それではどうぞ。
突然だが、事実は小説より奇なりという言葉を知っているだろうか。
読んで字のごとく、俺たちが生きているこの世界で起こる出来事は、誰かが作った物語の中で起こることよりも不思議で面白いものだという意味だ。
そう、正しくこの世界のことを言っているように感じてしまう。
海では深海棲艦という化物が跋扈し、街中にいてもノイズや異族、そして魔女といった変な奴らに生活を脅かされている。が、それらを倒してくれる艦娘やら、シンフォギア装者やらがいるので、俺たちの暮らしは普通に守られている。というかそれが俺たちの暮らしだ。
でも油断はできない。もしかしたら遠い未来、宇宙の果てからケイ素生命体が飛来するかもしれないし、突如として特異点が発生して何者かがせめて来るかもしれない。まさかとは思うが、魔導科学が発展した平行世界があるなんてこと……ないか。
だから、油断できない。油断してはいけないのだ。
それが俺たち一般市民にできる唯一の対策だ。
そう、油断したつもりは、なかったんだけどなぁ……
◇◇◇◇◇
「そう、俺が
そう言って、長ったらしい演説を、これまた長ったらしい名前で締めくくった中学時代の一応同級生が、ドヤ顔で席に座る。
すると、一部を除いた女子たちが黄色い悲鳴を上げる。うるさい、黙れ。
この長ったらしい名前のりゅーどーくんは、中学時代の頃から何かと俺に付きまとってきて、俺の行動にいちいち口出ししてくるやつだ。当然、俺はこんな奴友達だと思っていないのだが、あっちは勝手にこっちのことを友達だと思っている。
ついでに、第一希望の高校が同じだった。こいつ、ホモか?
なんせ「俺には全てに愛を注ぐ覚悟がある」とか言っちゃうような奴だからな。博愛主義者なんだろう。そう信じよう。いや、信じたい。信じさせてくれ。
ちなみに今俺のいる教室には俺とりゅ~ど~くん以外に男はいない。
他は全員女なのである。え? なんでかって?
だってここIS学園だもん。ISは女子しか動かせないパワードスーツだもん。でも、俺とりゅうどうくんは動かしちゃったから、無理やりぶっ込まれた。ただそんだけ。
モルモットにならなくて良かったと思う反面、こんな女しか見るものがない場所にぶっこまれても、性欲とかどうすりゃいいんだよ。あれか、暴発しろよこの豚野郎ってか。
でも、俺はこういった女しかいない状況には慣れてる。なんでかって? それは今から自己紹介しようとしてる別嬪さんの存在がその答えだ。
「――神通と申します」
静かながらも、凛としたその声に、ざわついていた教室が一瞬で静かになる。
「名前から察することができる方がいらっしゃいますように、私は川内型軽巡洋艦二番艦の艦娘です……このような輩ですが、どうかよろしくお願いします」
そう言って、神通さんは席に座る。その一連の動作ですら、洗練されたものを感じる。
あ、この人、俺の知り合いです。
といっても、俺が間宮食堂でバイトしてた頃にたまに愚痴を聞いてあげたり、彼女の配下である雪風ちゃんの話し相手になったりしただけの、いわゆる顔見知り程度の中だ。
ちなみに間宮食堂のお客は9割が艦娘だ。つまり、ほとんど女の子。だからこういったほぼ女子っていう状況にはもう慣れっこだ。自分で言ってて悲しくなってきたぞ。
あ、神通さんと目があった。お、笑いかけてくれた。覚えてたのかな? まあ、ちょくちょく顔を合わせてたからな、覚えているかもしれないし、単なる社交辞令かも知れない。でも、あんな美人さんに笑いかけられるのってなんだか嬉しくなってきたな。
そして次の人が席から立ち上がる。ちっちゃくて可愛い女の子だ。
「処女まもりです。あ、私の苗字はしょじょじゃなくてと・こ・の・め、です! 間違えないでください!」
自分の苗字のことを力説する彼女とそして今立ち上がって自己紹介しようとしている彼女――
「……敷島魅零」
みじかっ! よりによって名前だけかよ! あんな自己紹介にならんように気を付けないとな。
いま自己紹介をした敷島さんと、必死に敷島さんのフォローをしてるトコノメさんも俺の知り合いではある。
出会ったきっかけは、ある日町で迷子になっていたとこのめさんを敷島さんの元に無事に連れて行った、というだけのものだ。お礼としてケーキ奢ってもらったけど。
――後から聞いたら迷子になってたのは、とこのめさんじゃなくて敷島さんの方だったらしい。いいのかよ、それで。
しかし、どこがとは言わんが、敷島さんは相変わらずデカ…ゲフンゲフン。
……それにしても、知り合いが連続して自己紹介する光景は、妙なものだ。面白いといえば面白いが、そろそろなんか変化が欲しい。
「フェイト・T・ハラオウンです」
また、知り合い。なんかおかしくないか? このクラス。
フェイトさんは去年の春の終わりに近所に引っ越してきた人だ。外国人なのに、日本語ペラペラってすごいよなぁ……
ついでに、スタイルもいい。きっと将来引く手あまたに違いない。おい、りゅうどうくん、鼻の下伸ばすな。
弾が鼻の下伸ばしてた記憶があるが、すぐに蘭に金的食らってたな。いかん、思い出したら背筋に冷たいものが……
「理数系は得意なので、そちら方面の相談ならいつでもどうぞ」
そう言って席に着く。そう、彼女、滅茶苦茶理数系が得意なのだ。俺も、たまにわからないところを教えてもらってたなぁ。教え方もうまいし、将来は先生を目指すといいかもしれない。
そんなことを考えていると、次の人物が立ち上がる。例にもよって、その人物も知り合いだった。
「えっと、ティルフィングです」
そう、彼女はティルフィングさん。確か夏頃に見滝原市から来て、迷子になってるところを俺が見つけて、目的地まで案内したんだったな。彼女の目的地についたときに、すごい勢いで感謝されたことを今でも覚えている。
「見滝原中学校の出身です。よろしくお願いします」
そう言って、彼女は座る。シンプルであるが、物足りないという印象。私見だが、彼女にはなんか負い目みたいなものがあるというか、どこかちぐはぐというか、なんかこの世のものとは思えない何かがある気がするのだ。まあ、俺の感なんて当たらないし、気のせいだと思う。
さて、次の人はって……
「クロエ・バスカウィルです」
なんで貴様がここにいやがる! クロエぇぇぇ!
おかしいだろ! お前某名門校に入学決まったとか言ってたじゃねえか! なんでいるんだよ!
「込み入った事情で進学先をIS学園に変更した身ですが、皆様どうかよろしくお願いしますね」
そう言って、優雅に礼をする。その姿に、クラスのそこかしこから感嘆のため息が漏れる。
――こいつは、俺のゲーセン仲間だ。ある日俺が一人で音ゲーに励んでいた時に声をかけてきて、それから腐れ縁みたいな感じのつきあいが続いている。
その時の口調が、BBA口調だった。というか絶対そっちが素だ。間違いない。
おいこら、こっちに微笑みを向けんな。化けの皮剥がすぞ。
クロエが席に座ると同時に、その後ろに座っていた生徒が立ち上がる。その顔を見て、俺は頬を引きつらせた。おかしい、なんでこの人が俺と同じクラスにいるのか。
「立上芹でーす」
どこかやる気無さそうな感じで、その生徒は自身の名前を言う。おかしい、この人は中学時代、一個上の先輩だったはずだ。俺と同じクラスにいるって、それは……
「えーと、去年はほぼ一年間昏睡状態に陥っちゃって、進級の単位取れませんでした」
やっぱりダブりか。というかほぼ一年昏睡状態だったって、何があったんだよ。後で詳しく聞こう。
「まあ、みんなより一つ年上だけど、そこらへんは気にしないで接して欲しいかな? ともかく、みんなよろしくね」
そう締めくくって、さっさと座った先輩の姿になにか言えるはずもなく、教室の中が、微妙な空気に包まれる。
そんな空気など、微塵も気にせず、次の人物が立ち上がる。教室中の生徒全員がその生徒に全員が目を向け、一部の例外を除き、無意識のうちに息を呑む。
その全員が、恐らく同じ感情を抱いたに違いない。
「マリア・カデンツァヴナ・イブよ」
――なんで世界的な歌姫がこんなところにいるんだよぉ!
あんたツアーとかどうすんだよ! 翼さん泣いてるぞ、絶対に。
そう、マリア・カデンツァヴナ・イブ。デビューからわずか2ヶ月という短期間で全米ヒットチャートの頂点に登り詰めた伝説を持つ、歌姫。
この天上人とも言える人とも、俺は知り合いなのだ。しかも、メル友。
初めての出会いは、俺が野外コンサートの会場設営をしている時に偶然顔を合わせて、少しだけ話したことがきっかけだ。そして、その時に気まぐれでメールアドレスを交換したのが、運の尽きだ。
……日に、30件。それが、彼女から俺に送られてくるメールの件数だ。無視すれば、翌日は倍に増える。一度翼さんに相談して、注意してもらったのだが、全く聞いていないようだ。本当はメールを返すのも面倒くさいのだが、なんか初めて出会った時に、放っておけない雰囲気を感じてしまい、結局ズルズルと、今の関係を続けているのだ。
「一身上の都合により、このIS学園にあなたたちと同じく生徒として勉学に励む身となったわ」
お前といい、クロエといい、一身上の都合ってなんかはやってんのか? 俺も使おうかな?
「でも、余計な気遣いは不要よ。私もあなたたちと対等な立場で教えを請う身だから――」
そこで一度言葉を切り、一度こちらをちらりと見てから口を開く。だからなんで俺の方を見る必要があるんだよ。
「あなたたちとは、良き絆を築いていきたいと思っているわ。だから、短い間だけど、よろしくお願いね」
締めくくりの言葉を口にし、彼女は席に座る。誰も、言葉を口にしない。何故なら、みんなが次の生徒の紹介を待っているからだ。
次は俺だよ、ちくしょうめ。
なんで最後の最後でハードル上げてきやがるかな、おかしいだろ。そもそも、俺がここにいること自体おかしいわけで……
ええい、覚悟を決めろ、俺。腹をくくれ、過去のことを嘆いても仕方ない。やるしかないなら、やるまでだろう!
そう考えながら、席を立つ。クラス中の視線が、自分に集中する感覚。プレッシャーがすごい。でも、負けてられるか!
あいつらができたんだ。いや、やったんだ。できるできないじゃない、やるんだよ!
「――織斑一夏です」
俺のIS学園での生活が、今始まった。
一夏は突っ込み。はっきりわかんだね。
あとりゅうどうくんはホモではない。いいね?
では、短編時代の答え合わせ、始めるよ。
ここまで出てきた原作は…
艦隊これくしょん
ヴァルキリードライヴマーメイド
魔法少女リリカルなのは
魔法少女まどかマギカ(地名のみ)
ファントムオブキル
Z/X -Zillions of enemy X
蒼穹のファフナー
戦姫絶唱シンフォギア
以上です。全部わかった人いるかな?
最後になりましたが、ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
この作品の場合、感想で突っ込み貰った方が嬉しいので、感想お待ちしています。
これからも、どうぞよろしくお願いします。