物。

 用途は事前に教えられたからなのか、2人は湯上りに塗っていた。

 先程までの火照った肌に冷たく感じるそれは明らかにこれからの時期に向けての商品。籠った体内の粗熱は既に払われていた。

 

 

「そう言えば、これはこれから出す新商品らしい。涼感を重視しているみたいだな」

 

 既に着替えが済んだからなのか、リヴィもまた浴衣に着替え2人を待っていた。

 事実上の模擬戦は心身共に使いきっている為に、今の時点でミッションが発注される事は無いからと、ブラッドはそのまま屋敷で逗留する事になっていた。

 

 

「でも、今日のあれは厳しかったよ。まだ少しだけ痣になってるし」

 

「あれだけ適格な仕掛けは私も驚きました」

 

 ナナだけでなく、シエルもまた矢を射かけられた場所は急所の一つでもある水月の部分だった。

 弓はあくまでも外部の影響を受けやすい。風や重力など言い出せばキリが無かった。

 銃撃もそれなりに細心の注意を払うが、弓に比べれば雲泥の差。しかも激しく攻撃している中でのそれは確実に対象物の動きを読まない事には出来ない芸当だった。

 確かに言い出せばキリが無いのかもしれない。しかし、今回のこれに関しては実質的な完敗に違いない。

 今日はそれなりに厳しい一日だからなのか、また明日からのミッションでは改めて考える必要があると考えていた。

 

 

「取敢えずは今日の反省はここまでだ。既にジュリウス達も出ているみたいだから、あっちと合流だな」

 

「何だか旅行しているみたいだよね」

 

「偶には悪く無いかもしれませんね」

 

 リヴィの言葉にシエルとナナも後を着いて行く。時折吹く冷たい風はハッカ油の涼感を引き立たせるからなのか、どこか心地良さを感じさせていた。

 

 

 

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