神喰い達の後日譚   作:無為の極

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第93話 結末

 既に事切れた教団トップの男は生命反応が完全に消え去っていた。

 元々お互いがお互いの利だけを追及した関係なだけに、至近距離で見ていたビューラーは視線を向ける事無く端末に集中している。

 どれ程の実験を繰り返したのかは分からないが、その手が淀む気配はどこにも無い。先程まで言い争ったはずの人間も恐らくは何かしらの考えがあったはず。しかし、そんな考えは永久に確認する事すら出来なくなっていた。

 

 

「どうやら本部で材料の収集を開始した様だな」

 

「デハ……オレモ……イク」

 

「そうだな。お前とは違い、あれは実験体としてもほぼ完成形だからな。ここで死なれるには惜しい」

 

「ソウ……カ」

 

 気配を消しながらも無明とエイジ、アリサの3人は様子を伺うと同時に周囲を確認していた。

 元々教団施設だからなのか、セキュリティそのものは高度ではない。寧ろ普通の民家と大差ない状況だった。

 元々今回の任務は極秘のままに行動するのが義務付けられている。これまでの状況を確認するまでもなく、結末だけが決定しているからなのか、アリサ以外は何時もと変わらないままだった。

 自分で言い出した事ではるが、やはり忌避感があるのはある意味では仕方ない。本来であればこのまま一気に突入するのが定番だったが、今はアリサが落ち着くのを優先した為に、それ以上の事は何も言わないままだった。

 まるで空気しか無い様にビューラーは端末を叩き続けている。既にどれ程の内容が入力されているのかは分からないが、少なくとも目の前の実験体と思わせる女性が何かしらの反応を見せている以上、このまま待機し続けるのは得策ではなかった。

 

 

「アリサ。先程の事は良い。ここが最後の分水嶺になる。どうする?」

 

「……いえ。一度口にした以上はやります」

 

 無明の言葉にアリサの返事はシンプルな物だった。周囲には実験体を合わせて3つの生命反応しか感じられなかった。

 既に実験も佳境に入りつつあるそれに集中すべくビューラーは周囲を気にしていない。一方の男もまた完全に護る訳では無いが、それでも周囲を少しだけ警戒している様でもあった。

 事前に無明から聞かされた内容は無明がビューラーを相手し、エイジが男と対峙する。アリサは実験体を処分する役目だった。幾ら事前に助からないと言われても、傍から見れば囚われた女性にしか見えない。

 勿論、色素は完全に抜け落ちているからなのか、肌だけでなく髪も完全に白くなっていた。

 シオとは違った雰囲気はアリサに戸惑いを植え付けている。人間の、ゴッドイーターにとっての忌避行為。お前は本当に実行するつもりか。案にそう告げられている様でもあった。

 

 

「そうか。だが、無理はするな。エイジ、10秒後に突入だ。気後れはするな。最悪はこちらが逆に消し飛ぶ事になり兼ねん」

 

「了解しました。アリサ、行けそう?」

 

「……はい。だ、丈夫ですから」

 

 先程の会話が聞こえたからなのか、誰もが改めて精神を集注させていた。

 通常のミッション以上に重苦しい雰囲気が立ち込める。既に決意を秘めた視線はお互いのターゲットを確認するだけだった。

 無意識の内に神機を触る。覚悟を決めたのか、アリサの瞳には先程までの怯えは完全に消え去っていた。

 

 

「アリサ。躊躇けだけは絶対にするな。良いな」

 

「分かりました」

 

 無明は改めてアリサに一言だけ告げると同時に、そのまま一直線に疾駆していた。

 影がゆるりと動くかの様に移動しているからなのか、大きな音すら出ないままだった。

 元々温情をかける価値は既に無い。だとすればそれ以上の暴挙をのさばらせる訳には行かなかった。

 僅かな気配だけを残し、瞬時に移動する。気が付けばアリサもエイジと同時に飛び出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ビューラー。残念ながらその命貰い受ける」

 

「誰……だ」

 

 事実上の死角からの一撃は、ビューラーの口から疑問を吐く事すら許さないと言わんばかりに煌めく剣閃はそのまま一気に頸を刎ねていた。

 瞬時に刎ねられからなのか、頸動脈からは夥しい血液が噴水の様に吹き上がる。それと同時に先程まで胴体と一体化していたはずの頸はそのまま僅かに鈍い音を立て、地面へと転がっていた。

 これが何も知らない人間であれば確実に悲鳴が上がるが、この場に居る人間は誰もがそれを気にしている暇は無かった。

 驚きのまま固まる表情は自分の命がそこで止まった事すら理解出来ない程の早さ。エイジもそれに近い事は出来るが、無明からすればまだまだ修行が足りないのは明白だった。

 頸を刎ねた瞬間、無明はすぐさま端末の操作を開始する。こんな場所だからなのか、自壊する事は無いとは思うが、万が一の事を考えた末の選択だった。

 転がるそれを気にする事無く操作を開始する。どんな状態なのかを確認する為にすぐさま端末に視線を動かしていた。

 

 

 

 

「キサマ……ジャマヲスル……ナ」

 

「残念ながら向こうには行かせない」

 

 墜ちた者は直ぐに反応していた。

 頸を刎ねた時点で絶命しているのは勿論だが、不意討ちから来る攻撃に対し確実に反応していた。

 自身の手を刃の様に変化させる。幾ら間に合わないとは言え、侵入者をやすやすと見逃すつもりは最初からなかった。

 

 攻撃を開始すべく刃を向けながら疾駆する直前。墜ちた者の眼前には漆黒の刃が真横に疾っていた。

 これがアラガミならば確実に顔面はそのまま一刀両断とばかりに二つに離れる。しかし、剣速を考えても間に合ったのは本能とも取れる闘争心から沸き起こった物だった。

 互いの刃から発せられた高音と衝撃は瞬時に状況を理解させている。不意討ちのはずが完全に反応されたからなのか、エイジは僅かに驚くも、直ぐに平常心と取り戻し、次の行動へと移行していた。

 

 突然の斬撃は止まったからと言ってその場で停止する事は無い。一旦距離を取る為に、力では無く速度を重視した斬撃はそのまま墜ちた者との距離と時間を稼いでいた。

 直ぐに距離を取る事に成功したからなのか、エイジと墜ちた者は事実上のにらみ合いとなっていた。

 

 

「お前は自我があるのか?」

 

「…………」

 

「そうか……」

 

 エイジは牽制代わりに口を開く事を選択していた。

 元々ビューラーがどうなろうと始末する結末に変更は無かった。

 事実ここに来るまでに聞かされた内容は墜ちた者は特異点に近く、そして人型のアラガミである事実だった。

 

 先程の一撃は挨拶代わりとは言え、やはりどれ程の力量があるのかは衝撃と共に伝わっていた。自身の肉体から作られた刃はリンドウのそれに酷似している。以前に少しだけエイジはリンドウに聞いた事があった。

 その刃はどんな感じなのかと。リンドウの説明に理解は出来なかったが、そのニュアンスだけは何となく伝わっていた。

 

 肉体と同じならば重量を感じる事は無く、そして肉体が崩壊する様な部分がれば刃も同じく崩壊する。自分の細胞を使うが故の結末だった。

 会話らしい会話を求めるつもりは毛頭ない。事実上の戦いに周囲の気配を感じながらもエイジは改めて目の前の墜ちた者を斬捨てる事を決意していた。

 そこに立っていたはずの輪郭が僅かにぼやける。既にエイジはその場には居なかった。

 残像とも取れる物を残し一瞬にして間合と詰める。既に疾駆しているなどの温い物ではなく、無明の様にゆるりと動いているはずがその存在感は既に失われていた。

 

 

 

 

 2人の動きには着いて行けないが、アリサもまたゴッドイーターの力を如何なく発揮し、既に実験をされている少女の下へと疾駆していた。

 元々今回のミッションで一番忌避感と危険が少ないのはアリサだった。最初から訓練されているエイジとは違い、アリサはまだその重さを理解していない可能性もある。もちろん、自分の妻が血で汚す事を当然の目で見るつもりは無かった。

 

 墜ちた者との戦いは余りにも危険だけが残る。かと言ってビューラーを斬らせる訳にも行かない。その中での選択しがこれだった。遠目では分からなかったが、近くに来て初めて分かる事実。確かに肌や髪は白いが、それはシオの様に純白ではなく、寧ろ白濁した様な白さだった。

 顔だけでなく、腕や足の一部の細胞が壊死いたかの様に剥がれ落ちている。墜ちた者の作り方がオラクル細胞のオーバードースでるからなのか、身体が拒否反応を示しているからなのか、少なくとも今のアリサにはどちらでもよかった。

 下手に目を覚まされるとこちらが一気に不利になる。それを理解しているからなのか、アリサは一呼吸だけ空けて神機を構えていた。

 目を閉じているからなのか、何も言わなければ人間の様にも見える。しかし、これがアラガミであるのは明白だった。

 アリサの耳朶に届く剣戟はまぎれもなくエイジと墜ちた者とが戦っている証。自分が躊躇すれば代わりに誰かが死ぬかもしれない。そんな考えがアリサの脳裏を過っていた。

 

 

「ワタシを…ラクニさセテ……」

 

「えっ?」

 

「オネガイ。コノママだト、ワタシは…アラガミとオナじニ…ナ…ル」

 

 アリサは思わず周囲を見渡していた。

 誰もここに居るはずの無い声。無明は端末を操作し、エイジは戦っている。だとすればこの声の発信元は紛れもなくアリサの目の前に居る女性だった。

 依然閉じられた目が開く要素はどこにも無く、また先程聞こえた声もどちらかと言えば口から出た様には思えなかった。

 先程まで自分の精神を落ち着かせ、一刀の元に斬捨てるはずが、聞こえた声で改めて周囲を確認する。2人は気が付いていないのか、無視しているのかは分からない。アリサとしても聞こえた以上は確認するのが当然だと周囲を見渡していた。

 

 

「ハヤク……しテ。デナいト、アナタヲ…コうげキすルコトニ…なル」

 

 既に声は淀んでいた。改めて声の元を確認するも、アリサが感じるのは目の前の女性だけだった。良く見れば口元が僅かに動いていた様にも見える。それが何を意味するのかは考えるまでもなかった。

 既に人間に戻れないのであれば事実上の介錯でしかない。それ以上考えるのは無駄でしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アリサ、部隊長は大変だと思うけど、頑張ってね」

 

「はい。私も出来る限りの事はやりますので」

 

 シックザールから榊に支部長が変更され、既に周囲の空気は当時の様な物が完全に無くなった頃、アリサは唐突に榊からの依頼によって段階的な運用方法がいくつも出てきた。

 その中でも部隊長の経験を積む為には様々な事が要求される。部隊長と言えば聞こえは良いが、問題なのはその内容だった。

 実際に戦場に出れば戦術や討伐だけではない。時にはアラガミ化したゴッドイーターの介錯もが任務に入ってくる。部隊長をやれば誰もが一度は通る道。他の支部ではよくある事かもしれないが、極東支部に於いては実際に実行した事があったのは、極限られた少数だった。

 1人の命を惜しんで、仲間をさらなる窮地へと追いやる。とちらが大事なのかは考えるまでもなかった。

 勿論、エイジとてこれまでずっと部隊長をしてきたからこそ分かる。聞こえだけを重視するのであれば、一定期間過ごした中で勝手に任命すれば良いだけの話。しかし現実はそんな幻想すら許されない。故にエイジはアリサを心配した上で確認していた。

 

 

「そっか……でも、辛くなったら言って欲しい。アリサが一人で抱える問題じゃないから」

 

「……はい。ありがとうございます」

 

 どこか悲しみを浮かべた様なエイジの笑顔にアリサは少しだけ過保護じゃないのかと考えていた。

 これまでに人間の形を残したままに処分するのは、人を殺めるのと同じ行為だった。まだアラガミであればどうとでも言えるのかもしれない。しかし、完全な人型となれば忌避感は今は問題無くても、後々自身の襲い掛かる可能性だけが残っていた。

 それは実際に実行した人間にしか分からない辛さ。何事も無ければ良い。そんな事を考えながらエイジはアリサを見送っていた。

 

 

 

 

 

「まさか、今になってあの時の意味を知る事になるとは思いませんでした。……責任は重いですね」

 

 誰に聞かせるでも無いアリサの呟きはそのまま宙に消えていた。

 一刀の元に斬捨てたからなのか、アリサの足元には先程まで立っていたと思われる女性がそのまま袈裟斬りに斬られたからなのか、既に横たわっている。

 万が一を考え、そのまま暫くは横たわったそれをボンヤリと眺めていた。

 肉を斬った手応えはアラガミとは明らかに異なる感触。

 求められる責任と罪の意識。幾らアラガミだと言われても見た目が人型である以上、それなりに忌避感は襲い掛かる。

 それと同時にエイジもまたこの感覚を常に持ち続けていたのかと思うと、自然に涙が零れ落ちていた。

 

 

「アリガトウ。ワタシヲ…タスケテクレテ」

 

 アリサにだけ届く声に、漸く自我を取り戻す。

 本来であれば戦場で意識を飛ばす行為は自殺行為と変わらない程に危険な事だった。

 しかし、今は周辺にそんな気配はなく、エイジもまた墜ちた者と戦っている。そんな状況だったからなのか、アリサの身に何かが起こる事は無かった。

 

 

「私は何もしてません」

 

「ソレデモワタシハ、カンシャ……ス…ル」

 

 最後の声なのか、それ以上会話が続く事は無かった。

 これまでのアラガミと同じ様にコアこそ無いが、躯体の輪郭は徐々にその姿を維持できなくなっていた。アラガミ特有のオラクル細胞の霧散。それが紛れもなく人間ではなくアラガミだと言っている証拠だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり……か」

 

 エイジはアリサの事を気にかけながら目の前の墜ちた者と剣戟を合わせていた。

 実際に戦闘が始まり、僅か数合で自分と墜ちた者との戦闘能力の差は直ぐに理解していた。

 確かに人型故に攻撃の多彩さは従来のアラガミには無い攻撃。事実、刃を切り結んでからの力の圧力はアラガミのそれと大差なかった。

 瞬時に繰り出す攻撃は、まだ戦いを知らない人間であれば苦戦するかもしれない。しかし、幾度となく襲いかかる斬撃にはどれもこれも小さな隙が必ずあった。

 

 本来であれば相手の力量が分かれば一気に決めるが、相手は曲がりなりにもアラガミでもある墜ちた者。ひょっとして何か特殊な攻撃があるのかもしれない。そんな見えない物を経警戒しながら対峙していた。

 幾ら力が強くても、肝心の攻撃が当たらなければ何の意味も成さない。

 これまでのエイジであれば万が一の攻撃が当たる可能性があったが、今となってはそれすらも怪しくなっていた。

 教導する事によって相手の心理を読み解くだけでなく、対人戦の教導を繰り返す事によって自身の攻撃もまた、常に洗練されていた。

 

 磨かれた剣筋は徐々に最短を疾りだす。既に力量を理解出来る物であれば既にこの戦闘は集結しているはずだった。

 どれだけ攻撃を繰り出そうと、全てを完全に往なし、相手からの攻撃が当たるビジョンがどこにも見えない。

 鉄壁の護りがどれ程なのかを理解すれば、自ずと答えは出ているはずだった。しかし、今エイジと戦っているのはそんな事を考える余地すらない程の存在。

 だからなのか、これ以上の攻撃手段が無ければ即座に斬捨てるつもりだった。

 

 

「どうした。これだけか?」

 

「…………」

 

 エイジの事実上の挑発に墜ちた者は答える事はなかった。

 まるで先程と同じ様に一定のリズムで一定の攻撃を繰り返すそれは既に自分の意志は存在していない。まるで壊れた玩具かロボットの様に動くだけだった。

 エイジは気が付いていないが、ビューラーが植え付けたのはあくまでもアメリカ支部の上位者や本部の人間の戦闘データ。

 一度でも極東の流儀に沿った教導を受けた人間であれば技量がどれ程隔絶しているのかは簡単に理解出来る程だった。しかし半ばプログラムの様に動くそれは、既に同じ事を繰り返すだけの事しか出来ない。

 それが何を意味するのかは直ぐ様行動に現れていた。

 

 

「これで終わりだ」

 

 渾身とも取れる墜ちた者の上段からの斬撃はそのままエイジの身体をすり抜けた様に見えていた。

 ミリ単位の見切りによって自身の間合いは何も変わらない。寧ろ渾身の一撃が故に生じた隙は既に死の臭いが充満していた。

 

 まるで無機質な物を斬り裂くかの様にエイジの持つ漆黒の刃は墜ちた者の左肩から右脇腹へと何の抵抗もなく漆黒の刃が疾っていた。

 試し斬りの竹の様にその場で崩れ落ちる。先程までの剣戟は何だったのかと思う程にあっさりとした決着が着いていた。

 こちらもアラガミ同様に時間と共に霧散する。血の華は幾つも咲いているからなのか、どこか生臭い臭いが鼻孔についていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 周囲には生命の気配は既に消え去っていた。

 未だ端末を叩く音だけが響くのは、情報の吸い上げに時間を要している証拠だった。墜ちた者とは違い、ビューラーの死体はそのまま放置されている。流石に気まずいと判断したからなのか、エイジはアリサを自分の下へと引き寄せていた。

 

 

「エイジはいつもこうなんですね」

 

「毎回では無いけどね」

 

 言葉こそ何時もと変わらない反応を示すが、やはり今回の件に関してはアリサに取っては刺激が強すぎたと考えていた。

 サテライト計画は人類を守護すべき計画である事に違いは無く、またそれが人類の希望になっている事は誰もが理解している。しかし、今回の様な裏の仕事はその対極にある。

 守護すべき者を奪うのはやはり精神的にも負担は大きすぎていた。

 エイジに引き寄せられた事でアリサは少しだけ身体が震えている。恐らくは何かしら思う部分があったのかもしれない。

 本来であれば何か気の利いた言葉を言うのも手段の一つ。しかし、幾ら美辞麗句を並べても現実が変わる訳では無い。かつて自分が少しだけ通った道。今は自分の中で折り合いを付けてもらうしかなかった。

 

 

「あの、もう少しだけ良いですか?」

 

「ああ。気が済むまで」

 

 フェンリルの闇を垣間見るのはゴッドイーターの立場から見れば決して良い物では無い。

 誰もが人類の守護者の認識でアラガミと戦っている訳では無い。家族の為じや自分の為。目的は人それぞれ。そんな事を考えたからなのか、エイジはアリサを抱きしめた腕に僅かながらに力が入っていた。

 

 

 

 

 

 

《少しばかり良いでしょうか?》

 

「何だ?」

 

 沈黙は長くは続かなかった。戦闘が終わったからなのか、繋げた通信から聞こえたのは少しだけ焦りが浮かんでいる様に聞こえるフェルドマンの声。本来であればここで通信が繋げるはずが無い事は本人が一番理解しているはず。にも拘わらず通信を入れるのであれば何らかの事案が発生する以外に無かった。だからなのか、無明はそのままフェルドマンを促していた。

 

 

 

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