辺境鎮守府 狂犬録   作:マキシマムダンガル

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第六話 二十年前の今

真島はとある事を知るため中央鎮守府に向かった

 

「さて、鬼の居ぬ間に洗濯、この資料だけでも燃やして灰にせなな」

 

狂犬が出かけ静かになった辺境鎮守府、そんな中、大量の資料を鎮守府の屋上で燃やしていた

 

「吾朗ちゃんには悪いけど、うちにも義理っちゅうもんがあんねん」

資料の山にマッチを投げ捨て、燃え盛る資料を見つめつつ龍驤はそう言った

 

一方その頃、真島は中央鎮守府の前にいた

 

「タクで一時間か、遠いのぉ」

 

ポケットに手を入れて鎮守府を睨むように見ていると

 

「あら、真島さん!」

 

声をかけられ前を向くと、そこには鳳翔の姿があった

 

「おう、久しぶりやのぉ」

 

ニヤリと笑いながらそう言った

 

「お変わり無い様で安心したわ」

 

「嶋野の狂犬を舐めたらあかんでぇ」

 

「そうそう、もう一人、真島さんを待ってた人がいるの」

 

「あぁ?誰や?」

 

すると

 

「酷いなぁ、真島くん、わしをほっといて鳳翔と遊ぼうやなんて」

 

門の柱の後ろから現れたのは、真島の兄弟とも言うべき存在

近江連合5代目鬼仁会会長「西谷 誉(にしたに ほまれ)」だった

 

「西谷、何でお前が?」

 

「ごめんなさい、どうしても教えろって言うからつい・・・」

 

「わしとも遊んでくれや、真島くん」

 

「俺は別に遊びに来たわけやない。真面目な話をやな・・・」

 

「ええやないか、わしと真島くんの仲やろ?鳳翔んとこも貸し切りにしとるさかい、はよ行こうや」

 

西谷のごり押しに負け、3人で鳳翔の居酒屋まで向かった

 

「ここも変わり無いようやな」

 

「居酒屋ほうしょう」は昼は駆逐艦も気軽に入れる雰囲気にしてあるが、夜はどっかの飲んだくれ艦娘や一航戦等が入る大人な雰囲気になる

 

「今日は二人のために貸し切りにしてあるから、好きなだけ飲んで行って」

 

鳳翔は景気よく日本酒を取り出した

 

「何や、鳳翔も今日はやる気やないかい」

 

「久しぶりにこの3人で飲めるんですもの、楽しまなくちゃ」

 

そう言って、冷蔵庫から氷を出して、3人分のグラスに氷と日本酒を入れた

 

「ほな、久々の再会を祝して」

 

「「「乾杯」」」

 

西谷の掛け声で3人は声を合わせそう言った

 

「くぅ~、やっぱりここで飲む酒は一味ちゃうわ」

 

西谷はいきなり日本酒一杯目を飲み干した

 

「ふふ」

 

「最初から飛ばし過ぎや、もうちょいゆっくり飲めや」

 

「それにしても、懐かしいわね、この3人で飲むのも」

 

「4~5年ぶりやったかな?」

 

「あの時の真島くん、ギラギラしとったなぁ、今ほどや無いけど」

 

染々と感傷に浸っていると、真島が真剣な目付きで

 

「で、本題に入るけど」

 

「何や急に」

 

「辺境鎮守府の二十年前の資料って無いか?」

 

すると、鳳翔の表情が濁った

 

「知っとるんやな?」

 

「真島くん、女には秘密の一つや二つの持っとるもんや、詮索するだけ野暮っちゅうもんや」

 

西谷は鋭い目付きで真島を睨んだ

 

「まっ、それもそうやな」

 

「そ、そうよ、龍驤ちゃんは元気にしてる?」

 

「あ?何でお前が龍驤の事知っとるんや?」

 

「あっ、えっと・・・」

 

鳳翔は言葉を詰まらせた

 

「昔から変わらんのは鳳翔も同じやな。嘘が下手やで」

 

真島は笑いながら一口飲んだ

 

「配属されていたのは30年ほど前の話よ」

 

「ええんか?話して」

 

「ただの独り言よ。私はその頃、軍神鳳翔と呼ばれていたわ、それはもう知らない人はいないと言われるほど」

 

鳳翔は写真立てを手に取りそう言った

 

「二つ名を持ってる奴は結構多いのぉ」

 

「嶋野の狂犬、近江の鬼人、軍神鳳翔、何や豪華に聞こえるわ」

 

「私が現役でやっていた時に初めて出来た後輩が、龍驤ちゃんなの」

 

「つまり、軍神さまが戦場の鬼を作ったと」

 

「ま、まぁ」

 

「でも、気掛かりや、何で軍神とも呼ばれたお前が引退してここで細々やっとんねん」

 

「二十年前にある事件が起きて、それから、数日もせずにいきなり」

 

「真島くん、なんや臭わへんか?」

 

「どうもきな臭いのぉ、そん時の資料って無いんかいな」

 

「多分、辺境鎮守府に資料室があった筈だから、恐らくそこね」

 

「にしても、偶然とは思えへん。真島くん、君、何か変なことに巻き込まれてるんとちゃうか?」

 

「まぁ、その辺りはもう慣れっこや」

 

そう言って、真島は残った日本酒を飲み干し、立ち上がった

 

「ほな、日本酒、中々旨かったで」

 

真島は一言そう言って居酒屋を出ようとすると

 

「真島さん、龍驤ちゃんは鎮守府の中でも義理人情に厚い子なの」

 

鳳翔が念押しするように言った

 

「ええ性格しとるわ」

 

そして、真島は中央鎮守府を出ていった

 

「ええんか?あんなべらべらと」

 

「遅かれ早かれこの話を誰かにしなくちゃならない日があると思ってましたから」

 

「ほぉ、ほな飲み直しやな」

 

そう言って、西谷はグラスに口をつけようとすると

 

「おっと、まだ仕事が終わってませんよ?」

 

「うちの秘書艦は厳しいのぉ(´・ω・`)」

 

その頃、真島はタクシーに揺られて辺境鎮守府に向かっていた

 

(piriririri)

 

「ん?龍田から電話や、あいつ機械使えたんやな( ´_ゝ`)」

 

冗談を交えつつ出てみると

 

「おう、真島や」

 

「吾朗ちゃ~ん、少し面倒事が起きたから急いで帰ってきてちょうだい」

 

「おう」

 

数分の会話を終わらせ

 

「おぉ、運ちゃん、飛ばしとくれ」

 

真島は少し無茶な命令をするが

 

「・・・了解しました」

 

無口な運転手がアクセルを踏み込んだ




龍田からの連絡に急ぎ辺境鎮守府に戻る真島
鎮守府に戻り、そこにいたものは・・・

次回「深海の空母」
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