リヴァイアサン・レテ湖の深遠   作:借り暮らしのリビングデッド

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6-3 透明な貴方、無色の僕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、そいつ連れてかれたんか」

「ああ…だからあいつ本当にエヴァのパイロットなんだよ」

 

で?と黒い短髪にジャージの鈴原トウジは机に頬杖をつきながらめんどくさそうに答えた。

 

ホームルームを間近に控えた教室は年頃の少年少女たちでうるさかった。

ケンスケはその喧騒に負けないように少し声を上げる。

 

「いや、だからさ…あいつは化け物と戦ってくれたんだぜ?」

「せやからもっと上手く戦え言うとるんや」

「トウジ…」

 

ケンスケは少しため息混じりに。

 

「なあ…こんなのお前らしくないぜ。八つ当たりだってお前自身わかってるんだろ?」

 

トウジはむすっと押し黙る。

 

「…委員長の怪我、ひどいのか?」

 

それにトウジが口を開きかけると、がら、と教室の扉が開く。

場が一瞬で静まり返った。

 

「あ…」

 

シンジはその様子に所在なさげに顔を伏せると、おずおず自分の席に座った。

 

 

やっぱり顔の中で音が鳴った気がした。

屋上のコンクリートの床に尻餅をつく。

 

「よくもまあぬけぬけ顔出せたな、転校生」

「おいトウジ!いい加減にしろよ!」

 

ケンスケが必死に止めて。

 

「止めんな。お前も殴るで」

「…トウジ…」

 

その声には深甚な怒りが込められていた。

トウジはシンジの胸倉を掴み低い声で言った。

 

「お前のせいでな、俺らのクラスの委員長とその妹の意識が戻らん」

 

ケンスケは絶句した。

 

シンジはただぼんやりと目を丸くしていた。

その様子にトウジは目を剣呑に光らせた。そして拳を大きく振りかぶって。

と、その手を掴まれ咄嗟に振り向いた。

 

「おいケンスケ!ええかげ…」

 

その言葉が尻すぼみになった。

あまりに予想外の人物がその手を掴んでいたからだ。

トウジは思わずすっとんきょうな声を上げた。

 

「あ、綾波?」

「無様ね」

 

涼やかな声だった。

そこに怒りや冷酷さなどなく、ただ事実を指摘するだけのような。

 

「…なんやて?」

「無様ね、と言ったの」

 

まったくの無表情で、彼女は涼やかに、やはり事実だけを指摘するように言った。

それが、尚更トウジの怒りに触れたらしかった。

 

「なんや。お前も殴られたいんか、綾波」

「トウジ!!」

 

その口調には本気の色彩が宿っているように感じて、ケンスケは焦って声を上げた。

でも一種即発の雰囲気にどうすれば判らなくて。

 

すると、トウジはふ、と力を抜いた。

 

「…女殴る趣味は無いわ。綾波に感謝せえよ転校生」

 

トウジが去っていく後姿を見ていたケンスケは、我に返って慌ててシンジに駆け寄った。

 

「だ、大丈夫かシンジ」

「ケンスケ君」

「呼び付けで良いって…すまん!俺なりにあいつ説得してみたんだけど」

 

シンジはおずおずと口を開いた。

 

「あの…クラスメートが意識戻らないって…?」

「あ、ああ」

 

ケンスケは躊躇するように。

 

「俺もそんなひどい状態なんて知らなかった…多分見舞いにいったんだろうなあいつ」

 

どこか後ろめたいように言葉を重ねる。

 

「委員長って女の子でさ…で、あいつとはまあ、付き合ってるってわけじゃないんだけど、

 お互いに好きあってるみたいな、でも互いに気づいてないっていうか、そんな感じでさ…」

 

そう、なんだ、とシンジは呟いた。

目を伏せたシンジにどうすればいいかケンスケはわからなくて、と、チャイムが鳴った。

 

「あ、とりあえずシンジ、保健室行こうぜ」

「私が付き添うわ」

 

その涼やかな声が至近距離から聞こえて、彼女の存在をすっかり忘れてたケンスケはうわっと声を上げてしまった。

 

「そ、そういや居たのか綾波…」

「そうね」

 

ケンスケはふと二人を交互に見て、何か思うところがあったのか、じゃあ頼む、と。

 

「…本当にごめん…」

 

最後にそう言って、屋上から出て行った。

 

 

相変わらず空は青く、今日の入道雲は一段と見事だった。

 

シンジは尻餅をついたまま、チャイムが鳴り終えるまでその雲に見惚れていた。

そして、隣で立ったまま同じく空を見上げていた彼女に声をかける。

 

「あ、あの…綾波」

「何」

「あ、ありがとう…」

 

すると、彼女が視線を空から彼に移した。

相変わらず無表情だった。

 

「どうして」

「だって、助けてくれたから…」

「そう?」

「…どうして、助けてくれたの?」

 

沈黙。

 

それにシンジは目をぱちくりさせて。

すると、保健室、と彼女は口をきって。

 

「行きましょ」

 

やっぱりとてもとても涼やかにそう言った。

 

 

 

 

 

 

・Ⅲ『透明な貴方、無色の僕』

 

 

 

 

 

 

誰も居ない保健室というのは独特の雰囲気がある。

 

それは清潔に保たれた室内や、立て掛けの白いカーテンや、

それに反射して水の底のようにきらめく淡い光がそうさせているのかもしれない。

 

口元がぴりりと染みた。

 

「痛かった?」

「だ、大丈夫…」

 

保険医が居ないとわかると、彼女は自分が治療すると言い出したのだった。

その手際は奇妙なほどに慣れていた。

実はクラスの保険係かなんかなのだろうか?と考えているとまたぴりっと痛み。

 

「我慢して」

「う、うん」

 

シンジは成すがまま、他にする事が無いのでじっと彼女の顔を近距離で眺めた。

相変わらず童話の中から抜け出してきたみたいだった。

 

ふと目が合う。

 

『何?』

『ううん』

 

と目で会話して、そのまま沈黙する。

 

校庭からかすかに声がした。

そういえば次の時間は体育だったと思い当たる。

 

「あの…後は自分で出来るから、綾波は戻って」

「どうして」

「え?いや、授業があるし…」

「体育はいつも休むもの」

「そ、そう」

 

と、シンジは今更ながら彼女が包帯を巻いてない事に気づいた。

 

「綾波、怪我治ったんだね」

「ええ…貴方は、どうして昨日休んだの」

「あ、うん。溺れたせいで風邪引いちゃって」

「…そう」

 

しまいにバンドエイドをそっと貼り付けて、彼女は椅子に座っている彼を見下ろした。

彼は首を傾げて、その瞳を覗き込む。彼女はもちろん目を逸らしたりせず。

だが、彼にはその瞳の奥を読み取れなかった。

 

と、何となく視線を下げてその薄い桜色の唇が目に入った。

一昨日の出来事を思い出して、頬が熱くなるのが自分でわかった。

 

綾波、どうしてあんな事したんだろう…?

 

あの日は何か、あの魔法の時間のおかげで禄に疑問にも思わなかったが、思い返せば不思議で。

思わず柔らかい感触を思い出して、彼女の目を見ていられず彼は目を伏せた。

 

「…逃げるの、やめたの」

 

突然のその言葉に、彼は静かにうん、と頷いた。

 

「…ごめん」

「どうして謝るの」

「だって…その…僕、邪魔じゃないの?」

 

絆だから。

 

そう言った彼女の言葉を思い出して。

もしかすると、彼女は実は自分と同じなんじゃないか、とシンジは思った。

 

『誰かに、必要として欲しい。』

 

彼女は沈黙で答えた。

やっぱり、シンジには彼女の内面は推し量れなかった。

 

すると、彼女は突然何か飲む?と言った。

シンジは喉が渇いていたのを自覚して、咄嗟にうんと頷く。

 

彼女は奥へ消えると、二つのビーカーに入った麦茶の片方を差し出した。

一口飲む。ひんやりと心地よかった。

でも、まるで自分の部屋のような振る舞いが気になって、素直に聞いてみた。

 

「綾波、保健室良く来るの?」

「そうね。体育の時は特に」

 

そういえば、皮膚の病気?なんだっけ?とシンジは思い当たる。

 

「そっか…」

「ええ。意味無いもの」

 

その言葉にうん?と首を傾げる。

 

「あの…病気とかで、休むんじゃないの?」

「いいえ。面倒なだけ」

「つまり…さぼり?」

「そうとも言うわね」

 

へえ、とシンジは思った。

 

「綾波って…もしかして不良さんなんだ?」

 

それに心持ちきょとんとした様子を彼女は見せた。

 

「そう?良くわからない」

 

意外に思いつつ、そのクールな態度にシンジはカッコいいなあ、などと意味不明な事を考えた。

 

 

サア、と開けっ放しの窓から風が吹いて、白いカーテンをはためかせた。

 

透けた薄い光が踊るようにそれに合わせてきらめいた。

まぶしくて窓の向こうが良く見えなかった。

だからその窓の向こうにはどんな景色が広がっているんだろう、と想像力を掻き立てられて、シンジの胸がときめいた。

 

ふと彼女を見て、カーテンから透けるその薄い光が彼女を淡く光らせ透明に見せた。

一枚の絵のように綺麗で、でもそのまま透けて行ってしまいそうな気がして、突然怖くなって綾波、と呼んだ。

 

何、と涼やかな、何度聞いても心地いい声が返ってきて、彼はほっと胸を撫で下ろした。

彼女が返事を待つように彼を見つめていたので、彼は咄嗟に前々から知りたかったそれを口に出した。

 

「あの、クラスメートが怪我したって話…聞いてる?」

「聞いてる」

 

ミサトさんは教えてくれなかったな、とシンジは漠然と思う。

 

「それで…その、どういう状況なの?」

「怪我自体は大した事ないそうよ」

「でも意識が戻らないって…妹さんも」

「そうらしいわね」

「…僕の、せいかな…」

「非常事態警報は使徒進行の3時間以上前に発令されてたわ。貴方が、気にする事じゃない」

 

それを守らない方が悪いと言いたげで。

でもシンジはうなだれた。

 

「…どこの病院か知ってる?」

「ええ。ネルフ直轄の所だから」

「…教えてくれる?」

「どうして」

「その、せめてお見舞い行こうかなって…」

 

彼女は少し彼を見つめてから、そう、と呟いた。

そして席を立つ。

シンジは首を傾げた。

 

「どうしたの?」

「行くんでしょ」

「何処に?」

「お見舞い」

「う、うん」

「じゃ、案内するわ」

「え、でも授業は?」

 

すると彼女は何事も無いように言ってのけた。

 

「さぼりましょ」

 

 

面会謝絶。

 

 

その札を読んで、シンジはならせめて、と買ってきた花束を扉の前に置いた。

 

見覚えがあるな、と思ったら、最初の使徒戦の後彼が入院していた病院だった。

相変わらず人の気配がなく、白い廊下はあまりに無機質で、なんとも言えない寂寥感を抱かさせた。

 

「いいの?」

「うん…」

 

彼女は隣でその様子を眺めながら囁いた。

シンジは無表情にその扉を見つめた。

 

みんみんと蝉の声がうるさかった。

 

シンジはぼんやりと視線を下げながら、歩く自分の影を見ていた。

その後に2、3歩遅れて彼女が音も無く付いていく。

彼は気を取り直すように、少しわざとらしく明るい声を出した。

 

「本当に、学校さぼっちゃたね」

「そうね」

「僕さぼるのなんて初めてだ…」

「シンクロテストはさぼったのに?」

 

う、とシンジは呻いた。

 

「冗談よ」

 

その相も変わらず涼やかな声に振り向いて、でも彼女はやっぱり無表情だった。

綾波も冗談なんて言うんだと思いつつ、そういえば彼女のそれ以外の表情を見たことがないな、とぼんやり考えた。

 

「その…これからどうしようか?」

 

シンジはぼそりと呟く。

 

さぼった事に罪悪感と、叱られるかもという僅かな恐怖と、それを上回るわくわく感に何となく空を見る。

何故か、学校をさぼって見る空は一段と綺麗に見えた。

 

そして彼女はこう言った。

 

「家、来れば」

 

 

 

 

ゴォーーーン…ゴォーーーン…

 

何棟もある巨大な団地にはやっぱり欠片の人の形跡が無かった。

 

あまりに寂れたその景観は何度見ても哀愁と恐怖に近いときめきをシンジに与えるには十分で。

その素晴らしい夏の空と陰のあるその涼やかな団地のギャップは、やはりシンジの琴線に触れてくるようであった。

 

淹れてくれたココアは美味しかった。

 

あまり冷えてはいなかったが、甘さ控えめでビターなそれはシンジの舌でも美味しいと思えた。

やはりコップは一つしか無いようなので、こないだのように隣に座った彼女にそれを差し出す。

彼女は受け取って一口飲んだ。

 

少しだけ空が曇ってきた。

降るんだろうか、と思い、ふと口にする。

 

「あの…こないだの」

 

少し躊躇して、でも勇気を持って彼女のそれに触れてみた。

 

「湖で、さ」

 

ええ、と彼女はココアに視線を落としながら答えた。

その、とシンジはそっと、そっと口にした。

 

「…死ぬ、つもりだったの…?」

 

少しの沈黙の後、彼女は何事も無いように涼やかに言った。

 

「そうかもね」

 

…どうして、と耳を澄ませてなければ聞こえない程の声で囁く。

 

「どうして、さ…?」

「私が死んでも代わりは居るもの」

 

その意味が良くわからなくて、シンジは目を瞬かせた。

すると、彼女が無造作にコップを差し出して、彼は咄嗟に受け取ろうとして、やはり。

 

ぱし、と手首を引かれた。

 

やはり彼女の瞳が至近距離にあって、額が彼女の前髪でこそばゆくて。

唇には湿った、とても柔らかい彼女の唇が重なっていた。

彼女はそんな至近距離でも目を細めるだけで瞑ろうとはしなかった。

 

これ以上は不可能なほどの距離で彼は彼女の紅い瞳を見つめた。

彼女の瞳の中に彼の黒い瞳があった。

 

やっぱり彼は無意識に彼女の背中に手を回して。

彼女も、そっと彼の背中に片手を添えた。

 

ぽつ、ぽつ、と音がした。

 

どうやら降ってきたようだった。

それでも、お互いに目を瞑らず、瞳を覗き込んだまま長いくちづけをした。

 

どうやら本降りになってきたようだった。

その雨音を背景に、やがて、どちらがどちらの呼吸で鼓動なのかよくわからなくなった。

 

唇を合わすだけのそれはただそれだけでとてもとても気持ちよかった。

シンジの中で、暖かく甘い痺れが溢れるようだった。

何か、目が潤み始めた自分を感じて、彼は恥ずかしくてそっと唇を離した。

 

すると、彼女に背中をゆるく引かれて、成すがまま浅く、頬と頬を触れ合わせた。

 

「…どう、して?」

「何が」

 

まるでこないだの再現のように、でも彼はもう一歩踏み込んだ。

 

「どうして、こんな…その、僕なの…?どうして、なの」

「どうして、私を助けようとしたの」

 

その意味を一瞬図りかねて。

 

「つまり、それって、その…」

「貴方が考えているような理由じゃない」

 

なら、ますますシンジは分からなくなった。

それを無視するように彼女は耳元で囁いた。

 

「…助けなければ、良かったのに。」

 

その囁きに、彼は浅く抱き合ってた体を離して、彼女を見た。

彼女はただ無表情に、まるでそれ以外の表情を知らないかのように、ただ彼を見つめていた。

 

「…どうして」

「私が死んでも代わりは居ると言ったわ」

「だから、どうしてさ」

「事実だもの」

 

シンジはただただ困惑して。

 

「綾波…君が何を言っているのかわからない…」

「そう」

 

彼女は彼を見つめながら言った。

 

「なら、いいわ」

 

そして彼の手をとると、自分の乳房にそっと導いて。

 

 

携帯が、けたたましく鳴った。

 

 

 

 

 

 

「15年ぶりと思ったら次は一週間か。女に嫌われるタイプね」

 

発令所でミサトは嫌味ったらしく言った。

目の前のモニターには、ミサイルが打ち込まれている、まるで六角形のダイスのような青い物体。

 

「ATフィールド確認。こちらの攻撃、一切通用しません」

「使徒停止、セントラルドグマ直下です!」

「ファースト、サードチルドレン共に到着!」

 

オペレーターの立て続けの報告。

 

「いいわ、シンジ君を初号機に乗せて」

 

 

 

その放送にシンジは僕だ、と呟いた。

 

隣のカーテンの向こうで同じくプラグスーツに着替えている彼女を見る。

しゃ、とカーテンが引かれる。

白いプラグスーツの彼女。

 

しばらく見詰め合って。

 

彼女は、何事も無いように横を通り過ぎた。

 

 

 

 

 

『行けるわね、シンジ君』

「はい…」

 

モニターのミサトとうん、と頷きあう。

 

『ではエヴァ初号機発進!』

 

やはりジェットコースターのような感覚が続いて。

何かスピーカーの向こうで慌しい気配が合った。

そして聞こえたのは。

 

『避けてシンジ君!』

 

灼熱。

 

そうとしか表現できないような激痛に、やはりシンジは気を失ったのだった。

 

 

 

 

やっぱり、綾波の匂いがした。

 

「起きたの」

 

目を開ける。

激しい雨音と、椅子に座る彼女が見えた。

 

「命に別状は無いけど、しばらくは安静よ」

 

体中がぐったりしていた。

まるで力が入らなかった。

 

「貴方は使徒の加粒子砲で狙撃されたの。リフトに固定されてたから逃げられなかったのよ」

 

使徒は?と口を開こうとして、呼吸器のような物が邪魔で上手く喋れなかった。

 

「セントラルドグマ直下で停止。ドリル状の物で地下を掘ってあと12時間でドグマに到着するわ」

 

そして彼女はゆっくりと言った。

 

「初号機は私が乗るから、ゆっくりしてて」

 

彼は、呻いて、でも口を開こうとした。

それはパイロットの地位を奪われる、というような不安からでなく、単純に彼女が心配だったからだった。

でも、やっぱり上手く言葉にならなかった。それでも彼女には通じたらしかった。

 

「平気よ」

 

彼女はゆっくりと、いつものように涼やかに言った。

 

「いくらでも、私の代わりは居るから」

 

雨音が激しく鳴っていた。

雷の音。どうやら雷雨らしかった。

 

彼女は、じっと彼を見て、彼も彼女の瞳を見つめた。

 

視線が絡み合って。

 

ただただ綺麗でとてもとてもつぶらな彼女の瞳を、シンジはずっと覗き続けた。

彼女も同じく。

 

そして。

 

「じゃ、行くわね」

 

彼女は立ち上がって、そっと呟いた。

 

「…さよなら」

 

そして彼女は姿を消した。

シンジはただ朦朧として。

 

彼女のその後姿を見つめながら、意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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