俺はテイルブルー《津辺 愛香》が大好きだ――っ‼ 作:帆金 焔
ブルー《愛香》side
「はぁぁ~~…………」
街のビルの屋上、そこにある貯水タンクの上。私は一人、自分の情けなさに打ちひしがれていた。
「はぁぁ~……何やってんだろう…、私……」
自分の気持ちがハッキリしないせいで、まさか戦闘にまで影響が出るとは思わなかった……。鍔姫さんが来てくれなかったらどうなっていたことか…。
(…………………)
このままじゃ駄目なことは分かってる…。分かってるんだけど……はぁぁ~……駄目だ…、何も良い案が思い浮かばない…。……私って、こんな優柔不断な性格だったっけ…?
「…お一人で悩まられるから駄目なのでは?」
ピトッ
「うひゃぅ!?」
気配は全く感じなかった。いや…、この場合は『感じる余裕が無かった』と言うのが正しいかな…?
背後からの声、突如として私の頬に触れる冷たい感触。
振り向けばそこには鍔姫さんが居た。片手にジュースを二本持っている。
カシュッ。鍔姫さんから貰ったジュースのプルタブを開け、中身を口に含む。
私は上に居るまま、鍔姫さんは下へ降り、タンクに背中を預けている。
お互いに無言、先にそれを破ったのは鍔姫さんだった。
「……申し訳ありません、テイルブルー」
何故か私に謝る鍔姫さん。
「実は先程の戦い、最初から見ておりました」
「えっ…?そうなの?」
「貴女方の実力を考えると、傍観してても大丈夫だろうと思っていたんですか…。そのせいで助けが遅れてしまいました………申し訳ありません、私の判断ミスです……」
「ちょっ……あ、謝んないでよ…!?鍔姫さんに悪いところは何もないって!悪いのは……私、なんだから……」
「……何か悩みがあるのですね?仰ってくだされば、力になれるかもしれません」
レッドに『一人になりたい』と言った手前、ちょっと言いづらさを感じたけど鍔姫さんの申し出は素直に嬉しい。………そう、だよね、うん。一人で悩むより、誰かに相談した方が良い解決策が見つかるかもしれない。
「……鍔姫さんは…さ…、か…彼氏とか……居たり「おや?もしかして恋愛相談ですか?それは私は力になれませんね、無理です」って、ちょっ、つ、鍔姫さん…?!」
え、えぇぇ~~……!?Σ( ̄ロ ̄lll)力になれるかもしれませんって言ってくれたのに、即答で断られたぁ…!?Σ( ̄ロ ̄lll)
「自慢ではありませんが私、生まれてこのかた、ただの一度もそういった経験をしたことがありません。処女です。あっ、宜しければ見ます?私の処女膜」
ちょっ!?!な、何言っちゃってんの、この人!?!
「つ、鍔姫さん!!!お、女が簡単にしょ、処女とか言っちゃいけません!!!」
……でも、私達の周りに一人だけ、処女がどうのこうのとか簡単に言いそうな奴が居るのが悲しいのよね……………誰とは言わないけど。
すると鍔姫さん、慌てる私を見てクスッと笑った。
「……冗談です、貴女の沈んだ心を解そうかと。あっ、処女だというのは本当ですが」
し、心臓に悪い冗談は止めてよぉ~…。
「力になりたいというのも本当です。貴女が望む答えを出せるかは分かりませんが、聞かせてくれませんか?」
「うん……。……えっとね、私には男の幼馴染みが二人居るの…」
名前を言っても、鍔姫さんは二人のことを知らないのだから分からないのは当然だろう。故にここは仮としてM《観束》・K《心守》にしておこうか。
「私さ、ずっとMのことが好きでね…。Kのことは本当に『ただの幼馴染み』としか思ってなかったの……。でもKはずっと私のことが好きだったみたいで…、あいつはいつも私の味方だった…。私が、怒られるような馬鹿をしちゃった時なんかは自分は関係ないのに私が謝りやすいよう一緒になって謝ってくれたり──」
私のことばっか優先して、自分のことは二の次でさ…。何か、助けられてばかりだったな…。
昔の思い出も混ぜながら話す私を、鍔姫さんは黙って見ている。
「…中等部の時に告白されても私、何も分からなかった……。Kがどれだけの決意を持っていたかも、私がフることであいつがどれだけ傷ついたのかも、それでも一緒に居てくれた、その辛さも……」
……そう言えば…、その頃からだっけ…。華火が私のこと、名前じゃなく苗字でしか呼ばなくなったのって…。……あれ?改めて考えると、割りと寂しくね…?
「Kの想いに気づいたのってつい最近のことでさ……」
「今更どうすれば良いのか分からない、と……」
「うん……」
話し終わり、うずくまる私と黙ったままの鍔姫さん。
「テイルブルー…」
声がかかる。
顔を上げると、下に居たはずの鍔姫さんが私の正面に。しゃがんで私と目線を合わせてる鍔姫さんは………あ、あれ?半眼で……もしかしなくても………呆れられてる?
「…………はぁ~」
ピンッ
「あぅっ…!?」
何故か鍔姫さんにデコピンされた。
「……誰かに相談せずとも既に答えが出てるのは、私の気のせいでしょうか?」
えっ…えっ?そ、そうなの?
「まぁ、いいです…。……そうですね。私が出来るアドバイスは一つだけ…」
少し間を置き、鍔姫さんは言った。
「一度、考えることを止めてみては如何でしょう?」
へっ……?考えることを……止める…?
「はい。あれこれ考えてしまうから駄目なのです。一度、考えることを止め、そして自分の中に浮かんだ『何か』に従ってみるのも宜しいかと……。思わぬことが解決への糸口に繋がるかもしれませんよ…?」
考えることを……止める……──
──………うんっ!
「ありがとう、鍔姫さん…!」
私は立ち上がる。
さっきまでの沈んだ気持ちは何処へやら。
答えはまだ出ないけどとりあえず、自分がやりたいことだけは分かった。
「貴女の力になれたなら、私としても幸いです。…テイルブルー。二兎追う者は一兎をも得ず、という言葉があります。いずれ、貴女は自分自身に決断を迫らねばならない時が来るでしょう…」
「うん、分かってる…。…でも今は、今在る気持ちをハッキリさせたい…!」
「そうですか…、………月並みなことしか言えませんが、頑張ってください」
「うん……!」
晴れやかな気持ちで戻れるのは鍔姫さんのお陰だ。
そのまま立ち去っても良かったんだろうけど、タンクから降り、鍔姫さんから少し離れたところで私の脚は止まる。
振り向きながら私はこう切り出した。
「……あのさぁ。鍔姫さんって……本当は何者なの…?」
今の相談とは関係ない話だ。だけど、初めて鍔姫さんと会ってからずっと気になっていた。
まず、一挙手一投足に一切の隙が無い。その時点で普通のメイドであろうはずがないだろうに加えて今回の件。アルマジロギルディを片手で止め、レッドのブレイザーブレードまで使って見せた。絶対に普通であるはずがない。
そして、私にはそれらの謎を凌駕する大きな謎を鍔姫さんに対して感じていた。
それは…………鍔姫さんの胸だ。
…決して、トゥアールみたいに変態的な発言をするつもりは無いので誤解しないでほしい。
はっきり言って、鍔姫さんの胸は服越しでも分かるくらい大きい。トゥアールと同等……いや…もしかしたらトゥアールよりも大きいかもし「ん?良かったら揉みますか?」結構です…!………おほんっ。
……と、とにかく。鍔姫さんの胸は大きい。間違いなく『巨乳』の部類に入る。
だがしかし。
不思議なことに、私は鍔姫さんの胸に対して劣等感などの感情が一切湧かないのだ。
それらの謎を解き明かすべく、私は鍔姫さんの正体が知りたかっただけで──
「私が何者、ですか……」
──考えていなかった。自分の疑問を解決しようと考えていただけで、肝心の鍔姫さんの気持ちを私は考えていなかった。
ひょっとしたら言いたくない過去だったのかもしれない。そこを訊いてしまうのは、配慮が足りなかったと言わざるを得ないだろう。
鍔姫さんは口を開く。
「…もしも。私が昔、人殺しをしたと言ったらテイルブルー、貴女はどうしますか?」
えっ……?
「ひ、人殺し……?」
えっ………えっ…?
「じょ、冗談……よね……?」
鍔姫さんは言う…。
「はい。冗談ですが何か?」
…………… ( ̄ロ ̄lll)
「私が何者か、でしたね。……そうですね」
立てた人差し指を自分の口に当て、微笑を浮かべ一言。
「……"A secret makes a woman woman."」
「………へっ?え、えっと…」
「『女は秘密を着飾って美しくなる』、私が好きな漫画に出てくる登場人物が言っていた台詞です。…一度使ってみたいと思っていたので」
「それってつまり……」
「はい、
〇〇〇
鍔姫side
「……人殺し…ですか……」
今さら何を言っているのだろう、と…。私は自分を滑稽に思う…。
私の過去に、彼女は全く関係ない。では、何故言ってしまったのか…。…単なる気まぐれということにしておこう…。
ブルーには『縁があれば、知る機会もありましょう』などと言ってしまったが…………そんな機会、絶対に訪れないでほしいと私は思う…。
「……………私は鍔姫」
『鍔姫』という名を貰ったあの日から、私は心守家に仕えるメイドだ…。それ以上でもそれ以下でもない…。
「…自分の過去なんかよりも、今は主とテイルブルーのことを考えましょう」
考える、と言ってもテイルブルーの中では既に答えが出ている様子。あとは、本人が如何にしてそこに気づくかが問題、といった所でしょうか。
(………………)
テイルブルー…。喩え、貴女がどんな『答え』を導き出そうとも我が主は間違いなく、それを受け入れるでしょう。…自分が傷つこうとも貴女が幸せであるならそれで良い、主はそういう人です…。それだけ、貴女のことを好いているのですよ…?
ですからお願いします。
我が主の為にも、そしてご自身の為にもどうか……後悔無き選択をなさいますよう、お気をつけください、テイルブルー……。
「………いえ」
最初はデート(?)回を考えていた。
↓
書いてみようとした。
↓
あれ?ちょっと書けなくね?
↓
愛香嬢の話を考えてみた。
↓
あっ、何か書けそう。
↓
何とか書けた。
↓
久しぶりに予告を見た。
↓
いつの間にか予告の内容を忘れてた。
以上!