俺はテイルブルー《津辺 愛香》が大好きだ――っ‼ 作:帆金 焔
因みに、この世界の戸塚少年は『少年』ではなく性別は女性、つまり『少女』です。
今回も登場人物達が存在するだけで、原作感は出ないので悪しからず。
「……津辺。お前を運んだのは、心守だ」
華火──。
私を運んだのはそーじではなく華火だと、篠ノ之さんはそう言った…。
この時、胸の奥で感じた小さくも確かな『痛み』…。
『本当の意味』で華火の気持ちに気づき、でも私は運ばれていたとき、相手が『誰』であることを望んだ…?
その時、私の『心』に居たのは華火じゃなくそーじだ…。
「津辺、一つ確認したいことがあるんだが…。心守はその……お前のことが、す、好き…なのか…?」
自分で言ってて恥ずかしいのか、顔を赤らめながらの篠ノ之さん。
「………………うん。中等部のときに……その……華火からコクられた……」
気づいたら、私は篠ノ之さんに話していた。
そーじが好きであることを。
華火の告白をつい最近まで『冗談』としか思っていなかったことを。
「……はぁ~…、だからか……」
篠ノ之さんの中で何かが納得いったのか、私の話を聞いた後で深い溜め息を吐く。
「……心守が言ったんだ。私達の所に戻ってきて、津辺を運んだのは自分ではなく観束にしてほしいとな…」
自分の気持ちを圧し殺して私を優先させた、華火のその時の気持ちを考えると胸が締め付けられる…。
あぁ…、またか…。私はまた、華火を傷つけてしまったというのか…。
よく考えれば分かることじゃないか…。女が、意中の相手から別の女の話をされると不快に感じるように、その逆だってあり得るんだと…。
ヤバい…。今、ほんの一瞬だけ、自分のことが凄く嫌いになってしまった…。
「…その。津辺…、大丈夫…か…?」
俯く私を心配そうに見ているであろう篠ノ之さん。
私は顔を上げ、篠ノ之さんに宣言する。
「……篠ノ之さん。私、華火に謝る。今さら謝るのは遅いって分かってるけど……、ずっと華火の気持ちを冗談だと思ってて……、それって意識してなくても華火を傷つけてたことになるから……」
「津辺…。…そうか」
〇〇〇
(…はぁ~………)
教室へ入るだけのことが、かつて今までこんなに気を重く感じたことはあっただろうか…?
篠ノ之さんに、華火への謝罪宣言をしてから私達はそれぞれ自分達の教室へと戻った。
戻りはしたものの…、私の足は教室の手前で止まり、そこからの一歩を踏み出せないでいる…。
謝るといっても、どう謝れば良いのか?
謝った後のことだって考えなきゃいけない。
(……………よしっ)
いつまでも立ち止まったままじゃダメだ。
私は覚悟を決めて教室へ入る。
(あっ……)
運が良かった、と言おうか。
教室には華火一人だけが残っていた。
お昼時だけあって、他の皆はきっと食堂に行ったりしているんだろう。
(………………)
華火と話をする、ただそれだけのことなのに、体も空気も重く感じ、私の意思に反して声が出てくれない。
窓際の自分の席で、紙パックのジュースを飲みながらボーッと外を眺めていた華火。飲み終わると私の気配に気づいたのか、華火の目は私の姿を視界に捉えた。
「──ん?おぉ、津辺。もう大丈夫なのか?」
「う、うん…」
「そうか。そりゃ、良かった。……総二に感謝しろよ?アイツが真っ先に運んでってくれたんだからな」
「…………」
華火が自分の嘘に我慢していることはすぐに分かった…。だって華火…、一瞬だけ『寂しそうな表情』を浮かべたから…。
私の中で確定する。…私を運んだのは間違いなく華火だ。
「……………………違う………よね………?」
「津辺?」
だから華火…、『ありがとう』って言わせてほしい…。そして、私に謝らせて…。ずっと、アンタに辛い思いをさせてたことを…。
「…………私を保健室に運んだのって…、本当は華火……なんだよね…?」
華火、ありが──
「…………おい。それ、誰から聞いた?」
低く冷たい、華火が『本気で怒っている時』の声を私は久しぶりに聞いた。
華火から放たれる無言の圧力。『ありがとう』と『ごめん』を言えば良いのに、それが出来ない…。…………いや、ここで退くな私!このままだと、これからもずっと華火を傷つけたままにしてしまう!
「……篠ノ之さんが教えてくれたの…」
「……………………チッ」
「…華火…。……私、アンタに謝りたい…!」
「…はっ?」
「今回のこともだけど………その………中等部の時、アンタが私に告白してくれたこと……」
この時、私は俯いていたために、華火が目を見開いて驚いていたのに気づかなかった。
「私、あの時の告白……ずっと冗談だって思ってた……。だから、華火を傷つけたのも分からなくて…「…………うな」でも気づいたから、華火が本気だ「……言うなっつってんだろうがっっ!?!」っ!?は、華火…?」
有らん限りの声で叫ぶ華火。
「悪ぃ……。でも本当に……『それ』は言わないでくれ……」
何も言えなくなった…。辛さを堪えるような笑みを浮かべる華火を見て、何かを言えるはずもなかった…。
華火は席から立ち上がり、教室を出ようとする。
立ち止まり、顔は見せずに──
「……お前は総二に助けられた、それで良いじゃんか…。………………それに、謝らんでくれ。期待を……持たせないでくれ……」
私は自分の浅はかさを嫌った…。
ちゃんと謝れば良いと思っていた。そうすれば、始められるかもしれないと思っていた。…でも…、実際はそんな簡単じゃなくて……。
「あの時のことを謝られると……」
気づこうが気づくまいが、謝ろうが謝るまいが私には結局──
「……『愛香』を諦めた自分が物凄く、惨めに思えちまう……」
告白を冗談だと思った時点で、華火を傷つける結果しか残されていなかったようだ…。
〇〇〇
箒side
篠ノ之 箒だ。
津辺はあれから、心守に謝罪が出来ただろうか?
それが気がかりで、幸いにも部活が休みな私は放課後、校舎の玄関で津辺を待っていた。
「──ん?」
津辺だ。
「津辺、良かったら一緒に──」
心守への謝罪の件、訊くまでもなく結果は明らかだった。
「…その様子だと、駄目だった、か…?」
「あっ…………篠ノ之さん……」
「……クレープを奢る約束、果たしたいんだが、気晴らしにどうだ?」
「うん…………ありがとう…」
気晴らしになるかどうかも疑問だな…。
上履きから靴へと履き替え、玄関を出る。
校門までの道を歩いていると、
「…ん?」
私はある人物達を見つけ、立ち止まった。
私の視線の先、そこには件の心守の他にもう一人、車から顔を覗かせる女性の姿があった。
「あれは……平塚先生…?」
四組担任の平塚先生だ。
会話をしているようだが、私と津辺は二人の会話が聞こえる距離に立ってはいない。
会話を終えたのか、平塚先生は去っていく。そのタイミングを見計らい、私は心守に声をかけた。
「──ん?津辺に篠ノ之さん。今、帰りか?」
何事もなかったように応える心守だが、心守よ。お前が一瞬、津辺と目を合わせづらそうにしたのを私は見逃さなかったぞ?
「今のは平塚先生か?」
「ん?まぁ、そうだけどな…」
津辺も気になるようだが、訊くに訊けないといった所らしい。
「何かあったのか?」
「あ~……四組に戸塚って奴が居るだろ?」
戸塚?戸塚って……あぁ、戸塚 彩加のことか。
「今度の日曜、戸塚と二人で出掛けることになったんだよ」
………ん?んん?おい、それ…。
所謂、『デート』というやつじゃないのか…?
減るも増えるも自分の実力が招く結果だと僕は思いますが……な、何かお気に入りの数が凄いことになってるんですけど…?
さて。次回、華火少年と彩加嬢のデート(?)に、愛香嬢はどうでるか?まぁ、ゆる~く待っててくださいな。
最後に私事ですが。作者、これを投稿した現時点で風邪になってます( ̄ロ ̄lll)
皆さんも、体調管理には気を付けてくださいね。それでは( *・ω・)ノ