第1話 伝説の起床
深海棲艦となった元辺境鎮守府の提督「
旗艦の龍驤を筆頭にほぼ全ての艦娘が奪還された
「うーん、うーん」
龍驤は鎮守府の司令室でそわそわしていた
「うるっさいのぉ、何やさっきからそわそわ、そわそわ」
辺境鎮守府の現提督「
「いや、久々に妹たちに会えると思うと、ジッとしてられへん」
「遠足前の小学生か・・・」
「いや、ひどいな」
二人でそんなコントをしていると、廊下の方からドタドタと騒がしい足音が聞こえてきた
「ん?何や?」
龍驤が扉の方に体を向けた瞬間
「龍驤姉ぇーー!!」
扉を勢いよく開けて、瑞鶴が龍驤に飛び付いた
「のわ!?」
あまりに急で龍驤は押し倒された
「会いたかったよぉーー!」
涙で頬擦りしながら瑞鶴はそんなことを言った
「えぇい!離れろー!」
「騒々しい奴やなぁ・・・」
真島は飽きれながらそう言った
「全くです」
すると、もう一人扉の方から艦娘が現れた
「お前は確か、加賀、やったか?」
真島のすぐ隣に加賀が呆れため息を吐きながら立っていた
「初めまして真島提督、私は元辺境鎮守府第2艦隊旗艦 加賀です、以後お見知りおきを」
加賀は丁寧な挨拶を済ませると、瑞鶴を引き剥がした
「全く、姉さんに迷惑かけないで」
「何よぉ~!加賀さんだって、龍驤姉ぇに会いたいーって、泣きながら言ってたじゃん」
子猫が親猫に首を持たれたみたいな状態で瑞鶴は大声でそう言った
「なっ!?その話は言わないと約束したはず!」
「そんな前のこと覚えてませーん」
「えっ、加賀、そんなにうちに会いたかったんか」
龍驤は少し嬉しそうな顔でそういった
「加賀さん、ここに来るまでのずぅーっとそわそわして、運転手にも「まだ着かないのかしら」って何度も何度も言ってたじゃん!」
加賀は顔を真っ赤にして
「言って良いことと悪いことがあるでしょ!」
瑞鶴を片手でブンブン振り回した
「ギィィャァァーー!!」
「ほな、わしはタバコ吸ってくるわ」
「あっ、吾朗ちゃん!逃げんのは無しやで!」
真島はそそくさと屋上へ逃げた
「全く、付き合ってられんわ」
龍驤を置いて、真島はタバコを取り出した、すると
シュボ
横からライターが出てきて火がついた
「あぁ?」
振り向くと、後ろには桐生の姿があった
「どうも、真島の兄さん」
「何や桐生、もう怪我は大丈夫なんか?」
「えぇ、もう外へ歩けるくらいには。どうぞ」
桐生はそう言いながら、ライターの火を差し出した
「おおきに」
真島はその火でタバコに火を付けた
「しかし、桐生ちゃんがあの「堂島の龍」やとはなぁ、驚きやわ」
「いえ、もう昔の名です。今はただの提督です」
桐生もタバコに火を付けた
「でも、ええんか?江戸ノ目鎮守府に着任って」
「確かに、一度崩れた信用を取り戻すのは容易くないでしょう」
「いや、そっちやなくて、辺境鎮守府に戻らんで良かったんかって」
「龍驤は兄さんの事を信頼しています。今は兄さんに任せておいた方が良いと思いまして」
「やからって、元々お前の部下やった奴もここに置いとくって」
「それは、あいつらと話し合った結果です。俺は静かに去るだけです」
桐生は清々しい笑みでタバコを吹かした
「桐生、お前に鎮守府は小さすぎるんかもな」
「では、そろそろ、行きます」
「おう、また来いや。あいつらも会いたがるやろ」
桐生はタバコの火を消し屋上から去っていった
「さて、わしはもうちょっとのんびりしよか」
30分ほど経って
「吾朗!起きろ!!」
「うぉ!?何や!?」
真島は耳元で大声を出され飛び起きた
「全く、うちが妹達を何とかしてるときにのんびりしよって」
「何や龍驤か」
頭を掻きながら起き上がった
「何やや無いわ、そろそろ訓練始めんで」
「あぁ?別にもうちょい妹たちと遊んでてもええねんで?」
「そうもいかんやろ、継続は力なりってな」
「しゃあないなぁ、ほなやろか」
真島は少し寝ぼけながら気だるそうに降りた
「さてと、結構人も増えたのぉ」
「その分色々な訓練ができるで」
「はいはーい!私は龍驤姉ぇと組む!」
「なっ!?抜け駆けは許さないわよ!」
瑞鶴と加賀は取っ組み合いの喧嘩を始めた
「仲がええことで」
「吾朗ちゃんは呑気でエエなぁ、うちはあれに何回巻き込まれた事か」
二人は少し離れた位置でそんなことを言っていた
「姉御、一緒にやりましょう」
「おぉ、天龍、ほなやるか」
「あら、天龍ちゃんにフラれちゃったわぁ。じゃあ、ヲ級ちゃんとやろうかしら」
ほくそ笑みながら龍田はヲ級を誘った
「構ワンゾ」
「私はどうすれば」
響が涙目で真島の裾を掴んだ
「ほっぽとやればええやろ」
「うぅむ・・・」
「ほな、訓練始めるで」
「「いつの間にかペアが決まってる!?」」
そして、訓練が始まって十数分ほど経った、すると
「ハァ・・・ハァ・・・」
「ヲ級ちゃん?大丈夫?」
途端にヲ級の呼吸が荒くなり始めた
「ダ、大丈夫ダ、少シ休憩スレバ治ル」
ヲ級は辛そうな顔でそう言うと、地面に膝をついて倒れた
「ちょっと!?吾朗ちゃん!」
龍田はヲ級の肩を持ちながら真島を呼んだ
「どないした?」
「ちょっと、ヲ級ちゃんが辛そうだから医務室に連れていくわ」
龍田はそう言ってヲ級に肩を持ち、足早に医務室に向かって行った
「大丈夫ですかね」
「う、むぅ・・・」
龍驤は何かを心配するような表情をしていた
「なんや龍驤、なんか心配事か?」
「いや、何でもない」
龍驤はそういうが表情は晴れなかった
訓練が終わり、真島は医務室に向かった
「おう、ヲ級、大丈夫かいな」
部屋に入るとヲ級が医務室のベッドの上で寝て、そのすぐ横ベッドには龍田が眠っていた
「おい、何寝とんねん」
「うぅん、あら?吾朗ちゃん」
寝ぼけ眼の龍田は、少しぼーっとしながら真島を見つめた
「お前が寝る必要ないやろ」
「私のパートナーが寝ちゃったから私も一緒に寝ようかなって」
「はぁ・・・ったく、腑抜けたのぉ」
「フフフ、大きな戦いも過ぎたから少しくらいゆったりしてもいいんじゃないかしら?」
ベッドにうつ伏せになりながら微笑んだ
「そうもいかんやろ」
「あらぁ、お堅い提督さん」
龍田はそう言うと、微笑みながら起き上がった
「ヲ級ちゃんなら大分良くなったんじゃないかしら、寝て一時間くらい経ってもうなされてたみたいだったから」
「何があったんや」
真島が珍しく悩んでいると
「そう言えば、こんな感じの話を聞いたことがあるわぁ」
「あっ?」
「えっと、そうそうコレよ」
龍田が医務室のベッドのすぐ横にある棚の引き出しを開けると、一冊の極秘と書かれた資料が出てきた
「これは?」
「龍驤ちゃんが頑なに隠すから、医務室に行った後、こっそり取ってきちゃった」
「おいおい・・・」
と言うものの、真島は興味本位で資料に目をやった
以下この資料内容は極秘とし責任者龍驤以外の者の目に付かぬよう保管せよ
報告1
異変が確認されたのは第一艦隊旗艦赤城の体調不良により始まった
訓練途中に体調不良を訴え全艦隊の責任艦である龍驤が医務室に連れて行った
その後、体調が優れたと言いすぐに訓練に戻った
「これは、ヲ級とほとんど同じ状況やな」
「もしかしたら、龍驤ちゃんは何か知ってるじゃないかしら」
「どうりでヲ級が倒れた後、不安そうにしてたわけや」
報告2
翌日、体調を気に掛けていた龍驤は赤城の部屋に入るが姿がなかった
急いで周辺を捜索するが姿はなかった、その数分後のこと
深海棲艦が奇襲を仕掛けてきた、対抗すべく第2艦隊が向かうが抗戦するが、その瞬間に通信が途絶えた
第3艦隊 第4艦隊共に出撃するがすぐに通信が途絶えてしまう
不穏に思い龍驤が出撃、すると第2艦隊の旗艦以外の艦が大破状態で発見された
「不気味ね」
「抗戦したら艦隊が消える、この鎮守府が最初誰もいいひんかった原因はコレやな」
報告3
龍驤は大破状態の艦娘たちを運ぼうとすると、深海棲艦たちが突如現れその場にいる艦娘たちを回収し撤退した
追跡する手立てがなくなりやむなく撤退すると
鎮守府は龍驤が留守の間に奇襲され、待機していた艦娘、提督桐生一馬は消息を絶った
報告は以上の通り、この失態は責任艦である龍驤が負うものとする
よって辺境鎮守府を懲罰所とし、任務での失敗を犯したもの、更生の見込みが無い者を収容する場とする
報告終了
「酷いわね」
「外道どもが」
「なにもそこまでしなくても」
「まぁ、あんまり人に見せるようなモンやないな。のぉ龍驤」
真島がそう言うと、医務室の扉にもたれかかっている龍驤が
「人が隠してるもんを、よくもまぁぬけぬけと見るもんやなぁ」
龍驤はため息を吐きながらそういった
「龍驤ちゃん、何も隠さなくても」
「いや、それには、もう一つ厄介なのが書いてある”続き”があるんや」
「続き?」
龍驤はため息を吐いた
「まぁ、ここまで来たら隠すこともないやろ。こっちや」
医務室の扉を開けて龍驤は二人をある部屋へと案内した