その日、真島は執務室にて荷物整理をしていた
「はぁ、面倒やのぉ」
自分の組から送られてきたダンボールを漁りながら荷物を並べていた
「吾郎ちゃん、何やこの荷物の山?」
「あぁ、組に何個か荷物を送らせて今日来たんや」
「似たような服とか写真とか新聞紙に包まれた謎の物。なんかごちゃごちゃしてんなぁ」
そう言って、新聞紙に包まれた謎の物を手に取った
「おいおい、あんま勝手に触んなや」
「これなんなん?」
龍驤が新聞紙をめくると花柄の渋い棒らしきものが出てきた
「これは?」
龍驤はおもむろに棒らしき物を持つと、するりと手から落ちて刃が出てきた
「なんやこれ!?」
「わしのドスや、鍛冶師の大槻 小太郎(おおつき こたろう)っちゅう奴に頼んで作らせた、鬼炎のドスっちゅうんや」
「物騒な・・・」
龍驤は苦笑いしながらドスを机に置いた、すると、執務室のドアをたたく音が鳴った
「なんや?」
龍驤はそう言ってドアを開けると
「吾郎ちゃん、お客さんよぉ」
龍田が誰かを連れて中に入ってきた
「あぁ?俺にか?」
「そう、この人よぉ」
そこには前の鎮守府にいた頃、自分の秘書艦だった武蔵の姿があった
「やぁ、真島、久しぶりだな」
「おぉ、武蔵やないか、久しぶりやのぉ、どないしたんや?」
真島は久しい顔を見て思わず顔がほころんだ
「いや、任務の途中でこの近海を通ってな、寄ってみたんだ」
「ん?ここら辺は何もないやろ」
「私もそう言ったんだが、詳しいことは分からないが“何か”があるらしい」
「何かってなんやねん」
「それが分かれば苦労はしないさ」
武蔵は苦笑いをしながら頭を掻いた
「しかし、元気でやっているようだな」
「まぁな、おもろい奴らが多いから暇はせえへんわ」
「羨ましいな、昔は楽しかったが今は随分と変わってしまった」
「何かあったんか?」
「いや、何もない。何もないからこそつまらないものになってしまった」
武蔵は悲しそうな目でそういうと振り返り
「少し寄り道しすぎた、そろそろ帰るよ」
「おう、また来いや」
「あぁ、またな」
武蔵はそう言って辺境鎮守府を出て行った
「随分と楽しそうやったな」
龍驤はひょっこり出てきていたずらに笑った
「何や、どこ行っとったんや」
「お邪魔やと思って少し部屋出てただけや」
「はっ、お前みたいなやつでも空気は読むんやな」
「な、なんやとぉ!」
真島は笑いながらそう言っている中、武蔵がここに来た理由について少し考えた
もしかしたら、あいつなら此処の事について知っているのではないか、懐かしい前の鎮守府の仲間の顔が浮かんだ
「ん?吾郎ちゃん?」
真島は気付かぬうちに難しい顔をしながら立ち止まっていた
「あ?なんや」
「急にどうしたんや、黙り込んで、らしくないで」
「別になんでもないわ。懐かしい顔見て感傷に浸っただけや」
「そうか?せやったらええんやけど」
龍驤はこの時、一つ引っかかっていることがあった
それは、誰かに打ち明けるにはとても危険なものだった
「せや、明日は俺出掛けるわ」
「へ?急にどないしたんや?」
「少し本部に行って色々聞きたいことがあるんや」
「聞きたいこと?」
「そこには俺の知り合いがおるからそいつにも会いたいしな」
そう言って、黒電話に手を掛けた
「そうなんか、にしても吾郎ちゃんは友達が多いなぁ」
「昔は顔が広かっただけや、そない凄いことや無い」
真島は黒電話を手に取り、ダイヤルを回した
「はい、雪風です!」
本部に電話を掛けると雪風が出た
「おう、真島や、鳳翔を出しとくれ」
「わかりました!」
雪風が元気よく答えると、少しの間静かになり、数分後
「もしもし」
「おう、ママか」
龍驤は飲んでいたお茶を噴き出した
「マ、ママて」
「バーの女店主の事をママって言うんや」
真島は小声で龍驤に説明した
「あらぁ、吾郎さんじゃないですか!お久しぶりです」
「元気にやっとるか?」
「えぇ、本部はいろんな艦娘の子がいるから少し忙しいくらいよ」
「そらええ事や。それでや、明日そっちに顔を出しに行くんやけどええか?」
「何言ってるの、いつでも来て頂戴。吾郎さんの話、また聞きたいわ」
「せやったらとびっきりの話持ってったるわ、楽しみにしとき」
「えぇ、期待させてもらうわ」
「ほな、明日」
「えぇ、鎮守府前で待ってるわ」
鳳翔がそう言って電話を切った
「ホンマ顔が広いんやな」
「これでも四十後半やからな、いろんな物見てきたわ」
ケラケラと笑いながら眼帯を触った
「明日の早朝に出るさかい、留守は頼んだで」
「何も心配無いで、鎮守府のことはうちにバーンと任せとき」
「信用しとるで」
真島と龍驤は笑いながら話し合っていた、だが、彼らは知らない、この先に待っている運命を
本部へと向かうことにした真島
真島は何故に本部へと向かうのか
本部へと向かっている間、龍驤がした行動とはいったい
次回 「二十年前の今」